体脂肪率で女性の内臓脂肪まで分かる?全身の割合と脂肪のつく場所を読む

体脂肪率の数字から女性の内臓脂肪やメタボまで判断できるのか。腹囲と画像測定を比べたメタ分析、運動や食事の試験を手がかりに、全身の脂肪の割合とつく場所を読み分ける。相関の強さを個人の換算式にしない理由と、健診結果や日々の記録を照らし合わせるときの確認点を整理する。

健診の腹囲の欄と、家で測った体脂肪率を並べてみる。体脂肪率は前と同じなのに、お腹の中も同じなのだろうか。答えは、全身の脂肪の割合だけで内臓脂肪の量まで決めることはできない、である。脂肪のつく場所には性差があり、腹囲のような身近な指標と画像で捉える内臓脂肪にも、関連はあるが一致とは違う距離がある。[16][17]

体脂肪率は全体の割合、内臓脂肪は場所の話だ。測定値の名前が違うだけではない。運動研究でも、体脂肪率、腹囲、内臓脂肪の面積は別の成果として集計されている。割合が下がったから、お腹の奥の脂肪も同じ割合で減った、と読み替えるのは飛躍になる。[19]

測る力の変化は既存記事「女性の筋トレは半年で伸びたか一度で分かる?測る練習と力の変化を読む」に譲る。ここでは測定の上達ではなく、そもそも何を測る数字なのかを考える。更年期そのものの経過や腹筋の見え方にも踏み込まず、体脂肪率を内臓脂肪の代理にするときの限界に焦点を置く。

運動の種類の比較は「有酸素運動と筋トレ、痩せるのはどちらか 体脂肪と内臓脂肪で変わる答え」、健康全般の話は「体脂肪率と健康について」、組織の反応は「HIITで内臓脂肪と皮下脂肪の反応は違う?動物の組織と人の体脂肪を分けて読む」に譲り、ここでは全身の割合が脂肪の場所を代表できるかを問う。

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全身の割合には、脂肪の住所が書かれていない

脂肪についての問いには、総量、割合、分布が混ざりやすい。性差を扱ったレビューでは、女性の皮下への脂肪蓄積にエストロゲンが関わり、男性は内臓脂肪を蓄積しやすい傾向が整理されている。このレビューは男女の違いを広く扱うため、18〜39歳の女性の脂肪分布を個別に予測する用途には使えない。同じ「脂肪がある」という表現でも、皮下と内臓の周囲では話の対象が違う。全身をまとめた数字から分布まで一意に取り出せないのは、この区別があるためだ。[16]

これは女性なら内臓脂肪を気にしなくてよい、という話ではない。心血管や代謝の性差を整理したレビューは、閉経前後で脂肪分布や脂質の状態が異なり、閉経に伴うエストロゲンの低下が内臓脂肪の蓄積などに関わると説明している。閉経後も扱うレビューなので、その説明を18〜39歳の女性に一律に当てはめることはできない。女性という括りの中にも条件の違いがある。年齢や閉経の情報を消して、体脂肪率の順位だけで健康の順位を作ることはできない。[7]

友人と測定画面を見せ合う場面では、数字が近いと体の中も似ているように感じる。しかし分布に関わる生物学的な背景は、画面に出た割合だけでは表せない。レビューで示される集団の傾向は、目の前の友人の内臓脂肪量を推定するための換算表でもない。男性の結果をそのまま女性に当てはめることにも、同じ注意が要る。[7][16]

「体脂肪率が正しいか」と「それで内臓脂肪が分かるか」は別の問いになる。前者の測定精度は既存記事「体脂肪率はどこまで本当か 家庭の体組成計とDXAのずれから数字の読み方を学ぶ」に譲る。精密に測っても、全身の割合と脂肪の場所は別の情報である。測定の誤差と、指標の守備範囲を分けておきたい。[17][19]

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腹囲は手がかりになるが、画像の代わりとは違う

身近な数字と画像測定の関係をまとめた系統的レビュー・メタ分析は、この問いの土台になる。対象は42報、計42,556人で、参加者の85%が男性、95%が白人だった。18〜39歳の女性にこの集計値をそのまま当てはめるには、性別や集団構成の違いを考慮する必要がある。研究では、体格指数であるBMI、腹囲、ウエストとヒップの比を、磁気共鳴画像のMRIやX線を使うDXAから得た脂肪の指標と比較した。観察研究を統合し、数字が一緒に動く程度を調べた研究である。[17]

MRIで測った内臓脂肪とBMI・腹囲の相関係数は0.76〜0.79だった。相関係数は、集団の中で片方が大きい人ほどもう片方も大きい傾向がどれほどあるかを示す値だ。腹囲は検討された身体計測の中で内臓脂肪との相関が最も強かった。一方、BMI・腹囲と腹部の皮下脂肪の相関は0.83〜0.85と、内臓脂肪に対する関連より強かった。[17]

つまり腹囲には、お腹の中の脂肪を知る手がかりという面があると同時に、皮下の脂肪も反映するという面がある。ベルトの穴が変わったことを内臓脂肪だけの変化として読むと、両者を混ぜてしまう。腹囲を無意味と切り捨てる必要はないが、メジャーを画像検査のように扱うこともできない。この研究の結論は、その中間にある。[17]

