スクワットは立ち上がる途中でなぜ止まる?脚の角度と力が出にくい位置を読む

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強い人にも難所はあり、男女でも動きは同じではない

筋力が増せば、途中でつかえる現象そのものがなくなるのか。レクリエーションとして筋力トレーニングを行う男性46人の研究は、その予想を考える材料になる。参加者は膝の角度を90度とするバックスクワットで、10回反復できる限界の重さを扱った。重りを背中側に担ぐスクワットがバックスクワットである。男性の群間比較なので、18〜39歳の女性にも同じ差が現れるかは別に確かめる必要がある。[7]

この研究では、扱う重さを体重で割った相対的な筋力によって群を分けた。低い群は1.37、高い群は1.76だったが、重りの速度や挙上時間、減速前・減速中・減速後の動きを表す指標に有意な群間差はなかった。高い群ほど難所が消える、という結果ではなかったのである。[7]

これは筋力をつける意味がないという話ではない。体重に対して扱える重さの違いと、その人の限界に近い反復で見える動作の形は別の指標だ。以前より重い物を扱えていても、限界に近づけばまた遅くなる可能性がある。「まだつかえるから成長していない」という評価を、この群間比較は支持していない。ただし、同じ人を長期間追った訓練試験ではない。[7]

男女の比較も、見本を選ぶ際の手掛かりになる。トレーニング経験者の男性13人、女性13人の実験では、1回、3回、6回、10回をそれぞれ反復できる限界の重さで、最後の反復を比べた。女性は男性よりスティッキング領域で上体の前傾が大きく、股関節の伸展角度が小さかった。著者らは股関節と膝を伸ばす筋力の比率の違いを、考えられる説明としている。[1]

そのため、男性の動画をそのまま自分の正解にするのも、女性なら全員同じ角度がよいと考えるのも早い。この実験で示されたのは、対象者集団の間に動きの違いがあったことだ。性別だけから個人のフォームを指定する試験ではない。立川駅北口の帰り道に動画を見て「自分だけ変だ」と落ち込む前に、誰の、どの負荷での動きなのかを確かめたい。[1][2]

反復回数の条件によっても、動作のタイミングは変わっていた。重い物を少なく挙げる場合と、比較的軽い物を繰り返した末の最後の動作とでは、上昇局面への要求が異なりうる。同じ「最後は遅かった」でも、その前に何をしていたかが違う。記録に残すなら重さだけでなく、何回目に遅くなったかも意味を持つ。[1]

深さも比較条件に含める必要がある。筋力トレーニング経験者の男性52人が、深いスクワット、平行までのスクワット、浅いスクワットを別の日に行った研究では、扱える最大重量と速度・負荷の関係は種目ごとに違った。高負荷でも浅いスクワットではスティッキング領域が観察されず、他の深さでは観察された。男性経験者の結果を18〜39歳の女性にそのまま適用し、深さの選び方を決めることはできない。[19]

浅くすれば記録が伸びたとしても、それだけで以前と同じ動作の筋力が増えたとは読めない。反対に、深くした日に動きが遅くなっても、前回とは深さの異なる記録になる。しゃがむ範囲を替えたなら、別の条件の記録として扱う。この研究は深さによる動作の違いを示すもので、全員が浅くすべきだという推奨ではない。[19]

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バーの位置と足幅を組み合わせると、関節への配分が変わる

バーの位置だけでなく、足幅も含めて比べた実験がある。男性9人、女性9人が、3回反復できる限界の重さで、高い位置と低い位置、狭い足幅と広い足幅を組み合わせたスクワットを行った。低い位置で担ぎ、足幅を広くした条件では、関節モーメント全体に対する股関節の寄与が他の条件より大きかった。反対に、高い位置で担ぎ、足幅を狭くした条件では、膝の寄与が大きかった。[11]

筋活動にも対応する違いがあり、高い位置・狭い足幅では外側広筋の活動が高く、大殿筋の活動は低かった。大殿筋はお尻の大きな筋肉である。ここでは「脚に効く」という一言を、どの関節がどれだけ伸ばす作用を担い、どの筋肉が活動したかへ分けて読む。女性も参加した実験だが、男女を合わせた限界反復の結果であり、18〜39歳の女性全員に最適な組み合わせを指定するものではない。[11]

