運動習慣の記録は紙とスマホで差が出る?入力と実際の活動を分けて研究で読む

運動習慣を記録するなら紙とスマホのどちらがよいのか。紙の運動プログラムとアプリを比べた試験、通知や歩数を調べた研究から、記録が続くことと実際に動くことの違いを読む。対象者や支援内容、効果の大きさを確かめ、運動が苦手な人が自分の暮らしに合う道具を選ぶ視点を整理する。

手帳の運動欄に丸を付けようとして、ペンが止まる。散歩はしたのに書き忘れた日と、記録欄を整えただけの日が並んでいる。紙からアプリへ替えれば、この空欄は減るだろうか。それとも、まず確かめたいのは歩いた日だろうか。

道具選びでは、記録のしやすさと運動への支援を分けて比べたい。紙の運動プログラムと比べた小規模試験にはアプリの可能性を示す結果があるが、そこで比べているのは記録媒体だけではない。専門家による運動内容の調整まで含む支援である。[2]

さらに、アプリで運動の実施頻度が高まっても、体の機能まで改善するとは限らない。通知を送っても直後の歩数が増えない結果もある。選ぶときは「入力できた」「体を動かした」「体が変わった」を別々に見る必要がある。[1][5]

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紙とスマホの比較は、道具以外の差も読む

運動のセルフモニタリングとは、自分が行った運動を記録して確かめることである。記録に目標設定や行動を支えるメッセージを組み合わせたアプリも研究されている。したがって、画面か紙かを選ぶ問いと、どの支援が行動を助けるかという問いは重なるが、同じではない。[1]

紙とアプリを直接比べた例として、慢性的な変形性膝関節症のある高齢者を対象にした予備的な無作為化比較試験がある。無作為化比較試験は、参加者を偶然で群に分けて介入を比べる研究である。この試験では60歳以上の29人を、アプリの群19人と紙の運動プログラムの群10人に分け、6週間調べた。18〜39歳の女性にそのまま当てはめるには、年齢と膝の疾患という対象の違いがある。[2]

アプリの群では、理学療法士が遠隔で症状の報告を確認し、本人に合わせて運動を調整した。週間の進み具合を追う仕組みも含まれる。紙に書いた同じ内容を、そのまま画面に移した比較ではない。結果がよくても「スマホに入力したから」とだけ説明するのは飛躍である。[2]

アプリの群では69%が週5日以上運動し、88%が高い満足を報告した。痛みの数値評価は群内で平均2.12点低下し、95%信頼区間は1.11〜3.13点の低下だった。信頼区間は、効果の推定に伴う不確かさを示す幅である。ただしこれはアプリ群の開始前からの変化であり、紙より痛みをその分だけ減らしたという群間差ではない。[2]

終了時の評価を受けた割合はアプリ群84%、紙の群100%だった。満足が高いことと、参加者全員が最後まで残ることも別である。規模が小さい予備的な試験であり、健康な若い人の手帳とスマホの優劣にそのまま置き換えることはできない。[2]

暮らしに当てはめるなら、比較したい条件を言葉にしておくとよい。手帳では実施の丸だけを残し、アプリではメニューの提案まで受けるなら、違うのは入力方法だけではない。スマホが便利だったと感じたときにも、持ち歩けたからか、内容を迷わずに済んだからか、誰かに調整してもらえたからかを分けて考えたい。これは研究で支援の中身を読み分けるための視点である。[2]

既存記事「運動習慣の記録は毎回がよい?手帳でまとめて振り返る場合と達成感の違いを読む」では記録の頻度を扱っている。ここでは毎回か後日かではなく、紙とデジタルの道具に何が組み込まれ、何を成果として測ったかに焦点を絞る。

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運動の回数が増えても、機能は別に確かめる

より大きな試験では、変形性膝関節症と身体機能の低下がある成人182人を調べている。平均年齢は63.5歳、69%が女性だった。両群とも理学療法士から週3回の筋力運動を処方され、片方の群には運動記録、目標設定、行動を支えるメッセージを備えたアプリが加わった。18〜39歳の女性への適用は、この高齢の膝関節症患者を中心とした対象とは分けて考える必要がある。[1]

26週後、直前の2週間に6日以上運動した人の割合は、アプリを加えた群で36%、運動のみの群で16%だった。実施頻度の条件を満たす相対リスクは2.1、95%信頼区間は1.4〜3.2である。この対象と支援の組み合わせでは、アプリが処方された頻度を守る助けになった。[1]

