昼寝は何分がよいのか。25分と90分の昼寝を比べた試験では、どちらも起きてから30分の成績がその後より低く、だるさが抜けるまで少なくとも1時間かかった。選手の試験の統合、16本のメタ分析を束ねた総説、夜の眠りと病気との関連の研究を読み、長さごとに得るものと払うものを分ける。
午後1時半、昼食のあとの重いまぶたで、スマホのタイマーを開く。10分か、30分か、思い切って1時間か。「昼寝は何分がいいか」は、指が止まるその数秒に検索される問いである。
研究が返す答えは、ひとつの分数ではない。2026年の無作為化試験(くじで条件を割り振る試験)は、運動習慣のある17人に、昼寝をしない日、25分の昼寝の機会がある日、90分の機会がある日を経験してもらった。起きたあとの2時間は、30分ごとに測った[7]。どちらの長さでも、起きてから30分の成績はそのあとの時間帯より低かった。眠気や握力などの落ち込みは、90分のほうが目立った。著者らは、25分でも90分でも、目覚めのだるさが抜けるまでに少なくとも1時間はかかると結論している[7]。
一方、昼寝のメタ分析16本を束ねた2026年の総説は、60分未満の昼寝で頭の働きの伸びがいちばん大きく、60分を超える昼寝は冠動脈の病気のリスクが30%高いことと結びついていたと報告した[15]。短い昼寝は軽く、長い昼寝は重い。ただ、重さが抜けたあとには、長い昼寝のほうが伸びた結果もある[7]。この記事は、昼寝の長さで、起きてすぐの重さ、1〜2時間後の伸び、その夜の眠りの3つがどう動くかを分けて読む。朝の二度寝のだるさは同じシリーズの二度寝の記事に、一晩眠らなかった翌日の仮眠は同じ特集の徹夜の記事に譲る。

25分の昼寝でも、起きて30分の成績はそのあとより低かった
試験の中身を、もう少し細かく見る。17人は男性9人と女性8人で、年齢は23歳前後[7]。昼寝は研究室の中の眠るための個室でとり、前の晩の眠りは手首の活動量計で、昼寝の眠りは額につける脳波の機器で記録した[7]。起きたあとは15時から、眠気、疲れ、動く準備ができているかの自己評価、反応の速さの課題、判断の正確さの課題、握力、垂直跳びをひと組にした検査を、30分ずつ4回くり返した[7]。
起きてすぐの30分は、どちらの長さでも、成績のすべての指標がそのあとの時間帯より悪かった[7]。90分の昼寝では、眠気、動く準備の感覚、握力、判断の正確さの落ち込みがとくに大きかった[7]。起きて60〜90分の時間帯になると、25分でも90分でも、多くの指標が良くなった。起きて90〜120分の時間帯では、90分の昼寝のあとのほうが、昼寝なしと25分の昼寝に比べて、眠気、疲れ、判断の課題での反応の速さ、握力で大きく良くなっていた[7]。
起きた直後に、眠りの影響が残って頭と体の働きが落ちている状態を、研究は睡眠慣性と呼ぶ。この試験が示したのは、睡眠慣性は長い昼寝だけのものではない、ということだ。25分でも、抜けるまでに1時間はみておく必要があった[7]。
昼休みの終わりに25分寝て、そのまま13時の会議で発言する。この試験の結果をそのまま当てはめれば、会議の最初の30分は、寝起きの頭で座っていることになる。もっとも、運動習慣のある23歳前後の17人の試験なので、誰にでも同じ幅で起きるとは言えない。
起きた直後に差が出ないことは、別の試験にも表れている。2025年の試験は55人を、30分の昼寝をとる群28人と、同じ30分を穴埋めの作業で過ごす群27人に、無作為に分けた[14]。調べたのは展望記憶、つまり「あとでこれをする」と決めたことを、その時が来たら思い出して実行する記憶である[14]。起きて10分後のテストでは昼寝の効果は見えず、効果が出たのは起きて3時間後のテストだけだった[14]。昼寝が強めたのは、合図に気づくための見張りの働きで、何をするはずだったかを思い出す部分には効いていなかった[14]。
たとえば帰りに牛乳を買うという用事でいえば、この試験に当てはめると、昼寝が効いてくるのは目覚めた直後ではなく、3時間後の夕方のほうである。昼寝の効き目を、起きてすぐの自分で確かめようとすると、たいてい外れる。
疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。
長い昼寝は重いぶん、待ったあとの伸びが大きかった
重さが抜けたあとの成績を、長さで比べた試験もある。2026年の試験は、大学の女子バスケットボール選手18人に、座って起きている条件、30分の昼寝の機会、90分の昼寝の機会の3つを、くじで決めた順に経験してもらった[12]。条件はどれも14時30分に終わり、そのあと共通して60分起きていてから、15分の準備運動をして、決まった体力テストを受けた[12]。
9つの測定のうち、多重比較の補正(たくさん比べると偶然の差が出やすいことへの調整)のあとも差が残ったのは4つだった。方向転換の走りの最初の10mとその完走時間、コートの4分の3の距離の短距離走、間欠的な走りのテストの最後の速度である[12]。この4つで、90分の機会は、昼寝なしとも30分の機会とも違った。30分の機会は、昼寝なしと差がなかった[12]。著者らは、眠り始めと眠った時間を客観的に測っていないので、この結果は眠った長さの効果ではなく、割り当てた休む機会の効果を見積もったものだと断っている[12]。
