
続けた後の変化はラットの実験でどう見えたか
運動を続けること自体の影響に近づく研究として、雄のラット40匹を無作為に分けた実験がある。安静群21匹と運動群19匹を比べ、11週目の終わりに赤血球の形や血液の指標を調べた。人の運動経験者を比べた研究とは異なり、運動させる条件を設けた動物実験である。18〜39歳の女性に同じ期間・同じ変化が生じるかは、この実験から判断できない。[2]
持久運動を続けた群では、赤血球の形の異常の割合が低下した。また、変形を表す指標にも有意な変化があり、研究者は変形能が高まったと結論している。ここでは指標の数値は低い方向に動いていた。「値が増えたら改善」と名称だけで判断すると、読み方を取り違える。[2]
腎臓でのエリスロポエチンの遺伝子とたんぱく質の発現、骨髄でのその受容体の遺伝子発現、循環中の相対的なエリスロポエチンにも増加があった。エリスロポエチンは赤血球をつくる働きに関わるもので、この実験では変形の変化を説明する経路の候補として検討されている。[2]
形や変形の指標の変化は、循環中のエリスロポエチンの増加と関連していた。そのため、運動が細胞を外から押し伸ばして柔らかくする、というイメージより、赤血球をつくる仕組みも含めて考える研究である。ただし、この関連は経路の候補を示すもので、変化の原因全体を特定した結果ではない。[2]
ここで立ち止まりたいのは対象である。雄ラットの持久運動の結果を、仕事帰りにヨガへ通う女性の変化量に換算することはできない。11週間という期間も、人がその日までに成果を出すための締め切りではない。運動による変形能の適応を考える生物学的な手掛かりとして位置付けたい。[2]
また、この動物実験と人の比較実験は、同じ指標で同じ状況を測った結果ではない。前者は運動を続けた後の赤血球の形や変形、後者は安静時に採った血液へ乳酸を加えた応答である。両方に運動との関係が見られても、結果を足して人への改善率を算出することはできない。[2][3]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
運動直後は粘度が上がっても変形能は変わらない
継続的な適応の話だけでは、運動した日の血液を説明できない。健康な10人が行った研究では、最大心拍数の85%で1時間の自転車運動を、飲水なしと飲水ありの条件で行った。飲水ありの回には、最初の運動で減った体重に相当する量の飲料を摂った。健康な少人数での特定の運動条件を調べた結果であり、18〜39歳の女性全体への適用には別の検証が必要である。[4]
どちらの条件でもヘマトクリットと血漿粘度は有意に増加した。血液全体の粘度も測定したすべての流れの条件で上昇したが、その上昇が統計的に有意だったのは飲水なしの運動だけであった。水を飲んだら血液のすべての指標が元のままだった、という結果ではない。[4]
その一方、赤血球の変形能と凝集性には、いずれの条件でも変化がなかった。血液全体の粘りは増す方向に動いているのに、細胞の変形しやすさは変わらない。この組み合わせこそ、「粘度が高いから赤血球が硬くなった」とは言えない具体例である。[4]
研究者は、血液の濃縮がヘマトクリットや血漿粘度の増加を説明すると考えている。さらに、汗による損失だけでなく、毛細血管を通じて液体が血管の外へ移る過程も関わる可能性を挙げた。飲水の効果が部分的だった理由としての説明であり、飲んだ量だけで血液の状態が決まるという話ではない。[4]
中央線の帰り道、汗をかいた服を見て「今日は血液がよく流れた」と採点したくなるかもしれない。しかし、この実験での変形能は、運動と飲水の条件を変えても同じだった。汗の見た目から赤血球の柔らかさを読み取る根拠にはならない。タオルは血液検査の結果票ではない。[4]
この研究は水分補給を考える材料になるが、実験の飲料量をそのまま全員の補給量にするのは別の問題である。対象は健康な少人数で、運動は一定の自転車運動だった。暑さや種目が異なる日の個別の補給計画まで、この結果だけで決めないことが大切だ。[4]
一方で、「飲んでも指標が上がったのだから飲水には意味がない」と読むのも違う。血液全体の粘度の有意な上昇は飲水なしで認められており、研究者も部分的な効果として論じている。完全に防げたかどうかと、違いがあったかどうかを分ければ、結果の意味が見えやすくなる。[4]
飲水の比較で使われた「同じ人が異なる条件を行う」という設計にも意味がある。別々の人を比べる場合より、個人による違いを抑えて条件を検討できる。ただし、この研究では飲まない回の体重減少を次の飲料量に使っており、条件の順番も含めた実験として読む必要がある。[4]

よくある誤解
「体力がある人の赤血球は、いつでも柔らかい」は言い過ぎである。人の比較実験では、乳酸を加える前の硬さの指標に有意な群間差はなかった。違いは乳酸への応答に現れたのであり、安静時の値から運動経験者を見分けられるという話ではない。体力と細胞の性質を単純な順位表にはできない。[3]
「乳酸は赤血球を硬くするだけ」も、結果の片側しか表していない。未訓練者の血液では変形しにくい方向だったが、訓練者の血液では逆方向の変化が見られた。だからといって、乳酸を増やすことを初心者の目標にすれば、対象による違いを捨ててしまう。乳酸の名前だけで善悪を決める読み方は、この実験に合わない。[3]
