あぐらは股関節に悪いのか?平均91度の屈曲と外旋を日常の場面で読む

あぐらで測られた関節の角度と、座り続けたあとの骨盤や圧の変化を分けて読む。股関節や膝に問題の既往がないインドの44人では、右股関節の屈曲は平均91度、外転は39度、外旋は49度だった。角度の測定、姿勢の比較、神経麻痺の症例がそれぞれ何に答えるかを整理する。

座卓の前であぐらをかくと、片方の膝だけ浮く。膝を床へ押し下げればよいのか、それとも脚をほどくべきか。「あぐらは股関節に悪い」という噂より先に、姿勢を測った研究が何を確かめたかを見たい。関節の角度だけで、将来の損傷は判定できない。

股関節や膝に問題の既往がないインドの44人で、あぐら座位の右脚を測った研究がある。股関節の屈曲は82度から100度で平均91度、外転は19度から57度で平均39度、外旋は42度から58度で平均49度だった。屈曲は太ももを体の前へ曲げる動き、外転は横へ開く動き、外旋は脚を外へ回す動きである。この研究が残したのは、その姿勢で関節が何度動くかという一時点の記録であり、何年か後の損傷を追った試験ではない。[16]

同じ名前の姿勢でも、測っている場所は論文ごとに違う。レントゲンで脊柱と骨盤の配列を見たもの、椅子や床での体幹の丸まりと座面の圧を見たもの、梨状筋の伸びと仙腸関節の圧縮を見たもの、腓骨頭で神経が圧迫された症例がある。既存記事「反り腰で床に座るならあぐらにする?正座との違いを安定性と膝から読み解く」には、反り腰のときに正座とあぐらのどちらがよいかという問いを譲る。ここでは股関節が何度動くかと、座ったあとに骨盤と座面の圧がどう変わるかを読む。[8][18][3]

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健康な44人のあぐらで、股関節は何度動いていたか

44人は、膝や股関節の問題の既往がない人から募られた。測ったのは右脚だけである。屈曲の平均91度は直角に近い。範囲も82度から100度で、太ももが胸につくほど折れた角度ではない。外旋は42度から58度と比較的狭い帯に収まっていた。外転だけが19度から57度と広い。同じ「あぐら」でも、脚の開き方は人によって大きく違っていた、という記録である。[16]

膝の屈曲は126度から142度、平均135度。足関節のエクイヌス、つまりつま先が下がる向きは17度から34度、平均29度だった。股関節より膝の方が、この姿勢では深く曲がっている。著者らは、このデータを健康な人と人工関節のあとの膝と股関節の運動学を理解するのに役立つとし、人工関節の設計、手術の手技、リハビリテーションの手順に使えると述べている。これまで同種のデータは公表された文献になかった、とも書いている。[16]

ここで気をつけたいのは、平均を目標のフォームにしないことだ。91度は44人の右股関節の平均であり、自分の付け根を91度に合わせる指示ではない。外転が19度の人と57度の人を、同じ完成度として採点しても、この測定は答えない。著者らが示したのは、日常生活のあぐらで使われていた角度の幅である。[16]

夕方の床で気になるのは、たいてい平均ではなく、自分の付け根の違和感の方だろう。その違和感の正体を、この44人の数字だけでは特定できない。ただ、噂が描く「深く折れて壊れる股関節」と、平均が直角付近にあったという事実は、ずれている。ずれを見つけたうえで、次に骨盤と座面を見る。[16]

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

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韓国式のあぐらは、立位より腰の反りを大きく減らした

健康な16人(男性10人、女性6人)のパイロット研究が、立位、椅子座位、日本式の跪坐、韓国式のあぐらの四つをレントゲンで比べた。男性を多く含む集団の比較であり、18〜39歳の女性の角度にそのまま当てはめるには慎重さが要る。測ったのは腰椎前弯角(腰の反りの角度)、仙骨傾斜角、骨盤傾斜、骨盤入射角である。立位の平均は、腰椎前弯角37.1度、仙骨傾斜角35.3度、骨盤傾斜15.7度、骨盤入射角51.0度だった。[8]

