朝の運動前に顔を洗うと脈は下がる?冷水の反射と準備運動を分けて研究で読む

朝の運動前に冷たい水で顔を洗い、目が覚めたと感じても、脈と体の準備は同じ意味ではない。顔面冷却で心拍が下がる反射、同時に起こる血圧や末梢血流の変化、動き始めの酸素摂取を研究で読む。ラジオ体操やランニングに向かう朝に、洗顔後の数字をどう受け止めるかを考える。

洗面台で顔に水をかけ、タオルで拭いてからランニングの靴を履く。頭はしゃきっとしたのに、時計に出る脈は思ったほど高くない。目覚めた実感と、時計が示す脈。この食い違いを考える手がかりが顔への冷刺激だ。顔を冷やす刺激には、安静時の心拍を下げる反射があるからだ。[8][16]

ただし、実験で顔を冷やすことと、朝に水をすくって顔を洗うことは条件が違う。また、冷顔試験では心拍低下と血圧上昇が同時に起こり、運動開始時には心拍と酸素摂取が異なる反応を示した。洗顔後の低い脈を、そのまま「全身が休まった」「準備ができた」の印にするのは飛躍である。[4][8][16]

ここで扱うのは、朝のラジオ体操やランニングへ移る前後の反応である。運動の合間の使い方は既存記事「HIITの休憩で顔を冷やすと楽になる?冷たい感覚と次の出力を分けて研究で読む」に譲り、顔への冷たさと運動開始が重なる瞬間を見ていく。

ヨガとからだの記事のイメージ写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

顔が冷たいと、なぜ心拍が下がるのか

顔への冷刺激で心拍が下がり、末端の血管が収縮する反応は、潜水反射と呼ばれる反応に含まれる。水へ顔を入れて息を止める場面だけでなく、冷たい圧迫材を顔に当てる試験でも心拍低下が起こる。心拍を遅くする方向に働く迷走神経と、顔の感覚を伝える三叉神経を結ぶ経路が研究されてきた。[16][19]

この文脈で使う「徐脈」は、冷刺激に伴って心拍が遅くなる反応を指す。読者の時計の値だけで病気を判定する言葉として使っているのではない。冷たいものが触れた際の反射を考える話と、個人の心拍の診断は分けておきたい。[8][19]

反射の経路を調べた研究では、正常者50人で冷顔試験を標準化し、患者10人でもほかの検査と比較した。冷たい圧迫材による心拍低下は、顔を水に入れて息を止めた際の心拍低下とよく対応した。三叉神経の枝のうち、眼の周辺に関わる枝が最も敏感な経路だった。患者も含む検査の研究であり、18〜39歳の女性の日常の洗顔に同じ反応が現れるかは別に確かめる必要がある。[19]

これは目を押せばよいという話ではない。研究が調べたのは冷刺激から心臓への反射経路である。顔を覆う場所や方法を変えるだけでも別の刺激が入りうるため、家庭で強い圧迫を加えて反射を再現するための根拠としては扱わない。[17][19]

冷顔試験を詳しく調べた別の比較試験には、健康な対照者10人と、血圧を感知する反射に障害のある患者2人が参加した。顔に冷却材を当てると、対照者全員で心拍が下がった。心拍低下が始まるまでの平均は5.6秒、最も強くなるまでの平均は35.8秒だった。示されたばらつきは、それぞれ標準偏差4.6秒と15.8秒である。健康な対照者と患者を比べた検査の結果であり、18〜39歳の女性の洗顔に、この秒数をそのまま当てはめることはできない。[8]

秒数には幅がある。冷たい水が触れてから反応が現れるまでの時間にも、個人差がある。洗面台の蛇口は心拍のスイッチではないのだ。実験の平均時刻を知る意味は、反応に時間経過があると理解することであり、その秒数まで顔を冷やす目標を作ることではない。[8]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

洗顔と冷顔試験は、冷たさも範囲も違う

健康な成人16人を対象にした対照付き臨床試験では、ジェル入りの冷却材を使い、温度、顔に当てる位置、持続時間を変えている。参加者は女性9人、男性7人で、年齢は21〜35歳だった。女性を含むが男女を合わせた結果であり、18〜39歳の女性全体に同じ変化率を当てはめるには慎重さが要る。研究者は心拍だけでなく、指、足指、ふくらはぎの血流と血圧も追った。[16]

この試験で最も強い心拍低下と末梢血管収縮を生んだ条件は、0度の冷却材を顔の両側へ40秒間当てた条件だった。その冷顔試験では心拍が22%低下し、指、足指、ふくらはぎの血流はそれぞれ72%、59%、44%減少した。いずれも管理された試験での結果であり、朝の洗顔で期待する変化率ではない。[16]

注目すべきなのは、心拍と末端の血流が一緒に測られている点だ。顔だけが冷たいという感覚の裏で、離れた場所にも循環の変化が生じている。心拍だけ抜き出して「低いから穏やかな状態」と名付けると、同時に起きている血管の反応を見落とす。[16]

さらに、同じ人が別の日、別の時刻、別の季節に受けた試験では反応に良好な一貫性があった一方、人と人の間には有意なばらつきがあった。自分の昨日と今日を比べる話と、家族や友人と心拍の下がり幅を競う話は違う。この試験から全員共通の合格値は作れない。[16]

