
遺伝子の反応と実際の働きは同じ倍率で動かない
調節因子の数字が大きいと、「体も同じ割合で変わった」と感じやすい。そこで参考になるのが、運動習慣のない男性23人を対象にした無作為化二重盲検プラセボ対照試験である。平均年齢は44±7歳で、ミトコンドリアを標的とする抗酸化物質の摂取が運動への反応にどう関わるかを調べた。18〜39歳の女性にそのまま当てはめられる結果ではなく、この男性集団での反応として読む。[4]
試験では、摂取後に高強度の自転車運動を行い、さらに週3回、3週間の高強度インターバルトレーニングを実施した。単回の運動に対する筋肉のPGC-1αの遺伝子発現の増加は、抗酸化物質を摂取した群で大きかった。だが、トレーニングによるミトコンドリア量の増加は群間で同程度だった。[4]
最大酸素摂取量と自転車のタイムトライアル成績の改善も、群間で同程度だった。一方で、運動負荷試験中に達したピーク出力の増加は、摂取群で大きかった。指標ごとに群間の違いが異なり、どの結果を選ぶかで説明の印象が変わる。著者らも、出力の違いをミトコンドリア形成への効果と結び付ける結果ではないと整理している。[4]
この試験から持ち帰りたいのは、抗酸化物質を買う判断よりも、結果を並べて読む習慣だ。遺伝子発現、ミトコンドリア量、持久的な成績、ピーク出力を分けると、調節の反応だけを抜き出した説明の危うさが見える。一つの指標での優位性は、その指標についての結果として受け取る。[4]
また、この参加者は中年男性である。18〜39歳の女性にそのまま当てはめて、最適な運動方法を決めることはできない。対象を確認するのは、研究を遠ざけるためではない。「ヒトで確かめた」という言葉の中にも、年齢、運動歴、介入内容という具体的な条件があることを保つためである。[4]
別の無作為化試験では、運動習慣の乏しい60〜72歳の健康な男性を対象に、8週間の運動と、レスベラトロールという物質の摂取を比較した。運動によってPGC-1αの遺伝子発現は約1.5倍、クエン酸合成酵素の活性は約1.3倍、脂肪酸代謝に関わる酵素の活性も約1.3倍になった。18〜39歳の女性でも同じ倍率で変化するかは、この高齢男性の試験からは判断できない。[13]
同時に、片脚の膝伸展運動で疲労困憊に至るまでの時間は約1.2倍になった。調節因子、酵素、運動を続けられる時間で、変化の倍率がそろっていない点が大切だ。PGC-1αの約1.5倍という数字を、脂肪燃焼量や体脂肪減少量の倍率として読み替えることはできない。[13]
レスベラトロールには、これらの代謝指標への上乗せ効果は認められなかった。さらに、運動による酸化ストレスや炎症に関わる一部の指標の改善を弱めた。先の試験とは物質も参加者も異なるため、抗酸化に関わるものを一括して評価する話ではない。期待される仕組みより、実際に動いた指標を確かめる姿勢がここでも役に立つ。[4][13]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
脂の利用能力を体脂肪の減少率へ換算しない
脂肪酸の代謝に関わる酵素の活性が増えたという結果は、筋肉が変化した具体的な証拠になる。しかし、それは身体に蓄えられた脂肪が同じ割合で減ったという測定ではない。高齢男性の試験で示された酵素活性や持久時間の変化は、その名前のまま受け取る必要がある。数字に付いた測定対象を落とすと、研究の意味が変わってしまう。[13]
日々の運動記録でも、記録欄を分けると考えやすい。選んだ運動、行った時間、負荷の感じ方、続けやすさをまず残す。それらは生活の中で確認できる情報であり、筋肉内の分子を測定した数字の代わりにはならない。手帳に「脂肪処理場が増えた」と書くより、何を続けたかが分かる記録のほうが、次の予定を決める材料になる。
運動時間についても、長くすれば調節因子の刺激が比例して増える、という考え方には注意したい。運動の長さと強さを検討したレビューでは、有酸素運動を30分から90分へ延ばしても、PGC-1αの修飾や遺伝子発現を調節する信号への追加刺激にならないと整理されている。ここで扱うのは分子の信号であり、長い運動の価値全体を否定する結果ではない。[20]
同レビューは、強度や、どの筋線維が動員されるかが信号に関わることも扱う。仕事量をそろえた比較で、間欠的な運動が連続運動よりミトコンドリア形成の活性化に効率的だと論じるが、分子への刺激の強さと、その人が続けられる運動の選択は分けて考えたい。これは「毎回もっと追い込むべきだ」という生活指示として使う数字ではない。[20]
たとえば夜に予定より遅く帰宅した日、長時間動けないことを、細胞の適応が全く起こらないことと同一視しなくてよい。逆に短時間で強く動いたことだけを、体脂肪が大きく減った証拠にもしない。運動時間、分子の反応、体全体の変化をそれぞれの問いとして扱えば、分子の話に予定表を振り回されずに済む。[15][20]
研究紹介を誰かに伝えるなら、「運動で増えた」に続けて、何が増えたかまで言葉にしたい。高齢男性の試験なら、筋肉内の遺伝子発現や酵素活性、膝伸展運動の持久時間である。そこまで添えれば、相手は数字の意味と対象を同時に受け取れる。逆に「脂肪の処理能力が上がった」とだけ伝えると、運動中の脂肪利用から体脂肪の減少まで、広すぎる意味を背負わせやすい。[13]

よくある誤解
「PGC-1αが増えたなら、ペルオキシソームが増えた」。この読み方では、調節する因子と、細胞内の構造を混同している。PGC-1αは複数の転写の仕組みを調整し、筋肉の代謝や収縮の性質などに関わる因子である。その遺伝子発現の増加は、発現という測定対象についての結果として扱いたい。[15]
「筋トレをすると、有酸素運動の設備づくりが消える」。併用トレーニングのレビューは、そのような一律の説明を支持していない。筋トレと持久性トレーニングの信号には相互作用があり、筋肥大とミトコンドリアへの適応が同時に起こることが議論されている。ただし、併用なら必ず体脂肪が最も減るという順位まで付けた結果ではない。[2][3]
「酵素の活性が約1.3倍なら、体脂肪もその比率で減る」。酵素活性の測定と、体脂肪量の測定は異なる。高齢男性の試験では、酵素、遺伝子発現、持久時間の変化の倍率さえそろっていない。数字は大きさだけでなく、何の数字かを一緒に読む必要がある。小数点まで示された数字でも、測った対象を変えて換算する根拠にはならない。[13]
