
マグネシウムは、高齢者のこむら返りで偽薬と差が出なかった
「足がつるならマグネシウム」は、よく聞く組み合わせだ。マグネシウムのサプリメントはけいれんの予防として売られているが、その効果ははっきりしていなかった[12]。2020年のコクラン・レビュー(2012年の版の更新)は、11の試験、合わせて735人を集めた[12]。
主に高齢者(平均年齢61.6〜69.3歳)の、夜のこむら返りとみられる特発性のけいれんでは、マグネシウムと偽薬で回数の差は小さく、統計的に有意ではなく、試験ごとのばらつきもごく小さかった(I²=0〜12%)[12]。4週時点の1週間あたりの回数の変化率の差は−9.59%(95%信頼区間−23.14〜3.97%、3研究・177人、中程度の確実性)、1週間あたりの回数の差は−0.18回(−0.84〜0.49、5研究・307人、中程度の確実性)だった[12]。回数が25%以上減った人の割合も変わらなかった(リスク比1.04、0.84〜1.29、3研究・177人、高い確実性)[12]。痛みの強さや続く時間にも、4週時点で有意な差はなかった[12]。
副作用は、けいれんの場面を問わず全部の試験をまとめて見ている[12]。大きな有害事象は、マグネシウムで72人中2人、偽薬で68人中3人で、差はなかった[12]。一方、判断できた4研究では、軽い有害事象を経験した人はマグネシウムの群のほうが多かった(リスク比1.51、0.98〜2.33、4研究・254人、低い確実性)[12]。口から飲むマグネシウムでは、主に下痢などのおなかの症状が、11%(対照10%)から37%(対照14%)の人に出た[12]。著者らの結論は、高齢者の骨格筋のけいれんに対して、マグネシウムの補給が臨床的に意味のある予防になる見込みは低い、というものだ[12]。
その後の試験も同じ方向を向いている。フィンランドの2026年の3群の試験では、マグネシウムと偽薬の差は、補正した平均の差で−0.20回(95%信頼区間−1.49〜1.09)で、有意ではなかった[5]。2026年の別のメタ分析でも、成人の夜間の、または続くこむら返りでは、4試験・約396人で有意な効果がなかった(平均の差−0.42回/週、−1.15〜0.31)[2]。ドラッグストアの棚の前で迷うより、こむら返りが続くなら医師に相談するほうが、研究には近い。
疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。
妊娠中のマグネシウムは、メタ分析どうしで結果が割れた
妊娠中の脚のつりは、話が別になる。2021年のメタ分析は、妊婦332人を含む4つのランダム化比較試験を統合し、治療のあとの脚のつりの回数はマグネシウムの群で減らなかったと報告した(重み付き平均差−0.47、95%信頼区間−1.14〜0.20)[15]。脚のつりからの回復も改善せず(オッズ比0.47、0.14〜1.52)、著者らは、口から飲むマグネシウムは妊娠中の脚のつりの治療に有効ではないと結論した[15]。
ところが2026年のメタ分析は、妊娠に伴うけいれんの4試験・約364人で、マグネシウムが偽薬に比べてけいれんの回数を有意に減らしたとした(統合したリスク比1.35、1.05〜1.74)[2]。著者らは、マグネシウムの補給は妊娠に関連するけいれんに利益があり、ほかの集団では効果が一貫しないとまとめている[2]。
さかのぼって2020年のコクラン・レビューは、妊娠に伴う脚のつりの5試験をすべてバイアスのリスクが高いと判定し、それらのメタ分析はできず、文献は食い違っていてこの集団ではさらに研究が要ると書いていた[12]。3つの総説が、それぞれ違う答えを出している。いまの時点で言えるのは、妊娠中のこむら返りにマグネシウムが効くかどうかは決着していない、ということだ。妊娠中に何かを飲み始めるかどうかは、自分で決めずに医師に相談する。

ストレッチは痛みの強さに効くかもしれないが、回数はまだ不確か
薬やサプリを使わない方法では、何が試されてきたのか。2021年のコクラン・レビューは、少なくとも4週間試した、薬を使わず体を傷つけない方法のランダム化比較試験を探し、妊婦を除くあらゆる人を対象にした[10]。含まれたのは3試験・201人で、全員が50歳以上、神経の病気のある人はいなかった[10]。3試験とも、何らかのストレッチを調べていた[10]。
55歳以上の人では、ふくらはぎと太ももの裏のストレッチを毎日6週間組み合わせると、何もしない場合に比べて、夜の脚のつりの痛みの強さが減るかもしれない(10cmの目盛りで平均の差−1.30cm、95%信頼区間−1.74〜−0.86、1試験・80人、低い確実性)[10]。回数については確実性が非常に低かった(1晩あたりの回数の平均の差−1.2回、−1.8〜−0.6、80人)[10]。60歳以上で、ふくらはぎだけのストレッチを12週間続けた試験では、見せかけのストレッチと比べて夜の脚のつりの回数にほとんど差がないかもしれなかった(1試験・94人、低い確実性)[10]。
著者らは、検証されていない測り方とばらばらな診断の基準のために、研究どうしを比べて臨床に当てはめるのが難しいと書き、こむら返りの結果を測る専用の道具を作って検証するよう求めている[10]。ふくらはぎだけの試験は回数で差が出ず、痛みの強さは報告していない[10]。太ももの裏と組み合わせた試験とは測ったものが違い、伸ばす場所の違いで差が出たとは言えない。
弾性ストッキングとビタミンK2、新しい2つの試験
2026年のフィンランドの試験は、50〜85歳で、直前の4週間に週2回以上脚がつった人を、膝下までの医療用の弾性ストッキング、マグネシウム、偽薬の3群に分けた[5]。121人を割り付け、平均年齢は65.8歳、71.9%が女性だった[5]。4週間毎日使ってもらい、8週目の回数の変化を比べた[5]。
