
心肺の数字が伸びなくても荷物への反応は変わる
旅行前の準備が進んだかを考える時、最大酸素摂取量だけを成果にすると、別の変化を取りこぼす可能性がある。男性15人、女性13人が参加した介入研究では、筋力トレーニングと荷重運搬の練習を10週間行い、その前後で同じ荷重歩行課題への反応を比べた。男女を含む重い荷重の訓練であり、18〜39歳の女性旅行者の軽い荷物での変化を直接示す結果ではない。[12]
課題は、23kgの胴体に装着するベストを着用し、時速5.5kmで5km歩くものだった。これも旅行向けの推奨条件ではない。前後で課題を一定にし、心拍数や自分で感じるきつさが変わるかを見るための設定である。[12]
訓練後、男性の有酸素能力は42.9から45.2mL/kg/分へ、5.4%改善したが、女性の有酸素能力には改善が見られなかった。一方、荷重歩行中の心拍数や主観的きつさに関する反応は男女とも改善していた。心肺の検査値に変化がないことと、一定の荷物課題への反応が変わらないことは、同じではなかった。[12]
だからといって、女性には心肺の練習が不要という意味にはならない。この研究で女性の値が改善しなかったという結果と、女性の観察研究で有酸素能力の高さがきつさの低さと関連した結果は、違う問いに答えている。前者は特定の練習後の変化、後者はもともとの個人差に関する分析だからだ。[1][12]
研究の間に違いがある時は、どちらが正しいかを急いで選ばず、対象と課題を確認したい。旅行への準備でも、持久力の検査を受けた結果と、普段の荷物で歩いた実感を並べて残せる。どちらかに変化があった時、その内容を具体的に説明できることが、次の準備を選ぶ材料になる。[1][12]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
練習は歩行だけか筋トレだけかの二択ではない
女性40人が24週間取り組んだ介入研究では、筋力トレーニング、長距離走、荷物を背負う歩行、専門的な動作練習を組み合わせた。訓練後には、職務に関連する最大持ち上げ能力が12〜20kg向上し、荷重運搬課題の時間が3.7〜8.6分短縮した。軍務向けの複合訓練なので、18〜39歳の女性の一般旅行へ改善量をそのまま当てはめることはできない。[4]
ただし、この結果は複数の運動を組み合わせた訓練全体の結果である。歩行と筋トレそれぞれの寄与は、この結果から切り分けられない。重い物を扱う軍務を想定した女性の成績であり、同じ期間の旅行準備をすれば同じ変化になるという約束にもできない。[4]
別の介入研究では、18〜35歳の男女39人が、筋力とパワーの練習にインターバル運動を組み合わせ、12週間、週3回取り組んだ。インターバル運動とは運動と回復の時間を挟みながら繰り返す方式である。反復して持ち上げて運ぶ成績は6.5%、最大スクワット筋力は27.0%改善した。軍務課題を評価した男女混合の研究であり、18〜39歳の女性の旅行準備に同じ改善率を見込む根拠にはならない。[3]
その一方で、有酸素能力や上半身のパワーには改善が見られなかった。この訓練では、筋力と有酸素能力で変化の方向が異なった。職務課題の成績の改善には男女差が見られなかったが、男性のほうが各測定で高い成績だった。改善の大きさと、到達した水準も区別する必要がある。[3]
旅程に戻して考えると、歩き続ける予定に向けた準備と、荷物を扱う予定に向けた準備を併記するのがよい。これは研究の複合訓練から着想した整理であり、旅行用の効果が検証済みの運動処方ではない。体力づくりの相談では、行き先の名前だけでなく、どんな動作で困りそうかを伝えると、目的を共有しやすい。[3][4]
旅行への応用の限界はここにある。軍務を想定した重い荷重や運搬課題と、観光の小さなリュックでは、重さも速度も動作も違う。研究の酸素摂取量や筋力の関係から、軽い荷物なら何時間歩けるか、どの筋力値なら十分かを算出することはできない。18〜39歳の女性でも、研究と同じ年齢層というだけで条件の差は埋まらない。登山の行程の可否も別に判断する必要がある。ここから借りるのは訓練の重さや改善率ではなく、身体の能力と運ぶ条件を分けて考える枠組みである。[1][3][4][6][11][12][17]
準備の記録を読み返す際には、課題を変えた成果と、同じ課題での変化を分けたい。荷物を軽くしたり、歩く速度を変えたりした日のきつさが違っても、身体側の変化と課題が変わった影響が混ざる。荷物の重さと荷物なしの個人の値が予測因子だった研究を踏まえると、身体側と課題側の条件を並べる整理が有用である。[11]
一方、一定の課題で反応を追う方法にも意味がある。10週間の訓練研究では、同じ荷重歩行課題を前後に置き、心拍数やきつさの反応を比較した。日常では研究のような統制はできなくても、「前と同じことをした時にどう感じたか」という問いを持てる。遠くまで行けたという達成感と、同じ道での余裕の変化を別々に記録するための参考になる。[12]
旅行かばんを持った日だけ困るなら、その場面を運動の相談へ持っていく。持ち上げる時に困るのか、運び続ける時に困るのかまで伝えるとよい。女性の運搬課題の研究で、反復持ち上げと荷物運搬の予測モデルが異なっていた点は、困りごとを動作単位に分ける理由になる。体力という大きな言葉を、自分の旅で必要な働きへ翻訳するのである。[6]

よくある誤解
「荷物なしで長く歩ければ、旅行かばんがあっても同じペースでよい」という考えは、荷重検査の結果に合わない。かばんの重さと個人の特性が、荷物を持った時の心拍数や速度の予測に関係していた。普段の歩行記録は出発点になるが、荷物ありの負担は別に確認する項目になる。[11]
「最大酸素摂取量が上がらなければ準備は失敗だ」とも決められない。10週間の複合訓練で、女性の有酸素能力に改善が見られなくても、男女とも荷重歩行中の反応は改善していた。見たい変化を、検査値だけに限定しないことが大切だ。[12]
逆に、「筋力が増えたから心肺の持久力も伸びたはず」という推測も飛躍である。12週間の介入で最大スクワット筋力と運搬課題の成績は改善したが、有酸素能力は改善しなかった。脚の力が付いたという成果はそのまま受け取り、まだ測っていない能力まで同時に伸びたことにしない。[3]
「研究と同じ重さを背負えば合理的」という理解にも注意したい。女性39人の課題の20kgや、男女28人の課題の23kgは、測定の条件として設定された数字である。一般の旅行者が目指す適量を比較して決めた研究ではなく、その数字を自己流の練習目標にする根拠にはならない。[1][12]
今日からできること
- 旅行の持ち物を決める時、荷物なしでの歩行記録と、持ち物がある時の記録を分ける。男女105人の検査でも、荷物の重さは負荷の予測に重要だった。研究の予測式を自己判定に使うのではなく、条件を残す発想として取り入れたい。[11]