一方、身体機能を評価する尺度の群間差は−0.9点で、95%信頼区間は−3.9〜2.12点だった。差がない可能性を含む幅であり、身体機能の改善でアプリ群が優れるという結果は得られていない。痛みや身体活動などの副次評価にも有意な群間差はなく、例外はアプリ群を支持した別の運動遵守尺度である。[1]

ここでいう運動遵守は、決められた運動を予定に沿って行うことである。「運動習慣が完全に身についた」という意味ではない。研究の判定は直前の実施日数の自己申告であり、何も考えずに運動を始められるか、支援をやめても続くかとは分けて読む必要がある。[1]

手帳の丸が増えたときも、同じ区別が役に立つ。参加を増やしたいのか、歩く量を増やしたいのか、動作を楽にしたいのか。狙いが違えば見るものも違う。回数の記録を、体力や痛みの点数の代わりにしないことが大切である。上の試験は、行動の変化と身体機能の変化が一致しない具体例である。[1]

また、アプリ群でも頻度の条件を満たしたのは全員ではない。「効果がある」を「誰にでも成功する」に読み替えない。反対に、機能の差がなかったから記録の支援は無意味だと切り捨てるのも、実施頻度の結果を取り落とす。役立った部分と、差が確認されなかった部分の両方を残す読み方が必要である。[1]

通知を開く指と、歩く脚は別に動く

スマホには紙にない通知がある。その通知の効果を、実際の歩数で検証した研究がある。高血圧の人を対象に、生活改善を促す通知を送る時点ごとに無作為化した試験では、解析対象287人の平均年齢は59.5歳だった。活動の通知後60分間の歩数に増加は確認されなかった。高血圧の中高年を中心とした結果であり、18〜39歳の女性の日常の歩行にも同じ結果が出るかは別に検証する必要がある。[5]

歩数に関する推定値は1.01で、95%信頼区間は0.98〜1.04だった。少なくとも、この対象者にこの仕組みで送る通知は、直後の歩行を増やすという期待を満たしていない。通知を見たかどうかと、靴を履いて外に出たかどうかは同じ測定ではない。[5]

この試験では、食事の通知後にアプリの利用が増えるという探索的な結果もあった。だが食事の選択の改善は確認されなかった。探索的とは、主要な検証とは別に手がかりを探す分析である。アプリへの関わりが深まっても、狙った生活行動に結びつくとは限らないという点が、この研究の読みどころだ。[5]

夜のスマホで達成画面を見て、別の画面へ移り、そのまま就寝する。そんな日の記録が残っていても、記録した事実まで否定する必要はない。ただし、画面を開いた回数を運動した回数に足さない。通知が役に立ったかを振り返るときは、通知への反応と、その後に行った運動を別に置く。研究結果を日常へ移すなら、この区別からである。[5]

紙には通知がないから劣る、という結論も、この試験からは出ない。比べたのは紙の手帳とスマホではなく、デジタルの支援の中で通知を送る場合だった。媒体の違いを論じるときほど、実際に比較された条件へ戻りたい。[5]

通知の効果を調べた研究では、半年にわたり送信する時点を繰り返し無作為化している。最初にアプリを持つ群と持たない群へ分けるだけではなく、生活の中の各時点で通知の有無を比べる設計である。そこから得た「直後には歩数が増えなかった」という結果を、半年全体の運動習慣が絶対に変わらないという結論へ広げることも避けたい。[5]

記録の道具を試す際にも、どの期間の何を見ているかで判断は変わる。今日の帰宅後に歩けたかを知りたい場面と、治療の運動を予定どおり続けられたかを知りたい場面では、確認したい時間の幅が異なる。通知の試験は直後の歩数、膝関節症の試験は評価時点の直前の実施日数を扱っている。結果の言葉だけでなく、測った期間も一緒に読むと、道具に期待する役割を具体的にできる。[1][5]

数字で読む記録と行動のずれ

29人:紙の運動プログラムとアプリを比較した、膝関節症の予備的試験の規模である。[2]

36%と16%:膝関節症の別の試験で、26週後に実施頻度の条件を満たした割合である。[1]

−0.9点:同じ試験の身体機能の群間差。95%信頼区間は−3.9〜2.12点で、差は確認されなかった。[1]

287人:通知の短期効果を解析した高血圧の参加者数。通知後60分の歩数増加は確認されなかった。[5]

845人:運動を支えるアプリの系統的レビューに含まれた参加者の合計である。[11]

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