糖質制限の天ぷらは衣が薄ければよい?水分と油から惣菜の選び方を読み直す

糖質制限中、スーパーの天ぷらは衣が薄ければ選びやすいのか。ズッキーニやイカの揚げ物、米粉の衣を比較した食品実験から、水分の残り方、吸う油、サクサク感の関係を読む。粉の種類だけで糖質量や脂質量を決めつけず、惣菜売り場で確認する点と、家庭の調理に持ち帰れる範囲を整理する。

惣菜売り場で、夕食用の天ぷらを選ぶ。衣の向こうに具が透けて見える方と、ふんわり大きく見える方。糖質を気にしていると、薄い衣なら安心、とトングを伸ばしたくなる。

ただ、衣の見た目だけで、糖質量と吸った油の量をまとめて判定することはできない。ズッキーニの天ぷらでは、衣の配合を変えてサクサク感を高めた条件で、水分が少なく、吸油量が多くなった。軽い食感は、油の少なさの証明にはならないのである。[1]

ここで分けたいのは、衣として付く量、揚げた後の水分、衣に含まれる油だ。米粉の性質を変えると吸油が変わる実験もあり、「薄いか厚いか」だけでは捉えきれない。[2] 天ぷらを避けるためではなく、惣菜売り場で見えることと見えないことを分けるために、衣の中を見ていこう。

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衣の薄さと油の少なさは、同じ問いではない

まず、今回読む研究の対象は人の体重ではない。ズッキーニ、イカ、衣を付けたハムソーセージ、粉から作った衣などを比較する食品実験である。調べているのは吸油、水分、食感、衣の構造といった食品の性質だ。[1][2][3][5] 18〜39歳の女性が食べた後の体重や健康への影響に、そのまま当てはめることはできない。食品の性質を調べる実験と、人の体の変化を調べる試験は、答える問いが異なる。

ズッキーニの実験では、切った厚さ、揚げ時間、衣の材料の一部置換を検討した。材料にはマルトデキストリン、エタノール、ベーキングパウダー、コーンフラワーが含まれていた。マルトデキストリンを加えた条件では、衣の粘りと具に付着する衣の割合が下がったが、吸油量には影響しなかった。[1] 付着する衣の割合は、具がどれだけ衣をまとったかを表す指標である。

この結果の大事な点は、付着量が下がる変化と、吸油が下がる変化が一致しなかったことだ。[1] 「少なく付く衣なら、油も少なくなるはず」と考えるのは自然である。食品の内部で起きる変化は、外形の印象とは分けて確かめる必要がある。衣は油の量を表示するメーターではないのだ。

もっとも、この実験を「薄衣には意味がない」と読み替えるのも行き過ぎになる。実験の比較は特定の配合と条件でのものだ。[1] 衣を薄くする工夫の価値を全面否定するよりも、衣の付着量だけでは吸油量の変化を説明できない、と受け取る方が正確である。

買い物では、具が何か、衣がどの程度付いているように見えるかを確認してよい。ただし、その観察をそのまま糖質や脂質の数値に翻訳しない。見た目から選ぶ場面と、表示から量を確かめる場面を別に設ける。この区別があれば、薄そうな天ぷらを選んだ日にも、分からない数値を頭の中で作らずに済む。

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サクサクした衣ほど低脂質、とは限らない

ズッキーニの同じ研究では、水や小麦粉の一部をエタノール、コーンフラワー、ベーキングパウダーで置き換えた条件も調べている。得られた衣はサクサクして表面が粗く、その食感が時間とともに保たれやすかった。一方で、水分は少なく、吸油量は多かった。[1] 食べ心地の改善と、油の減少は別の方向を向いたのである。

別の食品でも似た結果がある。イカの天ぷら衣を比較した実験では、エタノールを加えた衣は水を使う対応条件より水分が少なく、脂肪が多かった。同時に、機器による測定でも食べた人の評価でも、サクサク感が高かった。[5] ズッキーニだけでなくイカでも、食感の軽快さを脂肪の少なさと同一視できない結果となっている。[1][5]

イカの実験は、揚げた直後に加え、48時間の冷蔵保存と、その後のオーブンでの再加熱も調べた。エタノールを加えた衣は、保存と再加熱の後にもサクサク感や歯切れの評価が高かった。[5] この時間を挟んだ比較は、家に持ち帰って食べる天ぷらを考える際に興味深い。ただし、スーパーで販売されている天ぷらのすべてが、この実験と同じ配合や保存条件なのではない。

