
脚の研究は、角度だけでは読めないことを教える
腕から少し離れ、脚の研究を比較のために見てみよう。男女109人の下肢を安静時の超音波で調べた観察研究では、筋厚、羽状角、筋束長の関係が検討された。対象となったのは膝を曲げる筋群、伸ばす筋群、足首で足先を下げる筋群である。男女を含む研究でも、18〜39歳の女性の腕の変化へそのまま当てはめることはできない。[7]
この研究では、男性の筋厚はすべての対象筋で女性より大きく、その差は0.1〜2.1cmだった一方、筋束長には男女差がなかった。利き脚と反対側の比較や、同じ筋肉の部位による違いも認められた。体の構造を比べるときには、性別だけでなく、筋肉の名前、左右、測定部位という条件が重なっている。[7]
たとえば大腿直筋では利き脚の筋厚が0.1cm、羽状角が1.5度大きく、外側広筋では筋束長が1.2cm、羽状角が0.6度大きかった。どの指標に差が見えるかも筋肉によって違う。「利き側だから全部大きい」とひとくくりにするより、厚さなのか長さなのか角度なのかを確かめる必要がある。[7]
統計モデルでは、筋厚と羽状角の関係に筋束長が介在する構造が示された。ただし、人を観察して得た測定値の解析であるため、腕の筋トレで厚みが増せば必ずその順序で角度が変わる、と因果の道筋を確定する結果ではない。腕の試験を読む際にも、厚さと角度だけで構造のすべてが分かったと思わないための補助線になる。[7]
さらに、太もも裏のトレーニングを追った介入研究では、筋肉が大きくなっても角度が変わらない結果が出ている。11人が監督下で9週間のノルディックハムストリング運動を行い、その後3週間運動を中断した。筋肉の構造は磁気共鳴画像、つまりMRIで評価された。18〜39歳の女性の腕にも同じ変化が起きるかを調べた試験ではなく、ここでは脚の構造の変化として読む。[8]
トレーニング後の体積増加は、大腿二頭筋短頭で22%、長頭で9%、半腱様筋で26%、半膜様筋で6%だった。線維の走行をたどった長さも各筋で増えたが、走行の角度は変わらなかった。ここで測定されたのはMRIによる線維走行角であり、腕の超音波研究の羽状角と測定法まで同一ではない。[8]
この結果は、腕の試験を否定するものではない。上腕三頭筋では厚さと角度がともに増え、太もも裏では体積や線維走行長が増えても走行角が変わらなかった。対象筋、運動、測定法が違う条件での結果である。「大きくなる筋肉は必ず傾きも増す」という体全体への一般化に、慎重さを求める比較だ。[3][8]
運動中断後の変化にも、指標による違いがあった。太もも裏の研究では、筋肉内の線維走行長は運動前の水準へ戻った一方、体積の有意な減少が認められたのは半腱様筋で、減少後も運動前より大きかった。同じ筋肉の中でも、長さと体積の経過は異なった。[8]
この違いは、筋トレを休んだあとに腕の写真だけで内部の変化を推測したくなる場面にも関わる。脚の研究から腕の減少率を予測することはできないが、外見に対応しそうな大きさの指標と、内部の長さの指標を分ける発想は持ち帰れる。構造の変化をひとつの時計で読むのは難しい。[8]
疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。
よくある誤解
「羽状角が増えたなら、腕全体の向きが変わった」は誤解である。羽状角が示すのは筋肉内部の束と腱膜の角度であり、腕の置き方ではない。上腕三頭筋を調べた研究でも、その角度は筋肉の厚さとは別の指標として測られている。鏡の前で腕をひねって見える輪郭に、そのまま角度の名前を付けることはできない。[15]
「肩側で増えたから、肘側はトレーニングに反応していない」という理解も合わない。腕の試験では、上腕二頭筋の肘側にも4.7%の筋厚増加があった。違いは変化の有無という単純な線引きではなく、測定部位ごとの増加率にある。肩側の12%だけを成功の基準にすると、実際に起きた別の部位の変化を見落としてしまう。[3]
「角度が変わらなければ筋肉は増えていない」は、脚の介入研究の結果と矛盾する。太もも裏の介入研究では、MRIで評価した線維走行角は変わらなくても、対象筋の体積は増えていた。腕の羽状角がどう動くかを別として、角度の不変を筋肥大の不在と同一視する読み方は、この結果と両立しない。[8]
逆に「角度が大きければ、それだけ多く筋トレをした証拠だ」とも決められない。男性の上腕三頭筋では筋厚と角度に関連があったが、その相関係数は個人の運動履歴を逆算する式ではない。研究で集団の特徴を説明できることと、目の前の人の努力を数値から採点できることには距離がある。[15]
女性が記事を読むときには、男性の試験結果を自分の体型の予定表にしないことも大切だ。腕の前後比較は未経験の男性が対象であり、脚の男女比較は安静時の構造を観察した研究である。後者で性別による筋厚差が見られても、それは男女の筋トレによる増加率を比較した結果ではない。対象と問いをそろえてから使う数字だ。[3][7]

今日からできること
- 筋トレの記事で「腕が増えた」と読んだら、周囲長、筋厚、体積のどれかを確認する。12%と4.7%は特定部位の筋厚であり、腕の周囲長の増加率ではない。[3]
- 変化を記録するときは、上腕二頭筋か上腕三頭筋か、肩側か肘側かを書き添える。腕の研究は50%、60%、70%の位置を区別していた。場所を残すことが比較の出発点になる。[3]
