食欲を抑える色は本当にある?赤い皿と青い皿を選ぶ前に読む食事量の研究

食欲を抑えるなら青い食器、赤い食器という話はどこまで確かか。若い女性が白・赤・黒の皿で昼食を食べた試験を軸に、食べた量と満腹感の違いを読む。色付き表示による食品選択の研究とも区別し、食器の買い替えや食卓の工夫に期待できること、期待を置きすぎないための判断を考える。

トマトソースのパスタを盛る前に、食器棚の白い皿と赤い皿を見比べる。「青い皿なら食欲を抑えられるのだろうか」と思う。料理を変えずに食器だけで調整できるなら、気になる話である。

ただし、「この色なら食欲が落ちる」という答えには慎重でありたい。若い女性が白・赤・黒の皿で昼食を食べた無作為化試験では、赤と黒の皿で白い皿より摂取エネルギーが多く、主観的な満腹感の評価には有意差がなかった。赤なら食べる量が減る、という期待とは逆の結果である。[13]

青を選ぶべきかについても、この白・赤・黒の比較からは答えを出せない。食欲を抑える色を順位表にするより、「食べたい気持ち」「実際に食べた量」「食品を選ぶ判断」を分けて読むことが、食卓で使える答えにつながる。[3][13]

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赤い皿では白より摂取エネルギーが多かった

食器の色を直接調べたのは、標準的な体格指数の範囲にある、18〜30歳の女性54人を対象とするクロスオーバー試験である。クロスオーバーとは、参加者が条件を替えて比較に参加する研究方法だ。この試験は白・赤・黒の同じ大きさの皿を使い、色と大きさの違いが混ざらないようにしていた。[13]

実験日には標準化された朝食をとり、その後の昼食で、トマトソースのパスタと清涼飲料を自由に摂取した。食事を自由にとれる条件で、皿の色によって昼食のエネルギーや栄養素の摂取が違うかを調べたのである。色を見た印象だけを尋ねる調査とは、測っているものが違う。[13]

昼食の平均総摂取エネルギーは、白い皿で945.72 kcal、赤い皿で1102.16 kcal、黒い皿で1113.19 kcalだった。赤と黒はいずれも白より有意に多く、赤と黒の間には有意差がなかった。ここでの有意差とは、研究の統計的な判定で差が認められたという意味であり、誰が食べても必ず同じ方向に変わるという意味ではない。[13]

皿の色だけで、料理を食べる場面の結果が変わる可能性はある。だが、この試験が支えるのは「赤い皿が食欲を抑える」という決まりではない。むしろ、そのような一律の決まりに当てはまらない具体例である。色の名前だけで効果を予想すると、研究の方向を取り違える。[13]

白い皿についても読み過ぎは避けたい。この昼食で摂取量が比較的少なかったことを、そのまま「白い皿に替えれば健康になる」とは判断できない。測ったのは特定の昼食の摂取であり、食事の良し悪しを総合判定した結果ではない。研究の比較対象を、生活全体の優劣に置き換えないことが大切だ。[13]

食器売り場で赤い皿を持ったまま、白に戻す必要もない。ここで役立つ判断は、買う色を指定することではなく、色の効果を保証する説明に立ち止まることだ。好きな皿を選ぶ理由と、研究で確かめられた食事量の変化とは、別の欄に置いておけばよい。

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食べた量と満腹感は同じ結果ではない

この試験では、視覚的な尺度を用いて満腹感などの主観的な評価も測定している。こうした尺度は、自分が感じている状態を目盛り上で表すためのものだ。全体として平均の評価に群間の有意差は認められず、摂取エネルギーに見られた差と同じ形では動かなかった。[13]

ここは「食欲を抑える色」という検索語を読むうえで、見落としたくない部分である。食欲という言葉で、空腹の感覚を指す人もいれば、お菓子に手が伸びることや食事量を指す人もいる。しかし、この研究では、実際の摂取と自分で評価した感覚の結果が一致していない。量の差から気持ちの変化を自動的に推定することはできない。[13]

たとえば、昼食のあとに「満腹だった」と振り返るとする。その感想は大事だが、それだけで皿の色による摂取量の違いまで説明することはできない。逆に、食べた量に差があったからといって、食べた人が強い空腹を感じていたと決めることもできない。研究は、同時に測った別の結果を、それぞれ確かめる必要を示している。[13]