今日からできること
- 運動の記事でPGC-1αを見たら、調節因子の話として読む。発現、量、機能のどれを測った結果かを確認する。[15]
- 筋トレと有酸素運動を予定に入れる際は、片方がもう片方の適応を必ず消すという前提を置かない。併用のレビューは相互作用を示している。[2]
- 「約1.3倍」という紹介を見たら、酵素の活性なのか、運動成績なのかを確かめる。体脂肪の減少率への読み替えを避ける。[13]
- 週3回・3週間という試験の条件を、自分への処方として丸写ししない。対象は運動習慣のない中年男性であり、調べた介入も特定されている。[4]
- 長くできなかった日の運動を数字だけで採点しない。30分と90分を比べた分子の研究でも、時間と刺激が比例するという整理にはなっていない。[20]

オンザショア立川店で運動の予定を具体化する
分子の名前より、まず通う時間と場所を決めたい。オンザショア立川店はJR立川駅北口から徒歩1分、営業時間は8:00〜23:30で、年中無休である。朝の予定にも仕事帰りにも、営業時間を照らし合わせて検討できる。
所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F。溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガに加え、常温のヨガ、ピラティス、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニングがある。ヨガだけでも25種類以上のレッスンがあり、通う曜日と受けたい内容を具体的に考えるための選択肢になる。
妊娠中は溶岩ホットヨガには参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。参加条件を確かめたうえで、通う時間を考えたい。
ヨガの体験レッスンは税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。
レッスンの案内は店のトップ、通い方の検討は料金、初回の日程は体験の予約で確認できる。
参考文献
[2] Integrative effects of resistance training and endurance training on mitochondrial remodeling in skeletal muscle — Zhao YC, Gao BH., 2024, European journal of applied physiology. DOI: 10.1007/s00421-024-05549-5
[3] Resistance Training Improves Hypertrophic and Mitochondrial Adaptation in Skeletal Muscle — Zhao YC, Wu YY., 2023, International journal of sports medicine. DOI: 10.1055/a-2059-9175
[4] MitoQ supplementation augments acute exercise-induced increases in muscle PGC1α mRNA and improves training-induced increases in peak power independent of mitochondrial content and function in untrained middle-aged men — Broome SC, Pham T, Braakhuis AJ, Narang R, Wang HW, Hickey AJR, Mitchell CJ, Mer, 2022, Redox biology. DOI: 10.1016/j.redox.2022.102341
[8] Tuning fatty acid oxidation in skeletal muscle with dietary fat and exercise — Fritzen AM, Lundsgaard AM, Kiens B., 2020, Nature reviews. Endocrinology. DOI: 10.1038/s41574-020-0405-1
[13] Exercise training, but not resveratrol, improves metabolic and inflammatory status in skeletal muscle of aged men — Olesen J, Gliemann L, Biensø R, Schmidt J, Hellsten Y, Pilegaard H., 2014, The Journal of physiology. DOI: 10.1113/jphysiol.2013.270256
[15] Complex Coordination of Cell Plasticity by a PGC-1α-controlled Transcriptional Network in Skeletal Muscle — Kupr B, Handschin C., 2015, Frontiers in physiology. DOI: 10.3389/fphys.2015.00325
[20] Adaptation of Skeletal Muscles to Contractile Activity of Varying Duration and Intensity: The Role of PGC-1α — Popov DV., 2018, Biochemistry. Biokhimiia. DOI: 10.1134/s0006297918060019
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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