有酸素運動のもも上げは腕も振る?酸素消費の期待と動きのそろえ方を研究で読む

有酸素運動のもも上げで、腕を振れば脚だけより酸素消費が増えるのか。腕と脚の協調を調べた研究、その場足踏みと歩行の比較、テレビの合間に動いた試験から、分かることを整理する。消費量の倍率に頼らず、自宅で動きを確かめる視点と、歩数や体重の結果を読み違えない考え方を示す。

夜の動画を止め、その場でももを上げてみる。脚だけでは手持ち無沙汰なので腕も振ると、急に運動らしい見た目になる。そこで気になるのが、見た目に合わせて酸素消費まで増えたのか、という問いだ。

腕振りによる酸素消費の上乗せ量は、ここで扱う研究からは決められない。腕振りとその場足踏みを組み合わせた研究は、パーキンソン病患者の動き始めや手脚の協調を調べたものだ。18〜39歳の女性の自宅運動へ、そのまま当てはめることはできない。[1]

一方、その場足踏みを生活の中に置く方法には、日々の歩数が増えた比較試験がある。ただし、その試験でも体重は変わらなかった。[6] 腕を大きく振れるかという採点より、何を測った結果なのかを見分けるほうが、自宅のもも上げを考える手掛かりになる。

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腕を足すと、消費量より先に動きの組み合わせが変わる

腕振りを始めてから、その場で脚を踏み出す。この順番で手脚を同時に動かす課題を使った研究では、パーキンソン病のある人を対象に、動きの開始や協調を調べている。18〜39歳の女性に同じ反応が生じるかは、この患者集団との比較だけでは判断できない。対象は31人で、転倒に対する自己効力感が低く、転ぶことへの恐怖がある患者を中心に、足踏み開始のためらいが生じた。自己効力感とは、その行動を自分で行えると思える感覚であり、ここでは転倒に関わる評価である。[1]

同じ研究では、手脚の動きがそろわなくなる現象は、患者だけでなく健康な高齢の対照者にも見られた。患者と高齢者の結果を、18〜39歳の女性の協調能力の基準として使うことはできない。[1] 腕を動かしながら脚も動かすことは、単に部品を追加する作業とは限らない。研究者は、上肢と下肢の動きを同時に制御する課題として扱っている。[1] 大きく振った腕が脚の拍子と合わないとき、まず注目したいのは組み合わせである。

ただし、この結果を若い女性の自宅運動にそのまま当てはめることはできない。病気に伴う歩き始めの問題を調べる検査と、動画の合間の運動では、対象も目的も違う。足踏みがぎこちないことから病気を判断したり、腕を振れば必ず脚が止まると考えたりする必要はない。この研究が示すのは、特定の対象では同時動作が難しい課題になり得ることだ。[1]

この検査の手順で注目したいのは、腕を振る課題を先に始め、後から脚の足踏みを加えている点だ。初めから全身で足踏みをする場面とは、動作を組み立てる順序が違う。腕と脚を別々には動かせても、続けていた腕振りに脚を加える場面でためらう患者がいる、という問いに応える設計である。対象となった患者の転倒への恐怖や自己効力感と、動き始めの反応を結び付けて読む研究だ。[1]

自宅で確かめるなら、腕を加えたときに足の着く間隔が乱れるか、いつの間にか脚まで速くなるか、体の向きが変わるかを観察する、という視点がある。これは診断の検査でも、消費量を測る方法でもない。自分が比較したつもりの動作が、実際には別の動作になっていないかを確認するための工夫だ。

たとえば脚だけの足踏みではゆっくり動き、腕を加えた途端に膝も高く上げてしまった場合、違ったのは腕だけではない。「腕ありのほうがきつい」という感想は残せるが、原因を腕だけに割り当てることはできない。運動の記録には、腕振りの有無に加え、脚の速さや上げ方も書き分けておくほうが、後で自分の様子を思い出しやすい。

既存記事「HIITのもも上げは高く上げるほどよい?動きの幅と心肺の負担を読み解く」が扱う高さの問いはそちらに譲り、ここでは腕を加えた動作と、研究が測った指標の対応に絞って考える。

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その場足踏みは、外を歩く動作の完全なコピーではない

その場でももを交互に上げれば、歩行と同じように見える。しかし、健康な成人17人がその場足踏みと地面を進む歩行を行った比較研究では、動作の時間的な特徴は一致しなかった。骨盤と脚に加速度センサーを付け、足が接地したり離れたりするタイミングを捉えた研究である。健康な成人の比較だが、18〜39歳の女性に限定した結果としての適用は確かめられていない。[14]

平均のストライド時間、つまり片側の足から次に同じ側の足へ至る周期の長さには、中程度の関連があった。関連の指標はτ=0.397だった。一方、平均の周期、ステップ時間のばらつき、両足が地面に着いている時間には条件間で有意差があり、その場足踏みではばらつきが大きかった。[14] 似た拍子で動ける部分があっても、すべてのタイミングが同じにはならない。

