
音の報告が少なくても、歯の摩耗が目立つ群があった
国内の多施設登録研究では、成人の歯科患者と健康な参加者を登録し、睡眠中の咀嚼筋、つまり噛む動きに関わる筋肉の活動を筋電図で調べた。口や顔の状態、心理社会的な要因、睡眠に関する症状も集め、筋電図で睡眠時歯ぎしりが確認された人の特徴を探索している。患者と健康な成人を含む登録集団であり、18〜39歳の女性全体の特徴を代表するものとしては扱えない。[16]
登録者は910人、そのうち歯ぎしりが確認された例は524人だった。解析では特徴の異なる4つの群が得られ、その中に、歯の摩耗が目立つ一方、歯ぎしりの音の報告や本人の自覚が少ない中年の群があった。この群は解析対象の22.3%を占めていた。中年の群の結果なので、18〜39歳の女性にも同じ割合で見られるかは別に検証する必要がある。[16]
この割合を、一般の人の22.3%に同じことが起きていると読み替えてはいけない。歯ぎしりが確認された登録者を探索的に分けた結果だからだ。また、この群があったことから、静かな歯ぎしりだけで摩耗が起きた、と原因を決めることもできない。群の特徴として、摩耗の程度と音の報告の多さが揃わなかったのである。[16]
ほかには、症状や所見が少ない若い群、朝の症状や自覚が多い中年女性の群、症状や所見が多い若い群が見つかった。筋電図で捉えた活動の型にも群の違いがあった。歯ぎしりをしているかどうかだけではなく、どんな症状があり、何を自覚し、どんな活動が記録されるかが人によって異なるという結果だ。[16]
これは、同居する人との会話にも関係する。「音が減ったから、歯も問題ないはず」と一段飛ばしで結論を出さないためである。反対に、ある晩に音を聞いたからといって、その音から摩耗の量を計算することもできない。音は観察の入口になるが、歯の状態を見る作業まで終わらせてはくれない。[16][17]
歯の摩耗自体も、歯ぎしりの有無と同じものではない。質問票、診察、筋電図を比較した研究では、歯の摩耗に基づく判定の感度は15%、特異度は83%だった。感度とは、対象の状態がある人をどれだけ拾えるかという指標である。摩耗があることだけで、現在の歯ぎしりが必ずあるとは判断できなかった。[17]
歯の擦り減りと噛み合わせなどを扱った33論文の系統的レビューでも、摩耗と自己申告の歯ぎしりは併存するようだとされた一方、特定の噛み合わせに基づく治療法を別の方法より勧める十分な裏付けは得られなかった。関連が見つかったことと、原因や対処法が決まることには距離がある。[10]
疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。
顎のカクッという音は、歯を擦る音と同じなのか
「顎から音がする」という訴えだけでは、夜の歯の擦り合わせを指しているのか、口を開け閉めしたときの関節音を指しているのかが分からない。研究でも、歯を擦る動作の音と顎の関節音は別の観察項目である。聞こえるという共通点だけで、同じ出どころと考えないようにしたい。[18][15]
若い成人を対象とした症例対照研究では、睡眠検査で歯ぎしりが確認された20人と、年齢・性別を対応させた対照20人を比べた。顎の関節音があった割合は、歯ぎしりの群で35%、対照群で5%だった。差は見つかったが、研究者は直接の因果関係が示されたとはしていない。若い成人を対象とした比較でも、18〜39歳の女性だけの関節音の割合として、この数字をそのまま使うことはできない。[15]
この数字は、歯ぎしりの音の発生率でも、大きな音がする人の割合でもない。関節音の頻度を比較した数字である。歯ぎしりと関節音に関連があるからといって、関節音をすべて歯の擦れる音として扱ったり、関節音があれば歯ぎしりだと逆向きに決めたりはできない。[15]
昼間の顎の状態を調べた別の研究も、音だけを追わない理由になる。顎関節や筋肉に痛みがある54人と痛みのない30人に、スマートフォンの通知が届いた時点の顎の状態を答えてもらった。調査は1週間で、顎の筋肉が緩んでいる、顎を固めている、歯が接している、噛み締めている、擦っているといった状態を分けて記録した。痛みのある患者群と痛みのない群の比較であり、18〜39歳の女性に同じ頻度の差があるかは、この結果だけでは決まらない。[19]
覚醒時の歯ぎしり関連行動の頻度は、痛みのある群で62.1%、痛みのない群で36.2%だった。ただし、違いの中心は顎を固める行動であり、歯の接触、噛み締め、擦り合わせには群間差がなかった。高い割合を見て「痛みのある人は歯を擦る回数が多かった」と読むと、結果が別の話になる。[19]
ここでの割合は、通知を受けて報告された顎の状態に基づく数字だ。一般人口で歯ぎしりをする人の割合とは違う。睡眠中の録音研究とも条件が異なる。それでも、音になる擦り合わせだけが顎の活動ではないこと、本人が伝える言葉を細かく分ける意味があることは読み取れる。[19]

よくある誤解
「音が大きいほど、歯を強く噛んでいる」という理解には飛躍がある。口の行動を比べた実験は、音の波形の特徴を調べたもので、音量から噛む力を換算した研究ではない。噛み締めと歯の擦り合わせの音の特徴も同じではなかった。耳に強く残った印象を、そのまま力の測定結果にしないことだ。[18]
「音が聞こえなければ、歯ぎしりはない」も言い過ぎである。多施設登録研究には、歯の摩耗が目立ち、音の報告や自覚が少ない群があった。ただし、報告が少ないことは、すべての夜が無音だったという意味でもない。人から聞いた話、本人の自覚、機器の記録は、それぞれ別の情報として扱いたい。[16]