- 同じ道を無理のない範囲で歩いた際は、時間だけでなく息のきつさと脚のきつさを言葉で残す。女性39人の研究では、有酸素能力に加え膝を伸ばす筋力なども主観的きつさと関連していた。これは診断用の自己検査ではなく、相談時のメモである。[1]
- 運動を相談する時は、歩き続けることと荷物を持ち上げることを別の希望として伝える。女性123人の研究では、運搬と反復持ち上げで成績の予測に入る項目が異なっていた。旅の中の動作を具体化するための使い方だ。[6]
- 準備の成果は、心肺の数値と、一定の動作への反応を並べて確認する。10週間の介入では両者の変化が一致しない場合があった。伸びなかった数字だけで、その期間の練習をすべて無意味と判断しない。[12]
- 研究の12週間や24週間という期間を、出発前に取り返すべき宿題にしない。これらは複合訓練を調べた期間であり、短く圧縮した時の同じ効果を保証しない。目的と現在の負担を伝え、取り組み方を相談する材料にする。[3][4]

オンザショアで旅の前にも続ける予定を置く
旅行の予定と一緒に、普段の運動へ通う時間もカレンダーに置く。オンザショア立川店は、営業時間が8:00〜23:30で、年中無休のスタジオである。JR立川駅北口から徒歩1分という場所にあり、仕事や移動の予定と照らして、通う時間を選ぶための条件がそろっている。
所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F。溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガのほか、常温のヨガ、ピラティス、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニングがある。ヨガだけで25種類以上のレッスンを設けている。
妊娠中は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。ヨガの体験レッスンは税込1,980円で、60分のレッスンに、バスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。
通うための情報は店舗トップと料金で確認できる。体験予約の前に、生活の中で継続して通える時間帯を考えるところから始めたい。
参考文献
[1] Determinants of physiological demands, physiological resilience, and muscle fatigability during load carriage in women: an observational trial — Robertson EE, Coombs CV, Halsall EB, Young CD, Irving AS, Tang JCY, Greeves JP, O’Leary TJ., 2026, European journal of applied physiology. DOI: 10.1007/s00421-026-06382-8
[3] Twelve weeks of concurrent resistance and interval training improves military occupational task performance in men and women — Sterczala AJ, Krajewski KT, Peterson PA, Sekel NM, Lovalekar M, Wardle SL, O’Leary TJ, Greeves JP, Flanagan SD, Connaboy C, Nindl BC., 2023, European journal of sport science. DOI: 10.1080/17461391.2023.2239752
[4] Functional physical training improves women’s military occupational performance — Nindl BC, Eagle SR, Frykman PN, Palmer C, Lammi E, Reynolds K, Allison K, Harman E., 2017, Journal of science and medicine in sport. DOI: 10.1016/j.jsams.2017.07.012
[6] Relationships of physical performance tests to military-relevant tasks in women — Szivak TK, Kraemer WJ, Nindl BC, Gotshalk LA, Volek JS, Gomez AL, Dunn-Lewis C, Looney DP, Comstock BA, Hooper DR, Flanagan SD, Maresh CM., 2014, U.S. Army Medical Department journal. DOI: なし
[11] Performance with an additional load: formula-based predictions for controlling the load intensity when carrying backpacks — Klughardt S, Schaar B., 2025, BMC sports science, medicine & rehabilitation. DOI: 10.1186/s13102-025-01111-8
[12] Sex-Specific Physical Performance Adaptive Responses Are Elicited After 10 Weeks of Load Carriage Conditioning — Wills JA, Saxby DJ, Glassbrook DJ, Doyle TLA., 2023, Military medicine. DOI: 10.1093/milmed/usab470
[17] Potential Utility of a Loaded Treadmill Protocol for Tactical Athletes — Swearingen JT, Weiss LW, Smith WA, Stephenson MD, Schilling BK., 2018, Journal of strength and conditioning research. DOI: 10.1519/jsc.0000000000002217
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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