
ピラティスで変わる指標と、変わらない指標がある
柔らかい面での結果を含むピラティス研究もある。ただし、対象を見失わないことが大切だ。多発性硬化症患者11人と、条件を合わせた健康な対照者12人を募った対照付き臨床研究では、患者に修正された臨床ピラティスを実施した。介入は週2回、10週間で、感覚の使い方、姿勢制御、疲労を調べている。疾患のある人への介入なので、健康な18〜39歳の女性に同じ効果が得られるかは別に確かめる必要がある。[5]
介入後には、目を開けて発泡面に立つ条件での感覚相互作用に改善があった。疲労についても、全体、身体、認知の得点に改善が認められた。一方、姿勢制御には有意な変化がなく、疲労の心理社会的な項目も改善の対象外だった。著者らは感覚相互作用と疲労に対する有用性を結論し、さらなる研究を求めている。[5]
ここで見落としたくないのは、「ピラティスで改善」という表題だけでは、何が変わったのか分からない点だ。感覚相互作用のある条件での変化と、姿勢制御の評価全体は同じではない。疲労が軽くなったという結果も、マットが硬いか柔らかいかの製品比較にはならない。[5]
閉経後の50〜60歳の女性57人を対象にした無作為化比較試験では、ピラティス群、ダンス運動群、対照群が設けられた。硬い面と発泡面、それぞれ開眼と閉眼で姿勢制御を調べ、著者らはダンス運動のほうに、よりはっきりした適応があったと報告している。閉経後女性の結果を18〜39歳の女性にそのまま当てはめるには、年代の異なる対象での検証が必要だ。[8]
ピラティス群については、硬い面の単純な条件に変化が限られ、閉眼条件はp<0.05であった。開眼条件について論文はp<0.1と記しているため、両方を同じ確かさの改善として束ねるべきではない。ダンス運動群では、硬い面に加えて発泡面でも改善が報告され、著者らはこの対象での日常の姿勢制御にはダンス運動がより有効な方策になりそうだと結論している。[8]
好きな運動の名前が論文にあった時こそ、結果の範囲を丁寧に読みたい。これらは疾患のある人や閉経後女性の研究であり、若い健康な女性のマット購入にそのまま順位を付ける試験ではない。[5][8] ピラティスを選ぶことと、柔らかいマットを選ぶことと、発泡面上のバランスが変わることは、別々に確かめる問いなのである。
疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。
揺れを増やすことと、練習を進めることを分ける
柔らかい面を使う練習は、何のためにあるのか。平衡機能や前庭機能に問題のある人を対象とする概念的な枠組みでは、バランス運動を静止立位、柔らかい支持面、重心の移動、重心位置を変える課題、歩行、視線の安定に関わる課題に分けている。文献の検討や専門家への聞き取り、予備的な実験、臨床経験から、難しさの進め方を提案したものだ。障害のある人のための枠組みであり、健康な18〜39歳の女性向けの練習順序としては検証が必要だ。[3]
つまり、柔らかい面は難しさを調整する選択肢の一つである。この枠組み自体も、提案した難易度の順位について検証が続いているとしている。どんな人でも、できるだけ柔らかい場所に立てばよい、という確立した処方ではない。[3]
寝た姿勢の運動から立位の運動へ移る時、足元だけでなく課題そのものも変わる。そこで「同じマットの上だから同じ難しさ」とは考えないようにしたい。これは具体的な動作の順番を研究が保証したという話ではなく、難しさを支持面以外の要素からも見る、という枠組みの使い方である。[3]
足首の疲労実験の目隠し条件を見て、自宅でも目を閉じればよいと思うのは早い。研究では、視覚を変えた条件で結果を測っていたのであり、読者向けの練習方法の推奨とは目的が異なる。[6] 測定のために難しくすることと、安全に運動を続けるために条件を選ぶことは、目的が異なる。
バランスの成績が良くなることと、転倒が減ることの間にも距離がある。膝の変形性関節症があり、歩行とバランスに問題を抱えた高齢の転倒経験者41人の無作為化試験の二次解析では、自宅で行うバランスと筋力の運動を含む介入を調べた。半年後の姿勢制御などには群間で改善があったが、最初の転倒までの時間や、転倒せずに過ごす割合には有意な差がなかった。高齢の患者を対象とする結果なので、18〜39歳の女性の転倒予防にそのまま当てはめることはできない。[1]
著者らも、姿勢制御には利益があった一方、転倒再発の減少傾向は観察されなかったとしている。[1] これは「運動は無意味」という結果ではない。測定器の上で変わったことと、生活で起こる出来事を分けて受け取る必要がある。マットの上で揺れた量だけから、将来のけがや転倒を予言することも避けたい。
長く続ける計画と、その日の立ちやすさも分けたい。足首の疲労実験は運動の直後を調べ、患者のピラティス研究は介入期間を終えた後の変化を見ている。[5][6] 今日の疲れが目立ったことだけで、続ける意味がなかったとは判断できない。反対に、続けているから今日も難しい条件で行える、と決める理由にもならない。時間の尺度をそろえて読むと、研究の結果を日々の合否判定に使わずに済む。

よくある誤解
「柔らかいほど、疲れた脚にも立ちやすい」という見方は、足首の疲労実験とは合わない。柔らかい面では、疲労後の姿勢制御への影響がより顕著であった。ただし、目隠しで両足をそろえた健康な若い男性の実験であり、すべてのマットと使い手について柔らかさを否定したものではない。[6] 好みの感触と、立位での扱いやすさを別々に確かめる理由になる。
「揺れるほど体幹に効いている」と決めることもできない。疲労実験が測ったのは圧中心の変化であって、筋肉の成長ではない。[6] 難易度を進める枠組みでも、柔らかい面は複数ある課題の一部である。[3] 揺れはまず、その条件での姿勢の変化として読む。成績表に勝手に「効いた」の印を押さない。
「ピラティスを続ければ、どの床でも同じように安定する」という期待にも幅を持たせたい。閉経後女性の比較試験では、ピラティス群の変化は硬い面の条件に限られ、発泡面での改善は示されなかった。[8] 別の患者研究でも、感覚相互作用と疲労の改善が、姿勢制御の有意な変化は伴わなかった。[5] 運動名だけで結果をひとまとめにしないことが、道具への過大な期待も減らす。
今日からできること
- 使う場面を、寝た姿勢と立った姿勢に分けて書き出す。硬い面と柔らかい面で疲労の影響が異なった10人の実験を、用途を分けるきっかけにする。厚さの推奨値には読み替えない。[6]