「歯が擦り減っていれば、今も毎晩鳴っている」と決めることもできない。摩耗による判定と筋電図を比べた研究では、摩耗の存在だけで歯ぎしりの存在は確定しなかった。歯の表面を見た情報と、ある夜の動きを調べた情報は同じではない。どちらかを無意味とするのでなく、何を見た結果かを揃える必要がある。[17]
さらに、録音で拾った音を全部歯ぎしりに数えるのも慎重でありたい。口の音を比べた実験には、食事、飲水、音読も含まれていた。睡眠の研究で筋電図と映像と音を組み合わせるのは、ほかの口の行動と区別するためでもある。音が存在することと、その音の行動名が確定することは別の段階だ。[18][11]
今日からできること
- 音の話を聞いたら、「歯を擦るような音だったか」「口を開けたときの顎の音だったか」を分けてメモする。歯の擦り合わせと関節音は、研究でも別に観察されている。[18][15]
- 音の有無と朝の顎の状態を別の欄に書く。国内登録研究の4群には、自覚や音の報告、朝の症状などが異なる群があった。自分の記録を群の診断に使うのでなく、伝える材料を整理するための工夫である。[16]
- 昼間の様子も気になるなら、静かな作業中の顎の状態を言葉にしてみる。1週間の観察研究のように、顎を固める、歯が接する、噛み締める、擦るを分けると、「力が入っていた」の中身を伝えやすい。[19]
- 家庭で録った音は、音が気になった場面の記録として保存する。頭や耳に8個のセンサーを置いた実験と、家庭の録音を同じ検査と考えない。音だけで歯への影響を判定せず、歯の状態や顎の症状が気になる場合は歯科医師に相談する。[18][17]
相談では、専門用語に置き換えて話す必要はない。「擦る音を聞いた」「朝の顎が気になる」「開け閉めで鳴る」と、観察できた言葉のまま持っていけばよい。研究が複数の方法を使うように、相談する側も音だけに情報を絞らない、という姿勢である。[11][15][16]

オンザショアで、通う時間を予定に置く
音の記録と運動の予定は、それぞれの目的を分けて持ちたい。オンザショア立川店を利用するなら、歯ぎしりの評価は歯科医師への相談で行い、こちらは日々の運動を続ける場所として考える。常温のヨガやピラティス、溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガがあり、ヨガだけで25種類以上のレッスンから選べる。
妊娠中は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。場所はJR立川駅北口から徒歩1分、東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3Fだ。
営業時間は8:00〜23:30。8時開始の回は土曜と日曜だけで、平日の最初の回は月曜から木曜が10時、金曜が13時となる。水曜と金曜には21時開始の回もある。年中無休だが、12/29〜1/3は通常レッスンを休み、会員向けの特別の有料講座となる。
ヨガの体験は税込1,980円。60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルを含む。店舗サイトと料金で条件を確認し、参加する回は体験予約で選べる。
参考文献
[1] Experimental Analysis of Automatic Discrimination Performance Between Simulated Bruxism and Non-Bruxism Under Conscious Conditions Using Electromyography and Machine Learning — Minakuchi H, Nagasaki M, Đình LH, Miki H, Omori K, Nishimura T, Kuboki T, Minema, 2026, International journal of dentistry. DOI: 10.1155/ijod/7874254
[10] Attrition, occlusion, (dys)function, and intervention: a systematic review — van ‘t Spijker A, Kreulen CM, Creugers NH., 2007, Clinical oral implants research. DOI: 10.1111/j.1600-0501.2007.01458.x
[11] [Bruxism: well known, but difficult to fathom] — De Laat A, Lobbezoo F., 2000, Nederlands tijdschrift voor tandheelkunde. DOI: なし
[15] Sleep Bruxism and Occlusal Function: A Case-Control Study Based on Polysomnography in Young Colombians — Aristizabal-Hoyos JA, López-Soto O, Fuentes-Barría H, Aguilera-Eguía R, Angarita, 2025, Journal of clinical medicine. DOI: 10.3390/jcm14196733