試験の始まりでは、1週間あたりの回数の中央値は4回だった[5]。8週目には、ストッキングの群で2回、マグネシウムの群で3回、偽薬の群で3回になった[5]。ストッキングと偽薬の差は、始まりの値で補正した平均の差で−1.43回(95%信頼区間−2.36〜−0.50)だった[5]。著者らは、高齢者では弾性ストッキングを毎日使うと、脚のつりの回数と痛みの強さ、それで夜中に目が覚める回数が減ったと結論した[5]。一方で、4人が副作用のためにストッキングをやめている[5]。重い有害事象はなかった[5]。
2024年の中国の二重盲検の試験は、地域に住む65歳以上で、2週間の確認期間に2回以上の夜のこむら返りが記録された人を対象に、ビタミンK2と偽薬を8週間比べた[3]。199人が参加し、54.3%が女性、平均年齢は72.3歳だった[3]。1週間あたりの回数は、ビタミンK2の群で2.60回から0.96回に減り、偽薬の群は2.71回から3.63回だった[3]。群の差は−2.67回(95%信頼区間−2.86〜−2.49)で、痛みの強さと続く時間も、ビタミンK2の群でより大きく下がった[3]。著者らは、ビタミンK2に関係する有害事象はなく、高齢の集団で回数、強さ、続く時間を安全に減らしたと結論している[3]。
この試験の数字には、一つ引っかかる所がある。偽薬の群は2.71回から3.63回へ増えているのに、著者らはこれを「保たれた(maintained)」と書く[3]。−2.67回という差は、片方が減っただけでなく、もう片方が増えたことも含んだ差である。この論文の冒頭には、夜のこむら返りには安全で効果が証明された治療がまだない、という一文が置かれている[3]。新しい試験は1本ずつ増えているが、どれも高齢者を対象にした1本である。

よくある誤解
「足がつるのは、水分とミネラルが足りないから」。運動中のけいれんを追った9研究では、水分の状態と一貫した関連はなく、レース後の血液中のカリウムとマグネシウムは、けいれんした人のほうが高かった[1]。夜のこむら返りの多くは、はっきりした原因の病気が見つからない特発性のものとされる[12]。
「マグネシウムを飲めば防げる」。主に高齢者の特発性のこむら返りでは、偽薬との差は小さく有意でなく、11試験の系統的レビューは、意味のある予防になる見込みは低いとした[12]。妊娠中については、メタ分析どうしで結果が割れている[2][15]。
「年を取るほど、運動中もつりやすくなる」。夜のこむら返りの頻度の数字は50歳以上で出ているが[19]、運動中のけいれんでは、年齢、体重、身長との関連がないことが強い証拠で示された[1]。夜のこむら返りと運動中のけいれんは、分けて考える。
今日からできること
- つったら、まず穏やかに伸ばす。運動中のけいれんの手当てとして、総説は症状が治まるまでの穏やかな静的ストレッチを挙げる[7]。
- 起きた夜と長さを1か月分メモする。強い痛み、数秒から10分まで、ふくらはぎか足、あとに残る痛みという特徴[19]に当てはまるかを書き添える。
- 寝る前のストレッチを試すなら、ふくらはぎだけでなく太ももの裏も入れる。55歳以上の試験では、両方を毎日6週間組み合わせて痛みの強さが減るかもしれないとされた。回数への効果は不確かである[10]。
- サプリを自己判断で始めない。高齢者ではマグネシウムで回数に偽薬との差が出ず、口から飲むマグネシウムでは、おなかの症状が11〜37%の人に出た(対照の群でも10〜14%。けいれんの場面を問わずまとめた数字)[12]。妊娠中は結果が割れている[2][15]。
- しびれや力の入りにくさが重なるときは、医師に相談する。多発ニューロパチーでは、筋肉のけいれんが運動の側の症状の一つに挙がる[14]。
- 運動中によくつる人は、つった場面と練習の内容を記録する。運動中のけいれんでは、前にけいれんしたことが最もはっきりした関連の因子だった[1]。
ふくらはぎと太ももの裏を、オンザショアで教わる時間に
この記事で読んだストレッチの試験は、50歳以上の人が6週間や12週間続ける形のもので[10]、スタジオのレッスンで夜のこむら返りが減ると示した研究ではない。ここで書けるのは、ふくらはぎや太ももの裏を伸ばす動きを、週の決まった時間に人から教わる場所がある、ということだけである。
妊娠中の方は溶岩ホットヨガには参加できないが、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。妊娠中のこむら返りが気になる人は、先に医師に相談してほしい。
オンザショア立川店には、溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガのほか、常温のヨガ、ピラティス、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニングがあり、ヨガだけで25種類以上のレッスンがある。店の開閉は8:00〜23:30の年中無休だが、レッスンの開始は別で、8時の回は土曜と日曜だけ、平日の朝いちばんは月曜から木曜が10時、金曜が13時、遅い回は水曜と金曜の21時に始まる。12月29日から1月3日は通常のレッスンを休み、会員向けの特別の有料講座になる。
体験レッスン(ヨガ)は税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが込み。場所は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F、JR立川駅北口から徒歩1分(体験の予約・料金・店のトップ)。
参考文献
[1] Risk Factors for Exercise-Associated Muscle Cramps: A Systematic Review With Meta-Analysis — Costa LDS, Correa VAF, de Oliveira VF, Jahn AJS, Aliano GB, Nunes GS., 2026, Muscle & nerve. DOI: 10.1002/mus.70389