「青なら落ち着く感じがする」という好みも、それ自体を否定する必要はない。ただし、落ち着くという感想と、昼食の摂取エネルギーが減るという主張は、確かめ方が異なる。食器の雰囲気を気に入ることに、無理に食欲抑制の説明を添えなくてもよい。

また、有意差がなかったことを「感覚は全員まったく同じだった」と訳すのも正確ではない。この試験で、主観的な評価に統計的な違いが認められなかったという結果である。差が出た指標だけを見せれば色の力は大きく見え、差が出なかった指標だけを見れば何も変わらないように見える。両方を並べて初めて、この昼食実験の輪郭が見える。[13]

食卓での目標も、「食欲を消す」と大きく構えるより、何に困っているかを言葉にしてみたい。盛り付けの見た目が気になるのか、食べ終わっても物足りないのか、献立の選び方に迷うのか。皿の色の比較試験に聞ける問いと、自分が聞きたい問いが同じかどうかを、先に確かめるのである。

青い食器の評判と、実際の比較条件を分ける

白・赤・黒の試験は、青い皿を含んでいない。そのため、この結果から青が赤より優れているとも、青には効果がないとも言えない。比べた色の外に順位を伸ばすと、実験で確かめた範囲を越えてしまう。青が気になる人にとっても、答えを急がないことには意味がある。[13]

料理の条件にも目を向けたい。ここで提供されたのはトマトソースのパスタと清涼飲料である。いつもの和食や持ち帰りの弁当、職場でつまむ菓子までを同じ結果で説明するのは広げ過ぎだ。料理が替わっても皿の色が同じ方向に働く、という普遍的なルールが、この昼食実験によって確立していない。[13]

対象者の範囲も具体的である。若い女性の試験は、近い年齢の読者には身近に感じられるだろう。とはいえ、すべての女性やすべての体格の人を代表してはいない。研究の対象が自分に近いことは読む手掛かりになるが、自分にも同じ変化が起こるという約束にはならない。[13]

さらに、短期の食事量を調べることと、日々の食習慣や長期の体重変化を調べることは、別の課題である。この試験の昼食の数字を、毎日の積み重ねにそのまま掛け算して将来の体重を予測する使い方はできない。時間の範囲も、研究結果の一部として扱いたい。[13]

食器の大きさや盛り付けに関する問いは、既存記事「皿の大きさとダイエット 小皿に替える前に知りたい食事量と盛り付けの実験」に譲る。この記事では、同じ大きさでも色の条件を替えるとどうだったかに焦点を絞る。小皿の話を、そのまま青い皿の話へ移すことはしない。

皿を替えた夕食を振り返るときも、「今日は青だった」のほかに料理や食事の場面を言葉に残す程度でよい。家庭での観察を研究と同じものにしようとする必要はない。実験条件を知るのは、日常を厳密に管理するためではなく、色だけで出来事を説明し過ぎないためである。

数値の読み方にも、もう少し立ち止まりたい。論文が報告した平均値には、白・赤・黒のいずれにも「±47.12 kcal」という表記が添えられている。平均だけを抜き出して、自分が同じ皿を使った際の摂取量として扱うことはできない。これは試験の参加者から得られた集団の結果であり、個人の夕食に与えられた設定値ではない。[13]

赤と黒を見比べた検定の値は0.985で、両者に有意差はなかった。平均値の大小だけを見れば黒が上に並ぶが、その並びを「黒は赤より食べる量を増やす」という結論に変えてはいけない。色のランキングを作りたくなる場面ほど、研究が実際に認めた比較かを確かめたい。[13]

同じ理由で、白い皿の平均値を理想的な昼食量として使う必要もない。この実験は、必要なエネルギー量を個人ごとに指定するためのものではない。比較の数字は比較として読み、日常の食事の合格点にはしない。色を選ぶための情報から、食べる自分を採点する道具へ変えないことが肝心である。[13]

数字で読む食器の色と食事量

54人:標準的な体格指数の範囲にある女性が参加したクロスオーバー試験である。[13]

18〜30歳:対象者の年齢であり、全年齢を調べた結果ではない。[13]

945.72 kcal:白い皿を用いた昼食の平均総摂取エネルギーである。[13]

1102.16 kcal:赤い皿の平均値で、白い皿より有意に多かった。[13]

1113.19 kcal:黒い皿の平均値で、赤い皿との有意差はなかった。[13]

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