間食をやめたいのに大食い動画を見る?画面の食べ方と自分の空腹を研究で読む

間食をやめたいのに、大食い動画を見るとまた食べたくなる。そんな場面を、食欲の質問票、注文したい気持ち、実際に食べた量の違いから読み解く。若い女性の実験と研究レビューを照らし、動画の刺激と摂取量を区別して考える理由、自分に合う画面との距離、食べる楽しみを残す工夫を考える。

帰宅してお茶をいれ、お菓子を出す。画面では、まだ湯気の立つ料理を誰かがおいしそうに食べている。自分の皿は空になったのに、動画の食事は終わらない。ひと休みのために開いた動画が、次のお菓子の相談相手になっている。

大食い動画を見れば、必ず自分の食べる量も増えるのか。研究の答えは、測るものによって異なる。食べ物を注文したい気持ちが動画の種類で変わる研究はある一方、若い女性に食べる人物の映像を見せても、実際の摂取量がその人物に合わせて変わらなかった実験もある。[19][10]

ただし、量が変わらない実験があるから、視聴後の「何か食べたい」を気のせいとして片づける必要もない。食への欲求との関連や、楽しさとつらさの両方を感じる視聴体験が報告されている。[5][8] ここで確かめたいのは間食の善悪ではなく、画面の食べ方と自分の空腹を同じものとして扱っていないか、という点である。

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食べたい、注文したい、食べた量は別の答えである

人が食べる様子を配信する動画は、研究ではムクバンと呼ばれる。大食いの場面を含む動画も扱われているが、研究全体には食事の交流や視聴の動機を調べたものもある。[1][8] 画面の前で同じことが起きているように見えても、測っている対象は研究ごとに違う。

食欲の質問票は、食べ物への反応を言葉で答えるものだ。注文意向は、その時点で食べ物を注文したい気持ちである。摂取量は、実際に口にした食べ物の量を指す。ムクバン研究にはこれらをそれぞれ扱うものがあり、食欲の点数との関連を見つけた研究と、食べた量が変わらなかった実験は、同じ測定結果の賛否ではない。[5][19][10]

例えば、夕食後に動画を見て料理が気になったとしても、店を調べて閉じる場合と、注文する場合とでは行動が異なる。注文したいと思ったことから、何をどれだけ食べたかまでは決まらない。研究を日常に持ち帰るときも、「お腹がすいた気がした」「追加したくなった」「実際に追加した」を分けて振り返ると、どの結果が自分の疑問に近いかを選びやすい。

食に関するソーシャルメディアを扱った系統的レビューは、研究を一定の手順で探して整理する研究であり、対象となった研究は38本だった。一部の食関連コンテンツへの接触は、体型への心配、乱れた食行動、画面で見た食品の摂取や摂取意向と正の関連を示した。一方、健康的な食品を扱う内容では同じ関連は見られず、ムクバンに対する視聴者の感情も入り交じっていた。[15]

この整理から言えるのは、画面に食べ物が出てくるというだけで影響をひとまとめにしないことだ。料理の情報を探しているのか、誰かの食べ方を楽しんでいるのかでも、自分が知りたいことは変わる。「動画を見た」という記録だけでは、画面の中身も、見た後の行動も抜け落ちる。[15]

研究の型にも役割の違いがある。レビューは複数の結果を見渡し、実験は条件を変えたときの違いを調べ、横断研究は生活の中で同時に見られる特徴の関連を捉える。食関連コンテンツの系統的レビューも、内容ごとの接触を一貫して測る必要性と、実験研究をさらに行う必要性を指摘している。[15] 研究が多いというだけで、同じ現象が何度も再現されたことにはならない。

検索したい言葉が「間食をやめる方法」であっても、研究の結果をすぐ禁止事項へ変えない方がよい。例えば注文したい気持ちの研究は、買う直前の選択に近い。実際に菓子を食べる実験は、食卓での行動に近い。それぞれが照らす場面をそろえると、「動画が悪いか」という大きすぎる問いから、今困っている場面へ戻れる。[19][10]

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若い女性の実験では、画面の量には合わせなかった

実際に食べる量を測った研究として、若い女性に、別の女性が食べる映像を見せた実験がある。最初の実験の対象は女子大学生77人、平均年齢は20.29歳だった。映像の人物が菓子を食べる条件と、食べない条件を比較したが、食べる人物を見た参加者の摂取量が多くなる結果にはならなかった。[10]

