体幹トレーニングとヨガの違いは?姿勢を保つ力と筋活動の比較を研究で読む

体幹トレーニングとヨガは何が違うのか。プランクやダウンドッグで測った筋活動と、続けた後の持久力を分けて読む。健康な成人の比較研究や慢性腰痛の試験をもとに、お腹・背中・お尻の働き、ストレッチとの境界、目的に合う選び方を確かめる。種目名だけでは決まらない負荷の違いにも目を向ける。

動画では「体幹」、スタジオでは「ヨガ」。どちらにも、手で床を押して体を支える姿勢が出てくる。マットの上で肘をつくか、手のひらで支えるかを選ぶとき、同じような形なら、わざわざ別の練習を足す必要があるのかと迷う。

答えの芯は、重なる部分はあるが、名前だけでは同じ負荷とも同じ成果とも決められない、である。健康な男性14人の比較では、ヨガのダウンドッグと肘・つま先で支える姿勢の双方で、お腹などの筋活動が高かった。一方、ヨガの姿勢によって活動が高い筋肉は異なった。男性の測定で得た活動の高さを18〜39歳の女性にそのまま当てはめることはできない。[2][3]

続けた後の変化にも区別が要る。安定化の練習を組み込んだハタヨガでは体幹の持久力が改善したが、筋群間の持久力の比には有意な改善がなかった。「ヨガでも鍛えられるか」と「必要な力がまんべんなく伸びるか」は、別々に確かめる問いなのだ。[1]

yogaのレッスン前の様子生徒の足もとにあるヨガマット 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

名前より、どの姿勢で何を支えるかを見る

ここで比べたいのは、ヨガ全体の価値と筋トレ全体の価値ではない。床や手足で体を支える課題の中で、どの筋肉が働き、その練習を続けると何が変わったかである。ヨガを応用した安定化運動と一般的な安定化運動を比べた研究は、橋のように体を支えるブリッジ系の姿勢を共通の比較対象にしている。[2]

この実験に参加したのは健康な男性14人だ。皮膚の上から筋肉の電気的な活動を捉える表面筋電図を使い、肩から背中にかけての僧帽筋、体幹、下肢の筋肉を測った。前向きのブリッジだけでも、肘と膝、肘とつま先、ハイプランク、アップドッグ、ダウンドッグという5種類を比べている。18〜39歳の女性にも同じ筋活動の差が出るかは、この男性の実験だけでは判断できない。[2]

この並べ方が興味深い。日常の呼び名ならヨガのポーズと体幹運動に分かれそうな姿勢を、同じ測定の場に置いているからだ。この実験では種目名より支持姿勢の違いに注目できる。実際に、ダウンドッグと肘・つま先のブリッジでは、ほかの比較姿勢より腹斜筋などの活動が高かった。[2]

腹斜筋は、お腹の脇に位置する筋肉で、この研究では外腹斜筋と内腹斜筋を測っている。ダウンドッグと肘・つま先の姿勢で高かったのは、それらに加え、お尻の中殿筋と太もも前の大腿直筋の活動だ。お腹だけに注目して動画を選んでも、実験では腰回りや脚も比較対象になっている。[2]

だから、レッスン名を聞くより、「どんな支え方をする時間があるか」と尋ねる方が今回の問いに近い。横向きで支えるのか、前を向いて支えるのか、背中側を使う姿勢が含まれるのか。研究が示したのは、ヨガにも筋肉を活動させる支えの課題があり、その活動の組み合わせが姿勢で変わる、という具体的な違いである。[2][3]

既存記事「ピラティスはコアに効く」にはピラティス側の話題を譲り、ここではヨガの支持姿勢と一般的な安定化運動の比較に絞る。また、水入りバッグの揺れや片脚立ちの支え方は隣の記事の問いだ。本記事では道具の不安定さを足す前に、同じマットの上で種目をどう見分けるかを考えたい。

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ダウンドッグは、伸ばすだけの時間なのか

両手を床につき、お尻を高くしたダウンドッグを、休憩やストレッチの姿勢として覚えている人もいるだろう。しかし、健康な男性14人の筋電図比較では、この姿勢で腹斜筋や股関節前側の筋肉の活動が高まり、肘とつま先で支える姿勢と同様に、お腹を働かせる課題になっていた。18〜39歳の女性に同じ活動の高さが生じるかは、女性での確認が必要だ。[2]

この結果から、「ヨガは伸ばすだけだから体幹を使わない」という二分法は成り立たない。ただし、ダウンドッグがあらゆる筋肉でプランクより優れる、と読み替えてもいけない。比較の結論は、測定した筋肉と姿勢の組み合わせに沿って読む必要がある。研究者も、前向きの支持姿勢と、背面や内転筋を使う支持姿勢とを分けて結果を報告している。[2]

背面のブリッジでは、ヨガを応用した姿勢の方が、一般的なブリッジより僧帽筋の上部・下部、背骨に沿う脊柱起立筋、外腹斜筋、内腹斜筋の活動が高かった。また、内転筋を使う横向きブリッジのヨガ応用版では、僧帽筋下部、内腹斜筋、大殿筋、中殿筋の活動が高かった。種目を変えると、お腹の数字だけでなく、背中やお尻の分担も変わったのである。[2]