この区別は、室内の運動を低く評価するためのものではない。研究者は、その場足踏みが歩行の一部の時間的な特徴を模倣する可能性を示している。ただし、調べた安定性の指標では有意差がなかったことと、動作全体が同等であることは別である。[14] 「差が出なかった項目がある」を「全部同じだった」に広げない読み方が必要だ。

したがって、室内で数えた足踏みの歩数を、そのまま屋外で同じ距離を歩いたことや、同じエネルギーを使ったことに換算しないほうがよい。ここで比較されたのは動きのタイミングや安定性であり、距離や消費エネルギーの等価性ではない。[14] 廊下を進まなくても脚は動くが、進まなかった分の道のりまで記録に足す理由はない。

また、足踏みが何を表すかは、評価の目的でも変わる。地域で暮らす60〜79歳の成人600人を調べた横断研究では、体脂肪や筋肉量から分けた体組成の群によって、握力や椅子から立つ課題などの成績には違いがあった。ところが、2分間の高い膝上げを伴う足踏みには、年齢と性別を調整した群間の有意差がなかった。60〜79歳での関連を、18〜39歳の女性の身体機能へそのまま当てはめることはできない。[13]

体組成とは、脂肪や筋肉など体を構成する要素のことである。この研究では、脂肪が少ない群がすべての課題で優れていたわけでも、脂肪と筋肉が多い群がすべて劣っていたわけでもない。握力では脂肪と筋肉が多い群、目を閉じた片脚立ちや椅子立ちでは脂肪が少ない群が良い成績を示している。[13] 体の形を見て、足踏みの能力まで先回りして決めることはできない。

これは同じ時点で体組成と機能を調べた観察研究であり、もも上げを続けたら体組成が変わったという実験ではない。[13] 「もも上げを測る研究」と「もも上げの効果を測る研究」は区別して読む必要がある。運動名が論文に登場しただけで、その運動の痩身効果が証明されたことにはならない。

テレビの合間に動いた試験は、歩数と体重を分けて読む

家庭の足踏みに近い取り組みとして参考になるのが、テレビの広告中にその場足踏みをする方法と、歩く方法を比べた無作為化パイロット試験である。参加者は座って過ごすことが多い過体重の成人58人で、平均年齢は52.0歳、平均の体格指数は33.5だった。18〜39歳の女性が同じ方法で同じ変化を得るかは、この中高年中心の集団の結果だけでは判断できない。体格指数は身長と体重から計算する指標である。[6]

足踏み群は毎日の90分のテレビ番組視聴の広告中に足踏みをし、歩行群は毎日30分歩く方法に取り組んだ。追跡期間は6か月であり、足踏み群が番組の間ずっと動いていたという意味ではない。[6] 「テレビを見ながらできる」という紹介でも、番組の長さと実際に動く時間を混同すると、取り組みの姿が変わってしまう。

日々の平均歩数は、足踏み群で4,611歩から7,605歩へ、歩行群で4,909歩から7,865歩へ増加した。両群とも開始時より有意に増え、群間の有意差はなかった。[6] 室内の生活場面に動くきっかけを置く方法でも、歩数を増やせる可能性が示されたのである。ただし、群間差がなかったことは、どんな足踏みでも歩行と同じ効果になるという保証ではない。

そして体重は変わらなかった。体脂肪率は追跡の後半、腹囲と腰囲は開始時から終了時にかけて両群で減少したが、体重の結果とは分けて報告されている。[6] 歩数が増えたから体重計の数字も必ず下がる、という筋書きにはならなかった。この結果を省いて、足踏みで簡単に体重が落ちると紹介するのは不正確だ。

取り組みには支援もあった。参加者は毎月の電話連絡を受け、前半には月ごとの集まり、後半には月ごとのニュースレターが組み込まれていた。終了時まで追跡できたのは47人、全体の81%だった。[6] 思いついた人がただ広告のたびに立っただけの試験ではなく、生活の変化を支える接点を持つ計画だった。

さらに両群でテレビを見る時間と食事摂取量も減っていた。[6] 体脂肪率や周囲径の変化を、足踏みの腕振りだけに帰すことはできない。動くきっかけ、継続の支援、生活全体の変化を含む結果として読むと、自宅に取り入れる際も、腕の振り幅だけを追い込むより予定の置き方を考えやすくなる。

数字で読むその場足踏みの研究

31人:腕振りと足踏みの同時課題を調べたパーキンソン病の対象者数。酸素消費の増加率を表す数字ではない。[1]

17人:その場足踏みと地面を進む歩行の時間的特徴を比較した健康な成人の人数である。[14]

58人:テレビの広告中の足踏みと歩行を比較した無作為化パイロット試験の参加者数である。[6]

6か月:その試験の追跡期間。日々の歩数は両群で増えたが、体重は変わらなかった。[6]

600人:体組成と身体機能を調べた高齢成人の横断研究の人数。膝上げ足踏みには体組成群間の有意差がなかった。[13]

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