プロテインは食事の最初に飲むと違う?運動後の胃と食欲、順番の研究を読む

運動帰りの夕食で、プロテインを先に飲む意味はあるのか。食前と同時摂取を比べた試験から、胃から出る速さ、血糖、満腹感、次の食事量を分けて読む。女性の試験で異なる結果や、飲料を追加する場合の注意点も整理し、夜や運動直後に研究結果を当てはめる前に確かめたい条件を示す。

運動を終え、温めた夕食の隣にシェーカーを置く。飲むなら弁当の前か、食事と一緒か。「たんぱく質を先に」という短い助言も、家に着いてからの手順にすると急に細かくなる。

先に飲む順番を、夕食を減らすための決まりにする必要はない。運動後に何を補給するかと、飲料が胃や食欲にどう作用するかは分けて考えたい。標準体重の成人女性の試験では、ホエイ飲料で消化管ホルモンの反応が変化したが、これは運動後の筋たんぱく質合成、つまり筋肉のたんぱく質を作る働きの最適な順番を決めた研究ではない。[15]

ここで答えたいのは、固形の料理と飲料のどちらが腹持ちによいかではない。その問いは既存記事「女性のプロテインは飲むと腹持ちが違う?固形の食事と運動後の満腹感を比べる」に譲る。今回は、食事のどこに飲料を置くか、その順番を決める前に読むべき研究に絞る。

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食事の最初と、食事より前は同じ条件ではない

研究で使われる「プレロード」は、次の食事に先立って飲料や食品をとる方法である。たとえば健康な中国人男性12人を対象にした無作為化クロスオーバー試験では、乳飲料または豆乳をパンの30分前に飲む条件と、パンと一緒にとる条件を比較した。クロスオーバーとは、同じ参加者が別の日に異なる条件を経験する試験方法だ。対象は男性に限られ、18〜39歳の女性に同じ順番の効果をそのまま当てはめるには検証が必要である。[19]

乳飲料や豆乳をパンと一緒にとっても、パンと水の基準食より食後の血糖反応は低下した。さらに先に飲む条件では、同時にとる条件より血糖とインスリンの反応が低かった。順番に意味がある可能性を示すが、これはパンを中心とする試験食で得た結果である。[19]

弁当のふたを開け、飲料をひと口飲み、そのままご飯を食べ始める。日常語なら「先に飲んだ」になる。しかし研究の30分という間隔とは異なる。研究の結果を自分の食事に結びつけるには、何を飲んだかに加え、どれだけ時間を空けたかも照らし合わせる必要がある。[19]

この試験の30分は、比較のために設定された間隔である。比較されたのは乳飲料・豆乳とパンの組み合わせだ。運動帰りに夕食が用意できている人に、同じ待ち時間を指示する根拠にはならない。[19]

また、乳飲料と豆乳を扱った研究を、すべてのプロテイン製品に共通する数字として扱うことも避けたい。飲料を同じ名前でまとめるより、試験で用いた食品と自分が飲むものを分けて読む。この区別を保つだけで、「たんぱく質なら何でも食前」という飛躍を防げる。[19]

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胃から出る速さと、空腹の強さを分ける

胃排出とは、胃の内容物が先へ送り出されることだ。先ほどの男性の試験では、乳飲料をパンと同時にとった場合、パンと水の基準食より胃排出が遅かった。食前にとる条件で血糖反応が低いという結果と、同時に乳飲料をとる条件で胃排出が遅いという結果は、条件を分けて読む必要がある。[19]

「胃に長く残れば、必ず次の食事が少なくなる」という説明は魅力的だが、研究はそこまで一直線ではない。若い成人20人と高齢者20人が参加した無作為化クロスオーバー試験では、エネルギーと容量をそろえ、たんぱく質・脂質・炭水化物のいずれかが多いミルクシェイクを比較している。高齢者を含む対象であり、18〜39歳の女性だけの反応としてそのまま当てはめることはできない。[4]

飲料は約300 kcal、250 mlで、飲んだ3時間後に好きなだけ食べられる食事を用意した。栄養素の構成によって胃排出の時間には違いがあったが、その食事の摂取エネルギー、当日の残りの自己記録による食事量、主観的な食欲には有意な差がなかった。胃の動きに差があっても、食事量の差としては現れなかったのである。[4]

日常で「お腹に残る」と表現するときも、中身はさまざまだ。空腹が弱いのか、満ちた感じが強いのか、食べたい気持ちが乏しいのか。研究ではこれらを質問票で分けて測り、さらに実際に食べた量を測る。胃排出という身体の測定も別にある。どれかの数字だけで「腹持ち」を代表させると、ほかの結果を見落とす。[4][16]

運動後に胃の重さが気になる人が求めているのは、食事を無理なくとれる感覚かもしれない。夕食を落ち着いて食べたい人と、間食までの空腹を知りたい人では、参考にすべき結果が違う。胃排出が遅いことを一律によい変化とせず、自分が確かめたい感覚を先に言葉にしておきたい。[4]

