森林浴は葉の落ちた冬の森でも休まる?雪景色の静けさと活力の違いを読む

森林浴は緑の少ない冬にも意味があるのか。雪の森を眺めた若者の実験では、不快な気分は減っても活力は増えなかった。冬と春の散歩、森林の種類、寒暖条件を比べた研究をたどり、落ち着くことと元気になることを分けて読む。立川で冬の散歩先を選ぶときの考え方も示す。

葉の落ちた枝が空に線を引いている。休日に森へ来たのに、目に入る色は緑より茶色だ。「森林浴」という言葉に青々とした木々を思い描いていたなら、季節を間違えた気もする。だが、雪に覆われた冬の森を眺めた実験でも、不快な気分の低下と、回復できそうだと感じる評価の上昇が報告されている。[2]

ただし、冬の森で静まることと、元気が湧くことは別だった。フィンランドの健康な大学生22人の実験では、雪の森を見た後に否定的な気分は減った一方、活気や主観的な活力には有意な変化がなかった。「休まったのに、何かを始める気にはならない」は、この結果と矛盾しない。[2]

冬でも森林浴による気分の回復は期待できるが、緑の季節と同じ働きが、寒さに関係なく起きるという保証はない。寒暖条件をまとめたメタ分析でも、寒い条件や暑い条件では効果が一貫しなかった。[16] 滞在の長さは既存記事「森林浴は何分で気分が変わる?短い滞在と宿泊の研究から時間の目安を考える」に譲り、ここでは冬の景色と休まり方の関係を追う。

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雪の森は、不快な気分を減らしても活力を増やさなかった

冬の森を直接調べた研究として、フィンランドの大学生を対象にした予備的な実験がある。同じ参加者が雪に覆われた森林景観と、対照となる建物の景観を体験するクロスオーバーという形式だ。人による気分の違いを少し切り分けやすいが、参加者は健康な若い大学生22人であり、フィンランドの若い大学生についての結果である。18〜39歳の女性にそのまま当てはめるには、女性を対象にした検証が必要だ。[2]

測ったのは、気分、感情、その場所が回復に向いているという感覚、そして自分で感じる活力だった。森を体験した前後に本人が答えた評価である。研究では雪の森の後に否定的な気分の指標が有意に低下した。反対に建物の景観の後には、否定的な感情が増え、肯定的な感情が減っていた。[2]

ここで目を留めたいのは、単に「森のほうがよかった」と丸められない点だ。森林景観の後には回復に向いた環境だという評価が上がり、建物の後には下がった。この回復の評価に対する効果が、実験で測った指標の中では最も大きかった。一方、活気の指標には森林景観の前後で有意な増減がなく、主観的な活力も変化しなかった。[2]

気分が悪い側から離れることと、気分がよい側へ進むことは、同じ目盛りの往復とは限らない。この実験では、落ち着いたという方向の変化があっても、活動する力が増したという方向の変化は確認されなかった。[2] 散歩の後、仕事の続きをする気になれないからといって、先ほどの静かな時間まで失敗扱いする必要はない、というのが私の読みである。

雪そのものが人を静めたのか。著者らは、雪が鎮静的に働き、感情を落ち着かせた可能性を挙げている。ただし、これは検証を要する考えであり、雪だけを独立に操作して確かめた結論ではない。他国の参加者にも調べる必要があるとしている。[2] 写真のように白い森なら、どこでも同じ反応になるという約束には変えられない。

比較相手が建物だったことも、散歩先を考える際の手掛かりになる。この結果は、雪の森と別の自然景観のどちらが休まるかを決めたものではない。建物を見る条件では感情や活力が悪化する方向の変化もあり、森の後の状態だけを見ていると、比較の中身を見失う。[2] 立川駅北口の人通りから離れたい日に、この実験を思い出すことはできる。それでも、駅前から離れることと、冬の森ならではの働きがどれほど重なるかは、別に考えておきたい。雪の白さが気持ちを変えたという説明は、まだ可能性の段階である。[2]

また、フィンランドの雪景色は、立川で見る葉の落ちた雑木林と同じではない。冬という呼び名は共通でも、地面の色も枝の見え方も異なる。雪の森の結果は「冬には何も起きない」という見方を狭める材料だが、雪のない落葉林の効果の大きさをそのまま決める材料ではない。[2]

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春と冬に同じ人が歩いても、反応の中身は同じではない

季節をまたいだ別の野外実験は、ハンガリーの森で行われた。健康な働く世代のボランティア12人が、まず5月、次に1月に、ゆっくりした2時間の森林散歩に参加した。散歩前後を比べる研究で、収縮期血圧、つまり血圧の上の値は、春の終わりにも冬にも散歩後に低下した。対象は健康な働く世代で、18〜39歳の女性にそのまま当てはめられるかは、この集団の結果だけでは判断できない。[5]

