睡眠前のタンパク質は飲むか食べるか、食感と翌朝の空腹を分けて選ぶ考え方

睡眠前のタンパク質は、飲み物より固形の食品の方が腹持ちがよいのか。活動的な女性を対象にした就寝前の比較試験を軸に、朝食の研究、胃での凝固、量を増やした試験を読み分ける。食べた直後の満足感と翌朝の空腹を混同せず、自分の夜の食事を考えるための視点を紹介する。

夕食の食器を片づけながら、明日の朝食を考える。夜の食品選びも、まずは普段の食事と生活リズムに沿って考えたい。翌朝の空腹を避けるために、就寝前のタンパク質を毎晩の義務にする必要はない。飲むか食べるかを比べるなら、食べた直後の満足感と翌朝の食欲を分けてみよう。

就寝前にカッテージチーズと、エネルギーとタンパク質量をそろえた液体のカゼインを比較した試験では、翌朝の主観的な食欲に有意差はなかった。対象は活動的な女性10人である。この試験では、固形を選ぶことによる翌朝の腹持ちの優位性は確認されなかった。[15]

一方、朝食を扱うレビューでは食事の形も食欲反応を左右する要素とされる。食感を無視する必要はないが、朝食の結果をそのまま就寝前に移すのも早い。[17] 既存記事「糖質制限のソースは油の粒でも違う?同じ脂質量で変わる消化と満腹感を読む」には脂質の構造の問いを譲り、ここではタンパク質の形と、いつの空腹を確かめるかに絞る。

既存記事「女性の筋トレのタンパク質量は体重だけで決める?食事を減らさず考える順序」には筋トレ時の必要量を、「【連載】減量の科学 第5回|タンパク質と満腹感——高タンパク食の証拠」には減量一般を譲る。「筋肉痛のタンパク質にコラーゲンは使える?痛みと戻る筋力を分けて研究で読む」とも問いが異なり、ここで確かめるのは睡眠前に選ぶ食品の形である。

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就寝前の直接比較で、翌朝に何が変わったか

最も問いに近い研究から見よう。活動的な女性を対象にした無作為化クロスオーバー試験である。クロスオーバーとは、参加者が異なる条件を別の機会に経験して比較する方法だ。この試験では、カッテージチーズ、液体のカゼイン、エネルギーを含まない対照飲料を比べた。カゼインはここで用いられた乳由来のタンパク質である。[15]

女性の平均年齢は23.1歳。食品の条件はタンパク質30 g、炭水化物10 g、脂質0 gで、液体の条件はエネルギーとタンパク質量を合わせていた。通常の就寝時刻の30〜60分前、標準化した食事から2時間後に摂取した。研究室に泊まり、翌朝も測る設計なので、普段の夜食を自由に選んだ人同士の比較ではない。[15]

結果は、翌朝の食欲に条件間の有意差なし。安静時エネルギー消費量、つまり安静にしているときに使うエネルギーについても、摂取直後と翌朝に有意差はなかった。翌朝の平均値は食品で5840 kJ/日、液体カゼインで5694 kJ/日、対照で5991 kJ/日であり、条件間の検定はP=0.79だった。[15]

この数字の並びから、対照飲料を選ぶべきだという順位表を作ってはいけない。平均値の見かけの差と、試験で確かめられた差は別だ。また、小さな試験で差が検出されなかったことは、すべての人で完全に同じ反応になる証明でもない。ここで支えられるのは、この対象と摂取条件では、食品にすることによる翌朝の食欲の優位性が認められなかった、という範囲である。[15]

夜の台所に戻すなら、「飲むのは簡単すぎるから役に立たない」と考える理由は薄くなる。ただし、これは寝る前にタンパク質を追加するよう勧める結果ではない。食品、液体、対照を比べても翌朝の食欲に差がなかった試験である。選択肢の優劣を確かめた結果と、追加する必要性は分けて受け止めたい。[15]

この研究を自分に当てはめる際には、夕食を終えてからの補食だった点も残しておきたい。標準化した食事の後にとった条件であって、食事を抜いて食品か飲み物だけで夜を過ごす条件ではない。[15] 「寝る前に同じものを食べれば同じ結果」と食品名だけを持ち帰ると、比較の土台が抜けてしまう。

また、活動的な若い女性の結果という対象の近さと、人数の少なさは同時に見る必要がある。参加者の平均は集団の結果であり、今夜の自分の食欲を言い当てるものではない。[15] 普段の食べ方と照らす材料にはなるが、飲み物を選んだ翌朝に空腹だったから研究が間違いだ、ともならない。個人の経験と条件をそろえた比較は、役割が違う。

