
血液の数値、空腹の実感、食べる量は別々に確かめる
平均年齢42.4歳で男性39人を含む、肥満のある87人が8週間の超低エネルギー食を行った研究では、空腹時のβヒドロキシ酪酸の濃度が高いほど、グレリンの変化が低下する方向にあり、食後のGLP-1やCCKという満腹に関わるホルモンの変化とは正の関連があった。一方、本人が感じる食欲の変化とは関連が見られなかった。[17] 対象の年齢、肥満、食事制限の強さが異なり、18〜39歳の女性にそのまま当てはめることはできない。血液の反応だけを見ると整った説明に見えても、本人の感覚まで同じ線で結べない結果である。
関連の大きさにも目を向けたい。この87人の研究では、ケトン体濃度と空腹時グレリンの変化との相関係数は−0.315、食後グレリンの変化とは−0.286であった。相関係数は、二つの測定値がどの程度一緒に動くかを表す指標である。負の向きの関連があっても、一人ひとりの空腹の強さを言い当てる数字ではない。実際、この研究では主観的な食欲の変化との関連は認められなかった。[17]
採血の数字と、本人への問いかけを両方行う意味はここにある。ホルモンの測定だけなら食欲が抑えられる方向の変化に見えるが、感覚を尋ねることで違う側面が現れる。[17] 食事の情報を読むときも、「何が変わったのか」を文の主語まで戻って確認したい。グレリンの結果なのか、空腹感の結果なのか、食事量の結果なのか。その区別を保つだけで、ケトン体への期待を研究の範囲に置きやすくなる。[17][19]
これは濃度と変化の関連を調べた研究であり、ケトン体を高くするほど空腹が減るという因果を証明したものではない。[17] ケトン体の値を食欲抑制の目標に変えるのは飛躍になる。レビューでも、食欲を抑えるのに必要なケトーシスの正確な境界は分かっていないと整理されている。[6] 研究の測定値を、自分で達成する課題に変えないほうがよい。
運動習慣がある人では、さらに実感とのずれが分かりやすい。訓練を積んだ自転車競技者とトライアスロン競技者6人のランダム化クロスオーバー試験では、ケトン体が増える食事と高糖質食を、それぞれ2週間摂取した。通常食との比較も行っている。持久系競技者という対象のため、18〜39歳の一般女性にそのまま当てはめることはできない。ケトン体が増える食事では、空腹時のグレリンが低く、GLP-1は高かったのに、本人の空腹感は通常食や高糖質食より高かった。[5]
さらに、食後の食欲評価には食事間の差がなかった。[5] 血液中のホルモンだけなら「食欲が抑えられそうだ」と予測しても、参加者の答えはその通りではなかったのである。小規模な競技者の試験なので、一般のヨガ参加者にそのまま当てはめることはできない。それでも、ホルモンの結果より自分の感覚を疑う必要はないと考える材料になる。[5]
実際に食べた量まで調べると、もう一つ距離が見える。平均年齢23.6歳の健康な男女13人を対象にしたランダム化クロスオーバー試験では、自転車運動の前後にケトンエステル飲料または同じエネルギー量のブドウ糖飲料を与えた。運動は60分で、運動後には自由に食べる条件のエネルギー摂取量を調べている。[19] 年齢は若い読者に近いが、男女を合わせた結果を18〜39歳の女性にそのまま当てはめるには、女性での反応を分けた検証が必要である。これは飲料だけの安静時試験と違い、体を動かしたあとに食事を取る場面を含む。
ケトン飲料では運動後のグレリンなどに変化があったが、空腹感、満足感、満腹感には差がなく、運動後2時間のエネルギー摂取量にも差がなかった。[19] 「ホルモンが下がったから、自然に食事量も減るはずだ」という推論は、この条件では裏づけられなかった。体は検査表だけを読んで夕食を決めてはいない。
夜のレッスン前に空腹がないときも、食事を十分取れているかという問いと、食欲があるかという問いを分けておきたい。ここで挙げた試験は、ホルモン、主観、食事量が別の結果になりうることを示している。[5][19] 食欲だけでその日の食事全体を採点せず、何を食べたか、食べる予定をどう組んだかも振り返る。この振り返りはケトン体を増やす工夫ではなく、日常の食事を把握するためのものだ。
また、短時間の変化と長く続けられるかは別の問題である。ケトン体が増える食事には、制限の多さから長期の継続が難しい面があるとレビューは指摘している。[6] 今週は空腹が小さくても、外食や仕事のある生活で食事を維持できるかは別に考える必要がある。空腹の抑制だけを強みとして選ぶより、日々の食事がどのようになるかまで含めて判断したい。
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
よくある誤解
