
持久力が上がった報告と、上がらなかった報告
呼吸を邪魔しないことと、持久力を高めることは別の評価である。顎の位置を変える個別製作型を調べたクロスオーバー研究では、上気道の容積が13%、換気量が7%、最大有酸素パワーが5%、疲労困憊までの時間が4%増えたという結果が出ている。[9]
この研究は、顎の位置や気道の形の変化と運動成績を合わせて調べ、成績向上の可能性を示した。したがって、マウスガードで成績が改善した研究は存在しない、と切り捨てるのは誤りだ。ただし、顎の位置を調整する特定の設計についての結果を、歯を覆う器具すべての効果には広げられない。[9]
対照的に、大学年代の男性選手20人を対象とする無作為化クロスオーバー比較では、市販の顎の位置を変える型に有酸素運動成績の向上は認められなかった。非装着、比較用のマウスガード、自己成形型、個別に適合させた型を比べた試験である。大学年代の男性選手の結果が18〜39歳の女性にも当てはまるかは、別に確かめる必要がある。[4]
安静時の呼吸検査では、非装着の方が高い最大呼気流量を示し、一部の装着条件では最大随意換気量も低かった。それでも、運動中の換気量、酸素消費、二酸化炭素産生には、最大未満の各段階でも最大有酸素能力の場面でも有意差がなかった。[4]
つまり、気道の形が変わりうるという説明だけでは、実際に運動成績が上がるところまで約束できない。構造の変化を測る研究と、動いている最中の成績を測る研究では、答えを出す段階が違う。広告の中でその段階が飛ばされていないかを確認したい。[4][9]
さらに、いずれも装着した条件と装着しない条件を比較する研究である。そこで見られた成績の差を、そのまま「着けて練習を続ければ心肺機能が育つ」という長期の効果に置き換えることはできない。今日の運動中の反応と、継続後の適応は別の問いとして残る。[4][9]
格闘系運動を始める動機が体力づくりなら、まず器具に何を期待しているかを言葉にするとよい。歯を守るために着けたいのか、息苦しさを増やして鍛えたいのか。前者を支える試験の結論を、後者の根拠として借りることはできない。保護具に、トレーニング計画の役まで任せすぎないことである。[1][4]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
女性の結果と、本人の息苦しさをどう扱うか
女性のデータもある。平均年齢22歳の女性11人が、自転車式の運動負荷試験を、女性向けの自己成形型、汎用の自己成形型、非装着で行った臨床試験である。心拍数、主観的な運動のきつさ、換気量、酸素摂取量などを調べた。[14]
出力が上がるにつれて心拍数や酸素摂取量は増えたが、同じ出力で条件を比べると、測定した指標に有意差はなかった。女性向けの型についても、汎用型と比べて有酸素運動の反応が優れるという結果ではなかった。女性用という名前と、測定された優位性は分けておきたい。[14]
この試験は女性の読者に直接関係する材料だが、対象は少人数である。男性の試験を女性へ無条件に当てはめる必要がないのと同じく、この女性の試験だけで、どの形が誰にでも合うかは決められない。性別の表示で選び切るより、具体的な器具と使用場面を確認するための材料にする。[14]
そして、数値が変わらなくても、本人の不快感をなかったことにはしない。運動習慣のある男性15人が、通常型、通路のある型、非装着を比べた試験では、通常型で心肺の測定指標に悪影響はなかった。一方、どちらの装着型でも、息のしやすさ、快適さ、会話のしやすさの評価は悪くなった。男性の評価から18〜39歳の女性の不快感の程度まで同じと予測はできない。[11]
測定器では大きな差がなく、本人は使いにくい。この組み合わせは矛盾ではない。レッスン中に動きを尋ねたい、声かけに返事をしたいという場面では、会話のしにくさも道具の使い勝手に入る。酸素摂取量だけで器具の体験を採点しない方が、相談すべき点がはっきりする。[11]
装着への印象が変わった研究もある。男性選手13人を対象とする評価研究では、運動成績を妨げるという主観的評価が、使い始めの37 mmから装着4週間後に23 mm、運動試験後に12 mmへ変化した。ただし、4週間後までの低下は統計的に有意ではなく、運動試験後の改善が有意だった。男性選手の経過を18〜39歳の女性にもそのまま見込むことはできない。[13]
この評価は100 mmの尺度で測られている。慣れれば全員が気にならなくなるという処方にはできないが、最初の印象と実際に運動した後の評価が同じとは限らない材料になる。初日の感想を結論にせず、何が気になるのかを具体化して相談する余地はある。[13]
また、測るときの装置にも目を向けたい。男性の大学ラクロス選手24人の比較研究では、口だけで呼吸する測定用マスクと、鼻と口で呼吸できるマスクを使い、自己成形型、個別適合型、非装着を比べた。最大酸素摂取量のピーク値に対する60%と80%に相当する運動条件である。男性の大学選手の結果が18〜39歳の女性でも同じ差になるかは別の問いだ。[10]
マスクの種類やマウスガードの条件で、統計的な差や条件の組み合わせによる差はあった。しかし、著者らはその差を実用上ほとんど意味のない小ささと評価している。「有意差あり」の文字だけを拾うと、現場で体験する違いの大きさを読み違える。[10]
中央線で立川へ戻る途中、スマートフォンに小さな研究結果が流れてくる。「呼吸が変化した」とだけ書かれていても、数値の差が大きいのか、運動の結果まで変わったのかは別に確かめたい。研究の見出しは、次のレッスンで使う道具の採寸票にはならない。[2][10]

よくある誤解
「息苦しいほど心肺機能が鍛えられる」という理解は、ここで扱った結果からは支持できない。自己成形型で呼吸の努力や代謝面の負担が増え、運動能力がわずかに低下した試験はあるが、それを長期的な能力向上として報告したものではない。不快感をトレーニング効果の点数に換算しないことである。[1]
「酸素摂取量が同じなら、装着で何も変わっていない」という理解も違う。個別製作型を比べた試験では、酸素摂取量と成績は同程度でも、換気量、吸う時間、乳酸などに違いがあった。同じだった項目を認めると同時に、変わった項目も残して読む必要がある。[2]
「顎の位置を変える型なら持久力が上がる」とも一律には言えない。成績向上を認めたクロスオーバー研究と、向上を認めなかった無作為化クロスオーバー試験が並んでいる。器具の設計や試験条件をまたいで、よい方の結論だけを一般化するのは避けたい。[4][9]
「呼吸の邪魔になるはずだから、保護具は外した方がよい」という飛躍にも注意する。有酸素運動の反応や成績を損なわなかった試験は複数あり、著者らは傷害予防のための使用を支持している。対人接触のある競技での装着判断を、息の感覚だけで決める理由にはならない。[2][4][5]
今日からできること
- 器具を検討するときは、歯の保護が目的か、能力向上への期待かを書き分ける。男性20人の試験では、顎の位置を変える型に有酸素運動成績の向上は認められなかった。[4]
- 比較する製品が自己成形型か個別製作型かを確認する。通路のある自己成形型17人の試験と、個別製作型13人の試験は別の結果であり、「通路あり」だけを判断材料にしない。[1][2]
- 使用時に気になった点は、息の通り、口の快適さ、会話のしやすさに分けて指導者や歯科医師へ相談する。男性15人の試験でも、この装着感の評価と心肺の測定結果は一致しなかった。[11]
