ダイエット中の女性のプロテイン摂取量は、飲む量だけでは決められない。食事全体のエネルギー、筋肉の合成、長期の除脂肪量を分け、女性を対象にした試験とメタ分析から読む。研究で使われた量をそのまま目標にせず、食事を減らした日に何を確認するか、運動との組み合わせも考える。
夕食の茶碗は小さくしたのに、プロテインの計量スプーンは昨日と同じ。主菜も軽くした。帰宅後の台所で「たんぱく質は飲んだから大丈夫」と考えたくなる日がある。ところが、食事で得るエネルギーが足りないときの筋肉は、十分に食べているときと同じ条件ではない。エネルギー不足のもとでは、筋肉のたんぱく質を作る反応が弱まりうる。[11]
では、女性はダイエット中にプロテインを増やせばよいのか。女性の試験をまとめた研究では、ホエイという乳由来のたんぱく質の補給に、除脂肪量の面で小さな利点が見られ、とくに食事のエネルギーを制限した試験で差が大きかった。ただし、脂肪が余分に減る効果は全体では確認されていない。「増やせば痩せる」という答えにはならない。[14]
見る順序は、飲料の量より先に食事全体、そのうえで運動と研究の対象である。毎日飲むかという問いは既存記事「女性のプロテインは休む日も毎日飲む?筋肉の合成と食事への追加を分けて読む」に譲る。ここでは、食事を減らしたときに、同じ摂取量という言葉の意味がどう変わるかを考える。

食事が足りない日は、筋肉の材料だけを数えない
エネルギー不足とは、体が必要とするエネルギーに対して摂取が足りない状態を指す。筋肉の合成を扱うレビューは、この状態では、食べたたんぱく質を構成するアミノ酸のうち、エネルギーを得る経路や全身の別の仕事へ向かう割合が増える可能性を挙げている。口から入った材料が、筋肉以外の用途にも使われる。このレビューは厳しい軍事活動によるエネルギー不足も扱っており、18〜39歳の女性の日常生活へその反応の大きさをそのまま当てはめることはできない。[11]
筋たんぱく質合成とは、筋肉のたんぱく質を新しく作る過程である。一方で、体には既存のたんぱく質を分解する過程もある。食べた後の合成率が高いかどうかと、長く暮らした結果として筋肉を保てたかどうかは、つながりはあっても同じ測定ではない。レビューでも、筋肉だけの反応と全身のたんぱく質の収支を合わせて評価する必要性が指摘されている。[11]
たとえば、成人男性の無作為化比較試験では、エネルギー摂取を40%減らした10日間に、体重当たりのたんぱく質を多くした群でも、安静時の筋肉の合成率は低下した。たんぱく質の量は1日当たり体重1kgにつき1.2gと2.4gで、各群12人である。男性の結果なので、18〜39歳の女性で同じ反応になるかはこの試験だけでは判断できない。多い群でも低下が起きたという点が、量だけで考えないための手がかりになる。[15]
この試験では、筋肉の分解率に変化が見られず、初期の除脂肪量の減少には合成の低下が主に関わると結論された。一方、筋肉に抵抗をかける運動をした脚では、合成率の低下が和らいだ。食事を減らすと必ず分解だけが急増する、という単純な説明とは違う結果である。なお、若い男性の強い食事制限を、日常的に運動する女性への方法として移すことはできない。[15]
昼食が慌ただしく、夜も遅くなったとき、飲料だけを足すと「何か対処した」感じは得られる。そこで確認したいのは、足した食品の名前より、抜けた食事の中身だ。主菜を減らしたのか、食事全体が小さくなったのか、忙しくて食べる機会そのものを失ったのか。エネルギーの条件が筋肉の反応に関わるという研究は、この違いを無視して補給量だけを決めない理由になる。[11][15]
食事の管理と体重の減少を、誰にでも必要な目標にする理由はない。ここで扱うのは、すでに食事を変えている人が筋肉の面から何を見落としやすいかという問いである。研究の厳しい制限条件は、まねる献立ではなく、エネルギー不足があるときの体を調べるための条件として読む。
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
女性の研究では、除脂肪量に小さな差がある
女性を対象にしたホエイ補給の系統的レビューとメタ分析には、13件の無作為化比較試験が含まれた。メタ分析とは、複数の試験結果を統合して差の大きさを推定する方法である。ホエイを補給しない対照と比べ、除脂肪量の差は全体で0.37kg、95%信頼区間は0.06〜0.67kgだった。平均としてはプラスだが、桁の大きな変化ではない。[14]
除脂肪量は、体重のうち脂肪以外の部分を評価する指標として扱われる。この数字を「筋肉だけがその分増えた」と読み替えないことが大切だ。筋肉の合成率を測った試験と、体組成の変化を測った試験は、見る窓が違う。ホエイのメタ分析が示したのは、体組成における除脂肪量の群間差である。[14]
