筋トレの胸と腕は同じ日でも順番を固定?三頭筋を先に使う日の押す回数を読む

筋トレで胸と腕を同じ日に鍛えるとき、いつも胸から始めるべきなのか。三頭筋を先に使った日のベンチプレスの回数と、数週間続けた後の筋力の変化を研究から読み分ける。きつさや筋肉の活動だけで順番を決めず、その日に優先したい種目と記録する条件を整理する。

プッシュダウンを終えてベンチに横になると、胸のプレスがいつもより早く終わった。同じ重さなのに、押せる回数が違う。そんな日の記録は、調子の悪さと決めつける前に、種目の並びも確かめたい。ベンチプレスと三頭筋の運動を入れ替えた実験では、順番が反復の成績に関わっている。[5]

胸と腕を同じ日に扱うとき、その日に優先したい種目から始めるのが基本になる。押す種目を伸ばしたいならそれを先に、腕の種目を優先したいならそちらを先に置く、という考え方が長期の比較試験から得られる。ただし、先に行った種目の伸びが大きい傾向と、すべての比較で統計的な差がつくことは別である。[3][4]

既存記事「大胸筋の筋トレメニューはフライが先?合計回数に隠れる種目ごとの配分を読む」には胸の種目同士の配分を譲る。ここでは、三頭筋を先に使う日に胸のプレスをどう評価するかを考える。同じ日の中での順番が主題であり、胸と腕を別日に分ける最適な間隔を決める記事ではない。

既存記事「三頭筋の筋トレ、女性は腕を頭上に上げるべき?肩の角度と筋肉の長さを読む」は、腕を置く位置を扱っている。種目の姿勢の選び方はそちらに譲り、ここでは同じ日に胸と三頭筋をどちらから行うかに絞る。

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胸と腕を別の欄に書いても、順番の影響は残る

ベンチプレスと三頭筋のプッシュダウンを使った実験では、胸を押す種目と、肘を伸ばす腕の種目が組み合わされている。上腕三頭筋は二の腕の後ろ側にある筋肉で、この実験ではベンチプレス中にも筋活動が測られた。胸の日の記録に腕の運動が混ざるのは、単なるメニュー表の都合ではない。[5]

ただし、腕という言葉は広い。長期試験には三頭筋を使う運動に加え、肘を曲げるカールも含まれる。カールから始めて胸を末尾にした並びと、三頭筋の運動だけを胸の直前に入れた並びは、同じ条件ではない。「腕が先の研究」とひとくくりにせず、胸の前に何をしたかまで読む必要がある。[3][4][5]

順番を入れ替えると、同じ種目名、同じ予定の重さでも、それまでに終えた運動が変わる。筋トレ経験のある男性12人がバーベルとスミスマシンを使った比較では、ベンチプレスの総負荷量は器具の方式にかかわらず運動順序の影響を受けた。器具の選択と順番の選択を、別々の確認項目にする理由になる。18〜39歳の女性でも同じ影響の大きさになるかは、この男性の実験だけでは判断できない。[2]

総負荷量は、扱った重さと反復などから運動の量を捉える指標である。[2][5] 日常の記録なら、重量の横に「腕の後」と添えるだけでも比較の前提が見えやすい。昨日の胸の記録と今日の胸の記録が同じ欄に収まっていても、そこへたどり着くまでの道は違う。スマホの表は、その違いまで自動で埋めてはくれない。

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三頭筋を先に使った日は、何と比べて回数が変わったか

若い健康な筋トレ経験者の男性14人を対象にした急性実験では、ベンチプレスと三頭筋のプッシュダウンを、単独で行う条件、腕から胸へ進む条件、胸から腕へ進む条件で比較した。急性実験とは、その場で起こる反応を調べるもので、長期間の筋肉の成長を直接測るものではない。18〜39歳の女性に同じ回数の変化が起こるかは、この男性の実験とは別に確かめる必要がある。[5]

負荷には10回の反復が限界になる重さが用いられた。研究でいう10回の重さは、どの並びでも必ず10回できるという保証ではない。先に別の運動を済ませた条件を比べるからこそ、実際にできた回数を見る意味がある。研究者は実施順を無作為化し、条件の偏りにも配慮して比較した。[5]

結果では、種目を単独で行った条件の総負荷量が、三頭筋から胸へ進む条件より大きかった。一方、胸から腕へ進む条件と単独条件の間には有意差がなく、腕から胸と胸から腕を直接比べた総負荷量にも有意差はなかった。「腕から始めると必ず胸からより総量が減る」と言い切ると、比較相手を取り違える。[5]

この研究は、順序によって反復回数が減ることを示しながら、主観的なきつさでは腕から胸と胸から腕の間に有意差を認めなかった。できた仕事の量と、本人がつらいと感じる程度は、分けて評価する必要がある。「今日はいつもと同じくらいきつかった」は、その日の感覚として大切だが、回数の記録の代わりにはならない。[5]

