
重量と速度をそろえたつもりでも、条件は違う
角度を上げた日にバーが遅くなったら、胸を強く使えている証拠だろうか。水平とインクラインの速度を比べた男性30人の研究では、各種目の最大挙上重量に対する相対的な重さで比べても、速度と重さの関係は異なっていた。推定された30〜80%の範囲では、水平のほうが平均推進速度が高かった。男性の測定から得た関係であり、18〜39歳の女性に同じ速度差や推定式をそのまま当てはめる根拠にはならない。[8]
平均推進速度は、押し進める局面の動きの速さを表す指標として測られている。この研究では、それぞれの種目の最大挙上重量を測る日と、重さに対する速度を測る日を分けていた。水平で持てる最大値を基準に、傾斜でも同じ条件だと決めた比較ではない。種目ごとに基準を確認しても差が出た点が、実際の記録を読むうえで役立つ。[8]
次回に見返す自分が、設定を思い出せる書き方にしておきたい。スマホの練習メモに重量だけ書くと、前回の水平ベンチと今回の傾斜ベンチが同じ列に入る。すると、重さが下がったら後退、動きが遅ければ不調と判定しやすい。だが、種目間で速度と相対負荷の関係が違う研究を踏まえるなら、角度を変えた記録は設定を併記して読むほうが筋が通る。数字の欄を埋める前に、何の数字かを残したい。[8]
この速度研究は、インクラインのほうが上部を大きく育てると確かめた試験ではない。速さを測った研究を筋肥大の答えに置き換えず、設定変更後にバーの動きが違っても不思議ではない、と比較の条件を整理するために使いたい。速度の違いは、角度を上げるべき順番を教えるものでもない。[8]
また、最大挙上重量を速度から推定する場合には、使う負荷によって推定の信頼性も異なった。研究では70〜90%の相対負荷を使う推定は信頼できる傾向が示された一方、40〜60%では同じ評価にならなかった。軽い重りでの動きだけから最大値を推定するときには、速度の数字を使える条件の確認が要る。[8]
一般の練習でこの推定法を再現する必要はない。持ち帰りたいのは、単純に見える速度や重量の数字にも、比較の土台があるという点だ。角度変更に伴って重りを選び直したなら、その変更も記録する。設定を変えた日と、同じ設定で練習を重ねた日を分けることで、次に何を確かめたいのかがはっきりする。[8]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
前に行ったプレスの疲労を、角度のせいにしない
水平を終えてからインクラインを行う日には、角度以外の条件も変わっている。トレーニング経験のある男女22人を対象にした実験では、ベンチプレス、インクラインベンチプレス、ショルダープレス、ベントオーバーロウを同じ順番で行った。最初のベンチプレスの休憩だけを変え、後続の運動への影響を調べている。女性も参加しているが、18〜39歳の女性全体に同じ反復回数や休憩の効果を見込めるかは、運動経験の条件も踏まえて考えたい。[6]
各種目は最大挙上重量の75%で、最大10回までを3セット行う設定だった。最初のベンチプレスの休憩は1分、2分、3分の条件を設け、ほかの種目は2分でそろえた。男女とも、インクラインとショルダープレスの成績は、それぞれの基準の成績と比べて低下した。後から押す種目の回数が減る場面には、それまでの運動が重なっている。[6]
女性では、最初の種目の休憩を3分にした条件で、1分の条件よりインクラインの最初のセットの反復回数が多かった。一方、男性では最初の休憩の変更が後続種目の成績に影響しなかった。休憩を長くすれば以後の全部が同じように戻る、という単純な結果ではない。対象とセットを限定して読む必要がある。[6]
この試験では女性のほうが男性より多く反復し、ベンチプレスとインクラインでの速度やパワーの低下も男性のほうが大きかった。だからといって、女性なら疲れないという意味にはならない。男女とも後続の押す運動の成績は低下しており、性別の平均差と、自分の後半の疲れは両立する。[6]
たとえば前回は練習の最初に傾斜ベンチを使い、今日は水平のあとに使ったとする。同じ角度でも、同じ比較にはならない。この結果を日誌に生かすなら、角度の隣に順番と休憩を残すことになる。順番そのものの優劣を決めるのではなく、後半の記録を「角度が合わない証拠」と早合点しないための記録だ。[6]
研究では、実施する順番自体は固定されていた。したがって、インクラインを先にしたほうが長期的に育つと、この実験から言うこともできない。休憩を変えた急性の比較と、種目の優先順位を変えて続ける計画とは問いが違う。自分の記録を見直す際には、まずその日の条件をそろえて比較し、順番を変更する判断とは切り分けておきたい。[6]

よくある誤解
「上部を狙うなら、水平ベンチを選ぶ意味はない」という見方は極端である。角度比較では、押し上げ局面全体の上部の活動に差はなく、水平は上部と下部の両方の筋活動を得る選択として支持された。上部の途中の活動を重視して傾斜を使うことと、水平を無価値とすることはつながらない。[3]
「角度を増やせば、筋厚も順に増える」という期待も分けて考えたい。継続試験で示されたのは、水平、傾斜、両者の組み合わせという群の比較であり、角度を少しずつ増やす手順の検証ではない。傾斜群が特定部位で大きな筋厚変化を示した事実は残るが、それを角度の上昇に比例する効果へと広げることはできない。[2]
