運動習慣のアプリ通知は自分で時刻を選ぶ?一律の合図と行動の違いを読む

運動習慣をつけるアプリの通知は、自分で時刻を選べば続くのか。通知への好みを調べた研究と、進捗を知らせる試験、合図の回数を比べた試験を読み分ける。自分向けという言葉だけで効果を決めず、通勤や家事の場面で、通知を読める時刻と実際に動ける時刻をどう選ぶか考える。

朝、洗濯物を干している途中に「そろそろ運動を」と合図が鳴る。読めても、両手はまだ空かない。干し終えてからなら着替えられる。アプリの時計は正確でも、家事の区切りまでは作ってくれない。

運動の通知を自分で受け取りたい時刻に合わせるのは、生活に沿って設定する方法である。ただし、自分で時刻を選べば、一律の通知より運動習慣がつくとまでは断定できない。個別の進捗を知らせる働きかけに歩数の差が見られた試験はあるが、そこで調べられたのは通知時刻の自己選択ではない。[18]

通知を望むこと、通知を読むこと、実際に体を動かすことは、別々に見たい。本記事では時刻を選ぶ際の判断材料を扱う。通知の多さと中断の関係は、既存記事「ダイエットのアプリは通知が多いほど続く?運動日の記録と中断の研究を読む」に譲る。

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自分向けの通知とは、時刻だけを指さない

「あなたに合わせた通知」と表示されると、何となく効きそうに見える。しかし、合わせる対象には違いがある。本人が受信時刻を指定すること、実際の歩数に応じて内容が変わること、本人が選んだ目標を知らせることは、同じ操作ではない。研究を読むときも、この区別が必要である。[7][18]

大規模な医療機関の職員を対象とした運動促進の無作為化比較試験では、通常のメッセージに加えて、本人の進捗を知らせるメールを受け取る条件が設けられた。全体の介入期間を通した平均歩数は、個別フィードバックを受けた条件で有意に高かった。一方、各週を個別に見た比較では差がなかった。対象は医療機関の職員であり、18〜39歳の女性の生活にそのまま当てはめられるかは、この職場での結果と分けて考える必要がある。[18]

これは、本人の行動を材料にした情報が役立つ可能性を示す結果である。自分で選んだ時刻だから効いた、という読み替えはできない。アプリを選ぶ場面でも「個別化」の表示で止まらず、時刻が変わるのか、文面が変わるのか、目標が変わるのかを見たい。研究の結果を自分の設定に当てはめるには、何を変えた試験なのかをそろえる必要がある。[18]

例えば「運動の時間だ」という合図と、「前の記録からここまで進んだ」という報告は役目が異なる。前者を受け取りたいのは支度に移れる場面かもしれない。後者なら、予定を立て直すために落ち着いて読む場面も考えられる。これは設定を考えるための生活上の例であり、その時刻が最適だと実証された処方ではない。

自分で選べることを大切にしてもよい。ただ、選択できる機能があることと、その機能に行動を増やす効果があることは切り離しておく。通知を変更しただけで運動量まで増えた気になると、設定画面が運動の代わりを務めてしまう。見たいのは画面の完成度より、画面を閉じた後の行動である。

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欲しい機能と、実際に効く機能は分ける

乳がんの治療後の人たちが、携帯端末を使った運動支援にどんな機能を望むかを調べた混合研究がある。質問票に回答したのは96人で、平均年齢は55.8歳だった。そのうち28人への電話面接も行われた。面接と質問票を組み合わせ、好みの数字と、その背景にある考え方を調べた研究である。乳がん治療後で平均年齢も異なるため、18〜39歳の女性一般に同じ希望の割合を当てはめることはできない。[8]

リマインダーのメッセージに関心を示した割合は75.0%だった。進捗フィードバックへの関心は80.2%、動機づけのメッセージは78.1%である。機能として高く評価されたものには、日々・週ごとの進捗フィードバック87.5%、予定を組む機能79.2%も含まれた。予定と進捗を扱う機能にも関心が集まった。[8]

面接からは、使いやすさ、達成感、活動量計との連携などとともに、どの程度の構造化や個別化を望むかにはばらつきがあることが示された。本人に合う支援を考える理由はここにある。同じ画面、同じメッセージを全員の好みはそろわない。[8]