相関が強いという表現は、個人の値が正確に当たるという意味ではない。相関係数0.79を「内臓脂肪の79%が分かる」と読むこともできない。研究がまとめたのは関連の強さであり、腹囲から個人の内臓脂肪面積を確定する換算式は得られない。まして、ここでの相関を体脂肪率と内臓脂肪の関係に取り替えて使うことはできない。[17]

ウエストとヒップの比でも、測る対象の区別は必要だ。同じメタ分析で、この比とMRI由来の内臓脂肪の相関係数は0.67だった。腹部の皮下脂肪とは0.54、DXA由来の体脂肪率とは0.58である。身体の外から測る数値同士でも、反映しやすい対象は違う。名前にお腹の場所が含まれていることと、その場所の脂肪を直接測っていることを混同しないようにしたい。[17]

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大きな研究でも、女性への当てはめ方を確かめる

人数の多さは魅力的だが、誰が含まれているかも同じくらい重要になる。先のメタ分析は男性と白人が大半を占める集団を対象にしている。女性で相関が強い傾向も報告されたが、全体の数字を日本の18〜39歳の女性向けの精密な推定式として使うには、対象の違いが大きい。集団全体の結果と女性についての観察を、別の層として読む必要がある。[17]

さらに、研究が比べた画像の対象は内臓脂肪だけではない。腹部全体、皮下、肝臓の脂肪などで、身体計測との関連は異なっていた。肝臓の脂肪との相関はMRIによる比較で0.36〜0.43にとどまった。腹囲がある脂肪指標と強く結びついたからといって、体内のあらゆる脂肪を同じ精度で代表することはできない。[17]

健診の紙に並ぶ数値は、見た目こそ同じ列に収まっている。だが、身体の大きさを示すもの、脂肪の分布を推測するもの、血液の状態を示すものでは問いが違う。性差のレビューも、脂肪分布と血中脂質や代謝の違いを関連づけながら扱っている。体脂肪率だけを見て他の欄を閉じるより、別々の情報として医師に確認するほうが、この研究の読み方に沿っている。[7][17]

集団の関係を知ることは、個人の結論を急がないためにも役立つ。腹囲が増えたという記録は相談の材料になるが、そこから内臓脂肪の増加量を自己計算する手順は得られない。体脂肪率が低めだったという安心感も、他の健康指標を上書きする根拠にはならない。数値を読むときは、値の大小より先に、測った対象の名前を置く。[17]

別々に測ると、変化のずれが見えてくる

過体重または肥満の成人112人を対象にした二重盲検ランダム化比較試験では、腸内細菌に働きかける複合的な介入を12週間行い、DXAで内臓脂肪面積を評価した。プラセボとの比較で内臓脂肪面積は有意に減った一方、BMI、腹囲、血液の生化学的な指標には有意な変化がなかった。男女を含む過体重・肥満の成人の結果であり、18〜39歳の女性への効果をそのまま示すものではない。脂肪の場所を測る結果と、身近な身体計測がそろわなかった例である。[1]

この試験を「腹囲が変わらなければ、きっと内臓脂肪だけ減っている」と読むことはできない。介入による結果であり、何も変わらない日常の記録から隠れた改善を保証するものではない。また、内臓脂肪の結果が有意だったことは、減少量が大きかったことと同義ではない。ここで重要なのは成功談ではなく、項目ごとに結果を確かめた点だ。[1]

性別による解析では男性で効果が強い傾向が示されたものの、その比較のp値は0.051だった。女性への確実な効果や、明確な男女差を証明したと膨らませないほうがよい。一方、プロバイオティクスの臨床試験を批判的に検討したレビューは、女性で作用が強かった研究も取り上げている。男女の試験を扱うレビューから18〜39歳の女性に共通する効果を決めることはできず、介入や対象の違いを残して読む必要がある。[1][2]

この試験のBMIが24以上28未満の部分集団では、内臓脂肪の減少とともに皮下脂肪の増加も報告された。腹部の脂肪をひとまとめにすると、この逆向きの結果が見えなくなる。全体の結果、性別の結果、BMIで分けた結果を混ぜないことも必要だ。とくに部分集団の所見を、参加者全員の体に起きたこととして語ってはいけない。商品を選ぶ根拠としてではなく、脂肪を場所ごとに評価する理由が表れた例として捉えたい。[1]

数字で読む、代理の指標と脂肪の場所

42報・42,556人:身体計測と画像による脂肪評価を比較したメタ分析の規模である。[17]

0.76〜0.79:BMI・腹囲とMRI由来の内臓脂肪の相関係数であり、個人の的中率ではない。[17]

85%:同じメタ分析の男性参加者の割合。女性への応用では対象構成も確認したい。[17]

112人・12週間:内臓脂肪面積と腹囲の結果がそろわなかった比較試験の対象数と介入期間だ。[1]

116試験・6,880人:有酸素運動の量と脂肪指標の変化をまとめたメタ分析の規模である。[19]

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宮川涼 Founder

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