
軽く終えても、記憶が変わらなかった試験がある
終盤の心地よさと記憶に関連があるなら、終盤を軽くすればよい。そう考えたくなるが、ここには実験による歯止めがある。運動試験を受ける成人92人を対象にした無作為化試験では、負荷が最も高いところで終了する群と、終了時に低強度の運動を2分追加する群を比べた。平均年齢は59歳、男性は61%であり、中高年を中心とする男女の運動試験であるため、18〜39歳の女性のボクササイズにそのまま当てはめるには対象と状況の違いが大きい。[9]
追加した群では終了時の息苦しさが軽くなり、群間の平均差は0.96、95%信頼区間は0.24〜1.67だった。信頼区間は、推定した差の不確かさを表す範囲である。しかし、30分後に振り返った息苦しさの強度は追加群5.51、対照群5.73で、有意差はなかった。それぞれの95%信頼区間は5.00〜6.01と5.27〜6.20だった。終了時の感覚が変わることと、後からの記憶が変わることは、この試験では一致しなかった。[9]
思い出した息苦しさに最も強く関連したのは、運動中のピークの息苦しさだった。終点の息苦しさを一緒に分析しても、ピークを超える追加の説明力はなかった。この結果で否定されたのは、この運動試験で低強度の運動を追加すれば息苦しさの記憶が変わる、という期待である。検証の範囲は、この条件での息苦しさの記憶である。息苦しさの記憶と、全体を楽しいと思う評価も区別して読む必要がある。[9][8]
自転車の高強度インターバル運動でも、似た問いが検証されている。インターバル運動とは、強い運動と回復を繰り返す形式だ。この実験では、運動習慣のない男性30人、平均年齢27.9歳が、20分の運動と、それに負荷を下げながら10分を追加した運動を、無作為の順番で実施した。強い運動は30秒、休息も30秒で繰り返し、長い条件では追加部分の負荷を段階的に下げた。男性だけの実験なので、18〜39歳の女性にも同じ心理的な反応が生じるかは、この結果からは判断できない。[18]
長い条件の追加部分では、心拍数は平均157から144へ低下した。しかし、運動中と運動後の心理的な反応には差がなく、もう一度行うために選んだ好みの運動形式にも差がなかった。心拍数が下がったことだけをもって、「楽しい記憶になった」と判断してはいけない。研究では、負荷の低下が運動中の心理的な反応を変えるのに十分でなかったため、予想された振り返りの差が生じなかったと考察している。[18]
帰り際に楽な動きを足すことを、義務にする必要はない。「よい記憶を作るために、さらに頑張って延長する」は、少し忙しい話だ。この実験は終了部分を長くする方法を検証したものだが、延長そのものが楽しさを生むとは示していない。自分の場面では、終盤まで追い込むべきかという問いより、途中を含めてどこで不快になったかを指導者と共有するほうが、個別化の試験に沿った検討になる。[3][18]
一方で、強い運動は必ず嫌な記憶になる、とも決められない。多嚢胞性卵巣症候群があり、運動習慣のない過体重の女性を、高強度インターバル運動15人と中強度の連続運動14人に分けた無作為化試験では、週3回、12週間の運動を比べた。インターバル群は記憶した感情の経時的な変化がより肯定的で、楽しさの評価も高かった。参加の遵守率は両群とも90%を超えていた。特定の疾患がある過体重の女性の結果であり、18〜39歳の女性全般にそのまま当てはめることはできない。[4]
この試験では、感情の記憶の変化と体力の変化、楽しさとの相関は中程度だったが、統計的に有意ではなかった。楽しいと感じた差だけで参加の差を説明することもできない。対象に特定の健康状態があるため、女性全般への種目選びの結論にはしない。それでも、「軽いほど必ず楽しい」「高強度なら必ず続かない」という単純な並べ方を避ける材料にはなる。[4]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
よくある誤解
「楽しく思い出せるようになれば、必ず通う回数も増える」。記憶や期待を変えることと、実際の行動が増えることは同じではない。89人を対象に、運動への期待に働きかける通常のプラセボ介入、仕組みを隠さず説明する介入、対照群を比べた試験では、介入4週間と追跡4週間を調べた。プラセボとは、期待などの心理的要因を通じた影響を検討するための方法である。[2]
この試験では、介入群の運動後の楽しさはより改善し、仕組みを説明する介入には記憶した感情や期待の充足で利点があった。しかし、どちらの介入も、介入後の運動行動を直接増やさなかった。思い出し方がよくなることには意味があっても、それを参加の保証にしてはいけない。心地よさを基準に強度を個別化して参加が増えた試験とは、働きかけの内容も異なる。[2][3]
「後からつらく感じたなら、運動中もずっとつらかったはずだ」。過体重または肥満の成人を調べた研究では、定期的に運動する人としない人の両方に、実際の経験より否定的に思い出す偏りがみられ、運動しない人でより大きかった。30分の中強度歩行を行い、後日の記憶を調べた結果である。思い出した感情は、運動中よりも運動後の感情に近かった。過体重または肥満の成人を対象とするため、18〜39歳の女性全般で同じ偏りが生じるかは別に検討する必要がある。[7]