[2] The Role of Electrolytes in Muscle Pain Syndromes: A Systematic Review and Meta-Analysis With Implications for Temporomandibular Disorder — Patil S, Falkowski A, Venkataiah VS, Bhandi S, Licari FW, Patil AG., 2026, International dental journal. DOI: 10.1016/j.identj.2026.109488
[3] Vitamin K2 in Managing Nocturnal Leg Cramps: A Randomized Clinical Trial — Tan J, Zhu R, Li Y, Wang L, Liao S, Cheng L, et al., 2024, JAMA internal medicine. DOI: 10.1001/jamainternmed.2024.5726
[4] Muscle cramps as disorders of impaired termination of contraction: An integrated neurophysiological framework — Takahashi A., 2026, Physiological reports. DOI: 10.14814/phy2.71001
[5] Secondary prevention of leg cramps using compression stockings or magnesium supplements: a three-arm randomized clinical trial — Kuusipalo A, Laitila J, Lehtonen E, Joensuu J, Mustajoki P, Mustonen P, et al., 2026, Trials. DOI: 10.1186/s13063-025-09370-z
[7] An Evidence-Based Review of the Pathophysiology, Treatment, and Prevention of Exercise-Associated Muscle Cramps — Miller KC, McDermott BP, Yeargin SW, Fiol A, Schwellnus MP., 2022, Journal of athletic training. DOI: 10.4085/1062-6050-0696.20
[10] Non-drug therapies for the secondary prevention of lower limb muscle cramps — Hawke F, Sadler SG, Katzberg HD, Pourkazemi F, Chuter V, Burns J., 2021, The Cochrane database of systematic reviews. DOI: 10.1002/14651858.cd008496.pub3
[12] Magnesium for skeletal muscle cramps — Garrison SR, Korownyk CS, Kolber MR, Allan GM, Musini VM, Sekhon RK, et al., 2020, The Cochrane database of systematic reviews. DOI: 10.1002/14651858.cd009402.pub3
[14] Polyneuropathies – What are possible causes? — Heuß DF., 2025, Deutsche medizinische Wochenschrift (1946). DOI: 10.1055/a-2495-4756
[15] Effect of oral magnesium supplementation for relieving leg cramps during pregnancy: A meta-analysis of randomized controlled trials — Liu J, Song G, Zhao G, Meng T., 2021, Taiwanese journal of obstetrics & gynecology. DOI: 10.1016/j.tjog.2021.05.006
[18] Prevalence and factors associated with restless legs syndrome among pregnant women in middle-income countries: a systematic review and meta-analysis — Mislu E, Assalfew B, Arage MW, Chane F, Hailu T, Tenaw LA, et al., 2023, Frontiers in medicine. DOI: 10.3389/fmed.2023.1326337
[19] Criteria in diagnosing nocturnal leg cramps: a systematic review — Hallegraeff J, de Greef M, Krijnen W, van der Schans C., 2017, BMC family practice. DOI: 10.1186/s12875-017-0600-x
この記事の情報は2026年11月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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