寝る前のプロテインは脂質ゼロほど飲みやすい?口の滑りと成分表示を分けて読む

寝る前のプロテインを脂質ゼロで選ぶと、口の滑りや乾く感覚まで予想できるのか。発酵ホエイ飲料の粘度・酸味、果汁入り飲料の官能評価を手がかりに、成分表示と実際の飲みやすさを分けて考える。満腹感や筋肉への効果とも混同せず、夜の一杯を比べるときに確かめたい条件を整理する。

洗い終えたシェーカーの隣で、袋の「脂質ゼロ」を見直す。軽そうな表示にひかれる一方、飲んだ後に舌へ残る感じは別にある。寝る前だからこそ、最後のひと口まで気持ちよく飲めるものを選びたい。そのとき、脂質の数字を口当たりの点数として扱ってよいのだろうか。

脂質が少ないほど飲みやすい、と決めるのは早い。発酵ホエイ飲料の開発研究では、脂質が0.2%の配合でも発酵後に粘度が増している。果汁を組み合わせた別の開発研究でも、飲料としての官能評価は配合と結びついていた。脂質の欄だけを見て、薄さや口の滑りまで読み取ることはできない。[16][14]

この問いでは、口で感じることと、飲んだ後の体の変化を分けておきたい。近い記事「女性のプロテインは前の飲み物で冷たさが違う?口の状態と一杯の比較を読む」には前の飲み物による比較の問題を譲り、ここでは脂質表示から夜の一杯の飲みやすさをどこまで選べるかに絞る。

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脂質の表示は、口当たりの順位表ではない

まず「飲みやすい」を自分の言葉にほどいてみる。さらっと流れることなのか、舌に残りにくいことなのか、酸味が強すぎないことなのか。同じ褒め言葉でも、気にしている箇所が違えば選ぶ基準も違う。「軽い」という言葉だけで袋を比べると、自分が避けたい感覚を見失いやすい。

発酵ホエイ飲料を製造した研究では、ホエイたんぱく濃縮物、脱脂粉乳、ショ糖を組み合わせ、乳酸菌で発酵させている。完成した飲料のたんぱく質は9%、脂質は0.2%だった。研究者は成分だけでなく、発酵中と保存中の酸性度、粘度、官能特性も調べた。脂質は、製品を説明する項目のひとつである。[16]

この飲料では発酵後に粘度が増した。粘度とは、液体の流れにくさを見る性質である。少なくとも、この配合で脂質が少ないことと、発酵で粘度が上がることは両立している。低脂質なら水のように流れるはずだ、という読み方には歯止めが必要だ。[16]

ただし、この結果を「低脂質だから粘る」と読み替えてもいけない。研究が扱ったのは原料と発酵工程を備えた飲料であり、脂質だけを段階的に変えた順位表ではない。観察された変化を脂質という単独の成分へ押しつけず、完成した飲料の条件として読むのが筋である。[16]

店頭では、栄養表示は並べやすい。数字の桁も単位もそろっている。一方で「舌に残る感じ」は、袋の裏側に同じ書式で並んでいない。比較しやすい情報だからといって、自分が知りたい感覚をすべて代表する数字にはならない。数字が見やすいことと、問いに合っていることは別である。

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

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低脂質の飲料にも、粘度と酸味の個性がある

発酵飲料の研究をもう少し細かく読むと、単独の菌で発酵した場合と、菌を組み合わせた場合が比べられている。混合した培養条件では、単独の条件より酸の生成が速かった。完成品の官能評価は比較対象の市販プロテイン飲料と多くの項目で似ていたが、酸味は例外だった。[16]

ここでの官能評価とは、人が飲食物の感覚的な特徴を評価することである。この研究では、発酵飲料の酸味は多い乳酸量と強く関連していた。脂質が少ないという共通の説明だけでは、酸味という目立つ特徴を言い尽くせない。配合表の短い紹介と、飲む人の体験には距離がある。[16]

また、酸味の評価と「口が乾く感じ」は、そのまま同じ項目にはできない。自分が酸っぱさを苦手としているのか、舌へ残る感じを苦手としているのかを、試飲の言葉として分けておくとよい。飲んでいる最中の感想と、飲み終えた後の感想を別々に残すだけでも、次に確かめたいことが明確になる。

粘度が高いから必ず飲みにくい、という結論にも進めない。この発酵飲料では、粘度の増加が見られた一方、官能評価の多くは比較対象と似ていた。物性の変化と人の評価は、同じ方向へそろうと先に決めず、それぞれの結果として読む必要がある。[16]