- 成果の振り返りでは、内部の形の話と発揮できる力の話を別に置く。12週間の腕の試験でも、超音波による構造の測定とは別に、最大随意等尺性収縮を評価している。[3]
- 角度の目標値を他人の研究から借りない。32人の男性の比較で得られた角度の範囲は、全員が到達すべき基準ではなく、その対象者で観測された値である。[15]
- 別の筋肉の研究を読むときは、対象筋と測定法をメモする。11人の太もも裏の試験はMRIで線維走行角を測っており、腕の超音波の数字とは区別して扱う。[8]
ここで勧めているのは、自宅で羽状角を推定する作業ではない。腕の試験や男性の横断比較では、超音波画像を使って筋厚と角度を測っている。日々の記録に研究用の角度を無理に足さなくても、研究の数字を読む際に、誰の、どこの、何を測った値かを確かめることはできる。[3][15]
たとえば仕事帰り、腕を鍛える動画の説明に「筋肉が横に広がる」と出てきたら、まず、その言葉が輪郭を指しているのか、筋厚なのか、束の配置なのかを見直す。腕の研究が示したのは、特定部位の厚みと内部の角度の変化である。曖昧な見た目の言葉を、測定された指標へ戻すだけでも、期待の置き場所は変わる。[3]
「横の筋肉」という検索語を使ったとしても、体の中まで横向きに作り替える目標を持つ必要はない。上腕二頭筋と上腕三頭筋では、同じプログラムに対して部位ごとの応答が異なっていた。変化を急いで一語に押し込めず、どの場所にどんな変化があったのかを読む。そのほうが、筋肉の構造という話を日々の運動から遠ざけずに済む。[3]
オンザショア立川店で、運動を予定に置く
腕の厚みと内部の角度を分けて読むなら、運動を選ぶときも角度の目標値より、続ける種目と時間を決めるところから始めたい。オンザショア立川店は、JR立川駅北口から徒歩1分、東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3Fにある。営業時間は8:00〜23:30で年中無休だが、開店時刻とレッスンの開始時刻は別である。年末年始の12/29〜1/3は通常のレッスンを休み、会員向けの特別の有料講座となる。
予定と料金は店のトップと料金案内を入口に確認できる。溶岩プレートを敷いたスタジオのホットヨガのほか、常温ヨガ、ピラティス、パーソナルトレーニングもある。筋肉の角度の数値を約束する場所としてではなく、続ける運動と通う時間を選ぶ場所として考えたい。
妊娠中は溶岩ホットヨガには参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。ヨガの体験は税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。体験の予約で予定を確かめられる。

参考文献
[3] Strength training’s chronic effects on muscle architecture parameters of different arm sites — Matta T, Simão R, de Salles BF, Spineti J, Oliveira LF., 2011, Journal of strength and conditioning research. DOI: 10.1519/jsc.0b013e3181dba162
[7] The relationship between muscle thickness and pennation angle is mediated by fascicle length in the muscles of the lower extremities — Martin-Rodriguez S, Gonzalez-Henriquez JJ, Diaz-Conde JC, Calbet JAL, Sanchis-Mo, 2024, Scientific reports. DOI: 10.1038/s41598-024-65100-6
[8] Hamstring muscle architecture and microstructure changes following Nordic hamstring exercise training and detraining — Pai S A, Andrews MH, Gurchiek RD, Pincheira PA, Barbieri M, Friedrich T, Kogan F, 2025, Journal of sport and health science. DOI: 10.1016/j.jshs.2025.101070
[15] Muscle-fiber pennation angles are greater in hypertrophied than in normal muscles — Kawakami Y, Abe T, Fukunaga T., 1993, Journal of applied physiology (Bethesda, Md. : 1985). DOI: 10.1152/jappl.1993.74.6.2740
この記事の情報は2026年11月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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