筋トレと有酸素運動で膝の腱は同じように育つ?併用試験で違った硬さを読む

筋トレと有酸素運動を一日おきにすれば、膝の腱も同じように育つのか。持久系選手への筋トレ追加で硬さが増した試験と、筋力だけが増した試験を比較する。腱の太さ、力を受けたときの伸び、長期の運動歴を分け、運動の名前や曜日だけでは決まらない変化を読み解く。

スクワットで扱える重りが増えた。膝の腱も同じだけ変わったのだろうか。予定表に違う運動が並ぶと、膝の腱にも違う刺激が順番に届き、同じように育つ気がする。だが持久系運動に筋トレを足した研究では、膝の腱の硬さが増した試験と、筋力が増しても腱の硬さは変わらなかった試験がある。[2][19]

答えの芯は、筋トレと有酸素運動を同じものとして数えないことだ。併用試験では腱の硬さが変わる場合と変わらない場合があり、有酸素運動側にも変化の報告がある。下り坂を走る介入では腱の硬さが増しており、運動の名前だけで反応を分けることはできない。[2][14][19]

ここで扱うのは、膝蓋腱という膝の腱を測った研究である。既存記事「深いスクワットの効果は腱にも表れる?筋力と膝の腱が変わる時間を分けて読む」にスクワットの論点を譲り、こちらは持久系運動との併用で何が一致し、何が食い違ったかを追う。一日おきという曜日の並びを採点する前に、研究が測った変化を確かめたい。

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腱が「育つ」を、太さと硬さに分ける

研究でいう腱の硬さは、力を受けたときの伸びとの関係から評価する機械的な性質だ。筋肉痛のような感覚や、前屈で床に手が届くかという柔軟性とは測り方が違う。膝蓋腱を調べた併用試験では、超音波で力と伸びの関係を測っている。朝の階段で脚が軽かった、という感想とそのまま交換できる数値ではない。[2]

太さの指標は断面積である。さらに研究にはヤング率という、組織の材料としての性質を表す指標も登場する。若い男性の筋トレ試験では、硬さやヤング率が増した一方、腱の断面積は各群内で明確に増えていなかった。男性の結果であり、18〜39歳の女性への適用には性別の違いを考える必要がある。腱の変化を「太くなること」だけで代表させると、実際に起きた機械的な変化を取りこぼす。[7]

反対の組み合わせもある。高齢男性の試験では膝蓋腱の断面積が増したが、共通の力で比べた硬さやヤング率の増加は膝蓋腱では確認されなかった。太くなったから硬さも増した、と読み進めるわけにはいかない。18〜39歳の女性にこの高齢男性の反応をそのまま当てはめることはできず、成績表の別々の欄を見ているのである。[4]

「腱に効いた」という言葉を見たら、どの欄が動いたのかを確かめる。筋力、腱の断面積、硬さが同時に同じ割合で変わるという前提を置かない。その読み方をすると、筋力は増えたのに腱の硬さは変わらなかった試験も、矛盾した結果として片づけずに読める。[4][7][19]

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持久系運動に筋トレを加えて、硬さが増した試験

よく鍛えられたトライアスロン選手を対象にした無作為化比較試験では、18人を持久系運動と筋トレの併用群、持久系運動だけの群に分けた。併用群は週3回の筋トレを12週間行った。もともと大量の有酸素運動をしている選手に、重い負荷の筋トレを加えた比較である。18〜39歳の女性でも、日常の運動量が異なれば、この選手集団と同じ反応を想定できない。[2]

併用群では膝蓋腱の硬さが15.8±8.5%増加した。同時に、膝を伸ばす等尺性最大筋力は8.9±5.7%、スクワットで持ち上げられる最大重量は20.0±9.7%増えた。等尺性とは、関節を動かさず力を出す測定である。腱の硬さと筋力の両方に変化があったが、増加率は同じではなかった。[2]

この結果は、持久系運動を多く行っている状態でも、重い筋トレに対して膝蓋腱が反応しうることを示す。有酸素運動をしているから筋トレの刺激がすべて消える、という決めつけには合わない。ただし対象はよく鍛えられた選手であり、運動を始めたばかりの人の変化率を予告する数字ではない。[2]

同じ介入でアキレス腱の硬さも39.1±31.8%増した。膝蓋腱と同じ割合ではなく、値のばらつきも大きい。脚全体を「腱が何割強くなった」とひとまとめにすると、部位による違いまで消えてしまう。ましてこの硬さの増加率を、けがが減る割合に読み替えることはできない。[2]

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女性持久系選手では、筋力と腱が別の結果になった

対照的なのは、よく鍛えられた女性持久系選手19人を対象にした無作為割り付けの試験だ。通常の持久系運動だけを行う群と、それに週2回の重い筋トレを11週間加える群を比べた。追加したのは脚の4種目で、各種目は4〜10回を限界とする負荷を3セット行う構成だった。女性の研究でも競技者の結果であり、18〜39歳の女性一般に同じ反応を見込むには運動歴の違いが残る。[19]