ただし、これは好みを調べた研究であり、通知を望んだ人ほど実際に運動を続けたと証明する試験ではない。対象も乳がん治療後の人たちである。通学中の学生や、仕事帰りにヨガを始めたい人へ、その割合をそのまま移すことはできない。「欲しい」という回答は機能を設計する手がかりであって、行動の効果量ではない。[8]

自分の設定を考えるなら、好みと行動の両方を記録するのが筋である。「朝の通知が好き」と「朝の通知から支度を始めた」は別の記述だ。朝の静かな時間に予定を確認するのが好きでも、運動するのは仕事帰りという暮らしはあり得る。受け取りやすい時間と、動き始める時間を無理に同一にする必要はない。

反対に、受信した瞬間に動きたい人なら、支度できる場面に合図を置く案が考えられる。どちらを選ぶかは、通知に何をさせたいかによる。好みの調査が示す多様さを踏まえると、全員に同じ設定を勧めるより、自分が使う場面を具体的に言葉にする方が慎重な使い方である。[8]

大きな職場の試験で、条件間の差と全体の変化を分ける

職員向けの試験は10週間続いた。登録したのは3,528人で、全職員の8%に当たる。参加者には運動の利点を伝える情報と、その週の歩数課題の案内が送られた。課題の条件を満たす人を対象とする抽選も組み込まれており、単純に通知を出すだけの計画ではなかった。[18]

比較の中心は、そうした共通の支援に、個別の進捗メールを加えるかどうかだった。したがって、結果は「何も支援しない場合に比べて通知がどれだけ効いたか」ではなく、共通のプログラムに個別報告を上乗せしたときの違いとして読む必要がある。比較相手を取り違えると、メールの効果を大きく見積もってしまう。[18]

平均の歩数は、初週が1日7,319歩、最終週が7,229歩で、研究では期間中を通して安定していたと報告された。個別フィードバックを受けた条件の平均歩数が全期間で高かったという結果と、参加者全体の歩数が増加していないという結果は両立する。条件間の差と、開始時からの変化は、違う問いだからである。[18]

また、活動中の利用者は時間とともに減り、最終週には1,225人となった。登録者数の大きさだけで、継続の成功を判断することはできない。登録の画面を通った人と、その後も使っている人を別々に見る必要がある。通知機能を評価する際にも、導入した人数と、使い続けている人数を混ぜない姿勢が役立つ。[18]

この試験の「全期間では差があり、各週では差がない」という点も、そのまま受け止めたい。毎週確実に効くという意味でも、まったく役に立たないという意味でもない。自分の記録を眺めるときも、受信した当日の印象だけで、長く続く効果を決めないようにしたい。研究が比べた期間と、自分が評価したい期間を意識するための読み方である。[18]

アプリの画面にある歩数だけでなく、途中で使わなくなった人も含めて考えると、通知を送る仕組みと使い続けられる仕組みを同一視しない理由が見える。この研究は通知時刻の優劣を決めるものではないが、「個別化されたから全員が続く」という期待を置くには慎重さが必要な結果である。[18]

例えば、予定確認のために使うなら、読み終えて次の予定を決められたかを見たい。運動開始のために使うなら、支度や移動に進んだかを見たい。その先に実際の運動がある。通知を開いたことだけで一連の行動が完了した扱いにすると、途中のどこで予定が止まったのか分からなくなる。自分の使い方を振り返る際の、観察する場所の分け方である。

職場の試験に参加した人は、職員全体の一部だった。運動の企画に登録する人の結果を、通知に関心のない人まで含む全員の結果として読むことも避けたい。参加の入口、使い続ける過程、身体活動の結果を順に見ることで、自分が今困っているのは設定なのか、参加の予定なのかを考える手がかりになる。[18]

数字で読む通知と個別化

96人:携帯端末による運動支援の好みを調べた乳がん治療後の対象者数である。[8]

75.0%:リマインダーのメッセージに関心を示した割合で、実行率ではない。[8]

3,528人:職員向けの運動促進プログラムへの登録者数である。[18]

1,225人:同じプログラムの最終週に活動中だった利用者数である。[18]

125人:合図の回数を比較した大学生向けの感情調整試験の対象者数である。[20]

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