
痛みのある競技者の結果を、自己流の負荷にしない
内転筋に関連する鼠径部痛、つまり脚の付け根の痛みがある男性サッカー選手30人の無作為化比較試験もある。平均年齢は26.4歳で、コペンハーゲン内転運動を含むリハビリ群と、含まないリハビリ群を比較した。いずれも週2回、8週間の計画だった。[2] 症状のある男性競技者のリハビリの結果なので、18〜39歳の健康な女性の自主運動の見込みとしては使えない。
両群で改善が認められ、内転運動を含む群では、遠心性内転筋力の増加がより大きかった。群間平均差は0.49 Nm/kg、95%信頼区間は0.31〜0.66である。信頼区間は、研究結果に伴う推定の幅を示している。痛みのスコアにも群間平均差−1.60、95%信頼区間−2.18〜−1.02が認められた。[2]
一方で、股関節の動かせる範囲には、有意な群間差がなかった。[2] 力が伸び、痛みが減ったという結果から、開脚の広さも同じように伸びたと話を足してはいけない。スライドでは足が遠くまで動くことが目につくため、ここを区別しておく意味がある。
この研究は、痛む脚の付け根を自宅で滑らせればよい、という指示にはならない。対象者には症状があり、運動はリハビリの計画に組み込まれていた。[2] 新たな痛みや続く痛みを、遠心性の刺激が入った証拠として扱わず、運動を続けてよいかは医師に判断を仰ぐ。自分で種目を選ぶ場面と、症状を評価して進める場面を分けたい。
一般の読者にとっては、数値の単位も大切になる。Nm/kgは体重当たりの関節を回す力を表した指標である。[2] スライドで足を何センチ動かしたかとは別の物差しだ。台所の床で以前より遠くまで開けたとしても、研究と同じ筋力検査を終えたことにはならない。
また、若い健康な競技者と、痛みを抱える成人競技者では、スタート地点も比較する内容も違う。[1][2] 対象を省いて効果量だけを紹介すると、通勤と家事の合間に運動する人の結果まで確定したように響く。自分に役立てる際は、数字を期待値として借りるより、どんな条件をそろえて測った数字かを見るほうがよい。
スライドを練習していると、開くほうと戻るほうのどちらが難しいかを聞かれることがある。答えは動作の相談材料になるが、それだけで遠心性筋力の測定値にはならない。研究では手持ちの筋力測定器を使って内転トルクを調べており、体感とは別の方法で結果を確かめていた。[1] 感覚を大事にすることと、感覚だけで研究と同じ成果を言い切ることは分けられる。
さらに、痛みのスコアが下がること、力が上がること、関節が広く動くことは、それぞれ別の成果である。症状のある選手の試験で、これらの結果がすべて同じ方向の群間差を示したわけではなかった。[2] スライドを始める理由が「内ももの力を練習したい」なら、いつの間にか「もっと深く開けること」に目標が入れ替わっていないかを確かめたい。
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
よくある誤解
「滑る道具を使えば、遠心性の効果も同じになる」という思い込みがある。ハムストリングを扱った無作為化比較試験では、活動的な若年成人34人に、ノルディック運動とグライダー運動を組み合わせた、筋肉が長い位置での遠心性訓練を6週間行った。介入群の受動的な股関節屈曲の可動域は11.2%増加した。[6] 活動的な若年成人の太もも裏の複合訓練の結果であり、18〜39歳の女性の内転筋スライドに同じ増加率を当てはめることはできない。
この試験では、可動域の改善があっても、筋肉の受動的な硬さや腱の長さの変化で説明できる結果ではなかった。[6] 「滑る運動だから内転筋も柔らかくなる」「開く距離が増えれば筋肉の性質も同じだけ変わった」と置き換えるのは飛躍になる。道具の共通点より、どの筋肉をどう訓練し、何を測ったかが先である。
「遠心性で伸ばされる力を鍛えれば、閉じる力にもまったく同じ割合で効く」という理解も粗い。健康な男性19人を対象にした専用装置のレッグプレスの試験では、遠心性の高負荷訓練を8週間行い、最大遠心性力は64.9%、最大短縮性力は32.2%増加した。[13] 短縮性とは、筋肉が短くなる側で力を出すことを指す。異なる測定には異なる変化が出ていた。[13] 健康な男性の結果であり、18〜39歳の女性に同じ増加率を見込めるかは、この試験では判断できない。
もちろん、この増加率は自宅の内転筋スライドの予測値ではない。専用装置で最大遠心性力の70〜90%という抵抗を用いた条件の結果である。[13] ここで役立つのは、同じ訓練を続けても、受け止める力と押し返す力の変化を分けて測る姿勢だ。「力がついた」という言葉にも、何を測ったかという続きが要る。
「筋活動が高い種目を選べば、そのまま最良の長期効果になる」という決め方にも注意したい。ハムストリングの傷害予防を扱ったレビューでは、種目間で筋活動の分布が異なり、筋肉の構造や機能の長期的な適応も含めて選択する枠組みが提案されている。[14] 18〜39歳の女性への内転筋スライドの効果は直接検証していないため、ここでは種目選択の考え方として読む。その場で内ももの存在感が増したことと、継続後の筋力の成果を分けて受け止める根拠になる。
筋トレの動画を見比べると、苦しそうな動作が候補の先頭に来やすい。しかし、挟む訓練との直接比較では、筋肉痛の差と筋力の差が一致しなかった。[1] スライドを選ぶ理由を「痛くなりそうだから」に置くより、自分の動作を把握できるか、同じ条件で続けられるかに置くほうが、後で振り返る内容も明確になる。

今日からできること
- 動画を見るときは、脚を開く局面と閉じる局面を分けて観察する。動的訓練と静止する訓練を8週間比べても筋力に有意な群間差はなかったため、動きが大きいだけで優劣を決めない。[1]
- 運動の記録には、その日のきつさ、翌日の筋肉痛、続けて取り組めたかを別々に残す。比較試験では筋肉痛と自覚的なきつさの差の出方が異なった。[1]
- 研究の週2回・各回2セットを、誰にでも必要なノルマにしない。若い男性競技者の8週間の条件だと添えて読み、実施方法は指導者と確認する。[1]
- 開脚の広さだけで成果を判定しない。症状のある男性選手30人の試験では、内転筋力に差が出ても股関節可動域の群間差はなかった。[2]
- 強い張りを解消しようと、痛いほど伸ばすことを追加しない。男性30人の別の筋群を扱った比較では、強いストレッチより弱いストレッチのほうが回復に利益がありそうだとされた。内転筋への治療方法として転用はしない。[12]
例えば、立川駅から帰宅して、着替えたついでに運動する場面を考える。短い動画に合わせて昨日より遠くへ滑らせることは、見える変化として分かりやすい。しかし、比較したいものが筋力なら、距離だけでは物差しが違う。遠くまで開いたかという記録と、制御して戻れたかという記録を分けておけば、次に相談する問いを作れる。自宅の記録は研究の再現実験にする必要はなく、本人が何をしたかを曖昧にしないために使えばよい。
