
43研究を集めたメタ分析では、異食と貧血の関連がはっきりしていた
一人ひとりの報告を超えて、研究をまとめた数字を見る。2015年のメタ分析は、異食のある人とない人で微量栄養素の値を比べた研究を集めた[2]。43研究、異食のある6,407人と対照の10,277人である[2]。
異食は、貧血のオッズが2.35倍(95%信頼区間1.94〜2.85)で、ヘモグロビンが0.65g/dL低く、ヘマトクリットが1.15%低く、血液中の亜鉛が34.3μg/dL低いことと関連していた[2]。外れ値を除いても、異食の種類や人生の時期で分けても、統計的な有意さは残った[2]。
著者らの結論には、二つの面がある。一つは、異食と微量栄養素の不足のどちらが原因でどちらが結果かという向きは分かっていない、ということ[2]。もう一つは、関連の大きさが、よく知られたほかの微量栄養素の不足の原因と比べても見劣りしない、ということだ[2]。鉄が足りないから氷を食べるのか、食べた物が鉄の吸収を邪魔するのかは、この形の研究では決まらない。実際、2010年の総説は、土やでんぷんのような異食の物質が食べ物の中の微量栄養素と結びつき、吸収されにくくしている可能性を挙げている[1]。2016年の総説も、食べ物でない物があると鉄の吸収は減ると書く[6]。氷がそうした物質と同じ働きをするかどうかは、ここからは言えない。
2025年の系統的レビューは、異食と貧血と口の健康の関係を調べ、4,159件の論文から89本を含めた[9]。1959年から2022年に33か国で出た論文で、半分あまり(55.1%、49本)は症例報告だった[9]。多かった異食は土食(44.9%、40本)、氷食(22.5%、20本)、でんぷん食(15.7%、14本)で、ほかに塗料や金属、紙、さらに発泡材や髪の毛まであった[9]。論文の81%が異食と貧血が同時に起きていることを報告し、異食は鉄欠乏性貧血と強く関連していた[9]。
意外なのは口の話である。15の症例報告と1つの介入研究が、歯のすり減り、虫歯、舌の表面の変化といった、異食の口への影響を示していた[9]。著者らは、異食をする人で歯のすり減りと虫歯が見られたとしつつ、口の健康との関連は統計的に有意ではない傾向にとどまったとしている[9]。鉄の研究を追っていたはずが、歯の話に行き着く。
疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。
鉄で消えた報告と、鉄の入れ方で差が出なかった試験
「鉄を補えば氷食は消える」という話は、半分は研究に支えられている。2016年の総説は、鉄の治療はたいてい異食の行動を治すと書く[6]。2023年のスコーピングレビューは、成人の鉄欠乏性貧血と異食の論文20本を集め、ほかにどんな症状があっても、異食の症状に気づいたことで鉄不足の治療につながり、20本すべてで症状が消えたと報告した[11]。献血者の研究でも、鉄を飲み始めて10〜14日で症状が消えていた[5]。
ところが、もっと厳密な形の試験では、氷食に差が出なかった例がある。マラウイで行われた2025年の試験は、妊娠中期の貧血のある妊婦862人を、点滴の鉄(カルボキシマルトース鉄)1回か、標準の飲む鉄のどちらかに無作為に割り付けた[10]。始まりと4週後に、過去2週間に土、熟していないマンゴー、生の米、氷、灰、炭、チョークを欲しがって食べたかを尋ねた[10]。
始まりの時点で、何らかの異食は71.7%、土食は31.9%だった[10]。点滴の鉄の群では、飲む鉄の群よりヘモグロビンとフェリチンが良くなった[10]。土食は、点滴の群で33.5%から12.9%に、飲む鉄の群で30.4%から22.3%に減り、点滴の群のほうがより大きく減った(有病率の比0.53、95%信頼区間0.39〜0.72)[10]。一方で、異食全体、でんぷん食、氷食では、治療の効果の証拠がなかった[10]。著者らは、妊娠中の鉄の状態と貧血が良くなると土食が減るという因果の証拠を示したと結論している[10]。
この試験は、鉄を入れる群と入れない群ではなく、2種類の鉄の入れ方を比べたものだ。だから「鉄で氷食は消えない」とは読めない。読めるのは、マラウイの貧血の妊婦で、点滴の鉄が飲む鉄より氷食を減らしたという証拠は出なかった、というところまでである。
異食は鉄だけで説明しきれるものでもない。2022年の総説は、異食と妊娠、微量栄養素の不足に加え、精神の病気、認知症、発達の障害との結びつきも論じている[16]。氷をかじる理由が一つとは限らない。

妊婦と途上国の研究を、自分に当てはめる前に
異食の研究は、妊婦と子どもを対象にしたものが多い。2010年の総説は、異食が世界中に見られ、妊婦と子どもに多いと書く[1]。2016年の総説も、異食の危険が最も高いのは妊婦と思春期前の子どもだとする[6]。
