
左右反転した絵は、好まれ方まで変わるか
絵画研究には、作品を数える調査に加えて、見る側の好みを確かめる実験がある。128人の参加者が、調査で選ばれた絵と、その左右を反転した版を見て美的な好みを示した。もとの作品を好む傾向が現れ、とくに画面の上側に提示した場合にその傾向が見られたが、キスや抱擁に典型的な左右の向き自体への有意な好みは見られなかった。[1]
「元の絵が好まれた」と「ある向きのハグが好まれた」は別の結果である。左右を反転すれば、絵全体の配置も入れ替わる。元の作品への好みが出たという事実だけでは、抱擁の向きこそが好まれた理由だとは言えない。この研究でも、典型的な左右の向きへの美的な好みは支持されなかった。[1] 作品を気に入った理由を、抱き合う側だけに背負わせない読み方だ。
この点は、写真を選ぶ場面に置き換えると理解しやすい。友人との写真を見比べて片方を選んだとして、気に入った理由が顔の位置なのか、画面全体の収まりなのかは、選んだという事実だけでは分からない。絵画の実験で確かめたのは美的な選好であり、抱擁を受けたときの快さではない。[1] 見て好きな向きと、されて心地よい向きを同じにしないことも必要だ。
ハグの左右に関する話題は、動作をする人、描く人、見る人をひとつに混ぜると、急に断定が増える。実際に抱き合う実験では、動作の好みと感情条件が関わる。[3] 絵の比較では、描かれた方向を数える。[1] 鑑賞の実験では、絵を好むかどうかを聞く。[1] 何を確かめた結果なのかを区別すれば、違う結論に見える結果も、無理に勝敗をつけずに読める。
左右差研究の展望をめぐる論考への応答でも、研究の信頼性と妥当性が論点になっている。この応答論文は、寄せられた11本の論評を整理し、比較・進化的な視点や、左右差が育つ過程とともに、それらの重要性を取り上げた。[2] 抱擁の方向を新たに測った実験とは区別して読む必要がある。左右を数えた結果から何を言おうとしているか、研究を読む側も問い続けたい。
疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。
接触の意味は、方向だけを取り出して読めない
左右から少し離れ、触れることと言葉を組み合わせた研究にも目を向けたい。人とロボットの感情的なやり取りを対象としたスコーピングレビュー、つまり研究領域の広がりを整理するレビューでは、発話と接触を組み合わせる11の実装が集められた。そのうち8つには、言葉だけ、接触だけなどと比べる条件があった。[8] 対象は人とロボットのやり取りであり、18〜39歳の女性同士やパートナーとの抱擁へ、その結果を直接移すことはできない。
比較研究の一部では、言葉と接触の組み合わせによって、ロボットがより思いやり深く見えるなどの可能性が示された。しかし結果は実装に依存し、組み合わせによる追加の利益が見られない研究もあった。研究の多くは実験室で行う短期的なものだった。[8] 「触れれば必ずよく伝わる」という一律の効果を示すレビューではない。
これは夫婦の抱擁を調べた研究ではなく、左右の方向を選ぶ指針にもならない。それでも、接触をめぐる数字を読む練習になる。何に触れ、何を言われ、どのような相手とのやり取りとして評価したかが違えば、同じ「接触を加える」という説明でも結果は同じにならなかったのである。[8] 人とロボットの結果を、夫婦関係の改善効果へ移してはいけない。
レビューでは、暖かく柔らかく自然な接触のほうが、冷たく硬い機械的な接触よりも肯定的な感情面の結果につながりやすいという示唆も整理された。[8] ただし、そこから人のハグについての温度や強さの正解を作ることはできない。対象も接触の設計も異なる。方向だけではなく接触のあり方が研究されている、と理解するところにとどめたい。
夫婦のハグを検索すると、「効果」という言葉が健康、気分、関係のよさをまとめて指しがちだ。しかし左右の実験が測るのは方向の偏りであり、絵画研究が扱うのは描写と美的な好みである。[1][3] ロボットのレビューは発話と触覚を組み合わせたやり取りを扱う。[8] 同じハグという入口から読んでも、何がよくなったのかという問いには、それぞれ別の測定が要る。