続く小規模な無作為化の試行では、運動しない人を介入15人、比較15人に分けた。感情に働きかける介入を受けた群では、記憶の偏りが小さく、運動後の感情もより肯定的だった。ただし、これは記憶の偏りを減らす方法の可能性を示した予備的な結果であり、長期の継続を確定したものではない。「思い出したつらさ」を嘘扱いするのでなく、運動中の感覚とはずれる場合がある、と受け止めたい。[7]
「ボクササイズのメンタルへの効果は、楽しいかどうかだけで判断できる」。ここまでの研究が測ったのは、主として快・不快、楽しさ、記憶、期待、参加である。感情に関わる概念を整理したレビューも、日常の気分と運動への反応を区別している。気分がよかった夜の体験を、そのまま病気への治療効果に言い換えることはできない。個別の健康状態について判断が必要なら医師に相談する。[8]
継続率全体の数字は、既存記事「【連載】研究が示す「続く条件」 第1回|なぜ人は辞めるのか——運動の継続率が示す数字」に譲る。この問いで見るのは、参加の集計へ至る前の、体験をどう思い出すかという段階だ。予約に迷った自分を意志が弱いと評する前に、その迷いが行く前の予想なのか、途中の不快感なのか、後から残った印象なのかを確かめる余地がある。[6][8]

今日からできること
- 行く前に予想した気持ちと、運動後に実際に感じた気持ちを、別の言葉で残す。98人の実験では、運動は予想より快く、疲労も予想ほどではない傾向にあった。期待への働きかけによる運動行動の群間差はなかった。[6]
- レッスン中に心地よく動けた場面と、不快になった場面を指導者に伝える。3回の導入セッションで好みと耐えられる強度を確認した試験は、8週間の参加を調べている。その回数をまねるより、個別に調節する考え方を参考にする。[3]
- 終えた直後の印象を短く残し、次の予約時に読み直す。歩行後の記憶を1日、3日、7日後に調べた研究では、否定的に思い出す偏りがみられた。この記録は日常での応用案であり、同じ効果を検証した方法ではない。[7]
- 終盤を軽くしたら楽しくなるはず、と決めずに自分の感覚を見る。低強度の運動を2分追加した試験では、終了時の息苦しさが軽くても、その記憶には差がなかった。追加時間を目標にする必要はない。[9]
- 「また行きたい」と実際に参加した日を分けて振り返る。89人の試験では楽しさや記憶に利点があっても行動は直接増えなかった。気持ちの変化を認めつつ、参加できたかどうかも別に確かめる。[2]
記録は、運動を毎回気持ちよく採点する課題ではない。予約前の自分に、前回の具体的な場面を渡すための手がかりである。「途中はきつかったが、動きを追えたところは面白かった」と書けるなら、楽しいかつらいかのどちらかに体験を押し込めずに済む。運動中の反応、記憶、期待を区別する研究の読み方は、そのような振り返りに応用できる。[8]
オンザショアで、次に通う時間を選ぶ
次回を考えるときは、運動の印象とともに、通う時間を具体的に置いてみたい。オンザショア立川店は8:00〜23:30、年中無休で営業している。JR立川駅北口から徒歩1分、東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3Fにある。朝から夜までの営業時間と駅からの距離を、生活の予定に合わせて検討する場所である。
溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガのほか、ボクササイズ、女性専用のキックボクササイズ、常温のヨガ、ピラティス、HIIT、パーソナルトレーニングがある。ヨガのレッスンは25種類以上だ。続ける場所を考える際には、用意されている運動と、自分が参加したい内容を照らし合わせたい。
参加する種目には条件もある。妊娠中は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。内容は店のトップで確認できる。ヨガの体験は税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。費用は料金、ヨガの体験は体験の予約を参照し、参加する内容と次に通う時間を照らし合わせたい。

参考文献
- The peak and end rule, affect-related cognitions, enjoyment, and exercise frequency: A randomized controlled trial ancillary study — Bastos V, Ekkekakis P, Andrade AJ, Teixeira DS., 2025, Psychology of sport and exercise. DOI: 10.1016/j.psychsport.2025.102963
