インナーマッスルの腸腰筋は脚の向きで変わる?膝上げの回転と筋肉の分担を読む

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筋電図の大きさは、筋力の成績表とは違う

レビューに出てくる最大随意等尺性収縮とは、関節を動かさず自分の意思で最大限に力を出す基準のことである。そのときの筋活動を基準に、運動中の活動を割合で示している。約60度の脚上げなどで60%超、約45度の脚上げの中間域などで40〜60%という報告は、条件ごとの活動を比較するための数字である。[1]

この割合を、筋肉の成長率や、出せる力が増えた割合として読むことはできない。レビューが整理したのは筋電図による活動であり、「この角度で続けると筋力が何割増える」という長期の成績ではない。運動の選び方を考える材料と、練習を続けた後の効果を示す材料は、時間軸が違う。[1]

測定方法にも目を向けたい。腸腰筋の表面筋電図を記録する方法を調べた研究では、健康な若年男性50人の画像で電極を置ける領域を検討し、続いて14人で、近くにある縫工筋からの信号の混入を調べた。表面電極で記録しているというだけで、すぐに「深い筋肉だから測れない」と切り捨てるのも適切ではない。男性を対象に検討した記録方法を18〜39歳の女性にもそのまま適用できるかは、女性での測定精度の確認が必要である。[13]

その研究では縫工筋の上の皮膚を選択的に冷やし、信号の周波数の変化を比較した。縫工筋の周波数は低下したが、腸腰筋側では有意な変化がなかった。著者らは、股関節屈曲中に記録した腸腰筋の表面筋電図について、縫工筋からの混入は無視できる程度だと結論している。これは、その記録方法を検証した結果として意味がある。[13]

ただし、その結果をどんな姿勢や動作にも広げる必要はない。ワイヤー電極を使った脚上げ実験と、表面電極を使った等尺性の実験を読むときには、測り方と課題の両方を確認する。グラフの山が高いという共通点があっても、測った部位や基準のそろっていない数字を、そのまま筋肉の順位表へ並べないほうがよい。[8][12][13]

回転モーメントアーム、筋電図、筋力という言葉を順に置くと、違いが見えてくる。回転のてこを調べた研究は姿勢による力学の変化を、筋電図の研究は課題中の活動の変化を扱う。外向きにすると回転の条件が変わりうることと、外向きにした膝上げの筋活動が大きいことは、同じ証拠ではない。[19][8]

スマートフォンで撮った動画から読み取れるのは、まず脚と体の位置の変化である。動画を筋電図の代わりにして「今は腸腰筋が何%働いた」と判定する使い方は避けたい。実験の数字は、測定器と決められた課題を伴っている。家の鏡は便利だが、筋肉ごとの電極は内蔵していない。[8][12][13]

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回転を変える前に、比べる課題を言葉にする

実際に比べたいのが「膝上げを楽に続けられるか」なのか、「腸腰筋の活動を高めるか」なのかで、記録すべきものは変わる。前者には動作の様子や本人の感覚を残せるが、後者には筋活動の測定という別の手続きが要る。運動の感想を持つことと、筋肉の働きを断定することを分けておきたい。[8][13]

たとえば、まっすぐ脚を上げた動画と、外へ向けて上げた動画を比べる場面を考える。後者だけ脚が高いなら、回転方向と高さの両方が変わっている。高さによって筋活動が異なった実験がある以上、そこで感じた違いをすべて「外向きの効果」と呼ぶことはできない。まずどこが変わったのかを言葉にするところまでが、家庭でできる観察である。[8][12]

また、仰向けで膝を伸ばした脚上げを調べた研究の結果を、そのまま立って膝を曲げた動きに当てはめるのも慎重でありたい。研究が比較したのは、定められた姿勢と運動の局面である。「膝上げ」という短い名前で呼ぶと、実験の課題と普段の練習の違いが隠れてしまう。[8]

左右差にも同じ注意が必要だ。片側だけ外へ向きやすいと気づいても、それだけで腸腰筋が弱い側を特定したことにはならない。脚の向きを見ている段階から、筋肉ごとの測定結果へ飛び越えない、という線引きである。回転の力学を調べた研究も、外見だけで個人の筋力を診断する方法を検証したものではない。[19]

練習の目的が違えば、筋活動を増やすこと自体がいつも正解とも限らない。健康な参加者10人が13種類の股関節リハビリテーション運動を行った実験は、中殿筋を働かせながら腸腰筋の活動を抑える組み合わせを検討した。背景には、股関節の手術後に、お尻の筋力低下と腸腰筋の腱の問題が併存する場合への関心がある。[14]

この実験は、腸腰筋と中殿筋にワイヤー電極を入れ、活動の大きさと両者の比率を測った。股関節を中間の位置にしたクラム運動でも、股関節屈筋の腱の痛みを心配する人には注意して用いるべきだとされている。「お尻の運動」という名前でも、腸腰筋の活動を考える必要があるという例である。[14]

その結果を、自宅で腱の状態を判定する手順にはしない。痛みがあるときには、どの筋肉を強く使うかという工夫を重ねる前に医師に相談する。研究から受け取るべきなのは、筋肉の活動を高めたい場面と抑えたい場面があり、目的を定めずに大きな筋電図だけを追うべきではない、という視点である。[14]

