
参考にする相手と、自分を採点する相手を分ける
他人を見ることには、情報を得る、つながりを持つ、自分の位置を評価するなど、違う働きがある。1989年のレビューは、それらを同じものとして扱わない視点を提示した。脅威のある状況に置かれた一部の集団では、自分を評価するときは自分より不遇な相手を選び、情報や関わりを求めるときは状況のよい相手を選ぶという違いがみられた。[1]
著者らは、下方への自己評価には自尊感情を保つ役割があり、上方への接触には状況を改善し、意欲や希望を増す役割があると論じている。比較の向きだけでなく、何のために相手を見るかが異なるという整理だ。あらゆる人に同じ働きが起こるという法則ではなく、比較を複数の活動として読むためのレビューである。[1]
これをロールモデル選びに引き寄せるなら、参考にする人を、そのまま自分の採点表にしなくてもよい。話の組み立て方を学びたい相手に、自分の生活全体の合否まで判定してもらう必要はない。前者は情報を取りに行くこと、後者は相手との差で自分を評価することだ。この分け方は、レビューの整理を日常の場面で使うための提案である。[1]
たとえば、人前で説明するのが上手な人を思い浮かべる。その人の結論の置き方を参考にするなら、自分の資料のどこを書き換えるかが検討対象になる。ところが相手の収入、人脈、生活の整い方まで並べ始めると、当初学びたかった説明の手順から離れてしまう。参考にしたい範囲を限定するとは、相手を過小評価することでも、自分の可能性に蓋をすることでもない。今、観察したい対象を決めることである。
もうひとつ確かめたいのは、気持ちが動いた後に行動も変わるかだ。2024年の予備的な無作為化比較試験では、運動量の少ない成人70人を、自分の歩数を見る条件、歩数目標を示される条件、仲間の歩数を示される条件に割り付けた。平均年齢は40.5歳、女性は44人で、介入は4週間だった。男女を含み平均年齢も異なる集団の結果なので、18〜39歳の女性だけに同じ効果があるかは、この試験からは判断できない。[7]
自己申告の総身体活動量には、どの条件でも有意な変化がなかった。機器で測った歩数は、目標設定と社会的比較の条件で自己記録の条件よりやや高かったが、統計的有意差には達しなかった。比較条件の数値はP=.06だった。比較の機能を付ければ歩く量が確実に増える、と受け取れる結果ではない。[7]
一方で、当初は運動を始めることを考えていなかった46人のうち27人、59%が、全条件を通じてより先の準備段階へ進んだと報告した。いくつかの動機の側面にも改善があり、著者らは行動への準備や意欲への働きを認めつつ、身体活動量への効果は限定的と結論している。この59%を、社会的比較の条件だけで運動量が増えた割合に読み替えてはいけない。[7]
この試験をここで読む意義は、比較相手の選び方より、意欲と行動の測り分けにある。他者の情報から意欲が生じることと、生活の中の活動量が変わることを分ける必要はよく分かる。前向きな気分を無意味と扱う必要はないが、継続できたという結果を先に書き込むこともできない。[7]
実生活への応用としては、見た後の感想と、実際に行ったことを分けて振り返りたい。「自分もできそうだった」と「予定を確認した」は別の記録になる。最初から成果の大小を競うより、取り入れたい行為に着手したかを見る方法である。これも特定の記録法の有効性を示す試験結果ではなく、意欲と行動を混ぜないための記事としての提案だ。
疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。
よくある誤解
「同じ年齢、同じ性別なら、自分に合うロールモデルになる」。共通点を入口にするのは自然だが、それだけを選定の答えにするのは早い。日常の比較では、感じた差、重要度、自分で変えられるという感覚が意欲と関係していた。糖尿病の研究でも、同じ病気の相手への反応が本人の志向や自己効力感によって異なった。同じ属性という札だけで、比較がどう働くかは決まらない。[2][4]
30代の女性だから同年代の女性を、男性だから男性を、という探し方を否定する必要はない。ただ、その共通点で何を知りたいのかは続けて考えられる。働く時間の配分を知りたいのか、学び直しの進め方を知りたいのか。自分の問いが具体的になれば、プロフィールの似ている部分だけで候補を採点する作業から離れられる。
「憧れより嫉妬のほうが、必ず成長につながる」。2011年の研究では良性の羨望が意欲や課題成績と結びついたが、2017年の研究では賞賛も自己改善への意欲につながっていた。羨望には相手を引き下げたい方向もある。自分を励ますために、無理に誰かへの悔しさを育てる必要があるという結論にはならない。[3][15]
感情の呼び名を正しく選ぶことより、今の自分が何をしようとしているかを確かめたい。相手を批判する文章を書きたいのか、自分の作業を進めたいのか。人の成功を見て複雑な気分になる場面を、すぐに性格のよしあしの判定に変えず、次に向く行為として言葉にしてみる。これは感情を消す訓練ではなく、この記事からの振り返りの提案である。
「比較してつらくなるなら、努力が足りない」。極端に大きな上方への差と諦めの関連は、日常の比較場面でもみられた。また実験では、改善が難しいと考える場合に賞賛が強まっても、よりよく取り組む意欲にはつながらなかった。比較を見直す余地を、本人の根性という言葉だけで閉じる理由はない。[2][15]