この比較の要点は、姿勢の選択と関節への要求を対応させることにある。股関節の寄与が大きい方法と膝の寄与が大きい方法を、同じ種目名だけでひとまとめにすると、負担の違いを見落とす。前回は低い位置で広く立ち、今回は高い位置で狭く立ったなら、重量の変化と同時に動作の条件も変えたことになる。練習メモには、狭い・広いという自分の基準を残し、次回に再現できるようにしたい。[11]

「重りを担ぐ場所を変えれば、つかえは必ず消える」という期待も研究を越える。男性パワーリフター10人が、重りを高い位置と低い位置に担ぐ方法を比べた実験では、重さ、しゃがむ深さ、足幅をそろえると、スティッキング領域前後の重りや関節の動きに差はなかった。男性競技者の結果なので、18〜39歳の女性の初心者へそのまま当てはめるには、競技経験や負荷の違いを考える必要がある。[16]

一方、筋活動には担ぐ位置による差があった。高い位置に担ぐ条件では、大腿直筋、内側広筋、脊柱起立筋の下部の活動が高かった。前者の筋肉は太もも前側、後者は背中側で姿勢を支える筋肉である。似た動きの中にも筋肉の働き方の違いがある。「動画で同じに見える」と「体への要求が同じ」は別の判断だ。[16]

足幅まで変える実験と、足幅・深さ・重さをそろえてバーの位置だけを変える実験では、答える問いが異なる。前者の関節モーメントの配分と、後者の動きに差がなかった結果は、比較条件を添えると両立する。担ぐ位置の名前だけからフォームの変化を予想せず、何を固定し何を変えた研究かを読むことが、自分の練習を比較する手掛かりになる。[11][16]

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よくある誤解

「上体が前へ傾いたら、すべて失敗である」という見方は粗い。負荷が増すと関節の動きが変わり、個人ごとに異なる戦略を取ることが系統的レビューで示されている。また、男女を比較した実験でも前傾には差があった。前傾の有無だけで、関節に何が起きたかや、その動作の適否まで判定することはできない。[1][2]

かといって、重ければどんな変化でもよいという意味ではない。レビューが示す個人差は、観察をやめる理由ではなく、本人の動きと条件を確かめる理由になる。途中で遅くなること、途中で姿勢が変わること、挙げ切れないことを、ひとまとめの「悪いフォーム」にせず分けて記録したい。スティッキングポイントを整理したレビューでも、難所はフォームが崩れる可能性と関わるとされている。[2][17]

「止まりそうなほど頑張れたら、その分だけ効果が早く出る」という結び付けにも飛躍がある。ここで扱った実験の多くは、その場の力、速度、角度、筋活動を比較している。長期的な成果まで同じ物差しで決める研究ではない。負荷や疲労で速度が落ちるという結果を、成果が大きい証拠へ置き換えることはできない。[2][8][14]

筋電図が大きいから将来の筋力も必ず大きく伸びる、と読むのも同じ問題である。担ぐ位置を比べた実験で測ったのは動作中の電気的活動だった。選び方の手掛かりにはなっても、長期間続けた結果の順位表ではない。記事を読むときも、測ったものが動作中の反応なのか、継続後の変化なのかを区別したい。[16]

今日からできること

  • 練習メモには「どこで遅くなったか」を残す。底から動けなかったのか、動き出してから減速したのか、通過した後はまた速くなったのかを分ける。レビューが扱う難所も、単なる成功・失敗より細かな動作の現象である。[17]
  • 前回と比べるときは、重さ、しゃがむ深さ、足幅、担ぐ位置をそろえる。深さを替えれば速度と負荷の関係が変わり、担ぐ位置の比較研究でも条件を合わせて検討している。条件を替えた日は、その変更を記録に添える。[16][19]
  • 最後の反復だけを見て練習全体を評価せず、何回目だったかを書く。1回、3回、6回、10回の限界反復を比較した研究では動作のタイミングが異なり、疲労でも速度は低下していた。回数の背景を残せば、同じ「遅い」を区別できる。[1][2]
  • 男性46人の比較では、相対的な筋力が高い群でも減速区間の指標に有意差はなかった。他人の扱う重さと自分の減速を並べて落ち込むより、自分の同じ条件の記録を比較の軸にする。[7]
  • 動作を相談するときは、気になる場面と、そのときの重さや反復回数を一緒に伝える。関節の使い方は負荷や個人で異なるため、「膝かお尻のどちらが弱いか」と先に決めず、観察から相談を始める。[2][14]

