
まばたきは回数だけを増やせばよいのか
まぶたが最後まで閉じているかという観点もある。不完全なまばたきとは、十分に閉じ切らないまばたきのことである。ドライアイ患者のまばたき練習を調べた無作為化比較試験では、回数だけでなく、この不完全なまばたきの割合や涙の膜の安定性も評価している。[2]
参加者はドライアイ患者100人で、平均年齢は38.4歳、男性28人、女性72人だった。18〜39歳の女性一般にそのまま当てはめるには、患者であることと男女を含む集団であることの違いを考える必要がある。人工涙液を使った後にまばたき練習を行う群と、人工涙液だけを使う群に分け、練習群は1日に5回、3日間取り組んだ。練習群では比較群より乾燥症状の質問票、目の疲れや不快感、涙の膜の安定性、不完全なまばたきの割合などに有意な改善があった。[2]
この結果は、まばたきの質に注目する理由になる。しかし、人工涙液を併用した患者の試験である。走る初心者が外で回数を増やせば同じ結果になる、という読み替えはできない。統計的に有意な差があったという記述と、どれほど大きな改善を自分に期待できるかという問いも別である。[2]
もう一つの無作為化研究は、練習の方法や繰り返し方を検討している。ドライアイのある98人を対象に方法を調整し、その後ドライアイ患者28人で有効性を検討した。18〜39歳の女性のランニング中にも同じ効果があるかは、この患者対象の試験とは別に検証する必要がある。練習後には症状、不完全なまばたき、結膜の染色所見が改善する一方、まばたき回数、非侵襲的な涙液層破壊時間、涙の量に関する指標、角膜の染色では有意な効果がなかった。[3]
先の試験では涙の膜の安定性も改善し、後の研究ではその測定に有意な効果がなかった。どちらかを消して「まばたき練習は涙を安定させる」と一律に書くことはできない。対象や方法が異なる研究の結果として並べると、症状、閉じ方、回数、膜の安定性を分ける意味が見えてくる。[2][3]
練習をするか、どの方法を選ぶかを考える場合は医師に相談したい。研究に登場した回数を、そのまま走行中のノルマに移す必要はない。ランニングの目標表に、まばたきの達成欄まで増やす話ではないのである。
疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。
運動直後の反応を、毎日の見通しに広げすぎない
運動と涙に関するレビューは、単回の運動を扱った8本と、日常の身体活動や運動プログラムを扱った8本を区別している。長期的な身体活動や運動は乾燥症状の軽減と関連し、涙液層破壊時間が延びる傾向もあった。ただし対象者、研究設計、測定方法のばらつきが大きいことも示されている。[7]
この区別を日常に置くと、今日の向かい風で目が気になったことと、普段の運動習慣の評価は別になる。症状があったから運動一般は目に悪いと判断することも、運動の研究に好ましい結果があるから今日の違和感を我慢することも、どちらも飛躍である。短期の反応と習慣との関連を、同じ時間軸で読まない。[7]
まばたき回数の運動後の変化にも、単純な増加とは異なる結果がある。健康な若年成人24人が、最高酸素摂取量の30%に相当する非常に軽い自転車運動を10分行う条件と、安静の条件を経験した研究では、安静時のまばたき回数の変化に、条件間で有意な差がなかった。対象は健康な若年成人であり、18〜39歳の女性の屋外ランニングにそのまま当てはめるには、運動の種類と測定場面が異なる。[18]
一方、その研究では、運動によるまばたき回数の変化と、注意の制御をみるストループ課題の成績改善の個人差に関連があった。群全体の変化に有意差がないことと、個人差に関連があることは両立する。この相関は、まばたきを増やす操作の効果を検証した結果とは区別する。[18]
しかも測っているのは運動前後の安静時であり、風を受けながら走る最中とは異なる。運動後の安静、自転車、屋外のランニングを混ぜると、研究で測った場面が見えなくなる。研究結果を生活に使うときには、運動という大きなくくりだけでなく、どこで何をしている時点の話なのかを残したい。[18]
長期的な研究の受け取り方にも同じ注意がいる。運動習慣と症状の軽減が関連していたという結果は、生活を考える手がかりにはなるが、屋外を走るたびに症状が軽くなるという約束ではない。レビューに含まれる人や方法の違いを踏まえ、運動の継続と個別の症状への対応を両立させる読み方が適切である。[7]
また、まばたき練習の研究で使われた症状の質問票と、自分が何となくつけた点数も同一ではない。試験では決められた方法で症状や涙の状態を評価し、群の違いを検討している。日常のメモは診察時の説明を助けるために使い、論文の検査と同じ精度を持つものとして扱わない。[2][3]

よくある誤解
「風で乾いたなら、まばたきが減った証拠だ」という理解は避けたい。涙は開いた目の表面で蒸発の影響を受ける一方、回数を調べる研究には別の測定が必要になる。乾くという感覚から回数の増減まで逆算しないことが、この話の出発点である。[14][18]
「涙が増えたなら乾燥の問題は終わりだ」という理解も正確ではない。運動のレビューには、単回の運動で涙の量が増えても、涙液層破壊時間は増えなかったという結果がある。量と安定性を分けるだけで、運動は潤うのか乾くのかという二択から離れられる。[7]
「まばたき練習で症状が改善したから、回数も必ず増えた」という理解も違う。最適な方法を探した研究では、症状などの改善と、まばたき回数に有意な効果がない結果が同時に報告されている。自分が気にしている症状と、研究で変化した指標を照合する方が、回数だけを目標にするより筋が通る。[3]
さらに目の乾きだけで水分不足を決めない。涙の浸透圧と全身の脱水を論じたレビューでも、涙には蒸発やドライアイの影響があり、その解釈には課題がある。検査値でさえ条件を考えて読む必要があるのだから、乾く感じだけを体内の水分計として扱うことはできない。[14]
今日からできること
- 出発前、走行中、止まって画面を見る時、帰宅後に分け、目が気になった場面を言葉で残す。回数、症状、涙の安定性を同じものとして扱わないための記録である。[2][3]
- 「涙が出たから問題ない」と結論しない。16本をまとめたレビューで、単回運動後の涙の量と膜の安定性は違う動きをしていたことを思い出す。[7]
- 画面の地図や記録を確認する作業は、立ち止まる場面として予定に組み込む。画面操作と走行を区切る工夫であり、乾燥を治す方法としての回数や時間のノルマは置かない。
