スクワットは上ほど重くすると効果が違う?鎖やゴムで変える負荷を研究で読む

スクワットに鎖やゴムを加えると、立ち上がる途中で重さが変わる。通常の重りとの違いを、若い女性や初心者の比較試験から読む。その場の出力、ウォームアップ後の最大重量、続けた筋力の変化を分け、負荷の割合や取り付け方を確認する意味と、器具を替える前に考えたい点を整理する。

動画のスクワットでは、バーベルの両端から太い鎖が床へ垂れている。立つにつれて鎖が床から離れ、音まで重そうだ。いつものプレートだけでは足りないのか。音の迫力に見合う違いが、筋力にもあるのだろうか。

鎖やゴムで負荷を変える方法は、通常の重りに代わる選択肢である。続けた筋力の伸びについては、通常の重りを上回る優位性は確認されていない。若い未経験女性の無作為化比較試験でも、大学生年代の初心者を追った比較試験でも、両方法の間に有意な差は認められなかった。[2][18]

一方で、その場の力やパワー、準備運動後に挙げられる最大重量には、条件によって違いが出ている。[3][20] 「効果がすごい」の中身を、今日の挙上と、続けた後の変化に分けたい。床で鳴る音は、効果量の単位ではない。

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鎖は床に預けた重さを、立ちながら回収する

鎖を付けるスクワットは、動いている途中で外からかかる抵抗を変える可変抵抗の方法である。しゃがむと鎖の一部が床に載り、その分の重さを床が支える。立ち上がると鎖が順に持ち上がり、体が支える抵抗へ戻る。この仕組みは、鎖のつり方を比較した機械的な測定研究でも扱われている。[17]

対して、プレートだけの方法では、プレートの質量自体はしゃがんでも立っても変わらない。ただし、それを「どの姿勢でも体への負担が同じ」と読んではいけない。男性を対象にした関節ごとの比較では、通常の重り、鎖、ゴムによって股関節や腰部のモーメント、つまり関節を回そうとする力の働きが異なっていた。[7] 18〜39歳の女性でも同じ関節負荷になるかは、この男性の比較だけでは判断できない。重りに書かれた数字と、体の各部が受け持つ仕事は分けて見る必要がある。

ゴムを併用する方法にも、プレート由来の抵抗とゴムの張力を組み合わせる設定がある。男女の初心者を追った試験では、動作の最上部で測った総負荷の20〜35%をゴムが受け持ち、残りを通常の重りが受け持った。[18] 男女を合わせた結果であり、18〜39歳の女性だけに同じ結果が得られるかは別に検証する必要がある。ここで大切なのは、割合を測った場所まで条件に含まれる点だ。「ゴムを付けた」という説明だけでは、同じ負荷設定を指しているか分からない。

鎖の抵抗変化は、取り付け方で変わる。33歳の訓練経験のある男性1人を調べた症例研究では、鎖をそのまま垂らす方法と、細い鎖で輪の高さを調整する方法が比較された。最下部で床に預けられた鎖の重さの割合は、まっすぐ垂らす方法で36〜42%、輪を調整する方法で78〜89%だった。[17] 同じ鎖でも、動作中にどれほど抵抗が変化するかは大きく違ったのである。18〜39歳の女性に、この男性1人の測定値をそのまま当てはめることはできない。

この数字は、どちらのつり方が全員に適しているかを決めるものではない。対象は33歳の経験者男性であり、筋力の長期変化を比べた試験ではなく、実際にかかる抵抗を測った研究だ。[17] 専門指導者がセッティングを確認する際の参照値であり、読者が目指す割合ではない。動画の鎖の太さだけをまねても、比較したい条件はそろわない。

たとえば練習の記録にプレートの重量だけを残すと、鎖やゴムが受け持った抵抗が見えなくなる。ゴムの初心者試験は、最上部での抵抗の割合を明示して計画を比較していた。[18] 条件をそろえて読み返せる記録にするなら、追加した器具の有無と設定も一緒に残したい。プレートを減らしてゴムに置き換える場合と、同じプレートへゴムを足す場合を、同じ変更として扱わないためでもある。

重りを胸の前に持つ場合の体幹と腰の分担は、既存記事「スクワットは重りを胸の前に持つと違う?体幹の働きと腰の負荷を研究で読む」に譲る。ここで確かめるのは、持つ位置の違いより、しゃがんでから立つ間に抵抗を変える意味である。足場の揺れを扱う隣の記事とも分け、鎖やゴムの追加を不安定さの競争にはしない。

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若い女性の筋力は、鎖でも通常の重りでも伸びた

生活の中で筋トレを続けたい女性にとって、まず参考になるのは、未経験の若い女性を対象にした無作為化比較試験である。鎖を使う群、通常の重りだけを使う群、対照群に各12人が割り付けられた。トレーニング群の平均年齢はいずれも約24歳だった。[2] 競技選手の瞬発力だけを調べた研究とは、出発点が違う。

