
痛みのある肩では、行きと帰りの差も違う
肩を外へ回せるから、戻す働きも十分だと決めることはできない。投球関連の肩の問題がある大学野球選手と健康な選手を比較した横断研究では、求心性と遠心性で異なる結果が得られた。横断研究とは、ある時点で群の特徴を比較する研究であり、原因を確定する設計ではない。投球に特有の負荷を受ける選手の比較なので、18〜39歳の一般女性の痛みや筋力へ直接当てはめることはできない。[13]
研究には計42人が参加した。肩を90°上げた位置で外旋のトルクを測り、棘下筋、三角筋後部、僧帽筋中部の表面筋電図も調べている。棘下筋は肩の外旋に関わる筋肉である。筋電図は筋肉の電気的な活動を見る方法で、関節を回す力そのものと同じ指標ではない。[13]
求心性の測定では、痛み群15人と対照群19人の間に、最大・平均トルクや各筋の活動の有意差はなかった。一方、遠心性では痛み群13人と対照群14人を比較し、痛み群で最大・平均トルクが低かった。測定ごとに比較人数が異なるため、すべてを42人の同じ比較として読まないことも必要だ。[13]
筋活動の差は、肩の奥の筋肉だけに集中していたわけではない。遠心性で低かったのは三角筋後部の最大・平均活動で、棘下筋と僧帽筋中部の活動には群間差がなかった。その一方で、棘下筋の厚さは痛み群で小さく、効果量は0.83だった。筋の厚さ、活動、関節の力は、別々の測定なのである。[13]
「戻すのが苦手だからインナーマッスルだけが働いていない」という自己判定は、この結果に合わない。肩の回旋の差を調べた研究でも、外側の筋肉を含む分担を見ている。奥の筋肉という名前だけで原因を絞るより、どの動きで何が変わるかを整理した方が、研究に近い。[13]
また、痛みのために力が変わったのか、力の違いが先にあったのかは、この比較から確定しない。戻す力を鍛えれば投球時の痛みが治る、という治療の指示にもならない。自宅で違和感を覚えた場合は、研究の群平均に自分を当てはめず、症状について医師に相談するための言葉として「引くときと戻すときの違い」を残すのがよい。[13]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
器具の名前より、続けた条件を見る
器具を選ぶ際には「遠心性向け」という名前より、研究で何を繰り返したかを見たい。肩に臨床上の問題がなかった16〜35歳の競泳選手を対象とした無作為化比較試験では、重りを使う群、弾性バンドを使う群、対照群を設けている。実験群の運動は週2回、12週間、5種目で、器具の種類が違った。競泳の負荷を受ける選手の結果であり、18〜39歳の一般女性に同じ維持効果があるかは別に検証する必要がある。[16]
訓練前後には、内旋筋と外旋筋の求心性・遠心性の最大トルクと、筋力の比率を測った。実験群で最大トルクの低下が認められたテストは1つだったのに対し、対照群では5つだった。プログラムを行った選手では、対照群より肩の回旋筋力のバランスの崩れが少なかった。[16]
この結果は、すべての指標で力が増えたという話ではない。競技シーズン中に進む変化を抑えることも、訓練の結果になりうる。毎回重いものを扱えるようになることだけを成功にすると、維持できた変化を取りこぼす。逆に、力の比率が整ったという結果を、そのままけがの予防率へ変換することもできない。[16]
重りでもバンドでも運動群に有利な傾向があった点は参考になるが、器具が完全に同じ効果だという証明ではない。大学テニス選手の試験も器具を組み合わせていたが、評価したのは肩のトルクとサーブ速度という競技の指標だ。18〜39歳の一般女性の肩の使いやすさや痛みの改善とは区別する。器具選びでは、競技成績の変化よりも、対象と運動内容が自分の目的に合うかを先に確認したい。[11][16]
継続を減らした後に注目した試験もある。21人が肩の抵抗運動を12週間行い、その後の12週間を週2回、週1回、運動なしの群に分けた。最初の訓練は肩に特化した3種目を週3回である。測定は内旋・外旋の求心性と遠心性を含んだ。対象はそれまで訓練していなかった参加者であり、18〜39歳の女性に同じ頻度が適するかは、この男女・年齢別ではない結果だけでは判断できない。[6]
訓練期には、求心性外旋の4つのテストを除いて平均・最大トルクが増加した。回数を週1回または週2回に減らした群では平均・最大トルクの低下は見られず、運動をやめた群では4つのテストで平均トルクが下がった。遠心性の力は、やめた後の低下がより大きかった。[6]
ここから「初めから週1回なら誰でも十分」とは言えない。先に訓練して得た力を保つ段階の結果だからだ。予定が詰まる月に運動をどう残すかという問いと、これから鍛え始める問いを分けると、この小規模試験の使いどころが見える。戻す働きも、増やす話だけでなく保つ話の中に置ける。[6]
続け方を考えるときにも、記録の項目をそろえると話が具体的になる。研究が求心性と遠心性、内旋と外旋を分けて評価したように、日常では「外へ動かす途中」「開いた位置から帰る途中」と区間を書き分けられる。これは筋力を測る代わりではないが、前回と今回で何を比べているかを見失わないための工夫になる。[6][15]
競泳選手の試験では、シーズン中の力のバランスを保つことが課題だった。家庭での目標は、同じ競技成績である必要はない。運動の機会を残すこと、動作の違いを観察すること、症状があれば相談につなぐことを、それぞれ別の行動として考えられる。研究で扱った訓練量を再現する前に、自分が何を続けたいのかを決めておきたい。[16]

よくある誤解
「戻す方が強いから、戻す区間だけ行えばよい」という理解は飛躍である。活動的な成人の実験で、遠心性の外旋トルクが大きい区間はあったが、求心性が上回る区間もあった。さらに、健康な成人の訓練比較で遠心性群が優れていた結果は外転についてである。瞬間の出力、運動方向、続けた後の変化を混ぜると、研究にない順位ができてしまう。[8][15]
「戻すのに時間をかけるほど、肩の奥だけを鍛えられる」も、ここで紹介した結果からは導けない。投球の研究レビューは肩と肩甲骨周りの複数の筋肉を扱い、痛みのある選手の比較では遠心性の差と三角筋後部の活動低下が併せて観察された。動作の速さについての好みを、特定の筋だけに効く証拠にしないことが大切だ。[10][13]
「外へ回せるなら肩の力は問題ない」という判断も粗い。求心性では群間差がなく、遠心性では差があった競技者の研究は、調べ方で見える特徴が変わることを示す。ただし、これは自宅用の合否テストではない。左右の戻し方が違ったことを、そのまま病名や障害の予測に使うものでもない。[13]
