
自体重の研究から、浅さの効果を引き出さない
「重りを持たないなら意味がないのか」という疑問には、深さの比較とは別の試験が参考になる。Tsuzukuらの無作為化比較試験では、筋力トレーニング経験のない70歳以上の男性53人、女性35人を、自体重でゆっくり運動する群と、介入を受けない対照群に分けている。期間は12週間だった。18〜39歳の女性に同じ変化が生じるかは、この高齢者の比較だけでは判断できない。[20]
運動はスクワット、台を使った腕立て伏せ、腹筋運動の組み合わせで、下ろす局面と上げる局面をそれぞれ4秒かけ、全可動域で行う設計だった。開始時は10回を2セット、以後は4週間ごとに反復回数を2回ずつ増やしていた。単に「自体重だから軽い」とだけ表現すると、速さや進め方の条件が抜け落ちる。[20]
運動群では対照群より、太ももの筋厚、膝を伸ばす筋力、股関節を曲げる筋力の変化が有意に大きかった。自体重を負荷にした複数の運動でも、この対象では筋肉や筋力の改善が得られたのである。外から重りを足さなければ成果がない、という一律の見方には合わない。[20]
しかし、この結果は浅いスクワットの有効性を直接確かめたものではない。全可動域で行う複数種目のプログラムの結果であって、スクワットだけの寄与も切り分けられない。自体重の研究を見て「浅いスクワットだけで同じ変化が出る」と結ぶと、負荷と可動域と種目構成を一度に取り違えてしまう。[20]
中央線の車内で見た短い動画には「重りなし」としか書かれていなくても、研究の運動には速さと範囲と進行がある。動画の見た目が似ていることと、同じ条件の運動であることは別だ。自分の運動を振り返るときも、道具を使ったかだけでなく、どこまで動き、どう進めたかを残しておきたい。[20]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
リハビリのスクワットは、筋力記録と目的が違う
スクワットをリハビリのために調べている人にとっては、深い群の結果が良いという情報だけでは足りない。Gunhamnらの系統的レビューは、膝蓋大腿部の痛みがある人への介入を扱い、膝を伸ばす筋肉の運動処方を検討した。採用されたのは79研究で、スクワットもよく用いられる種目に含まれていた。18〜39歳の女性でも、痛みの有無や治療の状況が違えば、そのまま当てはめることはできない。[6]
このレビューでは、自体重を用いた10回を3セットという処方が典型的であり、全体として低負荷で中程度の運動量の処方が中心だった。ただし、これは研究でよく見られた実施内容を整理したものである。「膝が痛む人は全員この回数を行えばよい」という処方の推奨や、最も優れた回数の証明としては扱えない。[6]
研究者らは、強度や可動域などの重要な条件を明確に報告する必要性も指摘している。種目名と回数だけが同じでも、運動の内容を比べるには条件の確認が必要になる。リハビリの話を聞くときには、何回行うかだけでなく、どこまで動かす設定なのかも確認したい。[6]
男性学生が深くしゃがんで筋力を伸ばした試験と、痛みのある人の運動処方を整理したレビューは、答えようとする問いが違う。前者の成果を理由に、治療中の人の可動域を自己判断で広げることは避けたい。痛みや治療歴があり、運動の可否や範囲に迷う場合は医師に相談する。深さの目標は、研究の角度をそのまま写すためにあるのではない。[6][17]
たとえば診察で運動の相談をするなら、「スクワットをしてよいか」に加え、「現在は浅い範囲で行っている」「低い椅子から立つ場面が気になる」と目的と現状を伝える形が考えられる。研究でも可動域と強度が重要な条件になっている以上、相談の言葉にもその条件を入れるほうが、種目名だけを伝えるより具体的だ。[6]
自体重の運動とリハビリの処方にも、似た注意点がある。高齢者の試験は、運動しない対照群と全可動域の複数種目を比べた。一方、痛みのある人のレビューは、さまざまな研究の処方内容を整理したものである。どちらも自体重のスクワットに触れるが、同じ効果を再確認した研究の組み合わせではない。対象者に加え、何と比較しているかも確認する必要がある。[6][20]
生活での振り返りに置き換えるなら、「何回できたか」「どの範囲でできたか」「何を持っていたか」を混ぜずに眺めることになる。回数が増えた日に深さが変わっていれば、その日は条件も変わった記録として残せばよい。数字が増えなかった日を失敗にするためではなく、後で変化の内容を読めるようにするためだ。研究で反復回数や可動域を区別した意味も、成果を条件から切り離さない点にある。[17][20]

よくある誤解
「回数が増えれば、低い場所からも楽に立てるようになる」と考えると、確かめる動作が抜け落ちる。たとえば高い椅子から立つことと、床の洗濯かごに手を伸ばして立つことでは、しゃがむ範囲が違う。これは生活上の目標の例であり、研究が家事の改善を測ったという意味ではない。男性学生の浅い群では深い動作にも改善があったが、経験者の別の試験ではハーフ群に筋力や機能面の改善がなく、痛みやこわばりが有意に増えた。「浅いほど安全で、続ければ深い動作にも必ず届く」という見方はできない。自分が使いたい深さでの動きと、痛みの変化も分けて確認したい。[17][10]
逆に「深いスクワットだけを行えば、すべての能力で優れる」とも言えない。男性学生の比較では、浅い動作の最大挙上重量の増加率は浅い群が大きかった。一方で、太ももの筋断面積や一部の力の指標、跳躍の改善では深い群が優れていた。何を成果とするかを決めずに、種目の深さだけで順位を付けるのは難しい。[17]
「浅い練習を加えるとよかったのだから、深い練習は省ける」という読み方にも飛躍がある。経験者の比較で調べられたのは、全可動域だけの場合と、それに部分可動域を組み合わせた場合だ。組み合わせの結果は、残した全可動域の練習を取り去った結果ではない。献立に一品を加えた話を、主食を抜いた話に変えないことである。[19]
