
腹横筋のタイミングを調べた技能練習
「歩いて使っているなら、特別な練習は要らないのか」という疑問には、目的を分けて答えたい。再発性腰痛のある20人を対象とした無作為化比較試験では、腹横筋を意識的に収縮させる運動技能の練習と、自分のペースで歩く運動が2週間比較された。測ったのは、脳の運動に関わる領域の配置と、腕を素早く動かす際の腹横筋の活動開始である。[7]
技能を練習した群では、腹横筋に対応する脳の領域に変化が見られ、その変化は腹横筋が早く活動し始めることと関連していた。歩行群では、同じ変化は観察されなかった。歩いている間に体幹が働くという話と、狙った動作のタイミングを練習できるという話の境目が、ここにある。[7]
この試験の測定では、腹横筋の左右に筋肉内の細い電極を用い、素早い腕の運動に伴う姿勢調節の活動を捉えた。また、頭部への磁気刺激を使って、腹横筋に対応する脳の運動領域を調べている。再発性腰痛のある人の結果であり、18〜39歳の女性の散歩で同じ脳や筋活動の変化が起こるかは判断できない。[7]
技能練習後の脳の領域の変化は、前方かつ内側への移動だった。研究者らは、それが以前に調べた健康な人での配置へ近づく方向だったと説明する。注目点は筋肉の活動量の増加より、運動を制御する領域の配置と、活動し始める時点との関連にある。散歩との比較は、この運動制御という問いに対して行われた。[7]
では、歩く間ずっとお腹に力を入れれば、その隔たりを埋められるのか。変形性膝関節症の22人と対照の22人、計44人を調べた比較研究では、腹横筋を意識的に働かせる条件とそうしない条件で、歩行の動きや力、速度、筋電図を評価した。膝関節症群では膝の痛みも調べている。18〜39歳の女性全体で同じ結果になるかは、この患者群と対照群の比較からは判断できない。[18]
その結果、意識的に働かせる条件にしても、群内での歩行の力学的な指標に有意な違いは認められず、膝関節症群の自己申告の痛みにも差がなかった。基準となる筋電図活動にも群間・群内の差は見られなかった。少なくともこの対象と条件では、「意識を向けるだけで歩き方も痛みも変わる」という期待は支持されていない。[18]
この比較での「意識する」は、その場で腹横筋を意識的に収縮させる条件である。基準となる筋電図活動にも差が出なかったため、力を入れる指示と、実際の活動の変化を分けて確認する必要がある。著者らは、今後は段階的な体幹安定化プログラムについて、実施量と方法を検討するよう提案している。[18]
お腹の使い方にも種類がある。お腹を引き込む方法と、体幹の筋肉を広く同時に働かせる方法を扱ったスコーピングレビューは、主に腰痛のリハビリテーションに関わる22件の無作為化比較試験を整理した。18〜39歳の女性の日常歩行へ適用するには、対象と運動内容の違いを考慮する必要がある。前者は腹横筋を選択的に活動させること、後者は体幹筋の幅広い同時収縮と結びつけて説明されている。[1]
このレビューは、両方の方法に安定性や筋厚、バランス、歩行などの改善を報告する試験があるとする一方、両者を直接比べる研究が足りないとも述べる。研究全体の範囲を整理するレビューであり、散歩中に全員が同じ方法を続けるべきだと決めるものではない。方法の名前だけを借りて、日常歩行の唯一の正解にしないでおこう。[1]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
歩く向きで変わる、お腹と背中の組み合わせ
前へ歩く代わりに後ろへ歩くと、体幹の活動はどうなるのか。腰を曲げる動作に関連した特徴を持つ慢性の非特異的腰痛の成人30人を対象とする研究では、前向きまたは後ろ向きで15分間トレッドミルを歩き、その間の筋活動と直後の痛み、動作制御を調べた。研究の型は横断的研究である。18〜39歳の女性全体への適用は、この腰痛の特徴を絞った集団との違いを踏まえて判断する必要がある。[16]
後ろ向き歩行では、直後の痛みと腰の動作制御の検査成績に有意な改善が見られた。足を前へ運ぶ局面では内腹斜筋と多裂筋の活動の比に違いがあり、足が接地している局面でも、多裂筋と脊柱起立筋の活動の比に変化が示された。歩く向きが変わると、筋肉どうしの関係も変わり得る。[16]
比率の向きをそろえて読むと、脚を前へ運ぶ局面で比較されたのは、内腹斜筋を多裂筋で割った活動比だった。一方、接地局面では、多裂筋を脊柱起立筋で割った比が、後ろ向き歩行中に増える傾向を示した。お腹側と背中側の関係、背中側の筋肉どうしの関係を、それぞれ別の組み合わせとして追っている。単独の筋肉だけを見ていては、この協調の違いは捉えにくい。[16]
駅前の人混みを後ろ向きに歩く提案に、この研究を使うつもりはない。対象は腰痛の中でも特徴を絞った集団であり、環境もトレッドミル上だ。歩行の条件を変えると活動が変わるという知識は持ち帰れるが、自分の通勤経路を実験場にする必要はない。腰痛のために歩き方を変えたい場合は医師に相談したい。[16]
