論理的思考は左脳だけで進む?言葉の理解と結論をつなぐ脳のネットワークを読む

論理的思考を左脳だけの仕事と考えてよいのか。演繹推論のメタ分析と脳画像研究から、文章の理解、条件の組み合わせ、結論の点検を担うネットワークを読む。左側に重要な領域があることと、左脳型の性格であることを分け、図形問題や感情を含む訓練の結果も手掛かりに、日常の考え方を見直す。

会議の説明は分かった。それなのに「では、この案でよいか」と聞かれると、条件が頭の中で絡まる。議事録の条件を紙に並べ直して、ようやく話の穴に気づく。こういう場面を「自分は右脳派だから」で片付ける前に、言葉を読むことと結論を出すことを分けてみたい。

論理的思考には左側の重要な脳領域がある。ただし、左脳だけが単独で答えを作るという説明は粗い。演繹推論を調べたメタ分析は、左側の複数領域の関与とともに、前頭・頭頂の皮質や皮質の下の構造にまたがる分散したネットワークという見方を示している。[4]

既存記事「右脳と左脳の性格診断にエビデンスはあるか、1,011人の脳画像が支持しなかった右脳派」には、性格診断の検討を譲る。ここで追うのは、与えられた文を理解し、条件を組み合わせ、結論に変えるまでの仕事だ。隣の靴の色の錯覚の記事とも問いを分け、見え方の違いではなく推論の過程に絞る。

ヨガとからだの記事のイメージ写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

左側の重要な領域は、ネットワークの中で働く

演繹推論とは、与えられた前提から結論を導く推論である。Wangらはこの過程を、言語情報の読み取り、規則の変換と修正、推論結果を最終的な答えへ変える段階を含むものとして捉えている。文章の理解の後にも、規則を扱い、結論を点検する仕事が残る。[4]

たとえば「この講座に参加する人は予約が必要」「私はこの講座に参加する」と聞けば、予約が必要だと結べる。これはこの記事で用意した説明用の例である。一方、「予約した」という事実だけから、必ずその講座に参加すると言ってよいだろうか。別の講座を予約した可能性もある。見慣れた語が並んでいても、何を前提にしているかで結論は変わる。

この違いを脳画像で追うとき、研究者は単に「考えている脳」を眺めるのではない。推論する条件と比較する条件を置き、その差に現れる領域を調べる。Wangらのメタ分析は、演繹推論と基準条件との比較を含む38論文のデータを統合したものだ。複数の研究で活動が集まりやすい場所を、座標に基づく方法で調べている。[4]

その分析では、左の下頭頂小葉、中前頭回、内側前頭回、下前頭回、尾状核、島などが有意な領域として挙がった。名称を暗記する必要はない。重要なのは、「左のどこか」ではなく、離れた場所が複数挙がっている点である。著者らは、前提を符号化して統合することに加え、推論の実行と監視が重要だと結論している。[4]

ここでいう符号化は、前提の情報を処理できる形で扱うこと、と捉えると読みやすい。日常に引き寄せれば、会議の説明から「誰が」「どの条件で」「何をするか」を取り出す場面に当たる。これは研究結果の使い方を考えるためのたとえであり、会議中の個人の脳活動を測定した話ではない。

「左側に関与する領域がある」と「論理的な人は左脳全体が優勢だ」は、別の主張である。このメタ分析が扱うのは推論課題中の活動の集まりであり、人を性格別に分類する成績表ではない。左側という結果を尊重することと、左脳派という人物像を作らないことは両立する。[4]

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

空き枠を見て予約電話で予約 042-595-8039LINE

言葉を理解する仕事と、条件を保つ仕事

推論には、前提の内容を読み取ることに加えて、その前提を途中で取り違えずに扱う仕事がある。Cocchiらの機能的磁気共鳴画像法、つまり課題中の脳活動の変化を画像で調べる研究は、関係づける変数が増えると何が起こるかを検討した。関係の複雑さを、問題を解く際に結び付ける変数の数として扱っている。[8]

その結果、結び付ける変数が増えるにつれて、行動上の成績は下がった。同時に、帯状回・弁蓋ネットワークと前頭頭頂ネットワークという、認知の制御に関わるネットワークの内部と相互の間で、活動と課題中のつながりが強まった。難しさの増加は、特定の場所だけの変化として現れたのではない。[8]

帯状回・弁蓋ネットワークは、この研究では課題の構えを保つ役割、前頭頭頂ネットワークは、その都度の試行で制御を実行する役割として説明されている。課題の構えとは「今は何の規則に従って答えるのか」を保つこと、と考えるとよい。名前が長いので頭の中の部署名のように見えるが、課題に応じた活動や領域間の関係を表す呼び名である。[8]