併用群の脚の最大挙上重量は40±15%増えた。ジャンプの高さや太ももの筋線維の断面積も増したが、膝蓋腱の硬さには変化がなかった。力が増えたから腱も同じように変わったはずだ、という推測は、この試験では当たらなかったのである。[19]

さらに、走る際の経済性、つまり走行時のエネルギー利用の効率や、40分間の全力走で進む距離も改善しなかった。筋力の増加、腱の変化、走行成績は、それぞれ測って答えを出す必要がある。重りの記録が伸びた日、その数字をランニングの成績表に移しても得点にはならない。[19]

先のトライアスロン試験との食い違いを、女性だから、週の回数が少ないから、という単独の理由で説明するのも早い。対象競技や運動歴、介入の構成が違う試験同士であり、その違いのどれが結果を分けたかを直接比較した設計ではない。読者に近い性別の研究は大切だが、それだけで全員の反応を決める材料にはならない。[2][19]

下り坂を走った研究が、運動名の境界を揺らす

有酸素運動側にも、膝蓋腱の硬さが変わった報告がある。運動習慣のない健康な若い成人12人、女性5人と男性7人が参加した下り坂走の介入研究では、4週間で10回の練習を行った。走る速さは最大酸素摂取量の60〜65%に相当し、各回の時間は15分から30分へ段階的に延ばした。男女を合わせた結果なので、18〜39歳の女性だけの反応として扱うことはできない。[14]

介入後には膝蓋腱の硬さが6.4±7.4%、ヤング率が6.9±8.8%増した。膝を伸ばす最大の力や太ももの筋体積にも増加があった。この研究は、走る運動でも腱の機械的性質が変わりうる例であり、「腱を変えるのは筋トレだけ」という区分を支持しない。[14]

ただし下り坂走という条件を落として、普段の平地の散歩や軽いジョギングも同じ、と広げることはできない。研究が扱ったのは、筋肉が伸ばされながら力を発揮する運動としての下り坂走だ。息が上がる運動かどうかという分類と、腱が受ける負荷の分類は完全には重ならない。[14]

この報告は少人数の介入前後の変化であり、重い筋トレと下り坂走を無作為に割り付けて優劣を決めた試験ではない。増加率を別の研究の数値と横に並べても、効果の順位にはできない。立川駅まで歩く坂道を探し直すより、まず研究の運動条件を残して読むことが先だ。[2][14]

下り坂走の研究は、変化の途中も調べている。介入前だけでなく、開始から2週間と4週間の時点に測定を置き、筋肉の大きさと腱の性質を一緒に追った。腱の適応を考える際に、終了日の数字だけでなく、負荷を受けてきた経過へ目を向けた設計である。研究者らは、硬さやヤング率の変化が、期間中の機械的な応力の増加よりも、筋肥大で表される負荷の履歴と関係する可能性を示している。[14]

この関係は、筋肉を大きくすれば腱が必ず変わるという因果の証明ではない。同じ運動を続けた中で、どの変化が結びついていたかという分析だ。筋力の伸びだけを見た場合とは違う視点を与える一方、下り坂を使うべきか、どの負荷が自分に適するかという個人の判断まで決めるものではない。[14]

併用試験でも、調べる時点を区別すると読みやすい。トライアスロン選手の研究は、介入前後の腱の測定に加え、筋トレの実験セッション前後に血液中の指標も測っていた。腱の周囲の基質の変化に関連する指標と、力をかけて測る硬さは、同じ検査ではない。運動直後に血液の値が動いたことと、継続後に腱の性質が変わったことを、ひとつの瞬間の出来事としてつなげないようにしたい。[2]

帰り道で「今日は脚を使った」と感じても、その日の感覚から長期の検査値までは読めない。研究では運動後の反応と介入前後の性質を分けて測る。その区別を生活に持ち帰るなら、疲れた実感を成果の検査の代わりにせず、何を続けてきたかを記録に残すことになる。[2]

数字で読む膝の腱と併用運動

トライアスロン選手18人:持久系運動に週3回、12週間の筋トレを追加した比較。[2]

膝蓋腱の硬さ15.8±8.5%増:その併用群での変化で、全員に保証される値ではない。[2]

女性持久系選手19人:11週間の筋トレ追加で筋力が増しても、腱の硬さは変わらなかった。[19]

下り坂走4週間:健康な若い成人の介入で、腱の硬さが6.4±7.4%増した。[14]

長期筋トレ歴4年:短期群や非鍛錬群と比べても、膝蓋腱の断面積に群間差はなかった。[18]

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宮川涼 Founder

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