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よくある誤解

「つま先を外へ向けるほど腸腰筋に効く」という言い方は、回転方向だけで結果を決めすぎている。股関節を曲げると筋肉の回転のてこが変化するという結果はある。しかし、それは外向きの膝上げを健康な人に続けてもらい、腸腰筋の筋力向上を比べた結果ではない。力学の研究を、運動の効果の順位へ読み替えることはできない。[19]

「高く上げれば、周りの筋肉を使わなくなる」という理解も違う。深い位置へ向かう脚上げで大腰筋の活動は増えたが、腹部の筋活動も局面によって変わっている。別の等尺性の実験では、一部の股関節屈筋の活動が下がっても、大腿直筋の活動には有意な変化がなかった。分担が変わることは、ほかの筋肉が消えることではない。[8][12]

「腸腰筋を感じない日は、働いていない」とも判定しにくい。実験では画像で測定場所を確認したり、電極を用いたりして、筋活動を記録している。感覚の強さと、この方法で測った活動の大きさを同じ指標にしないことだ。筋肉の名前が思い浮かばなくても、行った動きの条件なら具体的に残せる。[13][8]

また、系統的レビューがあるからといって、そこに含まれる実験と別に、さらに大勢の人で同じ効果が再確認されたわけではない。レビューの109人は9研究に含まれる参加者である。個別研究とレビューを重ねて読む際は、結果の見通しがよくなることと、独立した証拠の数が増えることを混同しないようにしたい。[1]

今日からできること

  • 脚上げを試すなら、仰向けで膝を伸ばし、脚を上げる動作、上げた位置で止める動作、下ろす動作を区別して行う。9人の男性の実験で扱った姿勢であり、立位の膝上げと混ぜずに比べるための方法である。[8]
  • いつもの膝上げでは、前ももの感覚を消そうとしてつま先を強く外へ向けず、まず普段の向きで動かす。大腿直筋も股関節を曲げる課題に参加しており、前ももを使わないことを成功の条件にする必要はない。[12]
  • 向きを変えて比べるときは、上げる高さと膝の曲げ方をそろえる。外向きにしたときだけ高く上げると、回転と屈曲の条件が同時に変わる。0、30、60度を比べた実験の数字は、全員が目指す角度ではなく、比較条件を分ける手掛かりになる。[12]
  • 負荷を変える日は、脚の向きまで同時に変えず、今の支持のある動きを確認してから、脚を自由に動かす課題へ進むか検討する。9研究のレビューは支持や負荷による段階づけを提案している。筋力向上に必要な回数をこの結果から決めることはできない。[1]
  • 股関節に痛みがある場合は、脚を高く上げたり外へひねったりして解決しようとせず、医師に相談する。健康な参加者10人の実験でも、目的によっては腸腰筋の活動を抑える運動が検討されている。[14]
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オンザショアで、脚の動かし方を確かめる時間を

脚の向きを工夫する前に、どんな姿勢で動く時間をつくるかを考えたい。オンザショア立川店には、溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガに加え、常温のヨガやピラティス、パーソナルトレーニングがある。ヨガだけでも25種類以上のレッスンがあり、継続する活動を選ぶ場所として検討できる。回転方向だけで運動を選ばず、姿勢や動きの内容も確認する時間にしたい。

妊娠中は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。参加できる内容は店の案内で確かめたい。筋活動の実験で使われた姿勢と、レッスン中に行う姿勢を区別する視点も持っておこう。

所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F、JR立川駅北口から徒歩1分。営業時間は8:00〜23:30で、年中無休だ。ヨガの体験は税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。料金を確かめて通う時間を選び、脚の高さや向きを意識して動くきっかけをヨガの体験に置くこともできる。

参考文献

[1] Hip Flexor Muscle Activation During Common Rehabilitation and Strength Exercises — Juan J, Leff G, Kevorken K, Jeanfavre M., 2024, Journal of clinical medicine. DOI: 10.3390/jcm13216617

[8] Differential activation of psoas major and rectus femoris during active straight leg raise to end range — Okubo Y, Kaneoka K, Hasebe K, Matsunaga N, Imai A, Hodges PW., 2021, Journal of electromyography and kinesiology : official journal of the International Society of Electrophysiological Kinesiology. DOI: 10.1016/j.jelekin.2021.102588

[12] Measurement of muscle length-related electromyography activity of the hip flexor muscles to determine individual muscle contributions to the hip flexion torque — Jiroumaru T, Kurihara T, Isaka T., 2014, SpringerPlus. DOI: 10.1186/2193-1801-3-624

[13] Establishment of a recording method for surface electromyography in the iliopsoas muscle — Jiroumaru T, Kurihara T, Isaka T., 2014, Journal of electromyography and kinesiology : official journal of the International Society of Electrophysiological Kinesiology. DOI: 10.1016/j.jelekin.2014.02.007

[14] Rehabilitation exercise progression for the gluteus medius muscle with consideration for iliopsoas tendinitis: an in vivo electromyography study — Philippon MJ, Decker MJ, Giphart JE, Torry MR, Wahoff MS, LaPrade RF., 2011, The American journal of sports medicine. DOI: 10.1177/0363546511406848

[19] Variation of rotation moment arms with hip flexion — Delp SL, Hess WE, Hungerford DS, Jones LC., 1999, Journal of biomechanics. DOI: 10.1016/s0021-9290(99)00032-9

この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。

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