夜の台所で欲しいのは、難しい用語を増やすことではない。「重い」としか書けなかった感想を、「飲む途中はよいが後に残る」「流れ方は好みだが酸味が気になる」と書き分けることである。そうすれば次の買い物で、脂質表示を変えるべきか、味の系統を変えて試したいのかを考えやすくなる。

この研究の配合を家庭で再現する必要もない。発酵用の菌や加工工程は、完成した飲料の研究条件である。夜に選ぶときは製品の表示と自分の感想を使い、研究の製造条件を、台所で付け足す材料の指示へ変えないようにしたい。[16]

果汁入りの評価を、脂質だけの効果に変えない

マンゴーとホエイを組み合わせた飲料の開発研究では、ホエイとマンゴーの割合を変えた配合が調べられた。ホエイとマンゴーは、それぞれ60対20mL、65対15mL、70対10mLである。飲料の性質に加え、保存中の変化と官能評価が検討された。[14]

研究では、マンゴー果汁が多い飲料が、加工後に受け入れられる品質に達しうると報告された。ここで読めるのは、果汁とホエイを組み合わせた具体的な飲料についての評価だ。寝る前の粉末プロテイン全体に当てはまる味の順位としては読まない。[14]

この試験は、配合の違いを含む飲料の開発である。果汁を増やした製品の評価から「脂質を足せば滑る」「脂質を抜けば乾く」といった説明を引き出すと、調べた条件とは別の話になる。比較したものを、読者が知りたい成分だけに置き換えてはいけない。[14]

自宅で水に溶かしたものと、別の飲料に混ぜたものを比べるときも、同じ注意を置ける。感想が違えば、その違い自体は記録してよい。ただ、作り方と配合をまとめて変えたなら、脂質だけを理由とする説明は保留する。自分の好みを選ぶ作業と、原因を突き止める作業は同じではない。

保存については、この開発研究が25日間にわたり飲料の変化を追っている。[14] しかし、研究で扱った期間を、自宅で作った一杯の保存期限へ移すべきではない。製品を選ぶ場面では製品の保存方法に従い、家庭で混ぜた飲料に研究の日数を貼りつけない。研究条件は、商品ごとの扱い方の代わりにはならない。

成分を比較するときには、研究で比べた単位にも目を向けたい。マンゴー入り飲料の試験では、ホエイと果汁の配合が組として変更されている。[14] 片方が増えれば、もう片方の条件も変わる。その組み合わせで評価された製品を、脂質の数字だけ抜き出して説明するのは、完成した料理から材料ひとつの評判を決めるような読み方である。

一方、発酵飲料の研究は、発酵工程による酸の生成や粘度、完成品の感覚的な特徴を扱っている。[16] 果汁の配合研究と並べると、同じホエイ飲料という名前でも、研究者が動かしている条件が違うことが分かる。共通する原料名だけで結果を足し合わせず、配合の比較なのか、加工の比較なのかを見ておきたい。

たとえば、帰宅後に飲んだ一杯を「苦手」と記録したとする。次の日には、何が苦手だったかを言葉にしてみる。口に入れた瞬間なのか、飲み込む途中なのか、飲み終えて片づける頃なのか。これは体の異常を判定する方法ではなく、好みを他人にも伝わる形にするためのメモである。感想に時間の順序を加えると、ただ「脂質ゼロが合わない」と書くより、次に試すものを考える手がかりが増える。

比較のために、苦手なものを飲み切る必要はない。味を選ぶ作業の目的は、自分にとって扱いやすい一杯を見つけることである。製品名、表示どおりの作り方、自分が気にした感覚を残し、違う日に条件を変えたら、その変更も書いておく。数字が同じ製品どうしでも、同じ感想になると先に決めない。

「好みだった」という結論なら、自分の選択として十分に役立つ。しかし「脂質が原因だった」と言うには、ほかの条件をそろえた比較が要る。この違いを保てば、身近な試飲を大げさな実験にせず、開発研究の結果も必要以上に広げずに使える。

数字で読むプロテイン飲料の比較

たんぱく質9%・脂質0.2%:発酵ホエイ飲料の配合値であり、飲みやすさの推奨値ではない。[16]

60対20mL:ホエイとマンゴーを組み合わせた配合の例。ほかの比率も比較されている。[14]

48人:朝食飲料の食欲と摂取量を比較した高齢者試験の参加者数。就寝前の試験とは区別する。[18]

10gを毎日・6か月:高齢者の運動介入で用いられた乳たんぱく質の量と期間。口の滑りを選ぶ基準にはしない。[7]

6人:大豆たんぱく質単独と、それを含む食事を比較した健康な女性の試験の規模である。[12]

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

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宮川涼 Founder

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