
回数を増やす研究も、目的によって答えが違う
「呼吸に自信がないぶん、たくさん引けば補えるだろうか」。こう考えたときは、まず何を補いたいのかを決めたい。筋肉を大きくすることと、一定の負荷で反復し続けることは、同じ成果ではない。練習量を扱う研究にも、異なる評価の軸がある。[4][14]
閉経後または高齢の女性を対象にした系統的レビューとメタ分析は、無作為化比較試験14本をまとめている。対象は閉経後の45歳以上、または60歳以上の女性で、全身の筋トレと対照群を比べた研究が集められた。主な種目には、座って引く運動やラットプルダウンも含まれている。18〜39歳の女性にも同じ増加量や練習量の関係が当てはまるかは、この対象の結果からは判断できない。[4]
全身の除脂肪量などを筋肥大の指標としたところ、運動しない対照群に比べ、練習量が多い群は約1.3kg、少ない群は約0.9kgの増加だった。標準化した効果量は、多い群で0.52、95%信頼区間は0.27〜0.77、少ない群で0.34、同区間は0.14〜0.53であった。効果量は、異なる研究の結果を共通の物差しで比較するための値である。[4]
ただし、この検討でのエビデンスの確実性は低いと評価されている。しかも全身の指標であり、背中だけの筋肉の増加量ではない。若い女性が呼吸のタイミングを変えたときの効果を示す数字でもない。練習量の多い条件に有利な傾向があったことと、本人に必要な量が決まることは分けて扱う必要がある。[4]
一方、健康で筋トレ経験のある男性15人の無作為化試験では、種目ごとに10セット行う条件と5セット行う条件を6週間比べた。評価したのは、最大挙上重量の70%の負荷で何回続けられるかという相対的な筋持久力で、ラットプルダウンも検査種目に入っていた。結果は、セット数を倍にしても筋持久力の発達に優位性は示されなかった。18〜39歳の女性への適用には、男性の筋トレ経験者を調べた結果である点を考慮する必要がある。[14]
脚を押す種目では反復回数が両群とも増えたが、介入後の群間差はなかった。ここを読まずに「10セットの群も伸びたから、多いほうがよい」とすると、比較試験の要点を落とす。変化したかどうかと、別の方法より優れていたかどうかは違う問いである。[14]
これらは単純な矛盾ではない。対象者も、練習も、筋肥大か筋持久力かという目的も異なる。呼吸を工夫する代わりにセットを増やす、という交換の計算には使えない。まず自分が知りたい成果を、繰り返せる回数なのか、扱える負荷なのか、筋肉の変化なのかに分ける。そのうえで担当者と練習の量を相談したい。[4][14]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
背中を引く成績と、背中痩せを混同しない
「背中に効いた」という言葉は便利だが、何を指したかを後から思い出しにくい。運動後の疲れを意味する日もあれば、以前より引きやすかったことを意味する日もある。気になる服を着たときの見え方なら、また別の評価になる。自分の言葉を狭くするほど、研究結果と照らし合わせやすくなる。
閉経後の女性34人を対象にした無作為化試験では、筋トレに光を使った介入を加える条件と、筋トレに疑似的な介入を加える条件を比べた。両群の筋トレは共通で、ラットプルダウン、脚を押す種目、胸を押す種目などを、最大挙上重量の75%で10回ずつ2セット、週2回、8週間行っている。18〜39歳の女性にも同じ筋力の変化が得られるかは、この閉経後の女性の試験だけでは判断できない。[19]
筋力は両群で増えたが、群間差は認められず、光を使った介入による筋力への上乗せは示されなかった。筋トレと追加介入を組み合わせた比較では、両群に共通する練習と、群によって違う条件を区別すると結果を読み取りやすい。この試験では、筋トレの種目や負荷、頻度が共通だった。[19]
自分の練習を振り返るときも、変更点の一覧が役立つ。呼吸の合図を教わった日に、重さや引く範囲まで変えたなら、その両方を書いておく。「前より引きやすかった」という感想に、担当者から受けた説明を添える。何を変更した日だったかが残れば、次の相談で同じ状況を説明し直す負担が減る。
見た目を目標にする場合は、練習ノートにその希望も書いてよい。ただ、毎回の動作確認では「肘の位置を見てもらう」「バーを戻すところを確認する」のように、その場で観察できる項目を選びたい。服を着たときの印象についての希望と、器具の前で確認したい動きを、相談の中でそれぞれ言葉にする。
練習ノートなら「背中痩せに成功」と急いで書く代わりに、「同じ範囲で引けた」「終盤の動きは要相談」「呼吸の合図が分からなくなった」と事実を残せる。服を選ぶ目標を持つことと、練習の評価を筋力や動作で行うことは両立する。体の形を誰かの正解に寄せる必要もない。

よくある誤解
「吐く時に背中が熱くなったから、この動きが正解だ」という判断をする前に、動作を見てもらいたい。本人の手応えは相談の出発点になるが、肘やバーがどこを通ったかは、観察する項目である。「熱く感じたのは引く途中だった」と動作の場所を添えれば、担当者が確認する場面もはっきりする。
「軽い重さなら、何回続けてもきつさは小さい」という思い込みも修正したい。経験のある男性が限界まで行った比較では、軽い負荷の条件のほうが努力感と不快感は大きかった。ここで否定されたのは、その条件で軽い負荷のほうが楽だという見込みである。軽い練習すべてがつらいという逆向きの決めつけにはしない。[18]
「セット数を増やせば、どの成果も比例して増える」ともいえない。男性の筋持久力を調べた試験では、多いセット数の優位性は示されなかった。他方、閉経後・高齢女性の全身の筋肥大では、練習量が多い群に有利な結果が報告された。どちらかを捨てるのではなく、目的と対象が違うことを残して読むのが妥当である。[4][14]
