
遅くなった動きから、残り回数は逆算できるか
速度が落ちたところで終えるなら、見た目に遅くなった瞬間を探せばよいのだろうか。ここで、測定した速さと、本人が感じる余力の関係を確かめた研究が役に立つ。よく鍛えられた男女19人を対象に、スクワットとベンチプレスを6週間行い、バーの平均速度と、終了直後に本人が申告した残り反復回数を調べた研究である。18〜39歳の女性でも、筋トレ経験の少ない人に同じ対応関係を当てはめるには検証が必要だ。[4]
参加者は女性9人、男性10人で、平均年齢は26歳だった。重さの異なる練習を行い、セットは事前に決めた速度低下の基準で終了した。研究では合計2,972件の測定を使って、実測の速度と感じた余力の対応を調べている。多くの測定があっても、参加人数そのものは別に読む必要がある。男女を含む経験者の結果なので、18〜39歳の女性全体を代表する数値としては扱えない。[4]
両者の関係の強さには、大きな個人差があった。決定係数はスクワット、ベンチプレスとも平均で0.3であり、相関はごく小さいものから非常に大きいものまで分かれた。同じ平均速度に対して申告される余力も、種目、重さ、速度低下の基準、セットの順番によって変化した。[4]
速度と余力は、異なる情報として使う。研究の結論は、バーの速度と本人が感じる余力が、互いを補う指標ではあっても置き換え可能ではない、というものだ。客観的な数字と本人の感覚を併せて、セットの状態を捉える。[4]
女性と男性の違い、練習した週の違いは、この研究では申告された余力と関連しなかった。ただし、それを「誰でも同じように余力が分かる」と読むのは飛躍である。個人差があるという結果と、ある属性による差が見られないという結果は両立する。自分と同じ性別の参加者がいることだけで、終了の目安まで自分に一致すると決めつけない。[4]
自宅で動きを撮影して、後半が遅くなったと気づくことはあっても、映像の印象を測定器による速度低下率と同じに扱わない方がよい。さらに、同じ速さなら残り回数も同じと決めつけない。速さを手がかりにする場合も、その日の重さや種目、どのセットかを一緒に残す方が、研究が示す条件依存性に沿っている。[2][4]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
筋力や筋肥大の最適解まで、話を飛ばさない
限界への近さを検討したレビューは、速度低下と余力の関係が、セット、負荷の範囲、種目で変化すると整理している。また、自分で申告する余力は個別化しやすい一方、主観であるため不正確になり得る。研究でも余力の報告が十分でないことがあり、筋力や筋肥大を最大にする終了位置について、具体的な推奨を出すのは難しいとしている。[2]
したがって、成人女性の試験で使った速度低下の基準を、そのまま筋肉を大きくする最適条件と呼ぶことはできない。「やりすぎ」を避けたいという問いに、万能の割合を渡すのは簡単である。しかし、どの成果を測った試験なのかを置き去りにすると、分かりやすさと引き換えに答えが別物になる。[2][8]
筋トレ経験のある男性選手52人を無作為に分けた研究でも、速度を扱う処方の読み方には注意が必要だった。4週間に12回の監督下のバックスクワットを行い、最大限速く動かす意図を使う方法、速度低下で終える方法、目標とする速度帯と速度低下を組み合わせる方法、従来の重さの割合による方法を比べた研究である。対象は男性選手であり、18〜39歳の女性に同じ改善幅や方法の優劣を当てはめることはできない。[3]
跳躍高では、最大限速く動かす意図を使う群と、速度帯と終了基準を組み合わせた群が、従来法より大きく改善した。短距離走の一部の成績も後者で優れていた。一方、等尺性の力の立ち上がりや最大の力には、処方に固有の差が見られなかった。ここでも、結果は評価する能力によって分かれている。[3]
しかも研究では、速度帯、相対的な重さ、動かす意図、情報の提示、終了方法が同時に異なっていた。著者らは、一式の処方としての効果と受け取るべきで、速度を使う個別の要素の優位を証明したものではないと述べている。終了方法だけが成果を作った、と原因を切り離せない比較である。[3]
女性の試験でも、速く動かす意図と終了基準が組み合わされていた。こうした試験を読むときは「速度低下で終えた」だけでなく、ほかに何が違ったかを見る。筋力、筋肥大、跳躍、反復を続ける能力を同じ成果として扱わず、条件をひとまとまりで読むことが、日常の練習への持ち帰り方になる。[2][3][8]
もうひとつ分けたいのは、その場で測れる情報と、練習を重ねた成果である。バーの速度や終了時の余力は、いまのセットの様子を知る手がかりになる。一方、期間を置いた速度、パワー、立ち座りなどの測定は、続けた後の変化を確かめるものだ。今日の反復が遅かったことだけで、長期の成果まで採点しない。前者と後者をつなぐには、実際に続けた条件と、後で評価した項目を見る必要がある。[4][8]

よくある誤解
「予定の回数より少なく終えたら効果はない」は、成人女性の比較試験の結果とは合わない。速度で区切る群は反復が少なくても、評価された下肢の能力を改善していた。ただし、任意の回数でやめれば同じ結果になるという話ではない。測定による終了条件と、速く持ち上げようとする意図を含めた比較である。[8]
「速度の低下が同じなら、限界までの残り回数も同じ」も成立しない。速度と余力の対応は、種目や重さ、セットによって変わる。経験者を測った研究でも個人差が大きく、両者は互いを補う指標だった。数字にすると客観性は増すが、その数字が意味する範囲まで自動で広がるわけではない。[2][4]