25分と45分を比べた試験では、長いほうに傾いた。2026年の試験は、競技をしている思春期の男子サッカー選手16人に、昼寝なし、25分、45分の昼寝を、くじで決めた順に経験してもらい、昼寝は活動量計で確かめた[10]。昼寝のあと60分起きていてから測ると、方向転換の速さを測るテストのタイムは、昼寝なしで5.40秒、25分で5.18秒、45分で4.98秒と、長いほど速かった[10]。きつさの自己評価は、45分の昼寝のあとで昼寝なしより1.4下がった[10]。
ただし、短い全力走をくり返す力には、条件による全体の差は出なかった。45分のあとは最速のタイムが25分のあとより速くなった一方で、走りを重ねるうちの疲れのたまり方は大きかった[10]。著者らは、長い昼寝の利点と、疲れが増すことの引き換えを比べて決めるよう勧めている[10]。
こうした選手の試験を束ねた2026年の系統的レビューとメタ分析がある。チーム球技の選手179人を含む12本の試験で、昼寝はほとんどが13時から15時30分のあいだ、もっとも多くは14時に始まっていた[6]。夜にふつうに眠っていたとみなせる条件で、昼寝は持久力に大きなプラスの効果を示した[6]。標準化平均差(研究ごとに違う単位をそろえた差の大きさ)は0.96、95%信頼区間(真の値がありそうな幅)は0.62〜1.29である[6]。方向転換の速さにも中くらいの改善(0.55)が見られた。パワーと筋力にも0.50の傾向が見えたが、信頼区間は0をまたいでいた[6]。
長さで分けると、60分を超える昼寝で持久力(1.38)とパワー(0.84)の伸びがいちばん大きく、31〜60分の昼寝も大きな利益をもたらしていた[6]。一方で、頭の働きと技術への効果は、証拠が不確かで決まっていない[6]。選手の体力テストで長い昼寝に差が出たのは、昼寝のあと60分起きていてから測った試験での話でもある[12][10]。机に伏せた昼寝からそのまま次の仕事に戻る日常とは、条件が違う。
「60分まで」という線は、どこから来たのか
よく聞く「昼寝は長すぎないほうがいい」には、まとまった数字がある。2026年のアンブレラレビュー(メタ分析をさらに集めて読み直す総説)は、昼寝の長さと健康の結果の関係を調べ、16本のメタ分析にある244の健康に関わる結果を拾い上げた[15]。
60分未満の昼寝は、頭の働きの伸びを最大にし(標準化平均差0.69、95%信頼区間0.37〜1.00)、疲れを減らし、全死亡と慢性の病気のリスクをもっとも低く抑える長さだった[15]。60分を超える昼寝は、冠動脈の病気のリスクが30%高いこと、糖尿病と肥満のリスクが20%高いことと結びついていた[15]。20〜30分の短い昼寝は運動の成績と回復を高め(0.99)、とくに睡眠が足りない人でそうだった[15]。
著者らの結論は、昼寝を60分以内にとどめると、頭と体の利益を得ながら慢性の病気のリスクを減らせるかもしれない、というものだ[15]。慢性の病気がある人は60分を超える昼寝を避け、夜の眠りの質を優先するのが賢明だとも書いている[15]。著者らの言葉は「結びつく」であり、長い昼寝が病気を起こすと示したわけではない。
運動の成績については、2つの総まとめで推す長さが食い違う。総説は20〜30分の昼寝で運動の成績が高まるとし[15]、選手の試験の統合は60分を超える昼寝で持久力の伸びがいちばん大きいとした[6]。総説は244の結果を広く束ね、選手の統合はチーム球技の選手の体力テストに絞っている。どちらが正しいかより先に、何を測ったかで線の位置が動くことを覚えておきたい。昼寝と体重の関係は、同じサイトの「昼寝と肥満は長さで関係が変わる 体重の研究から考える短い休息と長い眠り」に譲る。
数字で読む昼寝の長さ
- 少なくとも1時間: 25分でも90分でも、目覚めのだるさが抜けるまでにかかった時間。運動習慣のある17人の試験[7]
- 10分後と3時間後: 30分の昼寝の効果が、起きて10分後には見えず、3時間後に出た展望記憶のテスト[14]
- 5.40秒、5.18秒、4.98秒: 昼寝なし、25分、45分のあとの方向転換のタイム。思春期の男子選手16人[10]
- 1.38: 60分を超える昼寝が持久力に示した効果の大きさ。チーム球技の選手の12本の試験の統合[6]
- 0.69: 60分未満の昼寝が頭の働きに示した効果の大きさ。16本のメタ分析を束ねた総説[15]
- 30%: 60分を超える昼寝と結びついていた、冠動脈の病気のリスクの高さ[15]
疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。
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