プロテインは糖質と一緒だと違う?男性中心の研究で運動後の筋合成と酸化を読む

運動後のプロテインにおにぎりも足すべきか。糖質を加えてインスリンが増えても、筋肉のたんぱく質合成がさらに増えるとは限らない。たんぱく質だけとの比較試験、糖質だけとの比較試験を読み分け、アミノ酸の酸化との違い、女性に当てはめる際の限界と食事の考え方を整理する。

自宅で運動を終え、シェイカーの横におにぎりを置く。「糖質も一緒でないと、プロテインが燃料になって終わる」と聞くと、食べ合わせを間違えたくなくなる。だが、たんぱく質に糖質を足しても、筋肉の合成がさらに増えなかった比較試験がある。[15]

答えの芯は、糖質との同時摂取が筋合成の必須条件だとはいえない、という点である。若い男性を対象にした試験では、ホエイたんぱく質だけの場合と、同量のホエイに糖質を加えた場合で、筋たんぱく質の合成・分解に差はなかった。18〜39歳の女性にそのまま当てはめるには対象が異なるが、少なくとも男性のこの条件では「一緒でなければ無駄」は支持されなかった。[15]

さらに、筋肉を作る反応と、アミノ酸を燃料として使う酸化は、同じ成績表ではない。酸化に関する仕組みの説明だけで、食べたたんぱく質が全部失われると判断しないことが大切だ。ここでは食べ合わせの優劣より、何を測った研究なのかをたどる。[5][14][15]

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糖質を足す前に、比較相手を確かめたい

筋たんぱく質合成とは、筋肉のたんぱく質を新しく作る働きである。筋肉量の維持には合成と分解の釣り合いが関わり、食事や身体活動に応答して両方が変わる。食後の合成を扱ったレビューは、たんぱく質の消化、アミノ酸の吸収、内臓での保持、インスリンの分泌、筋肉への取り込みなど、複数の過程が関わると整理している。[14]

そのため「糖質とプロテインを飲んだ群の合成が高かった」という説明には、必ず比較相手が必要だ。糖質だけの群より高かったのか、同じ量のプロテインだけの群より高かったのか。前者なら、たんぱく質を加える意味を調べている。後者なら、たんぱく質があるところへ糖質を加える意味を調べている。この向きを逆にすると、違う問いへの答えを受け取ってしまう。[15][19]

訓練された自転車競技者を対象に、長時間の自転車運動後に糖質へホエイを足した試験では、筋肉の収縮に関わる筋原線維たんぱく質の合成が高かった。一方、筋力運動後にホエイへ糖質を足した試験では、筋合成の上乗せはなかった。見出しだけなら正反対でも、実験で足したものが違うため、両立する結果である。男性や訓練された競技者の結果を18〜39歳の女性の日常の運動後に使う際は、対象と運動条件の違いを考慮する必要がある。[15][19]

食卓に置き換えると、おにぎりだけの食事にたんぱく質を含むものを足す相談と、すでにたんぱく質をとったあとで糖質を追加する相談は別になる。これは特定の食品の効果を保証する話ではなく、研究を読むときの整理だ。買い物かごの中身を見て、何がすでに入っているのかを確認してから論文の結論を使いたい。[15][19]

既存記事「女性のプロテインは脂質と一緒だと無駄になる?消化の速さと筋肉の反応を読む」には脂質との組み合わせを譲り、ここでは糖質を加える方向と、合成・酸化という測定対象の違いに焦点を絞る。

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ホエイに糖質を足しても上乗せがなかった試験

直接の比較になるのが、若い男性9人を対象にした無作為化比較試験である。参加者は片脚の膝を伸ばす筋力運動を行い、ホエイたんぱく質25gか、同じホエイ25gにマルトデキストリンという糖質50gを加えたものを摂取した。筋肉の組織と標識したアミノ酸を用い、合成だけでなく分解も調べた。18〜39歳の女性にも同じ反応が起こるかは、この男性対象の試験だけでは判断できない。[15]

糖質を加えた条件では、血糖とインスリンの時間に沿った反応を合計した値が、たんぱく質だけの条件より大きかった。インスリンの反応は5倍である。それでも、休ませた脚でも運動した脚でも、筋たんぱく質合成と分解に条件間の差は認められなかった。ホルモンの数字が大きく動くことと、筋肉の反応が比例して増えることは同義ではなかった。[15]

この結果は、インスリンに役割がないという意味ではない。研究者が述べたのは、筋合成を十分刺激するたんぱく質量がある条件では、糖質によるインスリンの増加に、合成や分解への追加効果が見られなかったということである。「必要な働きがある」と「多ければもっとよい」は、別の主張になる。[15]