「空腹がないのは、ケトン体が十分に出ている証拠だ」という見方は成り立たない。前糖尿病の飲料試験ではケトン体が上がっても空腹感に有意差がなく、競技者の食事試験ではグレリンが低くても空腹感は高かった。[4][5] 感覚から濃度を逆算したり、濃度から気分を決めたりする関係ではない。空腹の有無は経験として受け止め、ケトーシスの自己判定には使わない。
「糖質制限中に空腹を感じたら、もっと糖質を削ればよい」という考えにも根拠はない。食欲の抑制に必要なケトン体濃度は確定しておらず、食欲は代謝以外に行動や環境にも関わる。[6][7] 空腹を我慢できるほどよい食事だ、という評価軸も置かない。食べる量を増やしたくなる日を失敗扱いすると、日常の食事の記録が、反省文ばかりになってしまう。
「研究用のケトン飲料なら、食事を変えずに食欲を管理できる」という期待も急ぎすぎである。標準体重の人で短時間の空腹が抑えられた試験がある一方、前糖尿病の成人や運動後の試験では、空腹感や摂取量が変わらなかった。[4][8][19] 効果の方向がそろわない研究用の介入を、生活の標準装備にする理由にはならない。
安全性の判断も、食欲が小さいことだけではできない。超低糖質食を扱う遠隔診療施設の観察研究では、糖尿病の有無や薬の使用状況によって、ケトアシドーシスという病的な状態の発生に違いがあった。[11] 治療を受ける人を追った結果であり、18〜39歳の健康な女性の日常の食事にそのまま当てはめることはできない。 食事でケトン体が増えることと、この病的な状態を同一視する必要はないが、糖尿病の治療中、とくにSGLT2阻害薬を使う人が大きく食事を変える判断は医師に相談する領域である。[11] 食欲を抑える目的で、自分で薬や食事療法を変更しない。

今日からできること
- 空腹が和らいだら、食事を変えた内容と、食前・食後の感覚を分けて書いてみる。8週間の食事試験でも、空腹時のグレリンと食後の反応は異なった。記録の目的は制限を強めることではなく、どの場面の変化かを知ることだ。[1]
- 食欲の変化を一つの点数にまとめず、「空腹」「満腹」「食べたい気持ち」を言葉で分ける。18人の飲料試験では、血中ケトン体の増加と空腹感の変化は一致しなかった。濃度の目標を探すより、自分の感覚を具体化する手がかりになる。[4]
- 運動のある日は、空腹感と食事の予定を別々に確かめる。13人の試験では、運動後2時間の食事量に飲料間の差はなかった。「食欲に関わるホルモンが動いたら、食事量も減る」という予測で予定を削らない。[19]
- 短期の結果を長期の約束として読まない。2週間ずつ食事を比べた競技者6人でも、ホルモンと実感はずれた。食事を続ける判断では、日常での食べやすさや困りごとも一緒に言葉にしたい。[5][6]
- 糖尿病の治療中なら、食事の変更と薬の相談を医師への同じ相談に含める。ケトーシスに関連する病的な状態を調べた観察研究でも、治療条件を分けて評価している。空腹を抑えるための自己調整にはしない。[11]
オンザショア立川店を、食事とは別の予定に置く
食事の制限を強めることと、体を動かす場所を決めることは別々の選択にできる。オンザショア立川店はJR立川駅北口から徒歩1分、営業時間は8:00〜23:30で、年中無休である。運動を暮らしの予定に置きたいとき、通う場所と時間帯を考えるための条件になる。
所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F。溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガに加え、常温のヨガ、ピラティス、パーソナルトレーニングなどがあり、ヨガだけで25種類以上のレッスンがある。運動の種類を選び、続ける仕組みを考える場所として位置づけたい。
参加できる運動の条件も先に確かめたい。妊娠中は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。
体験のヨガは税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルを含む。
店の内容は公式サイト、費用は料金ページ、体験の日程は予約ページで確かめられる。通う条件を見ながら、生活のどこに運動を置くかを考えたい。

参考文献
[1] Gastrointestinal hormones and subjective ratings of appetite after low-carbohydrate vs low-fat low-energy diets in females with lipedema – A randomized controlled trial — Lundanes J, Storliløkken GE, Solem MS, Dankel SN, Tangvik RJ, Ødegård R, Holst J, 2025, Clinical nutrition ESPEN. DOI: 10.1016/j.clnesp.2024.11.018