ここから日常に持ち帰れるのは、腕を先にしたら失敗という判定ではなく、比較する組をそろえる発想である。胸を最初にした日と、腕を終えてから胸をした日を無条件に比べない。順番を変えた日の押す回数には、順番という説明候補を残しておく。[5]

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三頭筋の事前疲労で増えたのは、三頭筋の活動だった

筋トレでは、単独の関節を使う運動で対象の筋肉を先に疲れさせ、その後に複数の関節を使う運動へ進む方法が、事前疲労として研究されている。胸や肩、三頭筋を先に使ってから高強度のベンチプレスを行う実験では、どの筋肉を先に疲れさせるかが比較された。[6]

筋トレ経験のある健康な競技者8人の実験で、ベンチプレスの重さは最大挙上重量の95%だった。最大挙上重量とは、ここでは1回持ち上げられる最大の重さを指す。三頭筋を先に疲れさせた条件では、押し上げる局面の三頭筋の筋活動の最大値が増加したが、大胸筋と肩の前側では有意な差がなかった。18〜39歳の一般女性が同じ反応を示すかは、競技者のこの結果だけでは判断できない。[6]

三頭筋の筋活動の最大値は、事前疲労前が114.77±19.4%、事前疲労後が147.76±18.6%と報告された。平均値に添えた幅は標準偏差で、測定値のばらつきを表す。これは筋活動の指標としての値であり、三頭筋がその割合だけ大きくなったという数字ではない。[6]

筋活動は、筋肉が働くときの電気的な信号を測った指標である。この結果は、三頭筋を先に使えば胸がその分を引き受けて、胸の活動が必ず高まるという期待を支持しない。先に使った三頭筋自身の信号が高まる場合もある。「腕を使えなくしたら胸だけになる」という説明では、この実験の結果を捉えられない。[6]

また、測定中の筋活動の大きさと、後日の筋肉の大きさは別の測定対象である。この実験が確かめたのは高強度のベンチプレス中の反応だ。長期に続けた結果は、筋量や筋力を追った試験で別に判断する必要がある。[3][6] 数字が大きく見える指標ほど、それが何の数字かを先に確認したい。

研究の条件も、そのまま普段のメニューにはしない。最大に近い重さでの実験結果を、仕事帰りの軽い練習に同じ大きさで当てはめることはできない。ここで得たいのは高強度をまねる理由ではなく、三頭筋を先にする目的を「胸の活動を増やすため」と無条件に置かない判断である。[6]

長く続けた結果は、優先した種目ごとに読む

12週間の無作為割付試験では、胸のプレス、背中を引く種目、三頭筋の運動、カールの順に行う群と、その逆順の群、それに運動しない対照群が比較された。運動は週2回で、セッションの間は少なくとも72時間空けていた。並びだけでなく、長期に続けた結果を調べた試験である。[3]

どちらの運動群も対照群より筋力が改善した。そのうえで、ベンチプレスの筋力の伸びは胸から始めた群のほうが大きく、背中を引く種目、三頭筋の運動、カールの筋力は逆順の群のほうが大きかった。三頭筋の筋量は小さな筋群から始めた群で増えたが、上腕二頭筋の筋量には運動群間で有意差がなかった。[3]

伸びた種目と、測定した筋量の場所を混ぜないことが大切だ。ベンチプレスの筋力が伸びたという結果を、そのまま胸の筋量がより増えたという意味にはしない。同じように、腕から始めた群の三頭筋の結果を、腕の筋肉全体が同じように反応したと広げない。この試験の中でも、筋力と筋量、三頭筋と二頭筋で結果はそろっていない。[3]

この結果をメニューに移すなら、筋肉の大小だけで順番を固定するより、伸ばしたい種目を前に置く考え方になる。[3] 胸を練習したい日の冒頭と、三頭筋を練習したい日の冒頭が違っていても、それぞれに理由がある。いつも胸が先かを問う前に、その日の記録で何の変化を見たいかを言葉にしておきたい。

数字で読む胸と三頭筋の順番

14人:胸と三頭筋を入れ替えた急性実験の対象は、健康な若い筋トレ経験者の男性だった。[5]

8人:事前疲労後の高強度ベンチプレス中に筋活動を測った、筋トレ経験のある競技者の人数である。[6]

95%:その実験で使われた、最大挙上重量に対する負荷の割合であり、日常の推奨値ではない。[6]

12週間:胸から始める並びと、腕から始める逆順を追った無作為割付試験の期間である。[3]

16人:別の長期試験で、運動順序の異なる群に分けられた筋トレ経験者の男性の人数だった。[4]

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宮川涼 Founder

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