したがって、「温め直しても軽い食感だったから、油が少ない」とは判断しない。食感は食べる楽しさとして受け取り、脂質を確かめたいなら別の情報を探す。おいしかった感想を否定する必要はない。感想に栄養成分表示の仕事まで任せなければよいのである。

また、エタノールを入れれば家庭でも健康的な衣になる、という調理提案にもつながらない。この研究で改善したのは食感であり、脂肪は多くなっていた。[5] 何を良くしたい工夫なのかを最初に決めると、サクサク感のための技法を、低脂質のための技法と取り違えずに済む。

水分は抜ける量だけでなく、保たれ方が関わる

水分が少ない衣で油が多かった、という結果から、「水が抜けた分は必ず同じだけ油に置き換わる」と考えたくなるかもしれない。しかし、水の状態を詳しく調べた別の実験では、衣の内部構造も吸油に関係していた。[3] 水分と油の関係は、空いた容器へ注ぐような単純な足し算では捉えにくい。

衣を付けたハムソーセージなどを使った研究は、水とのなじみ方が異なる4種類のタピオカでんぷんを比較した。通常のもの、凍結と解凍を施したもの、化学的な加工を施したもの、その加工と凍結・解凍を組み合わせたものが対象である。[3] ここでいう水とのなじみ方は、水を取り込み、保持する性質を指す。

中程度の水和特性を持つ加工でんぷんでは、衣の水分保持が高まり、揚げる間の水分の損失が遅くなった。さらに、たんぱく質が集まり、網目状の構造ができ、内部が密になることと、吸油の抑制が結び付いていた。[3] この実験は、水分を保つことと、油が入りにくい構造になることを、別々の測定から検討している。

一方、水和特性が最も強かった別の加工でんぷんでは、吸油が増えていた。[3] 水を保持する能力が強ければ強いほどよい、という一直線の関係ではない。この対照があるため、単に「保水力が高い粉を選ぼう」と家庭の買い物に持ち込むのは早い。適した程度と衣の構造の組み合わせが重要だった、と読む必要がある。

この結果は、材料の宣伝文句を読む際にも役立つ。水分を逃がしにくい、特別なでんぷんを使う、といった説明を見かけても、それだけで完成した天ぷらの脂質量までは決まらない。加工でんぷんの実験条件を、家庭の小麦粉や売り場の惣菜へそのまま移すことは避けたい。研究の仕組みを知る目的は、万能な粉を探すことより、単独の特徴だけで結論を急がなくなることにある。

食品実験を読むときは、比べる相手も確認したい。通常のでんぷんに対して加工したでんぷんを使った比較なのか、水を使う衣に対してエタノールを加えた比較なのかで、結果の意味は変わる。[3][5] 「油が多い」「水分が少ない」という言葉だけを抜き出すと、どんな天ぷらと比べても同じ順位になるように聞こえてしまう。実験が示した順位は、そこで比較した配合と条件の中での結果である。

また、衣の構造を詳しく調べた研究と、人が食べてサクサク感を採点した研究は、違う側面から食品を見ている。加工でんぷんの実験は水分の状態やたんぱく質の網目を調べ、イカの実験は機器での食感測定に加えて食べた人の評価を調べた。[3][5] 内部の測定は仕組みを考える手掛かりになり、食べた評価は口で感じる違いを捉える。どちらかだけを完成品のすべてと考えない方が、研究の使い道が見えやすい。

この区別を夕食の支度へ戻すなら、家族に「今日はサクサクしている」と言われたときは、その感想をそのまま受け取ればよい。油が減ったのかと聞かれたら、食感からは分からない、と別に答える。実験でも、歯切れの良さと脂肪の多さは両立していた。[5] 台所で毎回分析をする必要はないが、測っていない成分まで測れた気にならないことには意味がある。水分と油を考える研究は、日常の観察を否定するためではなく、その観察で答えられる問いの範囲を整えるために使える。

数字で読む天ぷらの衣

4種類のでんぷん:水和特性が異なるでんぷんを比べた食品実験で、吸油は性質の強さに沿って単純には減らなかった。[3]

48時間:イカの天ぷらを冷蔵保存した後、オーブンで再加熱して食感などを調べた時間である。[5]

2日後:同じイカの実験で、保存と再加熱を経てもエタノール入りの衣のサクサク感が高く評価された。保存後の食感の結果であり、脂肪が少ないという意味ではない。[5]

3種類の置換用穀粉:大麦、そば、ハトムギを使う天ぷらで、抗酸化能などを小麦粉の場合と比較した。[4]

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