糖質制限のウインナーは焼き方も選ぶ?加熱で変わるソーセージの成分を読む

糖質制限でウインナーやソーセージを選ぶとき、糖質量とは別に見たいのが加熱方法である。焼く・ゆでる・電子レンジを比べた食品実験から、ニトロソアミンと残留亜硝酸の違い、焼き過ぎを避ける考え方を読む。実験の温度を家庭の安全基準に置き換えず、商品の調理表示を起点に判断するための記事である。

ウインナーの焼き色は、どこで止めればよいのだろう。朝のフライパンで転がしながら迷う。袋の栄養表示は確認したのに、焼き色をどこまで付けるかは、いつもの感覚で決めている。糖質制限でソーセージを選んだときにも、表示を読む作業と、火を入れる作業は別に残る。

答えの芯は、糖質量だけで調理後の加工肉の成分までは判断できない、ということだ。乾燥塩漬けソーセージの比較実験では、フライパン調理や揚げ調理で総ニトロソアミンが高くなり、ゆで調理と電子レンジ調理では調理前との差がなかった。加熱方法は、糖質とは別の検討項目になる。[20]

ただし、これは「加熱しないほどよい」という話ではない。肉製品の感染リスクを検討した研究では、生や加熱不足の肉がトキソプラズマ感染の主要な経路に挙げられている。必要な加熱を行い、その先の過度な加熱を足さない、という順序で考えたい。[17]

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糖質の数字と、加熱で生まれる成分は別に読む

ソーセージを手に取ったとき、まず糖質の欄を見る。その行動から一歩進めて、何を知りたくて表示を見ているのかを分けてみる。糖質を把握したいのか、使われている原料を知りたいのか、それとも調理によって成分がどう変わるかを知りたいのか。同じ袋を前にしていても、問いは異なる。

加工肉と健康を扱った機序のレビューは、国際がん研究機関が加工肉の摂取を「人に対して発がん性がある」と分類し、加工肉の摂取が大腸がんリスクの上昇と関連することを示している。焼き方の選択は、食べる量や頻度とは別の論点であり、調理法を変えるだけで加工肉を食べること自体の問題が片付くとは考えない。[1]

同レビューでは、亜硝酸による肉の処理でN-ニトロソ化合物が生じ得ること、高温調理で複素環芳香族アミンが生じることなどが整理されている。機序とは、ある現象が起こる仕組みを指す。動物と人の研究を含めて食品中や体内の反応をたどった整理であり、18〜39歳の女性が特定の商品を食べた後の健康変化を直接予測するものではない。[1]

ここで登場するニトロソアミンは、N-ニトロソ化合物に関わる成分群として読むとよい。研究では総量を測る場合と、個別の成分を測る場合がある。総量が変わったという話と、ある成分だけが増えたという話を混ぜると、調理法の評価が粗くなる。[1][20]

もうひとつ分けたいのが亜硝酸である。残留亜硝酸とは、調理した食品などに残っている亜硝酸のことだ。ニトロソアミンそのものと同じ数値ではない。実際、乾燥塩漬けソーセージの実験では、加熱で残留亜硝酸が減った一方、揚げる・フライパンで焼く調理ではニトロソアミンが増えた。「残っている亜硝酸が少ないから、調理後の成分はすべて望ましい」とは判断できない。[20]

この区別をしておけば、糖質制限の食品選びも少し落ち着く。糖質の数字に納得したあとで、袋にある調理方法を確認する余地ができるからだ。焼く前に立てる問いは「これは太るか」だけではなく、「この製品はどう調理するものか」でもよい。

体重や献立全体に関する問いは、既存記事「赤身肉・加工肉と体重の科学 肉を減らす前に見たい脂身と献立、研究で違う答え」に譲る。ここで追うのは、同じ加工肉でも火の入れ方によって測定される成分が違う、という台所の問題である。

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焼く・ゆでる・電子レンジで、測った結果が違う

調理法を直接比較した研究がある。対象は乾燥塩漬けソーセージで、ゆでる、フライパンで焼く、油で揚げる、電子レンジで加熱する方法を比べている。調理した食品の成分を分析した実験だ。18〜39歳の女性を対象にした摂食試験ではないため、成分の変化をそのまま本人の健康への効果に当てはめることはできない。[20]

調理前の試料に含まれる総ニトロソアミンは、食品の重量当たりで5.31 μg/kgだった。フライパン調理と揚げ調理では、ゆで調理や電子レンジ調理より高い量になった。一方、ゆで調理と電子レンジ調理の結果は、調理前と差がなかった。この数字は実験に用いた試料の出発点であり、市販のウインナーすべてに共通する含有量ではない。[20]

個別の成分にも変化があった。揚げる調理では、NDMA、NDEA、NPYRというニトロソアミンが増加した。その一方で、ヒスタミンとカダベリンという別の成分は減少した。研究で測ったすべての項目が、同じ方向には動かなかった。[20]