- “I am open to self-belief”: A study examining the impact of open-label effects on postexercise affect and postintervention exercise behaviour — Qiu Y, Yun DT, Liu J, Mao ZX., 2024, Journal of sports sciences. DOI: 10.1080/02640414.2024.2425907
- Individualized pleasure-oriented exercise sessions, exercise frequency, and affective outcomes: a pragmatic randomized controlled trial — Teixeira DS, Bastos V, Andrade AJ, Palmeira AL, Ekkekakis P., 2024, The international journal of behavioral nutrition and physical activity. DOI: 10.1186/s12966-024-01636-0
- Longitudinal affective response to high-intensity interval training and moderate-intensity continuous training in overweight women with polycystic ovary syndrome: A randomised trial — Patten RK, Bourke M, McIlvenna LC, Moreno-Asso A, Woessner MN, Stepto NK, Parker, 2023, Psychology of sport and exercise. DOI: 10.1016/j.psychsport.2022.102325
- What to expect when you’re exercising: An experimental test of the anticipated affect-exercise relationship — Kwan BM, Stevens CJ, Bryan AD., 2017, Health psychology : official journal of the Division of Health Psychology, American Psychological Association. DOI: 10.1037/hea0000453
- Memory of affective responses to physical activity (study 1) and a pilot intervention to reduce negative memory bias (study 2) in adults with overweight or obesity — Demos-McDermott KE, Oselinsky KM, Dunsiger SI, Williams DM, Wing RR, Unick JL., 2026, Psychology of sport and exercise. DOI: 10.1016/j.psychsport.2025.103028
- Affective Determinants of Physical Activity: A Conceptual Framework and Narrative Review — Stevens CJ, Baldwin AS, Bryan AD, Conner M, Rhodes RE, Williams DM., 2020, Frontiers in psychology. DOI: 10.3389/fpsyg.2020.568331
- Effect of the trajectory of exertional breathlessness on symptom recall and anticipation: A randomized controlled trial — Elmberg V, Ekström M., 2020, PloS one. DOI: 10.1371/journal.pone.0238937
- Might High-Intensity Interval Exercise Be Remembered as More Pleasurable? An Attempt to Test the Peak-End Rule in the Exercise Context — Alves ED, Julio UF, Panissa VLG, Franchini E, Takito MY., 2021, Perceptual and motor skills. DOI: 10.1177/00315125211010047
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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