続く実験では、参加者51人、平均年齢20.43歳を対象に、映像内で食べ物は見えているが食べない条件、少量を食べる条件、多量を食べる条件を比較した。ここでも参加者は、映像の人物の摂取量に合わせて自分の摂取量を調整しなかった。[10] 画面の向こうで食べる量が多いから、こちらの手も自動的に同じ方向へ動く、という単純な説明は、この実験には合わない。

最初の実験で映像に登場したのは25歳の女性で、菓子を4個食べるか、食べ物を見せずに食べないかという比較だった。続く実験では、食べ物を見せたまま食べない条件に加え、チョコレート菓子を8個、20個食べる条件が用意された。[10] 食品が画面にあることと、人物がそれを食べることを分け、さらに食べる個数にも差をつけた構成である。

この条件の違いは、普段ひとまとめにしている「食べる動画」の中身をほどく。食べない人物と食べる人物を比べる問いと、食べる人物の量を変える問いでは、調べたい刺激が異なる。前者で量の増加は見られず、後者でも映像の量への同調は見られなかった。[10] 画面の人物の口が動くこと、皿の中身が減ること、こちらが食べることを、実験は別々に追っている。

研究者は、他者に食べる量を合わせる現象について、同じ状況で相手がどれほど食べたかが明確に分かることが重要ではないか、という仮説を提示している。[10] 例えば、同じ食卓の相手なら取り分けた皿が見えるが、動画では撮影の始まりも終わりも自分の食事とずれる。自宅の場面を考えるなら、映像の量を数えるより、自分の皿が空になった時点で再生をいったん止め、まだ食べたいかを確かめる方が実行しやすい。これは生活上の提案である。

動画の種類は、注文したい気持ちには関係する

食べる量が変わらなかった実験と、注文したくなる研究を並べてみよう。事前登録された研究を合わせて713人を扱った研究では、没入的なムクバンは、騒がしいムクバンよりも、直ちに食べ物を注文したい気持ちを高めた。食品を中心に映す構図では、人物を中心に映す構図より、その違いが強まった。[19]

この研究では、没入的な動画が口の感覚に関わる覚醒を強く引き起こすことが、その関係を説明していた。[19] 口に入れたときの感覚を呼び起こすような刺激と、注文したい気持ちがつながる結果である。ただし、ここでの結論は注文意向についてだ。実際の注文数や食べた量、長期の体重変化と同じ結果として読んではいけない。

自分の場面に置き換えるなら、「動画を見たから」よりも「どの映り方で追加したくなったか」と聞く方が、この研究の問いに近い。食事の会話を聞いていた時間と、食品に画面が寄った時間では、印象が違うかもしれない。自分に違いがあるかを確認することと、研究の分類をすべての配信に当てはめることも分けたい。

食品中心と人物中心の構図という違いには、日常でも見分ける手がかりがある。料理の表面や一口分が画面を占めているのか、食べる人の表情や会話が中心なのか。研究では食品中心の構図で動画の種類による注文意向の差が強まった。[19] 同じ料理の動画でも、料理を味わいたくなる時間と、人の話を聞いていたい時間を自分の中で区別できる。

この研究の対象は消費者713人であり、18〜39歳の女性に同じ差が現れるかは、女性を対象とした摂取量の実験と分けて考える必要がある。[19][10] 注文意向が変化したという結果を生活に生かすなら、追加注文の前に再生を止め、注文画面を開く目的を確かめる、という使い方が考えられる。食卓を離れてから買い足すかを決めるのも、選択を区切る工夫になる。

ここまでの研究の限界は、測定した場面と対象にある。短い映像による摂取量の実験、直後の注文意向、普段の視聴傾向の調査は、それぞれ異なる範囲を扱う。[10][19][5] 長期の食生活を知るには継続した測定が必要だ。今夜の間食を考える際は、画面の構図、再生を止めた場所、追加を選んだ場面という、実際に変えられる条件に目を向けたい。

数字で読む大食い動画と間食

53研究:ムクバンと健康の研究を整理したスコーピングレビューの対象数。利益と懸念の両方を扱った。[1]

77人:映像の人物が食べるか否かを比較した、女子大学生の実験の対象数。摂取量の増加は認められなかった。[10]

51人:映像内の摂取量を変えた次の実験の対象数。自分の摂取量を合わせる結果ではなかった。[10]

713人:動画の種類と直後の注文意向を調べた、事前登録された研究を合わせた対象数。[19]

r=0.136:看護学生の横断研究で示された、ムクバン依存傾向と快楽的空腹の正の相関。小さい正の関連だった。[5]

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