
持ち上がりや力を測ると、単純な上乗せは見えない
健康な若い女性19人を対象とした研究では、骨盤底筋を収縮させたときの膀胱底の持ち上がりを超音波で評価した。仰向け、仰向けで膝を立てた姿勢、さらに股関節の外転や内転を加えた姿勢を比較している。ここでの評価対象は、電気信号の振れ幅ではなく、骨盤底筋の収縮効率の指標としての膀胱底の動きだ。[4]
仰向けで膝を立てた姿勢では、通常の仰向けより持ち上がりが有意に大きかった。ところが、そこへ股関節の外転や内転を加えると、膝を立てた姿勢だけの場合より持ち上がりが有意に小さくなった。どちらの比較も有意水準はp<0.01だった。内ももを足せば、骨盤底筋の収縮の指標も必ず良くなる、という予想とは異なる方向の結果である。[4]
著者らは、不要な股関節周囲筋の活動を避ける重要性を指摘している。ただし、対象は若く健康な女性に限られる。産後まもない人や尿もれのある人にも、同じ姿勢が一律に最善だと広げることはできない。研究に沿った読み方は、「健康な女性のこの課題では、内転を加えることが持ち上がりの上乗せにはならなかった」とすることである。[4]
力そのものを調べた研究もある。健康で出産経験のない女性20人が、骨盤底筋だけの収縮、股関節の内転を伴う収縮、外転を伴う収縮を行った。股関節の力は最大の30%と50%で、腟内と太ももの周囲に置いた力測定器を使った。測定項目には最大の力、最大に達する時点、8秒間の平均の力、力の低下が含まれた。[5]
この研究では、30%と50%のいずれでも、内転条件と外転条件の間に各指標の有意差は認められなかった。著者らは、骨盤底筋の筋力や持久力を改善するために内転・外転を利用することは、この時点では正当化されないとしている。ただし、これは内ももの運動全般を否定する結論ではなく、骨盤底筋の力を上乗せする目的に絞った評価である。[5]
大事なのは、力の研究を「全員、まったく反応しなかった」と言い換えないことだ。有意差がなかったという結果は、内転なら外転より優れていると選ぶ根拠にはならないが、あらゆる個人の反応を同じにするものでもない。膝を閉じるか開くかの見た目だけで、骨盤底筋への優劣を決めない姿勢が必要となる。[5]
こうして見ると、産後女性の筋電図の研究と、健康な女性の超音波や力の研究は、同じ点数表を使って競っているわけではない。活動を引き出すこと、持ち上がること、力を発揮して保つことを、それぞれ測っている。研究結果が食い違って見えるときは、対象となる人と評価項目をそろえてから考える必要がある。[1][4][5]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
尿もれが改善しても、内転筋のおかげとは限らない
日常で知りたいのは、測定器の数字より、くしゃみや運動時の困りごとが変わるかどうかかもしれない。日本の地域で生活する70歳以上の女性70人を対象とした無作為化比較試験では、骨盤底筋と体力の向上を目指す運動教室を実施した。対象者は月に1回以上の尿もれを報告しており、介入群と対照群に35人ずつ割り付けられた。対象の年齢と症状が異なるため、18〜39歳の女性にこの結果をそのまま当てはめることはできない。[3]
運動は1回60分、週2回、3か月だった。終了後に尿もれがないと報告した割合は、介入群で54.5%、対照群で9.4%だった。介入群では最大歩行速度と内転筋力も有意に向上した。この結果は、骨盤底筋と体力の両方に取り組む運動プログラムを考える材料になる。評価するのは運動教室全体の成果であり、ボールを挟む動作単独の成績とは区別する。[3]
ここで見落としたくないのは、著者らが内転筋の強化と尿もれ改善の正の相関を支持しなかった点だ。運動教室の後で内転筋力が上がり、同じ群で尿もれの改善も多かったとしても、内転筋が強くなったから尿もれが改善したとは決められない。プログラム全体の成績と、その中の筋肉の役割は別に検討する必要がある。[3]
この違いは、運動の紹介文にもそのまま当てはまる。「内転筋力も上がった運動教室で尿もれの改善が見られた」という説明と、「内転筋を鍛えると尿もれが治る」という説明の間には飛躍がある。実際の研究が前者であるとき、後者の約束に変えてはいけない。複数の課題を組み合わせた成果を、ボールを挟む動作だけの手柄にしないことが重要だ。[3]
また、尿もれの有無を報告する評価と、運動中に筋電図を測る評価は、時間の幅も異なる。運動中の反応を調べる研究は動きの選択の手がかりになり、継続後の症状を調べる研究は生活上の変化を考える手がかりになる。どちらも必要だが、片方だけで他方を埋めることはできない。検索結果に大きな数字が並んだら、何が変わった数字かを先に読みたい。[1][3]

よくある誤解
「内ももが疲れたら骨盤底筋も十分に鍛えられた」という判断は早い。内転筋だけの収縮でも骨盤底筋由来ではない測定値の上昇があり、電気信号の混入も確認されている。内ももの手応えは内ももの動作を確認する材料にはなるが、それを骨盤底筋の筋力や持久力の獲得と同じ意味にしない。別の能力まで、疲労感だけで採点しないことだ。[2][5][8]
「強く挟むほど、奥の筋肉にも確実に効く」という考えも支えられない。最大努力では、異なるプローブのどちらでも筋電図が上昇したが、それが混入か同時活動かを区別できなかった。超音波の研究では、内転を加えることで持ち上がりが小さくなっている。強さを足すことと、狙った課題がうまくできることを同一視しないほうがよい。[2][4]
反対に、「研究結果がそろわないから、内ももの運動は無意味だ」と切り捨てるのも違う。産後女性では補助として推奨する結果があり、健康な女性の力測定では上乗せを支持しない結論がある。両方を踏まえるなら、誰が何を目指して行うかを明らかにし、内転運動を骨盤底筋運動の万能な代役にしない、という扱いが妥当となる。[1][5]
「一緒に動くなら、どちらを意識しても同じ」という理解にも注意したい。超音波の比較では、骨盤底筋を収縮させる課題に股関節周囲筋の活動を足しても、収縮効率の指標は良くならなかった。複数の筋肉が関わる運動を選ぶ場面と、特定の収縮を確かめたい場面は分けられる。何でも同時に頑張ることを、運動の正解にしなくてよい。[4]
今日からできること
- 膝にボールを挟む練習をするときは、内ももの運動が目的なのか、骨盤底筋の収縮確認が目的なのかを言葉にする。産後女性21人の研究では、内転だけの課題と、腹部・内転筋・骨盤底筋を組み合わせた課題は区別されている。[1]
- 骨盤底筋の練習に内ももの力を足す前に、足さない条件を指導者と確認する。健康な女性19人の超音波比較では、仰向けで膝を立てる条件に内転を加えると持ち上がりが小さくなった。これは一律の自己処方ではなく、課題を整理する手がかりだ。[4]