方法を再評価した臨床試験では、各手順に6〜11人が参加し、氷水を入れた袋の重さや、呼吸を続けるかどうかなどが比較された。呼吸を妨げる条件では、心拍の低下が大きくなる傾向があった。また、刺激の強さに慣れている場合に再現性が高かった。[17]

したがって、「顔を冷やした」という一言だけでは条件をそろえたことにならない。水をかける、冷却材で覆う、顔を水に入れる、息を止めるという操作を同じ箱へ入れないことが大切だ。ここで挙げた温度や時間は研究の説明であり、息止めと氷水を組み合わせる朝の習慣の提案ではない。[16][17]

脈の低下と血圧の上昇は同時に起こる

心拍が下がると「副交感神経が働いて全身が休息に入った」と考えたくなる。しかし、冷顔試験では心拍低下と血圧上昇が同時に観察される。健康な対照者10人の試験では、8人で収縮期血圧が上がった。血圧上昇より心拍低下のほうが先に現れたことも確かめられている。[8]

収縮期血圧とは、心臓が血液を送り出す際の血圧である。この研究では、心拍の反応を血圧上昇への単なる後追いの反射として説明しきれなかった。血圧を感知する反射に障害がある患者でも冷顔試験への反応は保たれ、心拍低下の仕組みに対する血圧反射の役割は限定的とされた。[8]

健康な17人、平均年齢27歳を対象にした別の比較研究でも、額への冷刺激で心拍と皮膚血流が下がり、平均血圧が上がった。一方、心臓が送り出す血液の量には有意な変化がなかった。心拍数という見やすい数字と、循環全体の動きは同義ではない。[9]

この研究は脳の循環も調べている。脳の主要な血管で測った平均血流速度は、小さいながら有意に増加した。脳の血管抵抗の指標の最大増加は14.2%、全身の末梢血管抵抗の最大増加は23.9%で、前者のほうが小さかった。顔の刺激に対し、体の各部で反応の大きさが異なる。[9]

これを「冷水で顔を洗えば脳が活性化する」と言い換えることもできない。研究の測定対象は血圧や血流速度などの循環反応であり、朝の仕事の成績や注意力を測る試験とは問いが異なる。眠気の抜けた実感に、血流の数字をそのまま証明書として付けないほうが正確である。[9]

たとえば、洗顔してから玄関で時計を見た場合、分かるのはその時点の心拍だ。顔が冷たかったこと、気分が切り替わったこと、心拍が低かったことを別々に受け止めれば、数字を無理に一つの物語へまとめずに済む。循環反応の研究が教えるのは、変化の方向が指標ごとに違うということだ。[8][9]

冷顔試験の数字を読む際には、平均値と個人の反応も区別したい。平均の心拍低下が大きくても、誰もが同じ割合で下がったことにはならない。血圧上昇が見られた人数も、対照者全員ではなかった。平均の変化、変化した人数、個人差は、それぞれ別の情報を持っている。[8][16]

また、脳の循環を調べた研究では、額を0度で60秒間冷やしている。これに対し、温度や位置を比べた研究は、顔の両側に当てる条件などを含んでいた。どちらも顔面冷却だが、同じ刺激を同じ参加者に与えた研究ではない。複数の結果を合わせるときにも、細かな条件を飛ばして一つの効果量にまとめないことが必要だ。[9][16]

試験の方法を比較した研究では、眼への圧力が別の反射を起こす可能性も検討された。使用された冷刺激の条件では、その別の反射を生む刺激は小さすぎ、ゴーグルの有無や袋の重さは反応に影響しなかった。この結果は、特定の装置と方法のもとで別の要因を確かめたものだ。どんな重さや押し方でも同じだという保証にはしない。[17]

臨床検査の再現性という視点も、日常の印象とは少し違う。研究者が求めるのは、同じ条件で繰り返したときに反応がどれほど安定するかである。冷たさに慣れたほうが再現性が高かったという結果を、冷却を重ねるほど運動能力が伸びるという意味には読み替えられない。測定の安定性と、体力の向上は別の結果なのだ。[17]

数字で読む顔面冷却と動き始め

16人:温度や当てる場所、時間を変えた冷顔試験の参加者。女性9人、男性7人だった。[16]

22%:同試験の冷却条件で観察された心拍の低下率。家庭の洗顔への予測値ではない。[16]

5.6秒:健康な対照者で心拍低下が始まるまでの平均時間。標準偏差は4.6秒だった。[8]

8人:健康な対照者10人のうち、収縮期血圧が上昇した人数。心拍低下と両立した。[8]

5人:顔への冷刺激を使い、高強度自転車運動の開始時の酸素摂取を調べた研究の参加者。[4]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

💬 ご質問がある場合はこちらからどうぞ

オンザショアのチャットで質問する(24時間受付)

レッスン内容・料金・体験のご予約など、気になることをお気軽にお尋ねください。

1

2

Warning: Attempt to read property "show_author" on false in /home/c1531448/public_html/ontheshore.jp/wp-content/themes/heal_tcd077/single.php on line 165

関連記事

ご体験予約