脂肪燃焼の運動は脚に残る糖でも変わる?空腹だけでは読めない燃料の使い方

同じ自転車運動でも、筋肉に残る糖の蓄えによって使う脂肪の量は変わる。糖を飲みながら動いた比較試験を軸に、空腹、血糖、筋グリコーゲンの違いを読む。脂肪利用が増えても運動が楽になるとは限らない理由と、食事を削る前に確認したい研究の条件を、立川で運動を続ける日常につなげる。

自転車マシンの横で飲料のふたを開ける。「糖を飲んだら、脂肪は使われなくなるのか」。だが、食べたかどうかだけでは運動中の燃料は決まらない。糖を含む飲料を飲みながら自転車をこいだ試験でも、運動前に筋肉へ蓄えていた糖が少ない条件では、脂肪を使う速度が高かった。[14]

ここでいう筋グリコーゲンとは、筋肉に蓄えられた糖のことである。脂肪燃焼は、研究では脂肪を燃料として利用する「脂肪酸化」として調べられる。筋肉の糖の蓄えが少ないと、運動中の燃料の分担が脂肪寄りになる場合がある。空腹の我慢比べだけでは見えない話だ。[14][20]

ただし、その変化を狙って食事を削ることが、運動を続ける近道になるかは別の問いである。筋肉の糖が少ない条件で、脂肪利用と主観的なきつさがともに増した試験もある。この記事の問いは、食べない方法ではなく、同じ運動で使う燃料が違う理由である。[15]

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空腹、血糖、筋肉の糖は同じ欄に書けない

「糖が少ない」という言葉には、別々の場所の話が混ざりやすい。直前に糖を口にしていないこと、血液の中にある糖の濃度、筋肉に貯蔵された糖の量は、区別して読む必要がある。筋肉の糖を変えた試験では、運動前の食事と運動を組み合わせて蓄えを調整し、筋肉の試料を採って確かめている。朝食を抜いたという日記だけで代用した実験ではない。[14][15]

持久運動中の筋肉の適応を扱う低糖質・高脂肪食のナラティブレビューでは、食事によって脂肪の利用可能性が増え、筋グリコーゲンが減ると、最大能力より低い強度の運動で脂肪への依存が増し、糖への依存が減ると整理されている。燃料の「使える量」が変われば、その場での使い分けも変わるという筋道だ。これは18〜39歳の女性に絞った比較試験ではなく、その年代の女性での変化量を直接示す整理ではない。[20]

この整理では、糖を減らした作用と脂肪を増やした作用が一緒に動くことにも目を向けたい。低糖質食の試験を読んで「筋肉の糖だけがすべてを決めた」と言い切ると、食事全体を変えた条件が消えてしまう。筋肉の蓄えは重要な説明要因であっても、献立を丸ごと変えた実験には、燃料の供給側の変化も含まれる。[20]

たとえば「昼食を食べた日」と「昼食を抜いた日」を比べるだけでは、前日の運動も、その後の食事もそろわない。これは自分の記録を捨てる理由ではなく、記録の名前を正しくする理由になる。「空腹だった」は感覚の記録であり、「筋グリコーゲンが少なかった」は筋肉を測って得る説明だ。研究が行った操作と、日常で分かることを重ねすぎないようにしたい。[14][15]

肝臓からの糖の供給については、既存記事「空腹の運動中も肝臓が糖を出す?蓄えの分解と新しく作る糖の分担を研究で読む」に譲る。ここでは脚を動かす前の筋肉の蓄えと、動いている間に使う燃料との関係を追う。

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糖を飲みながらでも脂肪利用に差が出た

中心になるのは、男性12人を対象にした無作為化クロスオーバー試験である。平均年齢は21歳で、同じ参加者が条件を変えて試験を受けた。先に自転車運動でグリコーゲンを減らし、その後の24時間の食事を変えて、筋肉の糖が少ない状態と十分ある状態を作っている。同じ人の条件差を比べた研究であり、18〜39歳の女性でも同じ差が出るかは、この男性の試験では確かめていない。[14]

少ない条件では、食事中の糖質が体重あたり1.5 g/kg、脂質が3.0 g/kgだった。十分ある条件では糖質が6.0 g/kg、脂質が1.0 g/kgだった。これは実験条件の紹介であり、普段の食事の目標量ではない。糖質を減らす側では脂質も増えており、前の節で見た燃料供給の組み替えが実際に行われている。[14]

その後に行ったのは80分の一定強度の自転車運動で、強度は最高酸素摂取量の64±3%だった。最高酸素摂取量とは、運動時に酸素を取り込んで使う能力を示す指標である。この間、参加者はブドウ糖と果糖を含む飲料を飲んでいた。筋肉の糖が少ない条件も、運動中にも糖を補給していた。[14]