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満腹感は、いつの何を測った言葉なのか

「腹持ちがよい」という日常語には、飲んだ直後のお腹の満ちた感じ、しばらく後の空腹、次に食べる量まで入り込みやすい。ところが研究では、それらは別々に測られている。健康な成人36人を対象にした無作為化試験では、栄養組成の異なる液体の朝食をとり、食欲の評価と、その後の昼食量を調べた。18〜39歳の女性だけの比較ではないため、その年代の女性への適用は、成人全体の結果として考える必要がある。[19]

この試験は、容量670 mL、エネルギー2100 kJをそろえ、タンパク質が占めるエネルギー比率と、炭水化物と脂質の比率を変えていた。高タンパク質条件の一つでは、低タンパク質条件の一つと比べ、「これから食べられそうな量」の評価が12%低かった。しかし、自由に食べる昼食のエネルギー量には有意差がなかった。[19]

口頭や尺度で答える感覚と、食卓で実際に食べる量が、同じ方向に同じ大きさで変わるとは限らない実例である。[19] 「空腹の点数が下がった」と聞いて「食事の量も同じ割合で下がる」と読み替えると、研究の結論を越えてしまう。12%という数字は、食べた量の減少率ではない。

就寝前の問いでも、まず知りたいことを決める必要がある。飲み終えた時点の満足感なのか、布団に入るころの空腹なのか、起床したときの食欲なのか。就寝前の直接比較が示したのは、翌朝の主観的食欲に有意差がないという結果だった。[15] 今夜の食べた感じを、そのまま翌朝の予測値にはしない方が読み違えにくい。

体重を変えることを目的にしなくても、この区別は役立つ。夜に食べるときの気がかりが「まだ食べたい」なら、その感覚を言葉にしておく。気がかりが「朝食を食べられるか」なら、翌朝の様子を別に見る。違う問いを同じ「腹持ち」の一語で採点しない、という工夫である。

固形の朝食が有利でも、夜の答えにはならない

朝食の介入試験を検討したレビューでは、朝食を抜く場合に比べ、食欲調整や満腹感、食後のエネルギー消費について、改善を支持する結果から中立的な結果までがあった。食事のタンパク質量、エネルギー量、飲み物か食品かという形が、結果を読むうえで重要な要素とされている。[17]

具体的には、タンパク質が1食30 g以上、エネルギーが350 kcal以上で、固形食品として提供された朝食では、欠食と比べた食欲・満腹感の反応が大きかったと整理されている。ただしこれは、形だけを変えれば同じ効果が出るという意味でも、寝る前にこの量をとるべきだという基準でもない。[17]

比較相手を見失わないことが大切だ。「朝食を食べる対食べない」と「同じエネルギーとタンパク質を食品でとる対液体でとる」では、調べている差が違う。レビューは朝食の食べ方を考える背景になるが、就寝前の形の比較には、先ほどの女性の試験の方が直接近い。[15][17]

液体にも、組成による違いはある。健康な17人が、同じエネルギーの乳由来ホエイ、大豆由来タンパク質、タンパク質を含まない炭水化物の朝食スムージーをとった無作為化クロスオーバー試験では、その後の昼食量は炭水化物条件で769 kcal、ホエイで654 kcal、大豆で664 kcalだった。ホエイと大豆の間に有意差はなかった。健康な参加者全体の結果なので、18〜39歳の女性に同じ差が出るかは別に確かめる必要がある。[11]

ここで比べたのは、すべて飲み物である。「液体は腹持ちしない」という一括りでは、この違いを説明できない。[11] 形を比べるつもりで食品表示を見るなら、タンパク質量だけでなく、エネルギーやほかの栄養素も確認したい。夜のチーズと朝のスムージーを、名前の印象だけで同じ条件の対戦相手にしないことだ。

数字で読むタンパク質の形と食欲

女性10人:就寝前の食品と液体を比べた、活動的な女性のクロスオーバー試験の対象人数である。[15]

タンパク質30 g:就寝前の食品条件の量で、液体条件もタンパク質量とエネルギーをそろえていた。[15]

就寝30〜60分前:上の試験の摂取時刻であり、万人に勧める時刻の基準ではない。[15]

12%低い評価:成人36人の液体朝食試験における「これから食べられそうな量」の条件間差で、昼食の摂取量には有意差がなかった。[19]

20〜80 g:男性競技者10人の試験で比較したホエイの量の範囲であり、多い条件ほど満腹感が強くなる結果ではなかった。[20]

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宮川涼 Founder

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