- まばたき練習の数字を走行中の課題にしない。100人の比較試験は人工涙液を併用した患者の短期試験であり、自分に必要な対応は医師に相談する。[2]
- 目の違和感が繰り返すときは、走る前後や画面を見る時との関係を添えて医師に相談する。涙の膜の状態は診療で評価する対象であり、ランニングの記録だけで診断しない。[12]
記録を作るとき、毎回まったく同じ条件で走ろうとする必要はない。「今日は向かい風の道で気になった」「画面を開く前から違和感があった」といった短い文章で十分だ。空欄を埋めることが目的になると、走った経験より表の完成が気になってしまう。
相談する際も、原因を決めてから説明しなくてよい。風だと思う、画面だと思うという見立てと、いつ何を感じたかという経験を分けて話す。研究で指標を分けて読む姿勢は、日常の困り事を他者に伝えるときにも使える。

オンザショア立川店で、屋内の予定も選択肢に置く
屋外を走る日だけで予定を埋めず、屋内で体を動かす場所も選択肢に置いておく。オンザショア立川店は、JR立川駅北口から徒歩1分の溶岩ホットヨガスタジオである。所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F。営業時間は全曜日8:00〜23:30で、年中無休である。
溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガに加え、常温のヨガ、ピラティス、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニングがある。ヨガだけで25種類以上のレッスンがあり、続ける予定を考える際に種目を選べる。
妊娠中は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。屋内の運動を選ぶことと、目の違和感を医師に相談することは分けて考えたい。
屋内で続ける予定を具体化する入口として、ヨガの体験レッスンがある。税込1,980円で60分のレッスンを受けられ、ヨガマットとバスタオル2枚、フェイスタオル1枚のレンタルを含む。
予定を具体化する際は、店のトップで種目を確認し、料金と体験の予約を参照できる。場所と時間を決めるところから、運動を生活の予定に置いていく。
参考文献
[2] Effects of blinking exercises on palpebral fissure height and tear film parameters — Arita R, Fukuoka S, Matsumoto R, Kaido M., 2025, The ocular surface. DOI: 10.1016/j.jtos.2025.02.003
[3] Optimisation of blinking exercises for dry eye disease — Wolffsohn JS, Travé-Huarte S, Bahra I, Finch C, Anyaegbu U, Garcia-Porta N, King, 2025, Contact lens & anterior eye : the journal of the British Contact Lens Association. DOI: 10.1016/j.clae.2025.102453
[7] Effects of physical activity/exercise on tear film characteristics and dry eye associated symptoms: A literature review — Navarro-Lopez S, Moya-Ramón M, Gallar J, Carracedo G, Aracil-Marco A., 2023, Contact lens & anterior eye : the journal of the British Contact Lens Association. DOI: 10.1016/j.clae.2023.101854
[10] Look into my eyes: What can eye-based measures tell us about the relationship between physical activity and cognitive performance? — Zou L, Herold F, Ludyga S, Kamijo K, Müller NG, Pontifex MB, Heath M, Kuwamizu R, 2023, Journal of sport and health science. DOI: 10.1016/j.jshs.2023.04.003
[12] Advances in the diagnosis and treatment of dry eye — Kojima T, Dogru M, Kawashima M, Nakamura S, Tsubota K., 2020, Progress in retinal and eye research. DOI: 10.1016/j.preteyeres.2020.100842
[14] Tear Osmolarity in the Diagnosis of Systemic Dehydration and Dry Eye Disease — Bron AJ, Willshire C., 2021, Diagnostics (Basel, Switzerland). DOI: 10.3390/diagnostics11030387
[18] Resting-state blink rate does not increase following very-light-intensity exercise, but individual variation predicts executive function enhancement levels — Kuwamizu R, Yamazaki Y, Aoike N, Lee D, Soya H., 2025, Journal of physiological anthropology. DOI: 10.1186/s40101-025-00390-x
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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