運動開始時の筋グリコーゲンは、乾燥させた筋肉の重さあたりで、少ない条件が217±103 mmol/kg、十分ある条件が396±70 mmol/kgだった。ここでの単位は筋肉の試料に含まれる量を示し、食べた糖質の重さとは異なる。食事量のgと、筋肉を測ったmmol/kgを、そのまま引き算することはできない。[14]

脂肪酸化速度は、筋肉の糖が少ない条件で0.55±0.10 g/分、十分ある条件で0.38±0.13 g/分だった。同時に、体内に由来する糖の酸化速度は、少ない条件で0.75±0.29 g/分、十分ある条件で1.17±0.29 g/分だった。脂肪だけが単独で増えたと見るより、体内の糖と脂肪の分担が入れ替わったと読む方が結果に沿う。[14]

一方、飲んだ糖を使う能力は、筋肉の糖が少ない条件でも損なわれなかった。体内の蓄えに由来する糖と、外から飲んだ糖を分けて測った点が、この試験の要である。「糖を飲む」と「筋肉に糖が十分残っている」は、同じ状態を指さない。ドリンクの中身だけを見ても、脚の中の在庫までは分からないのである。[14]

この試験では、呼吸のガスから燃料の利用を推定する間接熱量測定と、炭素の目印を使う方法を組み合わせている。飲んだ糖が使われた量を分けるためである。単に運動後の血糖を見ただけなら、体内にあった糖と飲料から入った糖が、どれだけ使われたかという区別はつかない。結論を支えるのは、飲料の有無だけでなく、この測り分けでもある。[14]

筋肉では、糖をエネルギー利用へつなぐ酵素であるピルビン酸脱水素酵素の活性も、糖の蓄えが少ない条件で低かった。また、脂肪代謝に関わる遺伝子の転写の調節は高まっていた。全身で脂肪を多く使うという測定に加え、筋肉内の代謝にも条件間の違いがあったという結果だ。ただし、細胞内の反応を見つけたことは、そのまま運動能力の改善を意味しない。[14]

このように、条件を作る操作、筋肉の測定、全身の燃料測定は役割が違う。食事を変えただけで終わらず、実際に筋肉の蓄えを確かめ、運動中の行き先を追っているからこそ、糖を飲んでいても差が残ったと読める。普段の自転車マシンで消費表示を眺めるときにも、研究が確かめた対象との違いを意識したい。表示の数字から筋肉の在庫を読むことはできない。[14]

血液に糖があれば脚の蓄えは関係ないのか

別の無作為化比較試験では、健康でトレーニング習慣のある男性5人が、筋肉の糖を多くした条件と減らした条件で運動した。自転車運動は90分、最大酸素摂取量の70%の強度で、糖を静脈から入れて血糖を12 mMに保つ特殊な設定だった。糖を点滴する男性の試験であり、18〜39歳の女性が食後に動く場合へそのまま当てはめるには対象と補給方法が異なる。[15]

この設定でも、筋肉の糖を減らした条件で脂肪酸化が増し、糖の酸化が減った。しかも、血液からの糖の利用速度に、それに伴う増加はなかった。血糖を一定の高い水準に保っても、筋肉の蓄えの違いがある条件では、燃料の使い方に違いが残ったのである。[15]

前の飲料の試験と合わせると、口から糖が入るか、血液中に糖があるかだけでは、運動中の脂肪利用を説明しきれない。筋肉の中にある蓄えも含めた条件を見る必要がある。ここでの比較軸は、血糖を一定に保っても筋肉の条件差が残るかどうかである。[14][15]

重要なのは、脂肪を多く使った条件で、主観的運動強度も高かったことである。これは本人が感じる運動のきつさを指す。同じ運動に対して「脂肪を使う」という反応と「楽に動ける」という反応は、同じ向きには動かなかった。脂肪利用の値だけを成績表にすると、本人のしんどさが採点欄から消える。[15]

ここまでの実験とスタジオ運動をつなぐ際の限界は、前提となる燃料条件にある。中心の試験は先行する自転車運動と食事操作で筋肉の糖を減らし、その後に糖を飲みながら一定負荷で80分こぐ設計だった。日常のヨガでは、この枯渇操作も一定負荷の持続運動も前提にしていない。したがって毎分の脂肪利用の数値や条件間の差を、レッスンの消費量や食事の処方へ換算する根拠にはできない。持ち帰れるのは、直前の飲食だけで燃料の分担を判断しないという見方である。[14]

数字で読む筋肉の蓄えと燃料

男性12人の比較:同じ人が筋肉の糖の少ない条件と十分な条件を経験した。[14]

80分の自転車運動:糖を含む飲料を飲みながら、一定強度で比較した。[14]

217対396 mmol/kg:運動開始時の筋グリコーゲンの平均値。乾燥筋重量あたりの値である。[14]

0.55対0.38 g/分:筋肉の糖が少ない条件と十分な条件での脂肪酸化速度の平均値。[14]

男性5人の別試験:血糖を12 mMに保っても、糖の少ない条件で脂肪利用ときつさが増した。[15]

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