ここでいう「高い」は、その測定中の筋活動の比較である。この実験が答えるのは、姿勢をとっている間にどこがより活動したかだ。続けた後にどれだけ長く支えられるようになるかは、練習前後を追う研究で確かめる話になる。筋活動と持久力を分けておくと、ダウンドッグを「伸ばすだけ」と片付けず、同時に「これだけで全部鍛えられる」とも考えずに済む。[1][2]

日常の選び方なら、ダウンドッグが入っているという理由だけで、そのレッスンをストレッチ専用と分類しないことだ。一方、お腹に力を感じたという理由だけで、柔軟性の変化や筋力の伸びまで同じ成果として数えない。今回の比較ではお腹と脚の筋活動が測られており、その結果を姿勢の選択に使う、という距離感がちょうどよい。[2]

スマホの再生リストでは、ストレッチと体幹の動画が別の棚に並ぶ。体を支えている筋肉まで、その棚分けに従うとは限らない。ダウンドッグの測定結果は、見た目の印象より、姿勢の中で何が起きていたかに目を向ける理由になる。[2]

お腹に強い姿勢と、背中に強い姿勢は違う

別の筋電図研究では、ヨガのプランク、アップドッグ、椅子のポーズ、利き側の戦士のポーズを比較した。調べたのは腹直筋、腹斜筋、腰の伸筋、大殿筋である。腹直筋はお腹の前側、腰の伸筋は腰を伸ばす側、大殿筋はお尻の大きな筋肉として読めば、結果の地図がつかみやすい。[3]

お腹の前側である腹直筋と腹斜筋の活動は、比較した姿勢の中でプランクが高かった。アップドッグでも、椅子と利き側の戦士のポーズより腹斜筋の活動が高かった。他方、腰の伸筋の活動が最も高かったのは椅子のポーズである。「ヨガのどれが体幹向きか」という質問に、測る場所を決めずに答えるのは難しい。[3]

大殿筋には、比較した姿勢間で統計的に有意な差がなかった。お腹や腰で違いが出たからといって、お尻は別の結果だった。この研究の数字は、自分が注目する筋肉を先に決めてから読む方が役立つ。プランクがお腹で高かったという結果は、椅子のポーズが役に立たないという評価ではない。[3]

この研究は、筋活動を最大随意等尺性収縮に対する割合で表している。これは自分の意思で最大限に力を出し、筋肉の長さを保つ収縮を基準にする方法だ。姿勢同士を比べる基準が設けられていても、測っているのはその場の活動であり、練習後の筋力増加率ではない。筋電図の百分率を、将来の成果の百分率として読むことはできない。[3]

レッスン後に「今日はお腹より背中を使った」と感じたら、種目の内容を思い出してみたい。研究では椅子のポーズで腰の伸筋、プランクで腹直筋と腹斜筋の活動が高かった。体幹を使うという大きな言葉の中にも、姿勢ごとの行き先がある。感覚だけで効果を採点するより、どの姿勢を含んでいたかを記録する手掛かりになる。[3]

同じプランクという言葉を見つけても、比較条件まで一緒とは限らない。男性を対象とした研究は肘と膝で支える姿勢、肘とつま先で支える姿勢、ハイプランクを別々に扱った。手元の動画がどれに当たるのかを確認せずに、プランクの研究結果をすべて当てはめると、測定された運動から離れてしまう。[2]

また、ダウンドッグで腹斜筋の活動が高かった結果と、別の研究でプランクの腹筋活動が高かった結果は、単純な順位表に合体できない。比較相手が異なる研究だからだ。前者は複数の前向き支持姿勢を比べ、後者は椅子や戦士などを含むヨガ姿勢を比較した。それぞれの比較の中で出た違いとして読むと、種目を過大評価せずに使える。[2][3]

たとえば、仕事帰りに見るクラス紹介に「体幹を意識するヨガ」とあっても、その言葉だけでは、お腹を中心に支える構成なのか、腰の伸筋を使う姿勢も含むのかは分からない。確認したいのは、紹介文の力強さより実際のメニューである。プランクと椅子で活動の高い場所が違った研究は、どちらが大変そうかという印象から離れて、姿勢の組み合わせを尋ねる材料になる。[3]

数字で読むヨガと体幹の比較

14人:一般的な安定化運動とヨガ応用版を比べた筋電図実験の参加者。全員が健康な男性だった。[2]

4姿勢:別の筋電図研究で比べたヨガ姿勢の数。お腹と腰で活動が高い姿勢は異なった。[3]

72人:安定化の練習を組み込んだハタヨガを調べた非無作為化対照研究の参加者数だった。[1]

週2回・60分・3か月:その研究で運動群が取り組んだプログラムの条件であり、万人の最適量を表す数字ではない。[1]

4筋群中3筋群:そのプログラム後に持久力が有意に改善した筋群の数。筋群間の持久力の比には有意な改善がなかった。[1]

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