[16] Multicenter Sleep Bruxism Clinical Registry in Japan: Development of the registry and exploratory analysis of data-driven clinical subgroups — Okuhara S, Abe Y, Hata K, Kato T, Takaba M, Saito M, Ishiyama H, Suzuki Y, Iida , 2026, Journal of prosthodontic research. DOI: 10.2186/jpr.jpr_d_25_00361
[17] Non-Instrumental and Instrumental Tools Validity in Bruxism Diagnostics — Popescu AM, Ionescu M, Vlăduțu DE, Popescu SM, Marinescu IR, Scrieciu M, Mercuț , 2025, Diagnostics (Basel, Switzerland). DOI: 10.3390/diagnostics15020200
[18] Toward Wearables for Bruxism Detection: Voluntary Oral Behaviors Sound Recorded Across the Head Depend on Transducer Placement — Nahhas MK, Türp JC, Cattin P, Gerig N, Wilhelm E, Rauter G., 2024, Clinical and experimental dental research. DOI: 10.1002/cre2.70001
[19] Ecological Momentary Assessment of Awake Bruxism Frequency in Patients with Different Temporomandibular Disorders — Câmara-Souza MB, Bracci A, Colonna A, Ferrari M, Rodrigues Garcia RCM, Manfredin, 2023, Journal of clinical medicine. DOI: 10.3390/jcm12020501
この記事の情報は2026年11月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
ヨガとからだの小さな疑問のほかの記事
- 腕の筋肉の名称は場所で覚える?肘を曲げる動きと手を返す動きの違いを読む
- 腕の筋肉の長頭は肩も動かす?肘の曲げ伸ばしだけで読めない支える役割
- 30代女性のローファーはなぜかかとが抜ける?サイズと履き口を分けて読む
- 30代のロールモデルは身近な人がよい?憧れが意欲にも諦めにもなる条件を読む
- 30代女性の笑顔は写真でも信頼を生む?目元と任せる場面で変わる第一印象を読む
- 体脂肪率の中学生平均は学年で比べる?思春期の成熟度から数字の意味を読む
- 体脂肪率は痩せ型の平均点で足りる?細い体と少ない筋肉を同じにしない
- 腕のロープ筋トレは速く振るほどきつい?波の回数と酸素消費の関係を読む
- 赤ちゃんの人見知りは顔を覚えた証拠?泣く前の警戒と移動の発達を研究で読む
- 赤ちゃんが寝言で泣くのは夢のせい?眠りながら出る声と目覚めの違いを読む
- 筋トレの筋肉痛は準備運動で防げる?始める前と終えた後で違う痛みへの効果を読む
- 背伸びとあくびはなぜ一緒に出る?目覚めの連動と別々にも起きる仕組みを読む
- プロテインとクレアチンの違いは役割にある?アミノ酸供給とエネルギー再生を読む
- 観葉植物の葉水は水やり代わりになる?葉が吸う水と失わずに済む水の違い
- 左利きの脳は言葉も右側で扱う?利き手と一致しない言語の左右差を研究で読む
- 読書で人の気持ちが分かるようになる?物語への没入と現実の共感を分けて読む
- デジャヴでなぜ次の一言が分かると感じるのか、正答と見慣れの分かれ目
- 森林浴は葉の落ちた冬の森でも休まる?雪景色の静けさと活力の違いを読む
- 読書は紙より画面で目が乾く?瞬きの回数と閉じ方で違う比較試験の答えを読む
- 退屈するとあくびが出るのはなぜ?眠気の表れと相手に届く合図を読み分ける
- 観葉植物の葉を拭くと元気になる?ほこりが遮る光と葉の働きを論文で読む
- 冷えとむくみの靴下は締めるほどよい?保温する布と圧迫する力の働きを読む
- 肩の後ろの筋肉は何をしている?棘下筋と小円筋の外旋と支える働きを読む
- 顔のむくみでくまが濃く見える?水分のふくらみと色素、目の下の影を読み解く
- 上半身太りと下半身太りは何が違う?脂肪の量と場所で読む代謝との意外な関係
- ピラティスのレギンスはなぜ静電気が起きる?布と肌の接触と湿度を読み解く
- 手足の汗は同じ役目なのか?足裏が濡れる量と手のひらの差を読み分ける
- 桃の追熟で香りは増え続ける?ダイエット中の甘そうを保存実験から読み直す
疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。
2