これは、冬にも体の指標が変化し得るという直接の観察である。ただし、都市を歩く対照との無作為比較ではなく、同じ人の散歩の前後を調べている。散歩という活動、休暇の過ごし方、時間の経過から、森や季節の寄与だけを取り出してはいない。12人という規模も含め、冬の森林浴の可能性を示す結果として読むのが適切だ。[5]

この研究では免疫細胞に関係する複数の指標も調べており、緑の季節には調べた免疫細胞群の活性化などが観察された。冬には軽度の活性化と、免疫反応の調節に関わる分子の変化がみられた。著者らは、冬の開始前の状態にも季節差があったことを踏まえ、冬の反応を均衡を整える方向の作用として論じている。[5]

ここを「冬でも免疫力が上がる」と置き換えると、研究より話が大きくなる。測った免疫細胞の指標の変化と、実際に感染症にかかりにくくなることは別の結果である。この実験が示すのは、季節によって反応の中身が違い得るということだ。[5] 森に入った印として体内のすべてが同じ方向へ動く、と考える必要はない。

雪の森の心理実験と、この季節をまたぐ散歩実験は、どちらも冬の可能性を示している。ただし、前者は景観を見た後の自己評価、後者は散歩前後の血圧や免疫細胞の指標である。人数も国も活動も違う。両方をつないで「雪を見ると免疫を介して脳が回復する」と説明する筋道は、これらの実験からは作れない。[2][5]

冬を扱う研究を読むときは、何が変わったのかに加えて、何をしていたかを残しておきたい。眺めたのか、歩いたのか。建物と比べたのか、出発前の自分と比べたのか。この違いを保つだけで、「森林浴の効果」という大きな袋に別々の結果を詰め込まずに済む。[2][5]

落葉樹か針葉樹かだけでは、休まり方を決められない

では、冬でも緑が残る森を選ぶべきなのか。森林の種類を比べた研究では、北京の大学の若い成人学生30人が、針葉樹林、落葉樹林、混交林、都市の場所を体験した。混交林とは異なる種類の木が混じる森林だ。研究では本人が感じる環境の回復力に加え、血圧、心拍数、心理的な回復、活力、心の健康に関する質問票を用いた。若い成人学生の結果であり、18〜39歳の女性にそのまま当てはめるには、性別や生活条件を含めた検証が必要だ。[3]

回復に向いた環境だという評価は、混交林、針葉樹林、落葉樹林の順に高かった。しかし、評価が低い順の森には効果がない、という結果ではない。調べた森林の種類はいずれも生理的・心理的な回復に有益だった。混交林では血圧と心拍数の低下、活力の増加への効果が最も大きく、針葉樹林では心理的回復と肯定的な心の健康の増加が最も強かった。[3]

つまり、森の順位は測るものによって変わる。活力の伸びを重視する場合と、心理的な回復の評価を重視する場合では、首位になる場所が異なる。[3] 「森林浴に一番よい木」を探すより、自分が求めているのは気持ちの静まりなのか、活動する感じなのかを言葉にしたほうが、研究の結果を使いやすい。

さらに、落葉樹の森という分類だけで、その森が葉を落とした冬の状態だったとは決まらない。この研究の森林間の比較から、裸の枝が緑の葉より弱いと結論することはできない。[3] 木の種類の比較と季節の比較は、似て見えて別の問いだ。冬に葉のない木を見てがっかりしたからといって、その場の価値が研究で下位に決まっているわけでもない。

この実験では、環境の回復力を高く感じることと、生理的・心理的な回復との間に正の関係があった。[3] ただし、心地よいと思えば必ず血圧が下がるという因果の証明ではない。「自分には落ち着く場所だ」という感覚を散歩先の選択に含める余地はあるが、それを体の検査結果の代わりにはしない、という距離がよい。

数字で読む冬の森林浴

22人:雪の森と建物の景観を体験した、健康なフィンランドの大学生の人数である。[2]

12人:5月と1月の森林散歩に参加した、ハンガリーの健康な働く世代の人数である。[5]

2時間:その季節比較で行われた、ゆっくりした森林散歩の長さだ。冬の推奨時間を意味しない。[5]

30人:森林の種類と都市の場所を体験した、北京の若い成人学生の人数である。[3]

9研究・30ケース:寒暖条件と森林体験の関係を統合したメタ分析の採用規模だ。30本の別々の研究ではない。[16]

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宮川涼 Founder

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