自分たちに当てはめるなら、左右を答え合わせの道具にするより、会話のきっかけにするほうが研究との距離を保てる。「いつもこちらに顔を出している気がする」と話すのは観察である。「だから愛情が薄い」と決めると、観察から相手の内面へ飛んでしまう。実験で感情条件が方向に関わったことは、その飛躍の免許にはならない。[3]

よくある誤解
「右向きのハグなら気持ちは肯定的だ」という読み方はできない。感情条件を変えた実験は、左右の偏りが条件で変わることを示した。否定的な状況では全体として偏りが弱まったが、方向から個人の感情を言い当てる判定法を示したわけではない。[3] 相手の顔の位置がいつもと違ったとき、その違いを直ちに不仲の証拠にしないことだ。
「利き手でハグもキスも決まる」も、接触の種類をまとめすぎている。同じ参加者で比較した研究では、抱擁は動作の好みによる影響を受けたが、キスと抱く動作は影響を受けなかった。[3] 日常でなじみのある利き手の説明は便利でも、便利さだけを理由にすべての対人動作へ広げない。抱擁には抱擁として調べる理由がある。
「絵で左寄りが多いから、人のハグも左が正解」という誤解にも注意したい。抱擁の絵には左寄りの傾向があった一方で、実験では右への偏りがあった。[1][3] しかも、見る人が典型的な方向を美的に好むという有意な結果は得られていない。[1] 描写の頻度も、人の動作の頻度も、正しい抱き合い方を指定する規則ではない。
割合には、個人の行動を許可したり禁止したりする意味はない。多数派の側と違っても、それだけで動作の失敗とはならない。研究が描くのは、条件ごとの集団の傾向である。[1][3] 向きがかみ合わず少し動き直す場面まで、愛情の試験にする必要はない。左右の研究を知る楽しみは、身近な動作に問いがあると気づくことにある。
今日からできること
- 身近な接触を振り返るときは、抱擁、キス、赤ちゃんなどを抱く動作の3種類を分けて考える。同じ参加者でこれらを比べた実験でも、動作の好みの影響は共通ではなかった。[3]
- 左右の違いを見つけたら、気持ちの診断へ進まず、どんな場面だったかを言葉にする。中立、肯定的、否定的という3つの条件の比較を、愛情の強弱の点数へ読み替えない。[3]
- 夫婦や恋人と話題にするときは、研究の割合を相手への要求に使わない。絵画の抱擁の62%は左寄りの傾向を示す数字であり、合わせるべき目標ではない。[1]
- 絵や写真の方向を眺める際は、もとの作品と左右反転版の好みを分けて考える。128人の実験でも、典型的な接触方向への有意な好みは示されなかった。[1]
- 接触の効果を読む際は、誰と何を比べたかまで確認する。ロボットの11の実装を整理したレビューを、人同士のハグの左右の処方に変えない。[8]
日常で確かめる対象は、相手の本音の点数ではなく、自分が何を見たかでよい。顔がどこにあったか、どんな場面で抱き合ったか、相手はそのとき何と話したか。そこに研究の数字を重ねるなら、集団で見つかった偏りと、目の前の人とのやり取りとの間に余白を残す。研究を知ったあとも、相手の言葉を聞く場所は空けておきたい。

オンザショア立川店で、自分の体を動かす時間を決める
抱擁の左右を読んだあと、自分が体を動かす時間にも目を向けるなら、続ける場所と予定を具体的にしておく選び方がある。オンザショア立川店は、JR立川駅北口から徒歩1分の溶岩ホットヨガスタジオだ。所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F。通う日を考える際に、駅からの道順も確認できる。
営業時間は8:00〜23:30で、レッスンの開始時刻とは別である。水曜と金曜には21時開始の回がある。年末年始の12/29〜1/3は通常のレッスンを休み、会員向けの特別の有料講座となるため、ふだんの予定をそのまま当てはめない。
溶岩プレートのスタジオでのホットヨガのほか、常温のヨガやピラティスもある。妊娠中は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。体験のヨガは税込1,980円で、60分のレッスンとタオル類、マットのレンタルを含む。店の案内と料金を確かめ、続ける予定の入口として体験の予約を選べる。
参考文献