数字が大きい運動を選ぶだけでは、こうした違いが消えてしまう。最大トルクの値を比べる場合にも、角度や収縮の種類を併記する必要がある。強さはひとつの数字で持ち歩くには、少し荷物が多い。[15]
今日からできること
- いつもの肩の往復を、外へ動かす区間と戻す区間に分けて見直す。52人の実験が比較したのも、同じ回旋での求心性と遠心性である。反復数を増やす前に、どこで抵抗を受けるかを言葉にする。[15]
- 器具の説明を読むときは、姿勢と動く範囲を確かめる。研究の30〜90°は測定条件であり、自宅で広げるべき目標角度として扱わない。[15]
- 運動の結果を見る期間と、毎回の感触を分けて記録する。大学テニス選手の器具を組み合わせた試験は4週間の比較であり、その場の張りの強さを改善率に置き換えない。[11]
- 継続中の運動を減らすなら、まず予定表に残せる曜日を具体的に決める。維持の試験では、肩に特化した3種目を週3回、12週間行った後、週1回または週2回へ減らして12週間追い、平均・最大トルクの低下がなかった。この頻度は訓練後の維持期の比較として使い、開始時の運動量は個別に検討する。[6]
- 痛みがある場合は医師に相談し、引くときと戻すときの違いも伝える。42人が参加した野球選手の研究は群の比較であり、症状から弱い筋肉を自己診断する表にはならない。[13]

オンザショア立川店で、通う時間を予定に残す
肩の運動を生活に置くなら、通える時間と場所から考える方法もある。オンザショア立川店の営業時間は8:00〜23:30で、全曜日共通、年中無休である。所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F。JR立川駅北口から徒歩1分の場所にある。仕事や講義のある日と休日で、足を運ぶ時間を考えるための情報だ。
同店は溶岩プレートを敷いたホットヨガスタジオであり、常温のヨガ、ピラティス、パーソナルトレーニングもある。ヨガのレッスンは25種類以上。肩の研究で使う測定装置や競技者の訓練とは区別して、運動を続ける場所の選択肢として検討したい。
妊娠中は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。ヨガの体験レッスンは税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。通う条件は料金ページで、スタジオの情報は公式サイトで確かめられる。体験の予約も、生活の予定と照らして検討できる。
参考文献
[6] The effect of strength training and reduced training on rotator cuff musculature — McCarrick MJ, Kemp JG., 2000, Clinical biomechanics (Bristol, Avon). DOI: 10.1016/s0268-0033(00)00060-7
[8] The effects of concentric versus eccentric isokinetic strength training of the rotator cuff in the plane of the scapula at various speeds — Bast SC, Vangsness CT, Takemura J, Folkins E, Landel R., 1998, Bulletin (Hospital for Joint Diseases (New York, N.Y.)). DOI: なし
[10] Shoulder muscle recruitment patterns and related biomechanics during upper extremity sports — Escamilla RF, Andrews JR., 2009, Sports medicine (Auckland, N.Z.). DOI: 10.2165/00007256-200939070-00004
[11] Effects of Theraband and lightweight dumbbell training on shoulder rotation torque and serve performance in college tennis players — Treiber FA, Lott J, Duncan J, Slavens G, Davis H., 1998, The American journal of sports medicine. DOI: 10.1177/03635465980260040601
[13] Electromyographic Analysis of the Shoulder During Isokinetic External Rotation in Baseball Players With Pitching-Impaired Shoulders — Ueda Y, Umehara J, Ichihashi N., 2026, Journal of athletic training. DOI: 10.4085/1062-6050-0358.25
[15] Length-Tension Differences Between Concentric and Eccentric Shoulder Rotation Strength — Giordano KA, Cich M, Oliver GD., 2024, Journal of strength and conditioning research. DOI: 10.1519/jsc.0000000000004625
[16] Effect of Preventive Exercise Programs for Swimmer’s Shoulder Injury on Rotator Cuff Torque and Balance in Competitive Swimmers: A Randomized Controlled Trial — Tavares N, Vilas-Boas JP, Castro MA., 2025, Healthcare (Basel, Switzerland). DOI: 10.3390/healthcare13050538
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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