「若い男性の筋力試験と、高齢者の自体重試験を合わせれば、若い女性の最適な方法が決まる」というわけでもない。対象と運動条件の違いは、研究を足し算しても消えない。前者からは深さによる成果の違いを、後者からは自体重でも条件を整えた継続運動を検討する視点を受け取る。それぞれの答えの大きさを保ったまま使うことが大切だ。[17][20]
今日からできること
- 記録の「軽め」を、重さを減らしたのか、しゃがむ範囲を短くしたのかに書き直す。深さを分けて比較した12週間の試験にならい、変えた条件を言葉で残す。[17]
- 前回との比較は、重さだけでなく下りる位置もそろえて考える。浅い群の36±4%と9±2%は、テストした動作が違う数字である。[17]
- 目的を「運動をした回数」だけで終わらせず、気になる動作とともに記録する。12週間の試験でも最大挙上重量、筋断面積、跳躍は別々に測られた。自宅で最大重量を試す必要はない。[17]
- 自体重の運動を参考にする際は、速さ、動く範囲、反復の増やし方をセットで読む。70歳以上の試験は、各局面4秒の複数種目であり、浅いスクワットだけの試験ではなかった。[20]
- リハビリ中は、研究で典型的だった10回を3セットという数字を自己処方にせず、現在の範囲と目標を医師に伝える。回数に加えて強度や可動域を確認する視点が必要だ。[6]

オンザショア立川店で、運動を続ける予定を作る
浅くしゃがむ練習から何につなげたいか。低い位置から立つ動作なのか、運動を続けることなのか、目的を言葉にしてから場所を選びたい。オンザショア立川店には、ホットヨガに加え、常温のヨガ、ピラティス、パーソナルトレーニングなどがある。研究で行った負荷付きスクワットと、各レッスンの内容は分けて考える。[17]
妊娠中は溶岩ホットヨガには参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。参加できる運動を確認したうえで、店の案内と料金から通い方を検討できる。
営業時間は8:00〜23:30、年中無休。所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F、JR立川駅北口から徒歩1分である。仕事の前に寄るか、休日に時間を取るか、続けられる予定に合わせて考えたい。
ヨガの体験は税込1,980円。60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルを含む。体験の予約は、運動の目的と通える時間を整理してから選ぶ入口になる。
参考文献
[6] Knee extensor training in patients with patellofemoral pain: a systematic review and synthesis. — Gunhamn T, Pojskic H, Augustsson SR., 2025, Frontiers in rehabilitation sciences. DOI: 10.3389/fresc.2025.1641054
[10] Full squat produces greater neuromuscular and functional adaptations and lower pain than partial squats after prolonged resistance training. — Pallarés JG, Cava AM, Courel-Ibáñez J, González-Badillo JJ, Morán-Navarro R., 2020, European journal of sport science. DOI: 10.1080/17461391.2019.1612952
[17] Effect of range of motion in heavy load squatting on muscle and tendon adaptations. — Bloomquist K, Langberg H, Karlsen S, Madsgaard S, Boesen M, Raastad T., 2013, European journal of applied physiology. DOI: 10.1007/s00421-013-2642-7
[19] The efficacy of incorporating partial squats in maximal strength training. — Bazyler CD, Sato K, Wassinger CA, Lamont HS, Stone MH., 2014, Journal of strength and conditioning research. DOI: 10.1519/jsc.0000000000000465
[20] Slow movement resistance training using body weight improves muscle mass in the elderly: A randomized controlled trial. — Tsuzuku S, Kajioka T, Sakakibara H, Shimaoka K., 2018, Scandinavian journal of medicine & science in sports. DOI: 10.1111/sms.13039
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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