呼吸の説明が腑に落ちたら、どの言葉で分かったのかも残しておくとよい。「引く」と「戻す」の区切りが分かったのか、肘の動きを見せてもらって理解できたのか。次回も同じ説明を頼むための記録になる。理解しやすかった合図を持ち帰ることも、その日の練習で得られる具体的な成果だ。
今日からできること
- 呼吸を相談するときは、重さ、動かす範囲、限界まで反復したかを一緒に伝える。30人の範囲比較試験のように、何を変えたかを分けて考えるための記録である。[2]
- 軽い負荷に替えた日ほど、長く続けたかを記録する。25〜30回で限界となる条件は、8〜12回で限界となる条件より努力感が高かった。回数は勧める量ではなく、研究の比較条件だ。[18]
- 量を増やす前に、目標が筋持久力か筋肉の変化かを言葉にする。10セット対5セットの結果を、すべての目標へ一律に当てはめない。[4][14]
- その日の感覚と、期間を置いて見た成績を別に残す。8週間の試験で用いられた筋肉の測定と引く成績も、違う成果の指標として扱われていた。[2]
- 研究の数字を自分の義務にしない。週2回、8週間の試験は閉経後の女性が対象だった。体調や運動の可否について判断が必要な場合は医師に相談する。[19]

オンザショア立川店で、続ける時間を選ぶ
呼吸の合図と動作を確かめる時間を、暮らしのどこに置くか。オンザショア立川店は8:00〜23:30の営業で、全曜日同じ時間、年中無休である。朝の予定に組み込むか、仕事帰りに立ち寄るか、通う時間を考えられる場所だ。
所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F。JR立川駅北口から徒歩1分にある。溶岩プレートを敷いたスタジオのホットヨガに加え、常温のヨガ、ピラティス、パーソナルトレーニングなどがあり、ヨガだけで25種類以上のレッスンを用意している。種目や時間を選ぶことを、運動を続ける仕組みとして考えたい。
妊娠中は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。参加できる種目を確認したうえで、通う予定を考えたい。
ヨガの体験は税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルを含む。
通い方は店の案内と料金で確認できる。体験の予約も、予定に運動の時間を置く入口になる。
参考文献
[2] Lengthened partial repetitions elicit similar muscular adaptations as full range of motion repetitions during resistance training in trained individuals — Wolf M, Androulakis Korakakis P, Piñero A, Mohan AE, Hermann T, Augustin F, Sapu / 年: 2025 / 誌名: PeerJ / 被引用: 5. DOI: 10.7717/peerj.18904
[4] Higher volume resistance training enhances whole-body muscle hypertrophy in postmenopausal and older females: A secondary analysis of systematic review and meta-analysis of randomized clinical trials — Nunes PRP, Kassiano W, Castro-E-Souza P, Camilo BF, Cristina-Souza G, Vieira-Sou / 年: 2024 / 誌名: Archives of gerontology and geriatrics / 被引用: 4. DOI: 10.1016/j.archger.2024.105474
[14] Effect of 10 sets versus 5 sets of resistance training on muscular endurance — Hackett DA, Davies TB, Sabag A. / 年: 2022 / 誌名: The Journal of sports medicine and physical fitness / 被引用: 4. DOI: 10.23736/s0022-4707.21.12484-3
[18] Acute Effects of Different Training Loads on Affective Responses in Resistance-trained Men — Ribeiro AS, Dos Santos ED, Nunes JP, Schoenfeld BJ. / 年: 2019 / 誌名: International journal of sports medicine / 被引用: 16. DOI: 10.1055/a-0997-6680
[19] Effects of photobiomodulation on muscle strength in post-menopausal women submitted to a resistance training program — Almeida JN, Prado WL, Terra CM, Oliveira MG, Garcia RA, Pinfildi CE, Botero JP. / 年: 2020 / 誌名: Lasers in medical science / 被引用: 8. DOI: 10.1007/s10103-019-02822-4
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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