
高齢者では心拍数だけで流れを強くしない
陸上で見慣れた心拍数を、水中でもそのまま目標にしてよいだろうか。11人が水中と陸上のトレッドミル運動を別々に行ったクロスオーバー試験では、水中運動の心拍数は全体として陸上より11拍/分低かった。一方、中大脳動脈の血流速度の増加は水中側で大きかった。[18]
この試験では、陸上と水中の速度設定が同一ではない。水中の方が心拍数が低いという結果を、同じ速度なら必ず同じ差になる公式にはできない。水深を変えた比較でも心拍数と脳の血流速度は同じ動きをしておらず、心拍だけで体内のすべての反応を代表させないことが大切だ。[18]
たとえば親とプールに行き、陸上散歩のときより時計の数字が低かったとする。それだけを理由に「まだ余裕があるから流れの強い方へ」と誘うのは避けたい。この小規模試験は高齢者全員の目標心拍を決めるものではないが、水中と陸上の数字を同じ物差しとして扱わない理由にはなる。[18]
継続の研究ではどうか。運動習慣のない高齢者を対象とした無作為化比較試験では、水中と陸上の歩行を個別に調整し、相対的な運動強度を合わせて24週間実施した。頻度は週3回で、運動時間は週150分へ進められた。結果として、両方の運動群で最大酸素摂取量が対照群より改善した。18〜39歳の女性への適用は別途検証が必要だが、高齢の家族の運動を考える際には対象の合った比較になる。[16]
最大酸素摂取量は、運動時に体が取り込んで使える酸素の最大量を示す心肺体力の指標である。体重当たりの変化の平均値と標準誤差は、陸上群が0.57±0.62、水中群が0.93±0.75 mL/kg/min、運動しない対照群が−1.75±0.78 mL/kg/minだった。水中の数値が大きいから水中の圧勝、と読む比較ではない。[16]
著者らは、相対的な強度が同じなら心肺体力の改善は同程度と結論している。一方、疲労困憊まで運動できた時間の有意な増加は陸上群だけで見られた。心肺体力という大きな言葉の中でも、酸素を使う能力と運動を続けられた時間では結果がそろわない。[16]
さらに、介入を行わない期間を経た48週時点では、運動による適応は開始時に近い水準へ戻っていた。体組成の試験でも、介入後の追跡期間には利益が維持されなかった。強い流れで一度頑張る案より、続けられる条件を選ぶ案を考えたくなる結果である。[16][12]
血管に注目しても、水中が一律に優れるわけではない。座りがちな高齢者51人を対象とした24週間の試験では、上腕の血管が刺激に応じて広がる機能について、陸上歩行の方が水中歩行より有利である可能性が示された。18〜39歳の女性でも陸上が有利かは、この高齢者の比較から決められない。[15]
一方、運動習慣がなく血圧が高めの男性19人が参加した単回運動のクロスオーバー試験では、運動後の収縮期血圧の低下は、水中で平均4.9 mmHg、陸上で2.6 mmHgと水中の方が大きかった。これは直後の反応を調べる研究であり、長期間の血管機能の試験とは測っている時間幅が異なる。18〜39歳の女性の血圧反応を、この男性の結果から予測することはできない。[17][15]
その単回試験での血管拡張反応の変化は、水中で1.2%、90%信頼区間が−0.07〜2.5%だった。差がない位置をまたいでおり、「水中なら血管機能が確実に上がる」という言い方はしない。対象者の特徴と測った時点を添えてこそ、数字は役に立つ。[17]
高血圧のある人を対象とした系統的レビューも、期待と慎重さを併せ持つ。11研究、計402人を検討し、水中運動と血圧低下との関連を示したが、研究間の違いや方法上の限界があり、慎重な解釈を求めている。含まれた運動には水中歩行のほか、筋力運動や体操などもある。高血圧患者を対象とする結果であり、18〜39歳の女性に疾患の有無を問わず当てはめるのは適切でない。[4]
つまり、この血圧の結果を流れの強さの成績表に置き換えることはできない。血圧を下げたいから水流を増す、という自己流の処方にはつなげず、持病や治療がある場合の運動条件は医師に確認する。施設で相談するときも、「強い方がよいか」だけでなく、自分の目的と普段の運動状況を伝えたい。
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
よくある誤解
「水の中なら、入っている間も出た後も同じように安心」という理解には境目がある。起立性低血圧とは、立ち上がる際に血圧が下がる状態を指す。そのある高齢者14人と、ない高齢者11人を含む無作為化クロスオーバー試験では、水中と陸上での15分間の歩行が比較された。18〜39歳の女性で同じ頻度変化が起こるかは、この高齢者の試験では判断できない。[5]
起立性低血圧のある群では、水に浸かっている間、その発生頻度が陸上環境より86%少なかった。しかし、水中歩行後にプールから出て測ると、発生頻度は陸上歩行後と同程度だった。水中での反応を、プールサイドへ出た後まで持ち越せるとは限らない。[5]
この試験では水中歩行直後に平均動脈圧が高まり、歩行から2時間後には、環境にかかわらず平均動脈圧と起立性低血圧の頻度が同程度だった。環境と時間で反応が変わるのである。水中で調子よく歩けたことと、退出後の体調確認を省けることは別の話としておきたい。[5]
「水中なら陸上より筋トレになる」という思い込みにも、測定結果は単純に応じない。水中トレッドミルで筋活動が低かったレビューと、長期の水中歩行で下肢除脂肪量が増えた試験は両立する。その場の活動の大小と、続けた後の組織の変化は、同じ測定ではないからだ。[13][12]
「心拍数が低ければ負荷が足りない」という決めつけも避けたい。水中と陸上では心拍数と血流速度の反応が異なる試験があり、強度を合わせた高齢者の継続試験では両環境で心肺体力が改善した。時計の数字を陸上に追い付かせることが、水中歩行の目的になる必要はない。[18][16]
親の運動を手伝うなら、成果を急いで代理で決めないことも大切だ。「昨日より流れに勝てたか」という質問だけでは、本人が続けたいと思っている条件が見えにくい。「どこで歩いたか」「次も同じ場所へ行けそうか」と尋ねれば、次回の相談材料になる。プールは毎回の勝敗を記録する場所でなくてよい。

今日からできること
- 運動記録には、水の重さの感想に加えて、深さ、歩く場所、速度の設定を残す。42研究を検討したレビューでも水深と速度が重要な比較条件であり、感想だけより次回の相談に使いやすい。[14]
- 陸上の心拍数に合わせるためだけに流れや速度を上げない。11人の比較試験では水中の心拍数が全体で11拍/分低く、心拍数だけでは環境の違いを読み切れなかった。[18]
- 継続できる枠を施設の担当者と相談する。高齢者の試験は週3回、24週間の個別調整された運動であり、その頻度を初日から一律にまねするための数字ではない。[16]
- 体重だけを成果の欄にしない。72人の試験では体重に有意な変化がなくても体組成に変化があった。何を確認するかを先に決め、流れの強さと成果を直結させない。[12]
- 立ちくらみがある人は、プールを出た後の体調も相談する。15分間の歩行を比べた試験では、水中と退出後で起立性低血圧の反応が違った。持病がある場合の参加や負荷は医師に確認する。[5]