たとえば、友人と待ち合わせ場所を決めるだけなら話は進む。そこへ「雨なら屋内」「仕事が延びたら駅の近く」「別の友人も来るなら席を予約」と条件が重なると、どの条件がどの選択肢を変えるかを整理したくなる。これは変数が増える感覚を表す生活上の例だ。予定表が複雑なのに、性格の単語で説明すると、予定表のほうが置き去りになる。

同研究では、複雑さに伴う領域間の影響関係の変化から、左の背外側前頭前野が課題の構えを統合し、試行ごとに実行する際の重要な役割を担うことも示唆された。左側の重要性は、ネットワークという説明にすると消えるのではない。むしろ、ほかの領域との関係の中で、何をしているかが問いになる。[8]

活動が強いほどよく解ける、と読むのも早い。この実験では複雑さに伴って活動やつながりが増える一方、成績は下がっている。fMRIで観察するのは血流に関係する信号の変化であり、この結果は課題の複雑さと脳活動・成績との関連を示す。特定の領域の活動を増やせば、日常の論理的思考力が向上するという因果関係を示した結果ではない。負担が増えた場面で何が動員されたのかまで、課題とセットで読む必要がある。[8]

図形問題と文章の問題で、同じ地図になるか

「論理的思考」という名前が付いた課題でも、中身は同じとは限らない。健康な大学生24人を調べたSeyyed Hashemiらの研究では、図形の規則を考えるレーヴン課題と、条件に照らしてカードを選ぶウェイソン課題の際の脳活動を比較した。前者では前頭頭頂と帯状回・弁蓋の両ネットワークの活動が観察されたが、後者では前頭頭頂ネットワークの活動のみが観察された。対象は健康な大学生であり、18〜39歳の女性全体にも同じ活動パターンが現れるかは、この課題比較だけでは判断できない。[2]

レーヴン課題では、難度が高くなるにつれて反応時間が直線的に増えた。著者らは、直感的な応答と分析的な応答の相互作用を説明する理論を支持する結果と捉えている。ウェイソン課題については、細部への注意や情報の更新が十分に進まず、誤りにつながったという解釈も示している。特定のネットワークが観察されないことを、ただちに効率のよさとは読んでいない。[2]

この結果は、関係の複雑さとともに両ネットワークの関与が増えたCocchiらの結果と、見た目には違っている。[2][8] ただし、問題の形式や参加者の解き方、正誤の様子を抜きにして、「推論には必ず両方が同じように働く」と結論するほうが無理がある。ネットワークの名前が同じでも、研究で課している仕事まで同じとは扱えない。

Lorenzらはさらに、前頭頭頂ネットワークをひとまとめに扱う難しさを調べている。脳画像のリアルタイム解析と機械学習を組み合わせ、腹側と背側のネットワークの活動が分かれやすい課題を探索したところ、演繹推論と、手順を計画するロンドン塔課題が見いだされた。広い範囲の課題に対する活動全体を見ることの重要性を示した研究である。[7]

同研究の所見は、それ以前のメタ分析や想定されていた機能の呼び名から外れる部分もあったと報告されている。「前頭頭頂だから論理担当」と札を貼れば課題ごとの違いを見落とす。どの課題にどんな活動を示すか、その組み合わせを確かめる必要があるという指摘だ。[7]

こうした違いを読むときは、研究の規模と、問いの細かさを区別したい。38論文を統合した分析は、研究をまたいで活動が集まる場所を探している。[4] 一方、24人の課題比較は、同じ研究の中で異なる問題を解いたときの活動を見ている。[2] 前者の地図で全体像を捉え、後者で課題による違いを考える、という読み分けができる。人数や論文数だけを並べて勝敗を決めると、それぞれが答えようとした問いまで消えてしまう。

数字で読む論理的思考の研究

38論文:演繹推論の活動座標を統合したメタ分析の対象である。[4]

24人:図形のレーヴン課題とウェイソン課題を、健康な大学生で比較した。[2]

39人:左右の頭頂部への刺激を比較した研究には、健康な成人が参加した。[6]

19〜33歳:その刺激研究は、この年齢範囲の成人を対象としている。[6]

20分:その研究で各刺激セッションに用いられた時間である。推奨する練習時間ではない。[6]

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

空き枠を見て予約電話で予約 042-595-8039LINE

💬 ご質問がある場合はこちらからどうぞ

オンザショアのチャットで質問する(24時間受付)

レッスン内容・料金・体験のご予約など、気になることをお気軽にお尋ねください。

author avatar
宮川涼 Founder

1

2

関連記事

ご体験予約