女性の腰や骨盤周辺の痛みについても、「深い筋肉の活動が少ない」と決めつけないほうがよい。妊娠中と産後の腰骨盤痛を扱った系統的レビューは、痛みのある人と対照を比較する観察研究15本を整理した。18〜39歳の女性でも、妊娠・産後の状態や痛みの有無が違えば、同じ結果をそのまま当てはめることはできない。歩行や物を持ち上げる動作で違いが見られたが、研究間で一貫する違いは少なかった。[4]
その中で一貫していたのは、産後の腰骨盤痛がある人では、脚を動かす際の腹横筋の活動が高いことだった。これは歩行中の結果そのものではないが、「腹横筋は活動が高いほどよい」という説明を見直す材料になる。痛みと活動の関係を読む際には、妊娠中か産後か、何の動作を測ったかまで区別する必要がある。[4]
同じ「腰が気になる」という言葉でも、慢性腰痛、脊柱管狭窄症、妊娠や産後の腰骨盤痛では、研究の対象が違う。いずれかの結果を、自分の筋肉の状態の診断に使うことはできない。健康状態と測定した動作を添えて読むことが、散歩を過大評価することも、過小評価することも避ける手がかりになる。[4][6][14]

よくある誤解
「腹筋運動をしていなければ、深い筋肉は使っていない」は誤解だ。健康な人の歩行時にも腹横筋や多裂筋は測定されている。ただし、歩行で活動がある事実から、目的とする筋力向上まで自動的に導くことはできない。再発性腰痛の試験では、歩行と技能練習で、活動開始のタイミングに関する結果が異なった。[8][7]
「強く働いた筋肉ほど、よい状態である」も単純化しすぎだ。慢性腰痛のレビューでは、腰痛のある人で体幹筋の活動が高いという結果が集まっている。活動の高さは、筋肉の健康診断の点数ではない。痛みがある人に、もっと力を入れるよう一律に勧める根拠にはならない。[6]
「お腹を引き込んで歩けば、歩き方の問題がすぐ整う」という期待にも線を引きたい。膝関節症のある人と対照を比べた研究では、意識的な腹横筋の活動で歩行指標や痛みが有意な変化は見られなかった。体幹への意識、実際に測られた筋活動、歩き方の変化は、それぞれ確認するべき項目である。[18]
今日からできること
- 散歩の目的を、移動を続けることか、特定の動作の練習か、言葉にしてみる。20人を2週間比較した試験では、歩行と腹横筋の技能練習で同じ変化は得られなかった。目的を分けるための手がかりにしたい。[7]
- 速さを上げるときは、「奥の筋肉ほど鍛えられるはず」を理由にしない。腰痛の有無で速度への筋活動の反応が違ったというレビューを、速歩の万能な推奨に読み替えないようにする。[6]
- お腹に力を入れて歩く工夫を、痛みへの自己処方にしない。44人の比較では歩行指標や膝の痛みに有意な改善はなく、気になる痛みは医師に相談する対象である。[18]
- 研究の15分や30分を、そのまま自分の必須時間にしない。後ろ向き歩行の直後の変化と、歩行負荷中の筋活動を調べた時間であり、日常の散歩の最低量を定めた数字ではない。[16][14]
- 運動の説明を読むときは、対象者、測った動作、活動の大きさかタイミングかを確認する。歩行の測定法にもばらつきがあるため、筋肉名が同じだけで結果をひとまとめにしない。[8]

オンザショア立川店で、歩く日と運動の時間をつなぐ
散歩の時間と、動きを練習する時間を生活の中に置く。オンザショア立川店の営業時間は8:00〜23:30で、全曜日同じ、年中無休である。出勤前に組み込むか、帰宅前に立ち寄るか。続ける場所を選ぶときには、種目の名前と同じように、営業時間も判断材料になる。
溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガに加え、常温のヨガやピラティス、パーソナルトレーニングもある。ヨガだけで25種類以上のレッスンが用意されている。妊娠中は溶岩ホットヨガには参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。
JR立川駅北口から徒歩1分、所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3Fである。歩く経路に立ち寄る場所を加えるか、運動のために出かける日を設けるか。予定と場所を一緒に考えられる。
ヨガの体験は税込1,980円で、60分のレッスンとバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルを含む。店の案内と料金、体験予約で、自分の予定に置ける運動の時間を確かめられる。
参考文献
[1] Abdominal Hollowing vs. Abdominal Bracing: A Scoping Review of Clinical Trials on Effectiveness for Trunk Stability and Rehabilitation — Golob I, Opara Zupančič M, Kozinc Ž., 2024, Journal of functional morphology and kinesiology. DOI: 10.3390/jfmk9040193