[4] Effect of d-β-Hydroxybutyrate-(R)-1,3 Butanediol on Appetite Regulation in People with Prediabetes — Liu Y, Bharmal SH, Kimita W, Petrov MS., 2023, Molecular nutrition & food research. DOI: 10.1002/mnfr.202200615
[5] Perceptions of appetite do not match hormonal measures of appetite in trained competitive cyclists and triathletes following a ketogenic diet compared to a high-carbohydrate or habitual diet: A randomized crossover trial — Graybeal AJ, Kreutzer A, Rack P, Moss K, Augsburger G, Willis JL, Braun-Trocchio, 2021, Nutrition research (New York, N.Y.). DOI: 10.1016/j.nutres.2021.07.008
[6] Impact of ketosis on appetite regulation-a review — Deemer SE, Plaisance EP, Martins C., 2020, Nutrition research (New York, N.Y.). DOI: 10.1016/j.nutres.2020.02.010
[7] Appetite control: hormones or diet strategies? — Freire RH, Alvarez-Leite JI., 2020, Current opinion in clinical nutrition and metabolic care. DOI: 10.1097/mco.0000000000000675
[8] A Ketone Ester Drink Lowers Human Ghrelin and Appetite — Stubbs BJ, Cox PJ, Evans RD, Cyranka M, Clarke K, de Wet H., 2018, Obesity (Silver Spring, Md.). DOI: 10.1002/oby.22051
[9] Ketosis, ketogenic diet and food intake control: a complex relationship — Paoli A, Bosco G, Camporesi EM, Mangar D., 2015, Frontiers in psychology. DOI: 10.3389/fpsyg.2015.00027
[11] Illnesses associated with ketosis including diabetic ketoacidosis during very low carbohydrate and ketogenic diets — Roberts CGP, Athinarayanan SJ, Ratner RE, Umpierrez GE., 2025, Diabetes, obesity & metabolism. DOI: 10.1111/dom.16252
[17] Association Between Ketosis and Changes in Appetite Markers with Weight Loss Following a Very Low-Energy Diet — Martins C, Nymo S, Truby H, Rehfeld JF, Hunter GR, Gower BA., 2020, Obesity (Silver Spring, Md.). DOI: 10.1002/oby.23011
[19] Exogenous Ketones Lower Post-exercise Acyl-Ghrelin and GLP-1 but Do Not Impact <i>Ad libitum</i> Energy Intake — Okada TE, Quan T, Bomhof MR., 2020, Frontiers in nutrition. DOI: 10.3389/fnut.2020.626480
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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