「疲れるまで続ける方が何でも伸びる」、あるいは「早く区切る方が何でも伸びる」という二択も手放したい。成人女性の試験では、速度とパワーの変化は速度による終了群でやや大きく、立ち座りとバランスの変化は固定回数群で大きかった。結果の向きが分かれた以上、選び方には目的が必要になる。[8]
なお、後半に膝や股関節がどう分担するかは、既存記事「スクワットは疲れると膝の使い方が変わる?後半の回数と関節の分担を読む」に譲る。ここでは動作の分担から終了を断定せず、終了の決め方と、練習を重ねた後の評価の違いを扱っている。
今日からできること
- 記録には回数に加え、重さ、種目、どのセットか、終了時に感じた余力を残す。同じ速度と余力の対応が条件で変わるという研究を、記録の読み方に生かす。[2][4]
- 目標を「脚を鍛える」から少し具体化する。成人女性の6週間の試験では、速度・パワーと、立ち座り・バランスで改善の向きが違ったことを参考に、確かめたい能力を選ぶ。[8]
- 速度低下10%は研究の条件として扱う。自分が感じる疲れをその割合に置き換えず、測定と指導を取り入れる場合には、使用する種目と終了条件を確かめる。[2][8]
- 予定より少ない回数で終えた日を、回数だけで採点しない。2.5〜2.7回少ない反復でも改善した比較を思い出し、どのような条件で取り組んだかまで振り返る。[8]
- ワイドスクワットの終了条件を相談する際は、速さを保ちたいのか、反復を続けたいのかを伝える。異なる能力の改善を分けて説明できるようにすると、研究結果と自分の目的を照合しやすい。[8]

オンザショアで、通う条件から練習を考える
回数だけで練習を採点しないという問いは、続ける運動を選ぶときにも役立つ。オンザショア立川店には、常温のヨガ、ピラティス、パーソナルトレーニングに加え、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIITがある。溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガもあり、ヨガだけで25種類以上のレッスンを扱う。種目を選ぶ際も、何を続けたいかを先に考えたい。
参加条件も先に確認する。妊娠中は溶岩ホットヨガには参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。内容は店のサイトで確認できる。
営業時間は8:00〜23:30、年中無休。所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3Fで、JR立川駅北口から徒歩1分だ。通う時間と経路を生活に置いて考えるための情報になる。ヨガの体験レッスンは税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。費用は料金案内、体験は予約ページで確認できる。
参考文献
[2] Methods for Controlling and Reporting Resistance Training Proximity to Failure: Current Issues and Future Directions — Pelland JC, Robinson ZP, Remmert JF, Cerminaro RM, Benitez B, John TA, Helms ER, 2022, Sports medicine (Auckland, N.Z.). DOI: 10.1007/s40279-022-01667-2
[3] Comparative effects of four back squat prescription models on explosive performance and sprint outcomes in resistance-trained men — Wang J, Guo H, Zhang L, Dong Q., 2026, Frontiers in physiology. DOI: 10.3389/fphys.2026.1871525
[4] Exercise type, training load, velocity loss threshold, and sets affect the relationship between lifting velocity and perceived repetitions in reserve in strength-trained individuals — Paulsen G, Myrholt R, Mentzoni F, Solberg PA., 2025, PeerJ. DOI: 10.7717/peerj.19797
[8] Effects of different lifting strategies during resistance training on lower body function in untrained adult women: a comparison between 6-weeks of 10% velocity loss and standard resistance training — Sašek M, Golob H, Šarabon N., 2025, Frontiers in sports and active living. DOI: 10.3389/fspor.2025.1705675
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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