タンザニアのザンジバルのペンバ島で、妊婦2,368人を調べた2010年の横断研究では、でんぷん食が36.3%、土食が5.2%、何らかの異食が40.1%だった[4]。何らかの異食は、ヘモグロビンの値(オッズ比0.76)、吐き気(1.45)、おなかの痛み(1.22)と関連していた[4]。著者らは、異食と妊娠と胃腸の不調と鉄欠乏性貧血の関係はさらに調べる価値があると書く[4]。
こうした数字は、立川駅の周りに住む20代の女性に、そのまま当てはまるものではない。調べたのは特定の地域の妊婦で、多かった異食も生のでんぷんや土だった[4][10]。逆に、高所得国の女性の鉄不足の数字[8]や、献血者の研究[5]は、より近い生活の人たちを見ている。どの研究を自分の鏡にするかは、国と年齢と妊娠の有無で選ぶ。
よくある誤解
「生理中に氷が欲しくなるのは、体が熱を冷ましたがっているから」。研究で氷食と結びつけられてきたのは、体温ではなく鉄不足のほうである[6][7][8]。月経などの出血は、鉄不足の最も多い原因の一つに挙げられている[8]。
「氷を食べたくならなければ、鉄は足りている」。鉄不足でも症状のない人がいる[8]。総説は鉄不足の人に出うる異食に40〜50%という数字を挙げるが[8]、献血者の調査では、鉄の減った人で異食を訴えたのは11%だった[5]。だるさや集中しにくさなど、別の形で出ることもある[8]。
「鉄を補えば、氷食は必ず消える」。献血者の研究[5]や20本の論文のレビュー[11]では、鉄の治療で異食の症状が消えていたが、マラウイの妊婦の試験では、点滴の鉄が飲む鉄より氷食を減らしたという証拠は出なかった[10]。異食には、精神の病気などとの結びつきも論じられている[16]。

今日からできること
- 氷をかじった日と量を、2〜4週間メモする。診断の基準では、異食は少なくとも1か月続くことが条件の一つになっている[16]。メモは医師に話すときの材料になる。
- 生理の量が多い、だるい、脚がむずむずする、が重なるなら医師に相談する。総説は、異食やだるさやむずむず脚症候群のある人に鉄不足の検査が適応になり、月経の量が多い人にも検討するとしている[8]。
- 鉄のサプリや薬を自己判断で始めない。原因を確かめて治療することが勧められ[8]、飲む鉄は胃腸の副作用が多いとされる[12]。飲むかどうか、どれだけかは医師が決める。
- 歯の具合にも気を配る。異食をする人で、歯のすり減りや虫歯が報告されている[9]。
- 献血で見送られたことがあれば、そのことも医師に伝える。献血者の研究では、異食があることは鉄が減っているか足りない可能性の高さと結びつき、氷食についての質問が鉄不足を見つける助けになりうるとされた[5]。
生理の週も選べるように、オンザショアに常温の時間もある
この記事の研究は、ヨガで鉄が増えるとも、氷食が治るとも言っていない。鉄不足が気になるなら、まず医師に相談する。そのうえで、体を動かす習慣を生理の週にも途切れさせない工夫として、選べるレッスンの幅がある、という話をしておく。
オンザショア立川店には、溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガのほかに常温のヨガがあり、暑い部屋の気分ではない週はそちらを選べる。ほかにピラティス、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニングもあり、ヨガだけで25種類以上のレッスンがある。
初めての人は、体験レッスン(ヨガ)が税込1,980円。60分のレッスンに、バスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが付く(体験の予約)。場所はJR立川駅北口から徒歩1分、東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F。
店は8:00〜23:30の年中無休で、レッスンの開始は曜日で違う。平日の朝いちばんは月曜から木曜が10時、金曜が13時で、8時の回は土曜と日曜だけ。遅い回は水曜と金曜の21時に始まる。12月29日から1月3日は通常のレッスンを休み、会員向けの特別の有料講座になる。妊娠中の方は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。料金は料金のページ、店の全体はトップページで見られる。
参考文献
[1] Pica in pregnancy: new ideas about an old condition — Young SL., 2010, Annual review of nutrition. DOI: 10.1146/annurev.nutr.012809.104713
