
筋肉の分担を知るには、動作と筋力を照合する
関節モーメントを求める方法として、逆動力学という言葉が登場する。箱を持ち上げる実験では、体につけたマーカーから動きを求め、床反力計などの情報と合わせて関節の力学的な働きを計算していた。見えている動きと外からの力を手掛かりに、関節に必要な働きをたどる方法として捉えると読みやすい。[3]
対象は若い男性26人で、5、10、15 kgの箱を、しゃがむ方法と前かがみになる方法で持ち上げた。しゃがむ方法では股関節と足関節が支持モーメントの大部分を担い、膝を伸ばすという目立つ動きにも、それらの関節の力学的な寄与があった。映像で目立つ動きと、動作を支える関節の分担を分けて読める結果である。若い男性の持ち上げ動作の結果なので、18〜39歳の女性のスクワットに同じ分担をそのまま当てはめることはできない。[3]
この研究では筋電図も測定し、膝まわりの拮抗筋の同時活動が検討されている。関節の曲げ伸ばしの映像、計算された関節モーメント、筋肉の電気的な活動は、それぞれ問いを補う。たとえば膝が伸びた映像だけから、股関節の働きをゼロと判断するのは難しい。同じように股関節モーメントだけから、特定の筋肉の力をすべて言い当てたつもりにならないほうがよい。[3]
負荷の増加も、各関節へ均等には配られなかった。男子大学生14人が頭上に重りを持つスクワットを行った実験では、体重の20%と40%の重さを使う条件と、プラスチックの棒を使う無負荷条件を比べた。重りを使う条件では、下降時と上昇時の股関節の相対的な最大トルクが無負荷より大きかったが、膝の相対的な最大トルクは増えなかった。男子大学生の頭上スクワットの結果であり、18〜39歳の女性に同じ負荷への反応をそのまま当てはめることはできない。[8]
この実験では股関節トルクと、重心が最も低い時点の下部体幹の角度にも関連があった。重りの数字と姿勢を別々に記録する意味がここにある。頭上に持つスクワットの結果を、胸の前で持つスクワットや日常の椅子からの立ち上がりにそのまま当てはめる必要はない。何を持ち、どの姿勢で動いたかを残して初めて、同じ条件の比較に近づく。[8]
一方、筋力を測った研究は何を教えるだろうか。女性16人と男性16人を比較した研究では、測定器で調べた股関節の遠心性トルクと、片脚スクワットの動きとの関連を調べている。全体では股関節の外転・外旋トルクと、太ももや膝の動きとの関連があったが、男女を分けると結果は一様ではなかった。[18]
女性では外転方向の遠心性トルクが大きいほど、太ももの内転や内旋が少ないなどの関連が見られた。一方、男性群では筋力測定値と動きの指標に有意な関連が認められなかった。これは観察による比較であり、筋力を増やせば全員の片脚スクワットが同じ形になるという因果の証明ではない。筋力と動作の関係を、性別を問わず一本の線で描くのは慎重であるべきだ。[18]
そこで介入研究を重ねて見る意味がある。膝蓋大腿痛のある女性アスリート31人を無作為に分けた研究では、体幹と股関節の筋力を重視する機能的安定化トレーニングと、ストレッチと大腿四頭筋の筋力を重視する標準トレーニングを比較した。介入期間は8週間で、片脚スクワットの動きと股関節の遠心性トルクなどを前後で測定した。膝に痛みのある競技者を対象とするため、18〜39歳の健康な女性に同じ改善をそのまま当てはめることはできない。[4]
機能的安定化群で見られた体幹の傾き、骨盤の傾き、股関節内転の動きの改善に対し、殿筋の遠心性筋力の変化には18〜32%の媒介効果があった。媒介とは、介入による動きの変化を筋力の変化がどれほど説明する経路になったか、という読み方である。研究はその効果を小さいと評価しており、筋力だけで動作の変化全体を説明する結果ではない。[4]
この割合は「女性の膝の問題の何割が筋力不足」という数値でも、「参加者の何割が治った」という人数の割合でもない。対象は膝蓋大腿痛のある女性アスリートで、結果は特定の訓練と動作評価の関係に限られる。健康な初心者が自宅で同じ期間しゃがめば、同じ変化になるという約束には使えない。[4]
動作中の要求を知る研究と、筋力が動きにどう関係するかを知る研究を分けると、読む順序がはっきりする。まず運動と配置を確認し、次にどの方向の関節モーメントかを見る。筋力の話をする段階では、専用の測定や訓練前後の比較を確かめる。この手順なら、大きなグラフの棒を見つけただけで「お尻が強くなった」と話を進めずに済む。[4][6][18]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
よくある誤解
「股関節モーメントが大きい人は、いつでも筋力が強い」という理解は、動作中の要求と筋力測定を混同している。膝の前方移動を制限するだけで股関節トルクが増えた比較があり、別の研究では測定器による筋力と動作の関連を調べている。前者の値が増えることを、後者の能力が訓練によって伸びた証拠にはできない。[17][18]
「外旋方向のモーメントが大きいから、外旋筋が将来いちばん鍛えられる」という読み方にも飛躍がある。足先と膝を変えた実験が示すのは、その場の条件による正味関節モーメントの違いだ。さらにバンドでの横歩きでは、見た目から想定されていた方向自体が否定された。種目の印象、動作中の数値、訓練後の変化は、順番を飛ばさずに考えたい。[2][6]
「膝を動かさなければ、体全体への要求が減る」という思い込みも修正が必要である。男性のバーベルスクワット比較では、膝の制限によって膝トルクは減ったが、股関節トルクは増えた。また、箱の持ち上げでは見える膝の動きに股関節や足関節の力学的な働きが関わっていた。ある関節の数字を小さくすることを、全身の負担の消去と読み替えないことだ。[3][17]
ただし、これらは「大きいほど悪い」「小さいほどよい」という新しい採点表を作るための話ではない。足先の向きを比較する実験と、痛みのある人への介入では、研究の目的も評価している結果も違う。自分の痛みの原因をグラフから決めず、個別の健康状態は医師に相談する。研究が比較した条件を確かめる姿勢は、運動を選ぶときにも役立つ。[4][6]

今日からできること