また、糖質を食べる意味が生活全体から消えたわけでもない。この試験の問いは、同じホエイ量に糖質を足したときの筋肉のたんぱく質代謝である。夕食としての満足感や、その後の運動のしやすさまで採点した結果として使うことはできない。筋合成の上乗せがなかったことを、そのまま主食を抜く理由にしない読み方が必要だ。[15]

運動後に普段の夕食を食べる人と、夕食を飲み物だけに置き換えようとしている人では、迷っている内容が違う。「同時に食べるか」の前に、「追加するのか、食事の代わりにするのか」を言葉にすると、試験から借りられる答えの範囲もはっきりする。研究で使われた25gと50gは比較条件であり、読者への定量メニューではない。[15]

年齢や配合が変わっても同じ答えなのか

高齢男性45人を無作為に分けた二重盲検試験では、ロイシンを強化したホエイ21gを、糖質9gと脂質3gと一緒に摂取する群、ホエイだけの群、糖質と脂質だけの群が比較された。ロイシンは筋合成に関わるアミノ酸である。たんぱく質を含む群では食後の筋合成が増えたが、糖質と脂質を加えた群と、たんぱく質だけの群との間には有意差がなかった。高齢男性での比較であり、18〜39歳の女性に同じ結果が当てはまるかは別に検証が必要だ。[7][14]

この試験でも、糖質と脂質を併用した群でインスリンの上昇は大きかった。それでも筋合成の反応に有意な差はなかったため、若い男性の試験と同じく、インスリンの大きさをそのまま筋合成の大きさとして読むことはできない。ただし、対象は筋減少症のない高齢男性であり、若い女性の食事量を直接決める実験ではない。[7][15]

違う結果もある。男性6人と女性4人を対象にした二重盲検のクロスオーバー試験では、ホエイ6gにアミロペクチンとクロムの複合成分2gを加えた条件が、ホエイだけより摂取後の筋合成率で高い値を示した。運動を含む実験で、複合成分を加えた側の合成率の増加は毎時0.0197ポイントだった。男女を合わせた小規模な結果なので、18〜39歳の女性だけの反応を示す数値としては使えない。[6]

ただし、これは少量のホエイと、糖質成分だけではない特殊な配合の比較である。ホエイ25gに糖質50gを足した試験と、たんぱく質量も追加成分も異なる。「追加して差があった」という部分だけを切り取って、普通の食事にも同じ効果があるとみなすのは早い。[6][15]

ここで大切なのは、賛成の論文か反対の論文かに色分けしないことだ。たんぱく質が少ない条件なのか、すでに十分な刺激があった条件なのか。追加したのが糖質だけなのか、ほかの成分も含むのか。対象と配合をそろえてから結果を並べれば、食い違いは検討すべき条件の違いとして読める。[6][7][15]

合成率の測り方にも目を向けたい。若い男性の試験では筋肉の組織を採り、安定同位体で標識した物質を用いて、合成と分解を評価している。飲み物の成分表示を見ただけでも、採血のインスリンだけを見ただけでもない。筋肉の反応を直接調べる工程があるからこそ、血液の反応と筋肉の結果が一致しないことを確かめられたのである。[15]

ただし、筋肉の合成率を測った実験は、そのまま日常の食事の品評会にはならない。筋肉を採るほど詳しく調べても、答えが届くのは、実験で比較した条件までである。ホエイの飲料と、いろいろな食品が並ぶ夕食では、食べる内容そのものが違う。食事への応用では、レビューが挙げる消化や吸収、食品の特性も考える必要がある。[14][15]

少量ホエイの複合成分試験では、摂取後の必須アミノ酸は両条件で同様に増え、ピークは摂取30分後だった。インスリンが高い傾向はあったものの、統計学的に明確な差ではなかった。筋合成率に差があったからといって、必須アミノ酸やインスリンのすべてにも明確な差があったと説明してはいけない。結果の各項目をまとめて成功扱いしないことも、配合を読むうえで大切だ。[6]

高齢男性の試験は、糖質と脂質だけの群も置いている点が参考になる。その群では筋合成の有意な増加がなかった一方、たんぱく質を含む群では増加した。食後であることや熱量をとることだけでは、たんぱく質を含む食事と同じ反応を説明できなかった。糖質を足すか迷うときも、まずたんぱく質をとっている条件なのかという出発点を見失いたくない。[7]

数字で読む糖質との組み合わせ

9人:若い男性で、ホエイだけと糖質併用を直接比べた試験の人数である。[15]

25gと50g:ホエイ量と追加した糖質量。読者の必要量を示す組み合わせではない。[15]

5倍:糖質併用によるインスリンの反応の大きさ。それでも合成・分解の上乗せはなかった。[15]

45人:高齢男性の配合比較試験。たんぱく質21gへの糖質・脂質追加で筋合成に有意差はなかった。[7]

10人:少量ホエイと複合成分を比べた試験の人数で、うち女性は4人だった。[6]

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