椅子座位では17.9度、20.3度、28.2度、49.5度。日本式の跪坐では31.8度、38.3度、14.2度、52.5度。韓国式のあぐらでは9.8度、13.4度、38.3度、51.7度だった。腰椎前弯角は立位と跪坐が近く、あぐらでは9.8度まで減った。著者らはこれを著しい減少と書き、椅子座位の17.9度は立位のおよそ半分だと述べている。仙骨傾斜角も立位35.3度と跪坐38.3度が近く、あぐらでは13.4度まで減った。骨盤傾斜はあぐらが38.3度で最も大きく、立位15.7度と跪坐14.2度は近かった。[8]

骨盤入射角だけは、四つの姿勢で51.0度、49.5度、52.5度、51.7度と揃っていた。姿勢で動いたのは、腰の反りと仙骨の傾き、骨盤の前後の傾きの側である。跪坐は四つの指標で立位と有意な差を示さず、椅子座位とあぐらは立位と比べて脊柱骨盤の配列を有意に変えた、と著者らは述べている。快適だと感じる位置で撮影した、16人の平均である。[8]

16人のうち男性が10人であることも、読み飛ばせない。この男女比は、若い女性だけを対象にした結果との違いになる。快適な姿勢での一時点の配列であり、30分後の疲れを測った試験でもない。それでも、あぐらの腰椎前弯角9.8度と立位37.1度の差は、腰が丸まって見える感覚を角度で言い直す材料になる。[8]

椅子で脚を組むと、腰痛のある人ほど体幹が丸まった

ここまでの床のあぐらと、椅子の上で脚を組む姿勢は、名前が英語では同じでも条件が違う。腰痛のある30人と、腰痛のない30人を、膝と股関節が90度になる高さの椅子に座らせ、まっすぐな座位と脚を組んだ座位を比べた研究がある。腰痛患者を含む比較なので、18〜39歳の女性全体の反応へそのまま広げることはできない。体幹屈曲角と骨盤の左右の傾きは三次元の動作計測で、お尻の圧はフォースプレートで測った。[5]

脚を組むと、両群とも体幹屈曲角がまっすぐな座位より有意に低く、骨盤の左右の傾きは有意に大きかった。腰痛のある人は、脚を組んだときに、腰痛のない人より体幹屈曲角が低く、お尻の圧の左右差が大きかった。骨盤の左右の傾きは、脚を組んだ座位の方が大きかったが、群の間の差はなかった。著者らは、体幹は脚を組むとより猫背になり、その傾向は腰痛のある人で強かった、と述べている。[5]

分けると、姿勢そのもので両群に出た変化と、群の間で違った変化は同じではない。骨盤の左右差は、脚を組むことで増えたが、腰痛の有無では分かれなかった。体幹の丸まりと、お尻の圧の左右差は、腰痛のある人の脚組みでより大きかった。すでに腰痛がある人とない人を、その日の姿勢で比べた研究であり、脚を組んだから腰痛が生まれたという追跡ではない。[5]

椅子の実験を、床のあぐらの害へそのまま移すこともできない。座面の高さは膝と股関節が90度になるよう調整されている。床であぐらをかくとき、膝の下に椅子の座面はない。それでも、この60人が示したのは、脚を組むことの短時間の変化が、股関節の内部の採点ではなく、体幹の丸まりと座面の圧の左右差として記録された、という事実である。[5]

既存記事「股関節に優しい座り方は足が床につく形?座面の圧と脚の支えを分けて読む」は、足が床につく座り方と座面の圧の問いを扱っている。そちらに、椅子で足裏を床へ置くかどうかの判断を譲る。この節で使うのは、脚を組んだ瞬間に体幹と骨盤と圧がどう動いたか、という比較だけである。[5]

数字で読むあぐらの股関節と骨盤

91度:既往のない44人の右股関節屈曲の平均。範囲は82度から100度。一時点の角度である。[16]

39度:同じ44人の股関節外転の平均。範囲は19度から57度と広い。[16]

49度:股関節外旋の平均。範囲は42度から58度。[16]

9.8度:韓国式あぐらの腰椎前弯角の平均。立位は37.1度。健康な16人のパイロットである。[8]

38.3度:同じあぐらでの骨盤傾斜の平均。立位は15.7度。[8]

11.7パーセント:通常の座位と比べた梨状筋の相対的な伸び。立位との比では21.4パーセントだった。[18]

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宮川涼 Founder

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