「水を飲めば血液の粘度は変わらない」という理解にも修正が要る。飲水ありでもヘマトクリットと血漿粘度は増加し、変形能は変わらなかった。飲水による部分的な違いと、赤血球そのものの変化を一緒にしないことが、この研究を読む要点である。[4]
研究同士の結果がそろわないとき、どれかが間違いだと急ぐ必要はない。乳酸と血液を扱った論文でも、運動中の変形能について、悪化、変化なし、改善という異なる報告があることが出発点になっている。誰を、いつ、どの条件で測ったかの違いが、次に調べる問いになる。[1][3]
今日からできること
- 運動の記録には、実施した内容とその日の実感を分けて残す。赤血球の変化と同一視しないための工夫である。1時間の自転車運動でも変形能は変わらなかったという結果を、実感だけで内部を採点しない目安にしたい。[4]
- 「運動で血液が変わる」という情報を見たら、粘度、凝集、変形のどれを指すか確認する。10人を調べた飲水の比較では、これらは同じ変化を示さなかった。自分の運動選びに使う前に、測ったものの名前まで読む。[4]
- 乳酸を増やすためだけに運動を強める目標は避けたい。各10人の血液で反応の向きが異なった実験は、追い込むほど細胞に有利という根拠ではない。乳酸濃度の数字は、体外実験の条件として読む。[3]
- 運動を続ける予定と、赤血球の変化の期限は分けて考える。11週間の結果は雄ラットの実験である。人の生活に持ち帰るときは、研究の期間と自分の成果の期限を別にする。[2]
- 水分を用意し、飲水を「血液を完全に元に戻す操作」とは考えない。1時間の運動で認められたのは部分的な違いだった。個別の健康状態や運動制限に関する判断は医師に確認する。[4]

オンザショア立川店で、通う時間を生活に置く
血液の見えない変化を通うたびの採点項目にするより、生活の中に運動の時間を置く場所としてスタジオを選ぶ。オンザショア立川店は8:00〜23:30、年中無休で営業している。朝に時間を取りたい人にも、仕事や講義の後に通いたい人にも、まず自分の予定と営業時間を照らし合わせるという使い方がある。
所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F、JR立川駅北口から徒歩1分である。溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガに加え、常温のヨガやピラティス、パーソナルトレーニングもある。ヨガだけで25種類以上のレッスンがあり、種目と通える時間を合わせて考える場所である。
妊娠中は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。ヨガの体験レッスンは税込1,980円。60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。店の案内と料金を確認し、予定に合う機会を体験の予約から選ぶ。
参考文献
[1] Reciprocal relationships between blood lactate and hemorheology in athletes: another hemorheologic paradox? — Varlet-Marie E, Brun JF., 2004, Clinical hemorheology and microcirculation. DOI: なし
[2] Mechanism of endurance training-induced erythrocyte deformability in rats involves erythropoiesis — Zhao J, Tian Y, Cao J, Jin L, Ji L., 2013, Clinical hemorheology and microcirculation. DOI: 10.3233/ch-2012-1549
[3] Opposite effects of in vitro lactate on erythrocyte deformability in athletes and untrained subjects — Connes P, Bouix D, Py G, Prefaut C, Mercier J, Brun JF, Caillaud C., 2004, Clinical hemorheology and microcirculation. DOI: なし
[4] Blood viscosity after a 1-h submaximal exercise with and without drinking — Vandewalle H, Lacombe C, Lelièvre JC, Poirot C., 1988, International journal of sports medicine. DOI: 10.1055/s-2007-1024988
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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