利き足の割合は、164研究・145,135人の統合で、厳しい定義の左足が12.10%、左足と両足を合わせた右でない人が23.7%だった。左利きでも左足とは限らない数字、質問票での調べ方、蹴る足と支える足という定義の見直し、脳の左右差との関係まで読む。
駅の階段を上るとき、一段目にどちらの足を乗せるか。転がってきたボールを、どちらの足で止めるか。考える前に、もう決まっている足がある。利き足だ。
2020年の研究は、164の研究、合計145,135人の資料を、4通りの分け方で統合した[12]。左足を利き足とする人は、もっとも厳しい基準で12.10%、左足の人と両足を使い分ける人をまとめて「右でない」と数えると23.7%だった[12]。左足は1割強、右でない足まで広げると4人に1人に近い。
そして利き足は、利き手とそろわない。左利きの人のうち左足が利き足だったのは60.1%で、右利きの人では3.2%にとどまった[12]。左利きの約4割は、足では左を選ばない計算になる。この統合はさらに、利き足は文化や社会の要因にわずかしか左右されないと示した。利き手の決まり方では、その文化と社会の要因が大きな役割を持つのに、である[12]。

右でない足は12.10%から23.7%、定義で2倍近く動く
利き手の割合には信頼できる推定があるのに、利き足の割合を大きな規模で見積もった研究はなかった。2020年のメタ分析(複数の研究の数字を統合する方法)は、そう書き出している[12]。著者らは、利き足の分け方が違う4つの体系でそれぞれ統合し、追跡調査ALSPACから新しい資料も加えた[12]。ねらいは、利き足の割合の信頼できる推定を出すこと、利き手との関係を調べること、利き足を左右する要因を探すことの三つである[12]。
数字の幅は、定義の幅だ。左足だけを数えるもっとも保守的な基準で12.10%、左足と両足をひとまとめにして「右でない」と数えると23.7%になる[12]。同じ統合から出た2つの数字が、2倍近く離れている。利き足の割合を聞かれたら、まず「どの基準で」と聞き返すのが、いちばん正確な答え方になる。
人による違いもある。男性は女性より、右でない足の人が4.1%多かった[12]。子どもでは両足を使い分ける人の割合が大人より高く、運動選手では一般の人より左足の人が多い[12]。精神疾患や神経発達の病気のある人では、右でない足の割合が高かった[12]。これは関連の数字で、利き足が病気を生むという意味でも、左足の人の多くが病気になるという意味でもない。
著者らは、この結果を左右の研究の新しい参照の資料と位置づけ、利き足は運動の左右の偏りや、その遺伝と神経の発達を調べるうえで価値のある特徴であることを、資料が示唆していると結んでいる[12]。
疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。
利き手と利き足は、部分的にしか重ならない
左利きなら足も左、と考えがちだ。164研究の統合では、左利きの人のうち左足が利き足だったのは60.1%、右利きの人では3.2%だった[12]。右利きの約30人に1人は左足の人で、左利きの約4割は、足では左を選ばない。
この食い違いは、早くから指摘されていた。1987年に利き足の質問票を作った研究者は、利き足と利き手は部分的にしか関係しないので、左右どちらかに一貫した人を見分けるには、両方を確かに測る必要があると書いている[2]。同じ論文は、利き足と利き手のどちらが脳の左右差のほかの面と強く結びつくのか、両方を合わせると片方だけより予測が良くなるのかは、まだ決まっていないとした[2]。
利き手の側の研究でも、利き手は運動の左右差の一つの形にすぎず、利き足のようなほかの左右差と結びつくことが整理されている[10]。2025年の総説は、利き手を二つに分ける。字を書くような熟練の動作で片方の手を使いたいという主観的な好みと、客観的に測る手の上手さである[10]。足にも、好んで使う足と上手に使える足の区別があるかもしれない。ただ、これは手の研究からの類推である。

日本人の利き足の割合は、文化に動かされにくい足から考える
日本人の利き足の割合はどれくらいか。164研究の統合が手がかりをくれる。利き足は文化と社会の要因にはわずかしか左右されない、と著者らは示した[12]。利き手の決まり方では、文化と社会の要因が大きな役割を持つ[12]。手は周りの影響を受けて決まりやすく、足はそうではない。
1993年の総説は、少し違う角度から書いている。3〜11歳の子どもの利き足の研究を見渡し、両足の子どもの多さを、アネットの「右への偏り」の仮説の基本の考えと、足の動きに結びついた独特の文化の要因から論じた[20]。文化を論じる総説と、文化の影響はわずかだとする統合。時代も方法も違う。数字の重みでいえば、145,135人を扱った後者のほうが重い。
私の読みでは、日本の大人の利き足の割合も、この統合の12.10%から23.7%という幅から大きく外れるとは考えにくい。ただし、日本の人だけを数えて確かめた数字ではない。
国をまたいで比べるときには、物差しの問題も出てくる。2023年の系統的レビューは、左右の好みを測る質問票の中に、特定の文化の場面に限られるかもしれない作業が含まれ、国をまたいだ使い方を狭めていると指摘した[11]。利き手と利き足の代表的な質問票の中国語版を作った2018年の研究は、訳し、訳し戻して確かめ、必要な文化の手直しを加えている[5]。
利き足の調べ方、蹴る足ひとつで決めない
自分の利き足を調べるいちばん手早い方法は、ボールを蹴る足を見ることだろう。研究はもう少し手間をかける。1987年の研究は、11の行動の項目からなる利き足の質問票を作った。その信頼性の指標α(項目どうしがそろって同じものを測っているかの目安で、1に近いほど高い)は0.89である[2]。
2018年の研究は、利き足の質問票「Waterloo Footedness Questionnaire-Revised」を中国語にして確かめた[5]。110人がオンラインで答えた試験で、内的一貫性の係数は0.855、別の170人が30日あけて答え直した試験で、一致の度合いを示す級内相関係数は0.869だった[5]。著者らは予備的な検証として、訳した版をこの集団で利き手と利き足を測る、信頼でき妥当な道具と結論している[5]。1か月あいても、答えはおおむね揺れなかったことになる。
測り方は一つではない。2023年の系統的レビューは、1900年から2022年に発表された26の質問票を集めた[11]。項目は家の中の作業、仕事、スポーツ、余暇の動作にわたり、手と足のほかに、聞く耳、見る目、胴や頭の左右まで扱うものもあった[11]。多くは、人を左・どちらでもない・右という向きと、一貫しているか中くらいかという強さで分けていた[11]。一方で、元の論文で妥当性や信頼性の確かめが十分でない質問票も多かった[11]。著者らは、利き手だけでなく複数の左右の好みを含み、文化をまたいで共通の作業でできる新しい質問票を提案している[11]。
利き手の側では、質問票と検査の結果から、左利き、右利き、両手利きといった区分をどう決めるかの提案もまとめられている[10]。区分の線を引く場所が違えば、同じ答えの人が別の箱に入る。164研究の統合で12.10%と23.7%が並んだのも、分け方の違う体系を使ったからである[12]。
数字で読む利き足
- 12.10%: もっとも厳しい基準で数えた左足の人の割合。164研究・145,135人の統合[12]
- 23.7%: 左足と両足を合わせた「右でない」人の割合。同じ統合のゆるい基準[12]
- 60.1%と3.2%: 左利きの人と右利きの人のそれぞれで、左足が利き足だった割合[12]
- 0.89: 1987年に作られた11項目の利き足の質問票の信頼性の指標α[2]
- 0.869: 中国語版の利き足の質問票を、30日あけて答え直したときの一致の度合い[5]
疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。
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