オンザショア立川店で、通う条件を具体的にする
水流との勝負から離れて、続ける運動の種類と通える条件を選ぶ。オンザショア立川店を検討するときも、この記事で分けた「何を目的に動くか」を先に言葉にしたい。水中歩行の研究結果を、そのまま当店のレッスンの効果へ置き換えることはできない。
当店では常温のヨガ、ピラティス、パーソナルトレーニングのほか、溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガを行っている。ヨガだけで25種類以上のレッスンがある。妊娠中は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。内容は店のトップで確認できる。
所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F、JR立川駅北口から徒歩1分。営業時間は8:00〜23:30、年中無休である。移動とレッスンの時間を予定表に置き、生活の中で続けられる枠を考える。
ヨガの体験レッスンは税込1,980円。60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルを含む。料金と体験の予約を確認し、参加条件と日程を合わせて検討したい。

参考文献
[4] Effects of Aquatic Exercise on Individuals with Hypertension: A Systematic Review — Rodríguez-Otero H, Hernandez-Lucas P, Escobio-Prieto I, Lantarón-Caeiro E., 2026, Healthcare (Basel, Switzerland). DOI: 10.3390/healthcare14040513
[5] Impact of Land Versus Water Environments on Orthostatic Hypotension in Older Adults: A Randomized Crossover Study — Dunlap E, Alhalimi T, McLaurin N, Tanaka H., 2025, Journal of aging and physical activity. DOI: 10.1123/japa.2023-0338
[12] Land- versus water-walking interventions in older adults: Effects on body composition — Naylor LH, Maslen BA, Cox KL, Spence AL, Robey E, Haynes A, Carter HH, Lautensch, 2020, Journal of science and medicine in sport. DOI: 10.1016/j.jsams.2019.08.019
[13] A review on muscle activation behaviour during gait in shallow water and deep-water running and surface electromyography procedures — Silva MF, Dias JM, Dela Bela LF, Pelegrinelli ARM, Lima TB, Carvalho RGDS, Tagli, 2020, Journal of bodywork and movement therapies. DOI: 10.1016/j.jbmt.2020.06.005
[14] Quantifying physiological and biomechanical responses of shallow water walking: a systematic review and meta-analysis — Ivaniski-Mello A, Zimmermann Casal M, Costa RR, Alberton CL, Martinez FG, Peyré-, 2023, Research in sports medicine (Print). DOI: 10.1080/15438627.2021.2020786
[15] Effects of Land versus Water Walking Interventions on Vascular Function in Older Adults — Haynes A, Naylor LH, Spence AL, Robey E, Cox KL, Maslen BA, Lautenschlager NT, C, 2021, Medicine and science in sports and exercise. DOI: 10.1249/mss.0000000000002439
[16] Land-walking vs. water-walking interventions in older adults: Effects on aerobic fitness — Haynes A, Naylor LH, Carter HH, Spence AL, Robey E, Cox KL, Maslen BA, Lautensch, 2020, Journal of sport and health science. DOI: 10.1016/j.jshs.2019.11.005
[17] An Acute Bout of Aquatic Treadmill Exercise Induces Greater Improvements in Endothelial Function and Postexercise Hypotension Than Land Treadmill Exercise: A Crossover Study — Joubert DP, Granados JZ, Oliver JM, Noack BL, Grandjean PW, Woodman CR, Riechman, 2018, American journal of physical medicine & rehabilitation. DOI: 10.1097/phm.0000000000000923
[18] Cerebral Blood Flow Responses to Aquatic Treadmill Exercise — Parfitt R, Hensman MY, Lucas SJE., 2017, Medicine and science in sports and exercise. DOI: 10.1249/mss.0000000000001230
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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