運動は8週間、週3回の全身フリーウエイトトレーニングで、強度は最大挙上重量の65〜80%を使う計画だった。最大挙上重量とは、ここでは1回挙げられる最大の重さを指す。鎖を使う群では総負荷の15%を鎖に置き換え、それ以外は通常の重りの群と同じ構成だった。[2] 鎖を加えたうえで、ほかの運動まで別物にした比較ではない。

スクワットの筋力は、鎖の群で30.63%、通常の重りの群で24.81%増加した。効果量もそれぞれ1.28と1.21で、大きな増加と評価されたが、群間差は認められなかった。[2] 数字だけを並べれば鎖の勝ちに見える。しかし「各群が開始時より伸びた」と「片方がもう片方より伸びた」は、別の問いである。

たとえば、トレーニングの記録を見て、自分の前回より挙げられるようになったと確認する。それは自分の変化の話だ。鎖があったからこそ、通常の方法を上回る変化が起きたと主張するには、方法同士の比較が必要になる。この試験が支えるのは、どちらにも改善があり、鎖を用いる方法は通常の負荷に代わる選択肢になり得る、という判断である。[2]

期間を長くした初心者の試験もある。大学生年代の男女を通常の重りとゴム併用に無作為に割り付け、24週間、週3回の全身トレーニングを行った。ゴム群ではスクワット、ベンチプレス、脚を伸ばした姿勢のデッドリフトにゴムを併用した。強度は最大挙上重量の65〜95%で計画されていた。[18] 18〜39歳の女性への適用では、男女混合の初心者の結果であることと、全身を鍛える計画だったことを考慮する必要がある。家で気軽にゴムを引く運動と同じ条件ではない。

この比較でも、通常の重りの群とゴムの群の間に、有意な差は認められなかった。ゴムと重りを組み合わせる方法でも筋力やパワーは改善し、通常の重りだけの方法と同様の効果が得られた、という結果である。[18] 若い女性の鎖の試験と合わせると、道具を複雑にすることを筋力向上の必須条件にする必要はない。[2][18]

ただし、有意差がなかったことは、あらゆる人、あらゆる期間、あらゆる取り付け方で完全に同じだという証明ではない。女性の試験では各運動群12人で、全身の計画の中に鎖が組み込まれていた。[2] 自分に近い対象か、比較期間はどれほどか、スクワットだけの話かを確認すると、結果を広げすぎずに済む。

これから運動を始める人なら、「鎖を使える段階になるまで普通の方法では足りない」と考える理由は乏しい。通常の方法でも、比較試験のトレーニング群には筋力の改善が認められている。[2][18] 続けられる設定を持ち、同じ条件で記録を残す。そのうえで変更を検討するほうが、道具を替えるたびに効果を想像するより、判断の土台を作りやすい。

その場のパワーが増える条件はある

動作中の力や出力は、長期の筋力変化と分けて確かめられる。平均年齢21.3歳、女性4人と男性6人の筋トレ経験者を調べた実験では、バーの軌道が案内されるスミスマシンでスクワットを行い、ゴムの有無と負荷の割合を変えた。[20] 同じ参加者で条件を比較し、その場の力や出力を測った研究である。18〜39歳の女性にそのまま適用するには、男女混合かつ筋トレ経験者という対象の違いがある。

最大挙上重量の85%に相当する条件では、通常の重りだけの場合より、抵抗の約35%をゴムが受け持つ場合の最大の力が16%、最大パワーが24%大きかった。一方、最大挙上重量の60%の条件では、測った指標に有意差は認められなかった。[20] 「ゴムなら出力が上がる」という短い説明からは、この負荷による違いが落ちてしまう。

パワーは力をどれほど速く発揮するかに関わる出力の指標であり、この研究では最大の力とは別に測定されている。[20] 同じ効果という言葉でも、重い物を持ち上げる能力と、動作中に出した出力では中身が違う。今日の測定値の差を、そのまま将来の筋力の伸び率に置き換えないことが大切だ。[18][20]

数字で読む可変抵抗スクワット

8週間・週3回:未経験の若い女性が全身トレーニングを続けた比較試験の期間と頻度である。[2]

30.63%と24.81%:鎖と通常負荷のスクワット筋力の増加率で、群間差は有意ではなかった。[2]

24週間:男女の初心者でゴム併用と通常負荷を比べ、両運動群の差が有意でなかった試験の期間である。[18]

24%:経験者の実験で、重い負荷のゴム併用条件が通常負荷を上回った最大パワーの割合である。[20]

6.2±5.0%:男性の鎖付きウォームアップ後に観察された、最大挙上重量の増加である。[3]

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