[4] Motor control of the spine in pregnancy-related lumbopelvic pain: A systematic review — Desgagnés A, Patricio P, Bérubé N, Bernard S, Lamothe M, Massé-Alarie H., 2022, Clinical biomechanics (Bristol, Avon). DOI: 10.1016/j.clinbiomech.2022.105716
[6] Trunk muscles activation pattern during walking in subjects with and without chronic low back pain: a systematic review — Ghamkhar L, Kahlaee AH., 2015, PM & R : the journal of injury, function, and rehabilitation. DOI: 10.1016/j.pmrj.2015.01.013
[7] Driving plasticity in the motor cortex in recurrent low back pain — Tsao H, Galea MP, Hodges PW., 2010, European journal of pain (London, England). DOI: 10.1016/j.ejpain.2010.01.001
[8] Methodology of electromyographic analysis of the trunk muscles during walking in healthy subjects: a literature review — Swinnen E, Baeyens JP, Meeusen R, Kerckhofs E., 2012, Journal of electromyography and kinesiology : official journal of the International Society of Electrophysiological Kinesiology. DOI: 10.1016/j.jelekin.2011.04.005
[10] Neuromuscular and Kinetic Adaptations to Symmetric and Asymmetric Load Carriage During Walking in Individuals with Chronic Low Back Pain — Tajik R, Dhahbi W, Mimar R, Khaleghi Tazji M, Ceylan Hİ, Bayrakdaroğlu S, Stefan, 2026, Bioengineering (Basel, Switzerland). DOI: 10.3390/bioengineering13010082
[14] Walking stress-induced changes in gait patterns and muscle activity: Patients with lumbar spinal stenosis versus asymptomatic controls — Urbanschitz L, Nüesch C, Schären S, Mandelli F, Mündermann A, Netzer C., 2024, Gait & posture. DOI: 10.1016/j.gaitpost.2024.08.083
[16] Real-time and immediate effects of backward walking exercise on pain intensity and lumbopelvic movement control in individuals with chronic non-specific low back pain with lumbar flexion syndrome — Chan E, Chan LY, Fong HK, Mak YT, Kwong PW, Sun ER, Yu CCW, Tsang SMH., 2025, PloS one. DOI: 10.1371/journal.pone.0330609
[18] Transversus abdominis activation does not alter gait impairments in patients with and without knee osteoarthritis — Flowers DW, Brewer W, Ellison J, Mitchell K, Frilot C., 2021, Clinical biomechanics (Bristol, Avon). DOI: 10.1016/j.clinbiomech.2020.105270
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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