- 動画や記事の数字を見るときは、動作中の関節モーメントなのか、測定器で測った筋力なのかをメモする。片脚スクワットと筋力の関連を調べた研究は女性16人と男性16人が対象であり、測定と動作を分けていた。[18]
- 自分のスクワットを記録するなら、膝の前方移動だけでなく上体の傾きも書き添える。男性7人の小規模な比較では、膝を制限した条件で股関節トルクと姿勢が変わった。この結果を全員共通のフォーム規則にせず、自分の姿勢の変化を見返す記録にする。[17]
- 足先と膝の向きは組み合わせで記録する。男女24人の実験で、中立の膝と内側の膝では足先の開きに対する結果の読み方が変わったため、つま先だけの写真で判断を完了させない。[6]
- 重りを増やした日の記録には、保持する位置も残す。男子大学生14人の頭上スクワット実験では、負荷を加えても股関節と膝の最大トルクは同じようには増えなかった。研究の負荷率を自分の開始重量の指示には使わない。[8]
- 訓練後の変化を振り返るときは、筋力と動作を別項目にする。女性アスリート31人への介入で殿筋筋力の媒介効果は18〜32%だった。動作の変化を筋力だけの成果として説明しきらないための記録である。[4]
オンザショアで、通う条件を具体的にする
股関節の数値を競うより、動作を確かめる時間を生活の中に置きたい。オンザショア立川店はJR立川駅北口から徒歩1分、営業時間は全曜日8:00〜23:30で、年中無休である。仕事や用事の前後を含め、通う時刻を考えるための条件がそろっている。
所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F。溶岩プレートを敷いたスタジオのホットヨガに加え、常温のヨガ、ピラティス、パーソナルトレーニングなどを扱う。ヨガだけでも25種類以上のレッスンがあり、続ける場を検討する際には種目と時間を一緒に確かめたい。
妊娠中は溶岩ホットヨガには参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。参加できる種目を確認したうえで、体験の日程を検討したい。ヨガの体験レッスンは税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。
料金と店の案内で通う条件を確認し、日程は体験の予約から検討できる。予定表に入れられる時間を見つけることが、ここで考える続ける仕組みである。

参考文献
[2] Hip torques and the effect of posture in side-stepping with elastic resistance — Medeiros HBO, Silvano GA, Herzog W, Nunes MO, de Brito Fontana H., 2022, Gait & posture. DOI: 10.1016/j.gaitpost.2022.01.021
[3] Lower extremity joint kinetics and lumbar curvature during squat and stoop lifting — Hwang S, Kim Y, Kim Y., 2009, BMC musculoskeletal disorders. DOI: 10.1186/1471-2474-10-15
[4] Evaluating eccentric hip torque and trunk endurance as mediators of changes in lower limb and trunk kinematics in response to functional stabilization training in women with patellofemoral pain — Baldon Rde M, Piva SR, Scattone Silva R, Serrão FV., 2015, The American journal of sports medicine. DOI: 10.1177/0363546515574690
[6] Foot Turnout and Knee Alignment Affect the Transverse Plane Hip Moment in Barbell Squats — Krylova D, Edgar PL, Chiu LZF., 2026, Journal of strength and conditioning research. DOI: 10.1519/jsc.0000000000005612
[8] Impact of Load Variation on Lower Limb Joint Torque during Overhead Squats — Ikeda Y, Kawabe M, Hisamitsu T., 2025, Journal of human kinetics. DOI: 10.5114/jhk/195877
[17] Effect of knee position on hip and knee torques during the barbell squat — Fry AC, Smith JC, Schilling BK., 2003, Journal of strength and conditioning research. DOI: 10.1519/1533-4287(2003)017<0629:eokpoh>2.0.co;2
[18] Relationship between eccentric hip torque and lower-limb kinematics: gender differences — Baldon Rde M, Lobato D FM, Carvalho LP, Santiago P RP, Benze BG, Serrão FV., 2011, Journal of applied biomechanics. DOI: 10.1123/jab.27.3.223
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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