ゆで調理と電子レンジ調理では、総生体アミンが有意に減少した。生体アミンも、この研究でニトロソアミンとは別に分析された成分群である。残留亜硝酸は加熱処理によって有意に減った。著者らは、検討した加工肉にはゆで調理と電子レンジ調理がより適した方法だと示唆している。[20]

ここで「ゆでれば成分がなくなる」と読み替えないことが大切だ。総ニトロソアミンについては、ゆでたものと調理前との差がなかったという結果である。増加しなかったことと、ゼロになったことは違う。電子レンジについても同じで、あらゆる加工肉の成分を消す装置だと理解するのは行き過ぎになる。[20]

朝の支度では、調理法の選択を大げさな決断にしなくてよい。製品の表示で認められた方法を確かめ、その範囲でゆでる方法も検討する。ただし、この比較の対象が乾燥塩漬けソーセージだったことは覚えておきたい。自宅の袋に入っている製品へ、測定値まで移して考えることはできない。[20]

温度だけでなく、時間と配合も結果を変える

「何度ならよいのか」と知りたくなるが、温度だけを取り出すと、研究の読み方を誤る。半乾燥発酵ソーセージを使った実験では、亜硝酸の添加量、アスコルビン酸塩の使用、発酵に使う菌、加熱の程度を組み合わせて調べている。加熱の影響を見ていても、出発点となる製品の条件はひとつではない。[12]

その研究では、加熱の程度が、検出されたすべてのニトロソアミンに強く影響した。とくに亜硝酸の添加量が100または150 mg/kgの条件では、強く加熱した段階でNPIPという成分が有意に増えた。添加量と焼き方の組み合わせによって結果が違う点が重要であり、この添加量を家庭の摂取目標として読むものではない。[12]

別の半乾燥発酵ソーセージの実験では、黒ニンニクの配合と、熱板を使った180 ℃での追加加熱を検討した。追加加熱の時間は、加熱なし、1分、3分で比較している。黒ニンニクを使った条件ではNPIPが増え、NDMAとNDEAへの影響は加熱時間によって変わった。[8]

しかも、黒ニンニクを3%加えた条件では、加熱時間によるNDMAの有意な変化はなかった。つまり「長く加熱すれば、どの成分も必ず同じ割合で増える」という単純な図にはならない。配合、測る成分、時間を一緒に確認する必要がある。[8]

これは、何も選べないという意味ではない。過度な加熱を避ける方向は検討しつつ、特定の香味材料を加えれば帳消しになるとは考えない、という判断につながる。黒ニンニクの実験は製造時の配合を比較したものであり、食卓で添えれば同じ結果になると読むこともできない。[8][12]

「天然の材料」という言葉も、分析結果の代わりにはならない。材料の印象がよくても、ある成分が増え、別の成分への影響が条件によって異なることがある。食材名の好感度で、調理の結果まで採点しないための実験といえる。[8]

食品実験を読むときは、結果を比べる相手にも目を向けたい。黒ニンニクの実験では、生ニンニクを加えた条件が対照になっている。何も加えていないソーセージとの比較だと思って読むと、材料の評価が変わってしまう。追加加熱をしない条件も含め、製品の配合と、その後に加える調理を区別した実験なのである。[8]

半乾燥発酵ソーセージの別の実験では、発酵に使う菌がある条件で、アスコルビン酸塩の使用はNDMAとNPIPに有意な影響を与えなかった。また、亜硝酸を150 mg/kg加えた条件では、菌を加えた群のNPYRが、加えていない群より高かった。製造上の工夫が、測った成分への影響は一律ではなかった。[12]

こうした違いは、研究同士が矛盾していて役に立たない、という話ではない。調べた成分と条件をそろえて初めて、結果を比較できるという話だ。総ニトロソアミンの比較、個別成分の比較、残留亜硝酸の比較を、それぞれ元の問いに戻して読む。食品の成分表を見るときにも、見出しを飛ばして数字だけを比べないことが役に立つ。[8][12][20]

さらに、食品の分析結果には人を追跡した研究の人数や発症率は登場しない。高温調理や加工によって生じる化合物の機序はレビューで整理されているが、今回の調理実験から「この焼き方に変えれば将来の病気が何割減る」と算出することはできない。家庭での工夫へつなぐ場合も、測定された成分の変化という範囲を保つ必要がある。[1][20]

数字で読むソーセージと加熱

5.31 μg/kg:乾燥塩漬けソーセージの調理前に測定された総ニトロソアミン。市販品共通の値ではない。[20]

60試料:焼く・グリル・ゆでる調理による亜硝酸と硝酸の変化を調べた加工肉の試料数。[9]

180 ℃:黒ニンニク配合の半乾燥発酵ソーセージを追加加熱した熱板の条件。家庭の安全温度を示す数値ではない。[8]

100、150 mg/kg:強い加熱でNPIPが有意に増えた実験の亜硝酸添加条件。食べる量の目標ではない。[12]

最大9倍:消化モデルで強く加熱した亜硝酸処理豚肉に認められた酸化生成物の濃度差。人の発病率の倍率ではない。[16]

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