- 足元が気になった日は、直前に何をしたかも残す。朝・昼・夕方を調べた10人の実験では、時刻より前の活動が評価に関わる要因として示された。自分の記録でも、時刻だけで原因を決めない。[2]
- 運動直後の立ちにくさを、上達の証拠にしない。疲労実験の30秒の立位測定は、その場の姿勢制御を調べたものである。難しい条件を再現するために目隠しをまねる必要はない。[6]
- 続けた結果を考える時は、何が変わったかを分ける。週2回、10週間の患者研究でも、疲労と姿勢制御の結果は一致しなかった。日常の感想を記す時も、疲れの感じ方と立位の扱いやすさを別の欄にする。[5]
- 指導を受ける時は、どの姿勢で面が気になるかを具体的に伝える。6種類の課題から進め方を考える概念的な枠組みのように、柔らかさ以外の条件も含めて相談する。疾患や運動制限についての判断は医師に求める。[3]

オンザショア立川店で、使う場面を思い浮かべる
道具を選ぶ前に、続けたい運動の場面を具体的にしておきたい。オンザショア立川店は、JR立川駅北口から徒歩1分、東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3Fにある。ピラティスのほか、常温のヨガ、溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガを行っている。ヨガには25種類以上のレッスンがある。
妊娠中は溶岩ホットヨガには参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。参加条件を確認したうえで、運動の種類を選ぶ。
ヨガの体験レッスンは税込1,980円。60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。これはヨガの体験内容であり、ピラティスの体験条件と混同せず、選びたいレッスンを確認したい。
営業時間は8:00〜23:30、年中無休である。開店時刻とレッスン開始時刻は別で、年末年始の12/29〜1/3は通常レッスンを休み、会員向けの特別の有料講座となる。通う予定は実際の開催枠と合わせて考える。運動を生活の中に置く場所として、店舗案内と料金、ヨガ体験の予約を確認できる。買い物の候補と同じように、続ける時間の候補も用意しておきたい。
参考文献
[1] Effect of Modified Otago Exercises on Postural Balance, Fear of Falling, and Fall Risk in Older Fallers With Knee Osteoarthritis and Impaired Gait and Balance: A Secondary Analysis — Mat S, Ng CT, Tan PJ, Ramli N, Fadzli F, Rozalli FI, Mazlan M, Hill KD, Tan MP., 2018, PM & R : the journal of injury, function, and rehabilitation. DOI: 10.1016/j.pmrj.2017.08.405
[2] Postural control as a function of time-of-day: influence of a prior strenuous running exercise or demanding sustained-attention task — Deschamps T, Magnard J, Cornu C., 2013, Journal of neuroengineering and rehabilitation. DOI: 10.1186/1743-0003-10-26
[3] A Conceptual Framework for the Progression of Balance Exercises in Persons with Balance and Vestibular Disorders — Klatt BN, Carender WJ, Lin CC, Alsubaie SF, Kinnaird CR, Sienko KH, Whitney SL., 2015, Physical medicine and rehabilitation international. DOI: なし
[5] Effects of Pilates exercises on sensory interaction, postural control and fatigue in patients with multiple sclerosis — Soysal Tomruk M, Uz MZ, Kara B, İdiman E., 2016, Multiple sclerosis and related disorders. DOI: 10.1016/j.msard.2016.03.008
[6] Effects of fatiguing isometric and isokinetic ankle exercises on postural control while standing on firm and compliant surfaces — Bisson EJ, Remaud A, Boyas S, Lajoie Y, Bilodeau M., 2012, Journal of neuroengineering and rehabilitation. DOI: 10.1186/1743-0003-9-39
[8] Pilates versus Zumba training effects on postural control under conflicting sensory conditions in postmenopausal women — Ben Waer F, Alexe DI, Lahiani M, Sanchez-Gomez R, Chaari F, Alexe CI, Tohanean D, 2024, Experimental gerontology. DOI: 10.1016/j.exger.2024.112383
この記事の情報は2026年11月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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