同じ分析で、エネルギー制限を伴う試験に限ると、差は0.90kg、95%信頼区間は0.31〜1.49kgだった。エネルギー制限を伴わない試験では0.22kg、95%信頼区間は−0.12〜0.57kgで、差がない可能性を含んでいた。十分に食べているときと食事を減らしたときを同じ一言で扱えないことが、この対比から分かる。[14]
ただし、これは「食事を減らしたほうが筋肉が増える」という意味ではない。比べているのは、それぞれの条件の中で、ホエイ補給群と対照群の差である。制限下でのプラスは、対照より減り方が小さい場合にも生じる。研究の差を自分の増加量の予約票にしないためには、何と何を比較した数字かを読み続ける必要がある。[14]
脂肪量については、全体の群間差が−0.20kg、95%信頼区間は−0.67〜0.27kgで、有意な効果は見られなかった。また、筋肉に抵抗をかけるトレーニングを伴う試験だけにすると、除脂肪量への補給の利点も明確ではなかった。運動と飲料を組み合わせれば、効果を単純に足し算する読み方は避けたい。[14]
乳製品や乳由来の補給を扱った別のメタ分析でも、エネルギー制限中の除脂肪量の減少を抑える方向の結果が得られた。対象は18〜50歳の成人で、全試験を統合した差は0.36kg、95%信頼区間は0.01〜0.71kgだった。18〜39歳の女性も対象年齢に含まれるが、その層だけの効果を示す数字としては扱えない。こちらは飲料だけでなく食品も含むため、すべてをプロテイン粉末の効果として語ることはできない。[18]
その分析では、試験ごとの摂取量と効果の間に用量反応は見られなかった。用量反応とは、量が増えるほど結果も大きくなる関係である。乳製品を増やす介入が役立つ可能性と、たくさん摂るほど役立つという主張は別物だ。売り場で大きい袋を選ぶ理由を、ここから作ることはできない。[18]
1回の35gは、女性全員の正解ではない
摂取量を直接比べた女性の試験もある。過体重で閉経後の女性40人を対象とした無作為化比較試験では、短期間のエネルギー制限後にホエイを摂ったときの筋原線維たんぱく質の合成を調べた。筋原線維は、筋肉で力を生む構造に関わる部分である。参加者の平均年齢は58.6歳だった。閉経後の結果を18〜39歳の女性の適量へそのまま当てはめることはできない。[7]
エネルギー制限を行った群では、15g、35g、60gを比較した。合成率は15g群の毎時0.032%に対し、35g群は0.043%、60g群は0.042%で、35gと60gの間に差は見られなかった。少なくともこの条件では、多い量へ進んでも合成率がさらに上がる結果ではなかった。[7]
また、35gを摂った群同士では、エネルギーを制限した条件と、摂取と必要量が釣り合う条件の間に合成率の差はなかった。研究者らは、この対象と短期の条件では、35gで急性の合成反応を最大限に刺激するのに十分と結論した。ただし、ここでいう最大は測定された短時間の反応についてである。[7]
研究の結果を台所へ持ち帰るときは、年齢、閉経の状況、体格、食事の条件が一緒に付いてくる。働く世代の女性が普段の夕食の後に飲む量を、この試験だけで決めるのは飛躍になる。まして35gを毎食、あるいは毎日必ず追加すべきだという話ではない。試験が比べたのは、その条件での1回の摂取量だ。[7]
この試験では、食べた条件と、食べて運動もした条件の合成率は、どちらも基礎状態より高かったが、食べた条件と食べて運動した条件の間には差がなかった。先に挙げた男性の試験で運動が合成の低下を和らげた結果と、言葉だけを並べると違って見える。対象や測定の条件を付けて読むと、運動の影響をすべての場面で一定と考えないことが必要だと分かる。[7][15]
数字で読むエネルギー不足とプロテイン
女性のホエイ補給のメタ分析は13試験で、除脂肪量の群間差は全体で0.37kgだった。[14]
同分析のエネルギー制限を伴う試験では、除脂肪量の差は0.90kgだった。[14]
閉経後の女性40人の試験では、35gと60gで急性の合成率に差がなかった。[7]
若い女性43人の食事試験では、均等配分と夕食中心の配分で体組成の変化に有意差がなかった。[9]
乳製品のメタ分析での除脂肪量の差は0.36kgで、摂取量に応じて効果が増す関係は見られなかった。[18]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
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