- 動画や記事の数字を見たら、筋電図、力、持ち上がり、症状のどれかを確認する。5秒の電気的活動と、3か月後の尿もれの報告を、同じ効果として比べない。[1][3]
- 強く挟めたことを成功判定にしない。研究では最大努力の25%、50%、100%を比較し、100%でも信号の混入と骨盤底筋の同時活動を区別できなかった。この割合を自宅での目標にせず、指導者には「挟む強さ以外で何を確認するか」を尋ねる。[2]
- 尿もれなどの困りごとを相談するときは、どの場面で起き、どんな運動をしているかを医師に伝える。70歳以上の女性の複合運動試験の成績を、自分向けのボール運動の回数表に置き換えない。[3]

オンザショア立川店で、練習の目的と通い方を考える
内ももを使った手応えだけで骨盤底筋の練習を採点せず、何を目的に運動するかを整理したい。通う場所を選ぶときも、その目的とレッスンの選択肢を照らし合わせるところから始められる。オンザショア立川店には、溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガのほか、常温のヨガ、ピラティス、パーソナルトレーニングがある。
妊娠中は溶岩ホットヨガには参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。参加できる条件を確認したうえで、店の案内や料金を見て、通い方を考えたい。
営業時間は全曜日8:00〜23:30、年中無休である。JR立川駅北口から徒歩1分、所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3Fだ。仕事や用事の前後に続けられる時間を探す材料となる。
ヨガの体験は税込1,980円。60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルを含む。体験の予約へ進む前に、内ももの運動を試したいのか、別の運動も含めて続ける場所を探したいのか、自分の目的を言葉にしておこう。
参考文献
[1] Comparative effects of selected abdominal and lower limb exercises in the recruitment of the pelvic floor muscles: Determining adjuncts to Kegel’s exercises — Ojukwu CP, Ojukwu CS, Okemuo AJ, Igwe SE, Ede SS, Ezeigwe AU, Mbah CG. / 年: 2022 / 誌名: Journal of bodywork and movement therapies / 被引用: 4. DOI: 10.1016/j.jbmt.2021.09.009
[2] A differential suction electrode for recording electromyographic activity from the pelvic floor muscles: crosstalk evaluation — Keshwani N, McLean L. / 年: 2013 / 誌名: Journal of electromyography and kinesiology : official journal of the International Society of Electrophysiological Kinesiology / 被引用: 16. DOI: 10.1016/j.jelekin.2012.10.016
[3] Effectiveness of multidimensional exercises for the treatment of stress urinary incontinence in elderly community-dwelling Japanese women: a randomized, controlled, crossover trial — Kim H, Suzuki T, Yoshida Y, Yoshida H. / 年: 2007 / 誌名: Journal of the American Geriatrics Society / 被引用: 53. DOI: 10.1111/j.1532-5415.2007.01447.x
[4] Effects of Lower Limb Position and Peri-Hip Muscle Co-Contraction on the Efficiency of Voluntary Pelvic Floor Muscle (PFM) Contraction During PFM Exercises — Sato Y, Miyake Y, Nakajima M. / 年: 2025 / 誌名: Cureus / 被引用: 0. DOI: 10.7759/cureus.83088
[5] Effect of combined actions of hip adduction/abduction on the force generation and maintenance of pelvic floor muscles in healthy women — Amorim AC, Cacciari LP, Passaro AC, Silveira SRB, Amorim CF, Loss JF, Sacco ICN. / 年: 2017 / 誌名: PloS one / 被引用: 11. DOI: 10.1371/journal.pone.0177575
[8] Evaluation of pelvic floor muscle strength using four different techniques — Peschers UM, Gingelmaier A, Jundt K, Leib B, Dimpfl T. / 年: 2001 / 誌名: International urogynecology journal and pelvic floor dysfunction / 被引用: 110. DOI: 10.1007/s001920170090
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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