これらは、実験結果を練習の見直しへつなげるための観察案である。難所を消す効果が検証された一式の訓練メニューではない。最大重量や挙上失敗を再現して確かめる必要もない。研究に出てくる限界条件は、現象を測るための設定だ。普段の練習で知りたいのは、どれほど苦しくできたかより、条件が変わったとき自分の動きがどう変わったかである。[2][8][14]

成果を見る問いと、減速する位置を見る問いを分けるだけでも、記録の意味は変わる。扱える重さが変わったのか、同じ重さが前より滑らかになったのか、それとも深さを替えたのか。研究が測る力や速さの違いを知れば、動きの途中のつかえだけを、努力全体の採点表にしなくて済む。[7][19]

yogaのレッスン前の様子生徒の足もとにあるヨガマット 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

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参考文献

[1] The Effect of Sex and Different Repetition Maximums on Kinematics and Surface Electromyography in the Last Repetition of the Barbell Back Squat — Hegdahl Gundersen A, Nygaard Falch H, Bao Fredriksen A, Tillaar RVD., 2024, Journal of functional morphology and kinesiology. DOI: 10.3390/jfmk9020075

[2] Effects of Intensity and Fatigue on the Kinetics and Kinematics of the Barbell Squat, Bench Press, and Deadlift in Experienced Lifters: A Systematic Review — Bakhshinejad JA, Ramer JD, Dunsmore KA, Pelton LM, Berglund L., 2025, Sports medicine – open. DOI: 10.1186/s40798-025-00921-x

[7] Relative Strength Does Not Influence the Sticking Region Among Recreational Trained Participants in Squat — Olsen A, Andersen V, Saeterbakken AH., 2025, Journal of functional morphology and kinesiology. DOI: 10.3390/jfmk10030321

[8] Are Diminishing Potentiation and Large Extensor Moments the Cause for the Occurrence of the Sticking Region in Maximum Free-Weight Barbell Back Squats among Resistance-Trained Males? — van den Tillaar R, Falch HN, Larsen S., 2024, Journal of human kinetics. DOI: 10.5114/jhk/185720

[11] Effects of Stance Width and Barbell Placement on Kinematics, Kinetics, and Myoelectric Activity in Back Squats — Larsen S, Kristiansen E, Helms E, van den Tillaar R., 2021, Frontiers in sports and active living. DOI: 10.3389/fspor.2021.719013

[14] Effects of barbell load on kinematics, kinetics, and myoelectric activity in back squats — Larsen S, Kristiansen E, Nygaard Falch H, Estifanos Haugen M, Fimland MS, van de, 2025, Sports biomechanics. DOI: 10.1080/14763141.2022.2085164

[16] The Effects of Barbell Placement on Kinematics and Muscle Activation Around the Sticking Region in Squats — van den Tillaar R, Knutli TR, Larsen S., 2020, Frontiers in sports and active living. DOI: 10.3389/fspor.2020.604177

[17] The Sticking Point in the Bench Press, the Squat, and the Deadlift: Similarities and Differences, and Their Significance for Research and Practice — Kompf J, Arandjelović O., 2017, Sports medicine (Auckland, N.Z.). DOI: 10.1007/s40279-016-0615-9

[19] Velocity- and power-load relationships in the half, parallel and full back squat — Martínez-Cava A, Morán-Navarro R, Sánchez-Medina L, González-Badillo JJ, Pallaré, 2019, Journal of sports sciences. DOI: 10.1080/02640414.2018.1544187

この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。

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