練習を振り返る際には、足がどこまで動いたかだけでなく、途中で止める余裕があったか、戻るときに姿勢が変わったかも自分の言葉にする。これは効果を数値化する検査の代わりではなく、動作について相談するための記録である。記録を見返して分からないことが残れば、その部分を指導者に伝えればよい。
続ける計画を見るなら、通常練習に追加した試験が、監督下で段階的に進め、遵守率も記録していた点に注目したい。[7] 研究では、継続する計画の中で筋力の変化を測っていた。床にタオルを置く前に、どの動作を練習し、何を変化の目安にするかを決めておくと、翌朝の筋肉痛だけに採点を任せずに済む。
オンザショアで、運動の予定を生活に置く
受け止める力と閉じる力を考えたあとは、運動を予定のどこへ置くかが残る。オンザショア立川店はJR立川駅北口から徒歩1分、営業時間は全曜日8:00〜23:30で、年中無休である。所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F。通勤や買い物の動線と合わせて、通える時間を検討できる。朝の時間帯を使うか、仕事を終えたあとに立ち寄るか。駅からの距離と営業時間を、自分の予定に照らして選ぶことが出発点になる。
溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガのほか、常温のヨガ、ピラティス、パーソナルトレーニングがある。女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIITもあり、ヨガだけで25種類以上のレッスンを用意している。種目を選ぶ際は、店のトップと料金で内容を確認できる。
参加条件も予定と一緒に確認したい。妊娠中の方は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。ヨガの体験レッスンは税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルを含む。体験の予約から申し込める。まず通える時間と参加できるレッスンを確かめ、日常に運動の予定を置くための場所として検討したい。

参考文献
[1] Strength effects of the Copenhagen adduction exercise vs an adductor squeeze exercise in male football players – A randomized controlled trial — Pippas C, Gioftsos G, Korakakis V, Serner A., 2025, Science & medicine in football. DOI: 10.1080/24733938.2024.2419659
[2] The effectiveness of the Copenhagen adduction exercise on improving eccentric hip adduction strength among soccer players with groin injury: a randomized controlled trial — Alsirhani AA, Muaidi QI, Nuhmani S, Thorborg K, Husain MA, Al Attar WSA., 2024, The Physician and sportsmedicine. DOI: 10.1080/00913847.2024.2321958
[6] Effects of Nordic hamstring exercise combined with glider exercise on hip flexion flexibility and hamstring passive stiffness — Vatovec R, Marušič J, Marković G, Šarabon N., 2021, Journal of sports sciences. DOI: 10.1080/02640414.2021.1933350
[7] Large eccentric strength increase using the Copenhagen Adduction exercise in football: A randomized controlled trial — Ishøi L, Sørensen CN, Kaae NM, Jørgensen LB, Hölmich P, Serner A., 2016, Scandinavian journal of medicine & science in sports. DOI: 10.1111/sms.12585
[12] The effects of different passive static stretching intensities on recovery from unaccustomed eccentric exercise – a randomized controlled trial — Apostolopoulos NC, Lahart IM, Plyley MJ, Taunton J, Nevill AM, Koutedakis Y, Wyo, 2018, Applied physiology, nutrition, and metabolism = Physiologie appliquee, nutrition et metabolisme. DOI: 10.1139/apnm-2017-0841
[13] Multiarticular isokinetic high-load eccentric training induces large increases in eccentric and concentric strength and jumping performance — Papadopoulos C, Theodosiou K, Bogdanis GC, Gkantiraga E, Gissis I, Sambanis M, S, 2014, Journal of strength and conditioning research. DOI: 10.1519/jsc.0000000000000456
[14] An Evidence-Based Framework for Strengthening Exercises to Prevent Hamstring Injury — Bourne MN, Timmins RG, Opar DA, Pizzari T, Ruddy JD, Sims C, Williams MD, Shield, 2018, Sports medicine (Auckland, N.Z.). DOI: 10.1007/s40279-017-0796-x
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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