[1] Artistic turns: laterality in paintings of kisses and embraces — Malatesta G, Prete G, D’Anselmo A, Lucafò C, Tommasi L., 2024, Laterality. DOI: 10.1080/1357650x.2024.2399352
[2] Laterality 2020: Response to the article commentaries — Ocklenburg S, Berretz G, Packheiser J, Friedrich P., 2021, Laterality. DOI: 10.1080/1357650x.2021.1932983
[3] Asymmetries in social touch-motor and emotional biases on lateral preferences in embracing, cradling and kissing — Packheiser J, Schmitz J, Metzen D, Reinke P, Radtke F, Friedrich P, Güntürkün O, 2020, Laterality. DOI: 10.1080/1357650x.2019.1690496
[8] Speech-touch integration for affective human-robot interaction: a scoping review — Howcroft A, Giannaccini ME, Benford S, Khan A, Blake H., 2026, Frontiers in robotics and AI. DOI: 10.3389/frobt.2026.1785039
この記事の情報は2026年11月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
ヨガとからだの小さな疑問のほかの記事
- 30代女性の妻へ。誕生日とクリスマスは希望を聞く?小さい特別が譲るとき
- 30代男性の喜ばれるプレゼントは実用か。品質との心理的な近さを読む
- 右脳と左脳の違いは眠りにもある?初めての場所の夜をモデルと測定で読み分ける
- 金縛りの最中に目は動かせる?手足が動かない夜に残る合図を睡眠実験で読む
- ソイプロテインは乳糖が苦手でも飲める?大豆の糖と乳成分の混合を分けて読む
- ダイエットの沼のオクラの代わりは?スープの粘りを加熱と塩の研究で読む
- ダイエット向きの冷凍パスタ、解凍後の硬さは凍結回数と材料で分かれる
- 歌う健康効果は呼吸のそろい方にも出る?合唱中の心拍が近づく仕組みを読む
- デジャヴは年を重ねると減るのか?体験の頻度と見覚えの働きの年齢差を読む
- 記憶は香りだと幼い頃まで戻る?言葉で思い出す場合と年代の分布を比べる
- 人見知りは目が合うとなぜ気になる?目の下を見る大人と対面で学ぶ場面を読む
- 手書きで外国語の文字は覚えやすい?書き写す練習と読む力の違いを研究で読む
- 孤独は友達の間にも広がるのか?健康リスクの前に読む人間関係の追跡研究
- 泣くとすっきりするのは誰の前でも同じ?慰めと恥ずかしさが分ける涙の後を読む
- 笑う健康効果は仲間との距離にも出る?一緒に笑う実験と寛大さの違いを読む
- チョコを食べたくなる時、想像と距離を取るには?食べる反復との違いを読む
- あくびはなぜうつる、我慢で衝動は強まる?口を閉じる努力と出方を分けて読む
- 辛いものの汗は食べ慣れると減るのか、舌の灼熱感と体の熱を分けて読む
- 昼寝は何分でひらめきにつながる?眠り始めの夢と隠れた規則の発見を読む
- 左利きの特徴は親から受け継ぐのか?双子でも一致しない手の好みを研究で読む
- 片付けの効果は発想の点数に出る?整った机と散らかった机の追試を読む
- 森林浴は木の種類が多いほど休まる?生物の多様さと休まった実感を分けて読む
- 銭湯の健康効果には会話も関わる?湯の温かさと人とのつながりを分けて読む
- 握力と寿命の相関は頭の働きにも表れる?認知機能と一緒に変わる力を追跡で読む
- 観葉植物は夜に酸素を奪うのか。寝室の二酸化炭素を鉢の数で読み分ける
疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。
2