- 女性向けという表示だけで性能差を期待しない。女性11人の試験では、女性向け型でも汎用型でも、同じ出力で調べた生理指標に有意差はなかった。[14]
- 記録を比べるなら、器具の種類と運動の条件を一緒に残す。24人のラクロス選手の研究では、測定マスクの条件にも差が出ており、数字だけの比較では背景を落としてしまう。[10]

オンザショア立川店で、続ける予定を組み立てる
口元の道具を選ぶことと、運動を続ける予定を作ることは、別々に考えられる。オンザショア立川店の営業時間は8:00〜23:30、年中無休である。仕事や学校の前後に、どの時間なら通う予定を置けるかを考える材料になる。場所は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F、JR立川駅北口から徒歩1分だ。
妊娠中は溶岩ホットヨガには参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。
当店には女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニングがある。常温のヨガとピラティス、溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガもあり、ヨガだけで25種類以上のレッスンを用意している。競技の運動試験とレッスンを同じものとして扱わず、続ける種目と時間を検討する場所として利用を考えたい。
ヨガの体験は税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルを含む。予定を組む際は店の案内と料金を確認し、ヨガの体験は予約ページから申し込める。
参考文献
[1] Decreased exercise capacity in young athletes using self-adapted mouthguards — Lässing J, Falz R, Schulze A, Pökel C, Vondran M, Schröter T, Borger MA, Busse M, 2021, European journal of applied physiology. DOI: 10.1007/s00421-021-04659-8
[2] Effects of Custom-made Mouthguards on Cardiopulmonary Exercise Capacity — Lässing J, Schulze A, Kwast S, Falz R, Vondran M, Schröter T, Borger M, Busse M., 2021, International journal of sports medicine. DOI: 10.1055/a-1236-3814
[3] Effect of Mouthguard Use on Metabolic and Cardiorespiratory Responses to Aerobic Exercise in Males — Green MS, Benson AK, Martin TD., 2018, Research quarterly for exercise and sport. DOI: 10.1080/02701367.2018.1451816
[4] The effects of over-the-counter jaw-repositioning mouthguards on aerobic performance — Golem DL, Davitt PM, Arent SM., 2017, The Journal of sports medicine and physical fitness. DOI: 10.23736/s0022-4707.16.06325-8
[5] The effect of mouthguard design on respiratory function in athletes — Gebauer DP, Williamson RA, Wallman KE, Dawson BT., 2011, Clinical journal of sport medicine : official journal of the Canadian Academy of Sport Medicine. DOI: 10.1097/jsm.0b013e31820428b0
[9] Physiological Responses of a Jaw-Repositioning Custom-Made Mouthguard on Airway and Their Effects on Athletic Performance — Schultz Martins R, Girouard P, Elliott E, Mekary S., 2020, Journal of strength and conditioning research. DOI: 10.1519/jsc.0000000000002679
[10] Effects of boil-and-bite and custom-fit mouthguards on cardiorespiratory responses to aerobic exercise — Feland JB, Hurst J, Fellingham GW, Vehrs PR., 2020, The Journal of sports medicine and physical fitness. DOI: 10.23736/s0022-4707.19.09714-7
[11] Effects of an over-the-counter vented mouthguard on cardiorespiratory responses to exercise and physical agility — Bailey SP, Willauer TJ, Balilionis G, Wilson LE, Salley JT, Bailey EK, Stricklan, 2015, Journal of strength and conditioning research. DOI: 10.1519/jsc.0000000000000668
[13] Exercise capacity in athletes with mouthguards — von Arx T, Flury R, Tschan J, Buergin W, Geiser T., 2008, International journal of sports medicine. DOI: 10.1055/s-2007-965341
[14] Physiological variables and mouthguard use in women during exercise — Rapisura KP, Coburn JW, Brown LE, Kersey RD., 2010, Journal of strength and conditioning research. DOI: 10.1519/jsc.0b013e3181d1572d
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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