ここで考えたいのは、憧れの相手を好きでい続けるかどうかと、今日の行動の参考にするかどうかを分けることだ。応援する存在として大切にしながら、手順を学ぶ相手は別に探す、という選択もできる。尊敬の気持ちまで捨てる必要はない。自分に役立つ距離を考えるために、相手の価値を下げる必要もないのである。

今日からできること
- 参考にしたい人物を思い浮かべたら、人物全体ではなく、取り入れたい行為を書く。改善が可能だと思えるかを問いにするための工夫であり、達成可能性を扱った4研究からの応用である。[15]
- 相手との差だけでなく、自分が変えられる部分を言葉にする。5,400件超の日常の比較場面では、コントロールの感覚や重要度が努力への意欲との関係を左右していた。[2]
- 見聞きした後に、交流したいのか、情報がほしいのか、自分を採点しているのかを振り返る。比較活動の目的を区別したレビューを、相手との関わり方を選ぶ手がかりにする。[1]
- 憧れや羨望という感情名だけで、よい刺激だったかを決めない。合計345人の研究では、賞賛も良性の羨望も自己改善への意欲につながった。具体的に何をしたくなったかまで確かめる。[3]
- 意欲が動いたことと、実際に行ったことを別々に見る。70人を対象とした4週間の試験では、意欲や準備段階の改善と、身体活動量の有意な増加は同じ結果ではなかった。[7]
オンザショア立川店で、予定に置ける形を探す
憧れの人の生活を丸ごと写すより、自分の予定に置ける活動を探したい。通う場所を検討する際にも、相手と同じ見た目を目指すという問いから、どの時間と内容なら選べるかという問いへ移せる。
オンザショア立川店は、JR立川駅北口から徒歩1分、東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3Fにある溶岩ホットヨガスタジオだ。所在地と通う経路を、自分の生活に照らして確認できる。
ヨガには25種類以上のレッスンがあり、溶岩プレートを敷いたスタジオのホットヨガのほか、常温のヨガやピラティスもある。営業時間は8:00〜23:30だが、レッスン開始時刻とは別である。年末年始の12/29〜1/3は通常のレッスンを休み、会員向けの特別の有料講座となる。開いている時刻だけで受講の予定を決めず、内容と開始時刻を確認したい。
自分の生活に合う活動を続ける仕組みとして検討するなら、店のサイトと料金が入口になる。憧れとの距離とは別に、次に通う日の経路と予定を具体的に考える場所である。

参考文献
[1] Social comparison activity under threat: downward evaluation and upward contacts — Taylor SE, Lobel M., 1989, Psychological review. DOI: 10.1037/0033-295x.96.4.569
[2] A motivational framework of social comparison — Diel K, Grelle S, Hofmann W., 2021, Journal of personality and social psychology. DOI: 10.1037/pspa0000204
[3] Envy and admiration: emotion and motivation following upward social comparison — van de Ven N., 2017, Cognition & emotion. DOI: 10.1080/02699931.2015.1087972
[4] The impact of social comparison information on motivation in patients with diabetes as a function of regulatory focus and self-efficacy — Schokker MC, Keers JC, Bouma J, Links TP, Sanderman R, Wolffenbuttel BH, Hagedoo, 2010, Health psychology : official journal of the Division of Health Psychology, American Psychological Association. DOI: 10.1037/a0019878
[7] Deconstructing Fitbit to Specify the Effective Features in Promoting Physical Activity Among Inactive Adults: Pilot Randomized Controlled Trial — Takano K, Oba T, Katahira K, Kimura K., 2024, JMIR mHealth and uHealth. DOI: 10.2196/51216
[15] Why envy outperforms admiration — van de Ven N, Zeelenberg M, Pieters R., 2011, Personality & social psychology bulletin. DOI: 10.1177/0146167211400421
この記事の情報は2026年11月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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