女性の試験でも、先に飲めば食べる量が減るとは限らない

標準体重の成人女性18人を対象にした単盲検の無作為化試験では、ホエイ入り飲料と炭水化物入り飲料の後の血中成分を比較した。ホエイでは、消化管から分泌され満腹感に関わるホルモンであるコレシストキニンやGLP-1などの濃度が、比較飲料より高くなる時間帯があった。血中アミノ酸濃度も高かった。飲料の役割は、次の食事を減らすかどうかだけでは捉えられない。[15]

この試験で測ったのは摂取後の血液の反応である。ホルモン濃度の上昇から「夕食を抜いてよい」と結論づけることはできない。運動後の補給を考える場面では、食事をとれる予定を確保しつつ、胃の感じ方と食欲を別に見ておきたい。筋たんぱく質合成への効果や、食前と同時のどちらが運動後に適するかは、この比較からは決まらない。[15]

標準体重の成人女性22人を対象にした無作為化試験では、同じエネルギー量の飲料を飲み、120分後の食事量を比較した。ホエイたんぱく質を含む飲料では、炭水化物または比較用の乳由来成分を含む飲料より、次の食事量が約18%少なかった。ホエイとは乳由来のたんぱく質である。[16]

ところが、空腹や満腹感を本人が評価した点数には、飲料間で有意な差がなかった。食べた量には差があるのに、本人の感覚には明確な差が出ない。これも先ほどとは逆方向の食い違いだ。「満腹を感じなかったから何も起きなかった」とも、「食事が減ったから必ず強い満腹感があった」とも判断できない。[16]

この約18%は、食前にホエイを飲んだ人なら毎晩その割合だけ夕食が減るという意味ではない。飲料同士を比較し、一定時間後に用意した食事で測定した差である。飲料を飲まない普段の夕食との比較や、食事の前と同時の直接比較とは違う。割合を読むときは、まず「何に対して少なかったか」を確認したい。[16]

異なる結果もある。過体重または肥満の女性60人を登録し、55人がすべての条件を完了した二重盲検の無作為化クロスオーバー試験では、低濃度のホエイ入り飲料、糖を加えた飲料、対照の飲料を比較した。朝食後の午前中に飲み、その2時間後の昼食と食欲を調べた研究だ。[17]

この試験では、ホエイを加えた飲料で空腹や満腹感が改善した証拠はなく、昼食の摂取エネルギーにも有意な差はなかった。飲料としてとったエネルギー分を、その後の昼食で少なく食べて埋め合わせる反応も認められなかった。[17]

結果が違うから片方を捨てるのではなく、対象者、飲料の濃さ、比較対象、食事までの間隔を残して読むべきである。前者はホエイを含む飲料と炭水化物などの飲料を比較し、後者は水を基にした低濃度の飲料を調べている。「女性の研究」という共通点だけで同じ実験にはならない。[16][17]

比較条件をもう少し具体的に見ると、女性の低濃度飲料の試験では、ホエイの濃度は2%と4%だった。飲料の量、色、風味、甘さをそろえ、糖の飲料や甘味をつけた水と比べている。つまり、参加者が見た目や甘さの違いだけで判断しにくいようにしたうえで、食欲と摂取量の違いを検討した試験なのである。[17]

参加者には前日の夕食と試験日の朝食も標準化して用意した。朝食を抜いた人と食べた人が混ざる場面とは違い、先に食べたものをそろえてから飲料を試している。その条件で食欲や昼食量に差がなかった結果は、「どんな飲み方でも同じ」ではなく、この条件で明確な差が認められなかったと受け止めたい。[17]

対して、食事量が少なかった女性の試験では、比較飲料に含まれる乳由来成分の役割も調べている。ホエイ中のグリコマクロペプチドという成分の割合を変えても、ホエイ飲料後の食事量の抑制に明確な違いはなかった。その成分だけを含む飲料も、炭水化物飲料より次の食事を減らさなかった。特定の成分名だけで腹持ちのよさを説明するのも早計である。[16]

このように、試験の飲料は単に「プロテイン」と一語で表せるものではない。エネルギーをそろえて比べた試験なのか、水にたんぱく質を加えた試験なのかで、問いの中身が変わる。台所では同じシェーカーを使えても、論文上の比較まで同じ容器に入れてしまわないことだ。[16][17]

数字で読む食前プロテイン

30分前:健康な男性12人で、乳飲料・豆乳の食前摂取と同時摂取を比較した間隔。[19]

約18%:標準体重の女性22人の試験で、ホエイ飲料後の食事量が比較飲料後より少なかった割合。[16]

55人:低濃度飲料を比べた女性の試験で、すべての条件を完了した人数。食事量の有意な減少はなかった。[17]

250 ml:約300 kcalにそろえた飲料で、胃排出と食事量を分けて調べた試験の容量。[4]

12週間:糖尿病患者にホエイとグアーを食前にとってもらった試験の期間。体重には群間差がなかった。[7]

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