[2] A meta-analysis of pica and micronutrient status — Miao D, Young SL, Golden CD, Golden CD., 2015, American journal of human biology : the official journal of the Human Biology Council. DOI: 10.1002/ajhb.22598
[4] Association of pica with anemia and gastrointestinal distress among pregnant women in Zanzibar, Tanzania — Young SL, Khalfan SS, Farag TH, Kavle JA, Ali SM, Hajji H, et al., 2010, The American journal of tropical medicine and hygiene. DOI: 10.4269/ajtmh.2010.09-0442
[5] Ascertainment of iron deficiency and depletion in blood donors through screening questions for pica and restless legs syndrome — Bryant BJ, Yau YY, Arceo SM, Hopkins JA, Leitman SF., 2013, Transfusion. DOI: 10.1111/trf.12061
[6] Pica as a manifestation of iron deficiency — Borgna-Pignatti C, Zanella S., 2016, Expert review of hematology. DOI: 10.1080/17474086.2016.1245136
[7] Brain Effects of Iron Deficiency-Related Pagophagia — Lalonde R, Strazielle C., 2025, The Journal of nervous and mental disease. DOI: 10.1097/nmd.0000000000001831
[8] Iron Deficiency in Adults: A Review — Auerbach M, DeLoughery TG, Tirnauer JS., 2025, JAMA. DOI: 10.1001/jama.2025.0452
[9] Pica practices, anemia, and oral health outcomes: a systemic review — Abu BAZ, Morrissey A, Wu Y, Castillo DA, Becker R, Wu T, et al., 2025, BMC oral health. DOI: 10.1186/s12903-024-05371-7
[10] Effects of Ferric Carboxymaltose on Pica among Pregnant Women in Malawi: A Substudy to a Randomized Controlled Trial — Larson LM, Mwangi M, Harding R, Moya E, Ataíde R, Mzembe G, et al., 2025, The Journal of nutrition. DOI: 10.1016/j.tjnut.2025.05.010
[11] The Association Between Pica and Iron-Deficiency Anemia: A Scoping Review — Ganesan PR, Vasauskas AA., 2023, Cureus. DOI: 10.7759/cureus.37904
[12] Iron Deficiency in Women’s Health: New Insights into Diagnosis and Treatment — Moisidis-Tesch CM, Shulman LP., 2022, Advances in therapy. DOI: 10.1007/s12325-022-02157-7
[16] The Neurology and Psychopathology of Pica — Schnitzler E., 2022, Current neurology and neuroscience reports. DOI: 10.1007/s11910-022-01218-2
この記事の情報は2026年11月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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