「両方やれば、それぞれの良い結果をそのまま足せる」とも限らない。セット数をそろえた継続試験では、筋厚の差が出た部位で、インクライン群の変化は組み合わせ群より大きかった。これは組み合わせが常に劣るという意味ではなく、練習量をどう配分したかを外して種目名だけ足しても、結果は予測できないという読み方になる。[2]
角度、重さ、種目の数は、増やせる項目として目に入りやすい。だが、研究で比べられた条件を読むと、増加そのものを目標にするより、どの成果を求めるかを先に置くほうが判断しやすい。筋厚を見たい人と、水平で押す力を伸ばしたい人が、いつも同じ設定変更を選ぶ必要はない。[2][3]
今日からできること
- 角度の記録を始める。研究で比較された0°、30°、45°などは測定条件であり、自分が順に登るべき課題ではない。設定を変えた理由も短く残す。[3]
- 上部の活動を考える日は、30°や45°で差が出たのが動作の途中だったことを思い出す。全体の優劣や将来の成長とは区別して読む。[3]
- 水平と傾斜の重量は種目名と一緒に記す。男性30人の研究でも相対的な重さと速度の関係が違ったため、角度をまたいだ重量だけで後退と決めない。[8]
- 後半のインクラインには、先に行った種目と休憩も添える。男女22人の実験で後続の押す運動の成績が下がったことを、比較条件の確認に使う。[6]
- 筋厚と筋力の目標を別に書く。8週間の試験で部位の筋厚と筋力の結果がそろわなかったように、何を確かめる練習かを決めてから次の設定を考える。[2]

オンザショア立川店で、通う条件から予定を組む
角度を変える予定と同じくらい、練習に出向ける時間も手帳に残したい。オンザショア立川店は8:00〜23:30の営業で、年中無休である。JR立川駅北口から徒歩1分、東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3Fにある。仕事帰りに立ち寄るか、休日の予定に置くか。通う場所と時間を具体的に確認しておくことを、運動を続ける予定づくりの入口にできる。
種目を選ぶ前に、参加できる条件を確認する。妊娠中は溶岩ホットヨガには参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。スタジオでは溶岩プレートを敷いたホットヨガのほか、常温のヨガ、ピラティス、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニングを案内している。ヨガだけでも25種類以上のレッスンがある。
ヨガの体験は税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルを含む。通う時間と種目を考えてから、店のトップと料金ページで条件を確認し、体験の予約へ進める。
参考文献
[2] Effects of Horizontal and Incline Bench Press on Neuromuscular Adaptations in Untrained Young Men. — Chaves SFN, Rocha-JÚnior VA, EncarnaÇÃo IGA, Martins-Costa HC, Freitas EDS, Coelho DB, Franco FSC, Loenneke JP, Bottaro M, Ferreira-JÚnior JB., 2020, International journal of exercise science. DOI: 10.70252/fdnb1158
[3] Influence of bench angle on upper extremity muscular activation during bench press exercise. — Lauver JD, Cayot TE, Scheuermann BW., 2016, European journal of sport science. DOI: 10.1080/17461391.2015.1022605
[6] The effects of rest interval length manipulation of the first upper-body resistance exercise in sequence on acute performance of subsequent exercises in men and women. — Ratamess NA, Chiarello CM, Sacco AJ, Hoffman JR, Faigenbaum AD, Ross RE, Kang J., 2012, Journal of strength and conditioning research. DOI: 10.1519/jsc.0b013e318270fcf0
[8] Load-velocity relationship in the free-weight horizontal and incline bench press. — Marques DL, Abohasel W, Alkahtani S, Alsaeed M, Algarzae NK, Neiva HP, Marinho DA, Marques MC., 2025, Scientific reports. DOI: 10.1038/s41598-025-12166-5
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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